- 更新日 : 2026年4月1日
解体工事に必要なのは許可?登録?500万円の基準や建築一式との違い、資格要件を解説
解体工事をビジネスとして行うには、「建設業許可」または「解体工事業登録」のいずれかが必要です。この2つは、請け負う工事の金額(500万円)によって必要となる手続きが異なります。また、「建築一式工事の許可を持っていれば解体もできるのか?」という点も、多くの事業者が迷うポイントです。
この記事では、建設業の専門家として、解体工事を行うために必要な許可と登録の違い、建築一式許可との関係、そして許可取得に必要な資格要件について、分かりやすく解説します。
解体工事に必要な「許可」と「登録」の違いは?(500万円の壁)
請負金額が500万円(税込)以上なら「建設業許可」、500万円未満なら「解体工事業登録」が必要です。
解体工事を営む場合、工事の規模によって適用される法律と手続きが異なります。
① 500万円以上の工事:「建設業許可(解体工事業)」
1件の請負代金が500万円(税込)以上の解体工事を請け負うには、建設業法に基づく「解体工事業」の建設業許可が必須です。
これは、他の28業種と同様に、経営経験や専任技術者、財産的基礎などの要件を満たして都道府県知事または国土交通大臣から受ける許可です。
② 500万円未満の工事:「解体工事業登録」
1件の請負代金が500万円(税込)未満の解体工事のみを請け負う場合は、原則として建設リサイクル法に基づく「解体工事業登録」が必要です。ただし、「土木工事業」「建築工事業」「解体工事業」の建設業許可を受けている場合は、登録が不要です。
建設業許可よりも要件が緩やかで取得しやすいですが、工事を行う都道府県ごとに登録が必要である点に注意が必要です。
許可があれば登録は不要?
不要です。「解体工事業」の建設業許可を持っていれば、500万円未満の工事も含めてすべての解体工事を行えるため、別途「登録」を行う必要はありません。
また、「土木工事業」「建築工事業」「解体工事業」のいずれかの建設業許可を受けている場合は、500万円未満の解体工事については解体工事業者登録が不要です。
「建築一式」や「とび・土工」の許可で解体工事はできるか?
500万円以上の解体専門工事を行うには、「建築一式」や「とび・土工」ではなく、必ず「解体工事業」の許可が必要です。
ここは誤解が多いポイントです。
建築一式・土木一式の場合
- 500万円未満:登録不要で解体工事が可能です。
- 500万円以上:原則として解体専門工事を請け負うことはできません。
(※家の建て替えなど、新築工事と一体となった一式工事として受注する場合のみ可能です)
解体工事を単独で請け負い、請負代金が税込500万円以上となる場合は、原則として「解体工事業」の建設業許可が必要です。
一方で、建替え等で解体が一式工事(建築工事業・土木工事業等)の一部として位置づく場合は、契約実態に応じて許可・登録の要否判断が変わります。不明点があれば、許可行政庁へ確認するのが安全です。
とび・土工の場合
以前は「とび・土工」の許可で解体工事も可能でしたが、2016年(平成28年)の法改正で「解体工事業」が独立した業種となりました。経過措置期間も終了しているため、現在は「とび・土工」の許可だけで500万円以上の解体工事を請け負うことはできません。
内装解体工事にはどの許可が必要か?
内装解体も「解体工事」に該当するため、500万円以上なら「解体工事業」の許可、未満なら「解体工事業登録」が必要です。
店舗のスケルトン戻しやリフォームに伴う内装解体も、原則として解体工事として扱われます。つまり、請負金額や許可保有状況により、許可・登録が必要となるのが原則です。ただし、内装仕上工事の一環として軽微な解体を行う場合など、判断が分かれるケースもあるため、工事内容に応じて管轄の行政庁に確認することをお勧めします。
解体工事業許可をとるための資格要件は?(専任技術者)
解体工事業の許可(500万円以上)を取得するには、営業所に以下の資格または実務経験を持つ「専任技術者」を配置する必要があります。
① 国家資格(1級・2級)
以下の資格保有者は、専任技術者として認められます。
- 1級・2級 土木施工管理技士
- 1級・2級 建築施工管理技士
- 技術士(建設部門、森林「森林土木」)
- 解体工事施工技士
- とび技能士(1級・2級+実務経験)
【重要:経過措置と登録解体工事講習】
2015年度(平成27年度)以前に「2級土木施工管理技士(土木)」または「2級建築施工管理技士(建築・躯体)」を取得した方は、追加で「登録解体工事講習」を受講するか、解体工事の実務経験が1年以上なければ、解体工事業の専任技術者にはなれません。(2016年度以降の合格者は試験内容に解体が含まれているため講習不要です)
② 実務経験
資格がない場合でも、以下の実務経験があれば認められます。
- 解体工事の実務経験が12年以上
- 「とび・土工」の実務経験8年 + 「解体工事」の実務経験4年(合計12年)
解体工事業の建設業許可で専任技術者となる実務経験要件は、解体工事の実務経験10年以上(うち元請け指導監督経験2年以上)が基本です。以下のように、学歴や試験合格により短縮されます。
- 学歴なし:解体工事実務経験10年以上
- 高校(工業・建築関連学科)卒業:実務経験5年以上
- 大学(建築・土木関連学科)卒業:実務経験3年以上
- 施工管理技士試験合格者:実務経験3〜5年(種別による)
また、「解体工事経験8年以上+土木一式・建築一式・とび土工工事いずれかの経験4年以上」で通算12年以上の経験があれば、要件を満たせます。
解体工事業登録をとるための要件は?(500万円未満)
許可よりも要件は緩やかですが、「技術管理者」の設置が必要です。
解体工事業登録(500万円未満)を行うには、工事の技術上の管理を行う「技術管理者」を置く必要があります。
- 技術管理者の要件:
- 上記の建設業許可の専任技術者になれる資格保有者
- または、解体工事の実務経験8年以上(講習受講で短縮可)
建設業許可の専任技術者よりも、実務経験の必要年数が短く設定されています。
事業規模とエリアに合わせた手続きを
本記事では、解体工事に必要な「建設業許可」と「解体工事業登録」の違いについて解説しました。
- 500万円以上の工事を請け負うなら:「解体工事業」の建設業許可(全国で有効、要件厳しい)
- 500万円未満の工事のみなら:「解体工事業登録」(都道府県ごとに必要、要件緩やか)
事業拡大を目指すなら、全国どこでも500万円以上の工事が可能になる「建設業許可」の取得を目指すのが王道です。保有している資格や実務経験を確認し、自社に最適な手続きを進めましょう。
【無料】合わせて読みたいおすすめガイド4選
よく活用いただいている人気の資料・ガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。マネーフォワード クラウド開業届は、簡単3ステップでミスなく開業届を提出いただけます。
見積書の法定福利費、明示できていますか?
国土交通省は元請・下請のすべてに、見積書への法定福利費記載を義務付けています。
「労務費総額×法定保険料率」の計算方法、労務費に占める約15%の内訳、事業主と本人負担分の区別、法定福利費と福利厚生費の勘定科目の違い、標準見積書での記載方法を解説しています。
青色申告の65万円控除、満額で受けるには?
事前の届出期限を過ぎると、その年は青色申告の適用を受けられません。
届出の手続きから日々の帳簿づけ、決算書・確定申告書の作成、提出までを簡潔にまとめて紹介。初めて青色申告に取り組む方におすすめです。
迷いやすい勘定科目を一覧で整理
科目選びに一貫性がないと、正確な所得の把握が難しくなります。
仕入・荷造運賃、外注工賃と業務委託費、消耗品費、車両費、地代家賃など、取引区分ごとに勘定科目を整理。自宅兼店舗の家事按分にも触れ、日々の経費処理を確認できる資料です。
使える控除、すべて申告できていますか?
所得税・住民税・社会保険料を合わせると、収入の3〜4割が差し引かれることもあります。
ふるさと納税やiDeCo、小規模企業共済、青色申告特別控除、経営セーフティ共済などの節税方法を25項目収録。一人親方や個人で事業を営む方が自分に合う制度を選べる内容です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
バックオフィス業務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
-
# 法律・許認可・制度
建設業許可を取得するには?必要な種類、500万円の基準、取得条件から更新まで解説
建設業許可は、建設業を営む上で法令遵守と社会的信用を得るための重要な資格です。一定規模以上の工事を請け負うには、この許可を必ず取得しなければなりません。 この記事では、建設業の専門…
詳しくみる -
# 法律・許認可・制度
建設業法の施工体制台帳とは?作成義務となる金額や書き方、添付書類まで解説
建設工事を元請として受注し、下請業者に工事の一部を発注する際、建設業法で「施工体制台帳」の作成が義務付けられていることをご存知でしょうか。この書類は、工事の全体像を明確にし、適正な…
詳しくみる -
# 法律・許認可・制度
建設業法とは?ルールや該当工事をわかりやすく解説
建設業法とは、建設業に関する多くのルールを定めた法律です。この法律は、建設業者の資質向上、請負契約の適正化といった目的を持っています。 この記事では、建設業法の基本的な内容から対象…
詳しくみる -
# 法律・許認可・制度
建設業許可をとるには?5つの主要要件、必要な資格、500万円ない場合の対策まで分かりやすく解説
建設業許可をとるには、法律で定められた「経営経験」「技術力」「誠実性」「資金力」「欠格要件の非該当」という5つの主要な要件をすべてクリアし、それらを客観的な書類で証明する必要があり…
詳しくみる -
# 法律・許認可・制度
建設業の許可票の掲示義務とは?サイズ、現場でのルール、緩和措置や罰則まで解説
建設業許可を取得した事業者は、営業所および工事現場の見やすい場所に、法律で定められた「建設業の許可票(標識)」を掲示する義務があります。このルールを怠ると、10万円以下の過料の対象…
詳しくみる -
# 法律・許認可・制度
工事請負契約書は建設業法でなぜ必要か?記載事項、違反のリスク、テンプレートまで解説
建設工事を依頼する際、「昔からの付き合いだから」「簡単な工事だから」といった理由で、口約束や簡単な書類だけで済ませていないでしょうか。建設業法では、工事の規模にかかわらず、必ず「工…
詳しくみる



