- 作成日 : 2026年1月5日
建設業許可の決算変更届は自分で作成できるか?
時間と労力をかければ、専門家に依頼せず自社で建設業許可の決算変更届を作成・提出することは十分に可能です。
決算変更届は、高度な法的判断を要する新規許可申請とは異なり、基本的には「過去1年間の実績」を報告する手続きです。そのため、書き方のルールと必要書類さえ理解すれば、誰でも作成できます。実際に、コスト削減のために自社で対応している建設業者も少なくありません。
目次
自分でやる場合と専門家に依頼する場合の費用比較
自分で手続きを行う最大のメリットは、費用の節約です。
- 自分でやる場合
実費のみ(数百円〜数千円程度)。
主な費用は、納税証明書の発行手数料(400円程度)、郵送代、役所への交通費などです。申請自体に法定手数料はかかりません。 - 行政書士に依頼する場合
3万円〜5万円程度が相場です。
これに加えて、実費がかかります。
決算変更届(事業年度終了届)とは何か?
決算変更届(事業年度終了届)とは、建設業許可を受けた業者が毎事業年度終了後4ヶ月以内に、その年度の工事実績や財務状況を許可行政庁(都道府県知事や国土交通大臣)に報告する手続きのことです。
この届出は、建設業法第11条の2で義務付けられています。税務署への確定申告とは別に、建設業の許可行政庁へ提出しなければなりません。
提出期限と未提出のリスク
提出期限は、決算日から4ヶ月以内です。
この届出を怠ると、以下のような重大な不利益を被る可能性があります。
- 5年ごとの許可更新が受けられない。
- 業種追加の申請ができない。
- 経営事項審査(経審)が受けられない。
- 建設業法違反として、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金の対象となる可能性がある。
実務上は、口頭指導や始末書などの段階を経るのが一般的です。ただし、状況を放置すると罰則が適用される可能性があるため注意しましょう。
自分で作成するために必要な書類は何か?
主に「工事経歴書」「財務諸表」「納税証明書」などが必要となります。様式は国土交通省や各都道府県のウェブサイトからダウンロード可能です。
税務申告で作成した決算書をそのまま提出するのではなく、建設業法で定められた様式に書き換える必要がある点がポイントです。
主な必要書類一覧
※申請する自治体(東京都、大阪府など)によって、必要書類や綴り方が異なる場合があるため、必ず管轄の手引きを確認してください。
自分で作成する際の最大の難関は?(書き方のポイント)
「工事経歴書の作成」と「財務諸表の勘定科目の振り替え」が、初めての方が最も苦労するポイントです。
工事経歴書の書き方
その年度に請け負った主な工事について、注文者、工事名、工期、請負代金額などを記載します。
- 経営事項審査(経審)を受けるかどうかで記載方法が異なります。
- 完成工事だけでなく、未成工事(施工中)も記載します。
- 請負金額の大きい順に記載するなど、細かいルールがあります。
財務諸表の書き方(勘定科目の振り替え)
税理士が作成した税務申告用の決算書(報告書)を、建設業法様式の財務諸表に転記します。
しかし、税務上の勘定科目と建設業法上の勘定科目は一致しないことが多々あります。例えば、「売掛金」は「完成工事未収入金」に、「仕掛品」は「未成工事支出金」に振り替えるなど、建設業特有の会計ルールに従って修正する必要があります。
納税証明書はどこで取得するのか?
許可の種類(知事許可か大臣許可か)によって、取得すべき証明書の種類と場所が異なります。
- 知事許可(多くの一般建設業者が該当)
都道府県税事務所で発行される「法人事業税の納税証明書」が必要です。税務署(国税)ではない点に注意が必要です。 - 大臣許可
税務署で発行される「法人税の納税証明書(その1)」が必要です。
電子申請や郵送での提出は可能か?
可能です。現在は「建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)」を利用した電子申請や、郵送での提出が推奨されています。
電子申請(JCIP)の利用
マイナンバーカードやGビズID(gBizIDプライム)があれば、自宅や会社からオンラインで届出が可能です。窓口に行く手間が省けるため、自分で手続きを行う場合は積極的に活用したい方法です。
郵送での提出
多くの自治体で郵送提出が認められています。副本(控え)の返信を希望する場合は、返信用封筒の同封を忘れないようにしましょう。
コスト削減と事務負担のバランス
本記事では、建設業許可の決算変更届を自分で作成する方法について、必要書類や書き方のポイントを解説しました。
決算変更届は、ルールさえ把握すれば自分で作成可能であり、数万円のコスト削減になります。一方で、慣れていないと「勘定科目の振り替え」や「工事経歴書の作成」に、多くの時間を費やすことになります。自社の事務リソースと相談し、自分でやるか、プロ(行政書士)に任せて本業に集中するかを判断することが重要です。まずは一度、自治体の手引きや様式をダウンロードして、内容を確認してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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