- 作成日 : 2022年6月10日
角印とは? 社印や丸印との違いや電子印鑑についても解説!
一口に「印鑑」といっても、さまざまな種類があります。特にビジネスにおいては、1社がいくつかの印鑑を使い分けるケースも少なくありません。会社で使う印鑑は、大きく分けて「丸印」と「角印」があります。取引先から「角印を押してください」と言われたり、上司から「角印を用意して」と言われたりして、戸惑われた経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
今回は角印の特徴や丸印との違い、角印を作るメリット・デメリットについてご説明します。
目次
角印とは?
角印とは、その名のとおり印影(印章を押したときにできる朱肉の跡)の形が四角いものを指します。契約書や請求書、領収書などさまざまなビジネス文書に使われるので、押したことはなくても見たことがある方は多いでしょう。
角印には「○○株式会社」あるいは「株式会社○○之印」というように、会社名が記されているケースが多く、その会社が発行する書類に押印されます。
角印と丸印の違い
会社で使う印鑑には、角印のほかに「丸印」があります。「印鑑=丸い」というイメージがあるかもしれませんが、すべての印鑑が丸印というわけではありません。角印は会社名が記された印影が四角い印鑑のことですが、丸印は会社名が記された印影が丸い印鑑を指します。また、丸印には一般的に会社の代表者(取締役社長など)の氏名や役職名が記されているのも大きな違いです。
角印も丸印もビジネスの現場で使われ、企業が発行する書類に押印されますが、用途は若干異なります。
角印と社印の違い
結論からいうと、角印と社印は同じものです。「角印」と呼ぶ人もいれば、「社印」と呼ぶ人もいます。「社印を押してください」「社印を用意して」と言われたら、角印を指すと考えて問題ないでしょう。また、今回は呼び方を「角印」に統一して解説します。
角印は代表者印として使えない
丸印は「代表者印」とも呼ばれます。代表者印とはその名のとおり、会社の代表者が押す印のことであり、会社設立時に法務局で印鑑登録をしたもので、会社の実印です。法的な手続きや重要な契約、例えば会社設立登記や株券の発行、不動産取引などの場面で使います。一方で角印は印鑑登録を行っていないため、代表者印として使うことはできません。
角印と丸印の違い
ここまで角印(社印)と丸印(代表者印)の違いを大まかにご説明しましたが、もう少し詳しく見ていきましょう。
認印 | 実印 | |
不要(一般的に実印としては使わない) | 必要(実印として使用する場合) | |
会社名 | ・会社名(二重円の外枠に記載) ・役職名もしくは代表者名(内枠に記載) | |
1辺が20-30mm程度 | 直径10mm以上30mm未満 直径18mm以上21mm未満が一般的 | |
自社が発行する書類などに押印 | 重大な契約や法的な手続きなど |
角印と丸印の違いを一覧表形式でまとめました。形が違うだけでなく、法務局への登録の有無や印影の内容、サイズ、用途など、さまざまな面で違いがあります。
以上のような違いを覚えておけば、ビジネスの場で押印や手配を求められた際にもスムーズに対応することができるでしょう。
角印と丸印の役割の違い
角印と丸印にはさまざまな違いがありますが、最大の違いは「実印として使えるかどうか」です。前述のとおり、丸印は会社を設立した際などに法務局で印鑑登録を行っていることや、丸印は代表者印という呼び名のとおり、代表者が押印することが前提となっていることなどから、代表者の意思決定が必要な場合や、重要な取引、決裁、法的な手続きなどの重要な場面で使われます。
一方で角印は認印のような存在で、請求書や領収書、見積書、契約書(代表者の決裁を必要としないもの)など、日常的に取り交わす簡易なビジネス文書に押印されます。
角印と社印の押し方の違い
一般的に、角印は書類に記載した会社名や住所の右横に押します。その際、最後の文字が印影の中心と重なるように押すケースが多いです。例えば「○○株式会社」と記載されている場合は、最後の「社」の文字が印影の中心になるように押しましょう。
丸印も会社名や住所の右横に押印しますが、こちらは文字と重ならないように押します。前述のとおり、丸印は重要な書類に押印されるものであり、後に印鑑証明書の印影との照合が必要になる可能性があります。文字に重なっていると、後で鑑定がしづらくなってしまいます。
なお、角印と丸印の両方を押印する場合は、角印を会社名や住所名が記載されている部分の中心に押印し、丸印を文字の右横に押印するのが一般的です。
角印を作成する方法と注意点
角印は、印章店(はんこ屋さん)に依頼すれば作ってもらえます。前述のとおり、サイズは20~30mmが一般的です。大きければ立派に見えますが、書類の文字とのバランスの兼ね合いもあるため、請求書や領収書などのフォーマットに合わせて作るのがおすすめです。
認印とはいえ、偽造されにくい書体を選ぶことが大切です。篆書体と吉相体は偽造されにくいため、よく角印に採用されます。また、手彫りや偽造防止デザインを採用している印章店を選ぶと安心です。
角印は電子化できる?
デジタル化やペーパレス化の流れに伴い、はんこから電子印鑑に移行する会社や個人は少なくありません。角印に関しても電子化は可能ですが、メリットとデメリットがあります。それぞれを把握したうえで、電子化を進めるかどうかを判断することが大切です。
角印の電子印鑑を作るメリット
角印の電子印鑑を作成するメリットとして、押印の手間が省けてペーパレス化につながることが挙げられます。印鑑を使う場合は、書類を作成した後に印刷して押印する必要がありました。さらに、その書類をメールなどで送る場合は再度スキャンしなければなりません。書類作成時にあらかじめ電子印鑑を押しておけば、押印の手間を省くことができます。また、書類を電子データでやり取りする場合は、印刷の手間もかかりません。
特にコロナ禍でリモートワークが普及し始めた頃は、「押印のためだけに出社している」という話もよく聞かれました。リモートワークでなくても、わざわざ押印のために出先から帰社したり、角印を管理している部署に出向いたりといった経験がある方もいらっしゃるかと思います。電子化すればこのような手間から開放されるため、生産性向上につながります。
角印の電子印鑑を作るデメリット
電子印鑑を作成するデメリットは、偽造がしやすいことです。電子証明がついていない単なる電子印鑑の場合は、同じものを簡単に作成できます。例えば、PDFファイルの印影をコピーする、印刷された書類をスキャンして画像化するといった方法で、簡単に複製できてしまうのです。
フリーソフトやOfficeアプリ、Adobe Acrobat Reader DCで作成したものであれば、まるまる同じものを作ることができます。
実物の角印の場合、総務部や経理部など特定の部署の担当者が管理していれば、社員とはいえ無断で押印したり持ち出したりすることはできません。角印を電子化して社員一人ひとりが保有することで好き勝手に押印ができるようになり、統制がとれなくなる可能性があります。使い勝手がいい分、常に偽装されるリスクがあることも念頭に置く必要があります。
角印の電子印鑑の作成方法
電子印鑑は、ペイントなどの画像作成ソフトやWord、Excel、PowerPointなどのOfficeソフトで簡単に作成することができます。ネットで検索すれば、無料の電子印鑑作成ソフトもたくさん見かけます。書類をPDFファイルでやり取りする場合は、Adobe Acrobat Reader DCの「スタンプ」機能を活用することで電子印鑑を押印することができます。
電子印鑑の作成方法については、こちらのページ(3月作成分「pdf電子印鑑」の記事にリンク)で詳しくご説明しています。
個人事業主は角印が必要?
フリーランスや自営業など、個人事業主の方はご自身の印鑑や認印を使われるケースも多いかと思います。結論からいうと、それでも問題はありませんが、角印を使ったほうがよい場面もあります。
例えば飲食店や小売店などの店舗では、お店の名前(カフェ○○、○○商店など)で商売することになります。店名で請求書や領収書を発行するケースも少なくありません。そのため、屋号が入った角印を用意しておいたほうがよいでしょう。
また、個人でデザインやライティングなどの仕事を請けている、いわゆるフリーランスの方も、屋号名が入った角印を見積書や契約書、請求書に押すことで、相手に好印象を与えられる可能性もあります。
ちなみに個人事業主は法人ではないため、丸印(印鑑登録した実印)を作ることはできません。役所で印鑑登録した、個人的な実印を使うことになります。
角印についての理解を深め、正しく手続きを行いましょう!
角印(社印)と丸印(代表者印)との違いや、認印や実印との違いを把握することで、書類作成時や押印が求められる場面でスムーズに対応することができます。また、角印は電子化が可能で、生産性の向上やペーパレス化を実現できます。一方で、偽装されるリスクが高いことがデメリットです。
押印を電子化する場合はタイムスタンプを付与する、電子契約システムを導入するなどして、セキュリティ面も万全にしておきましょう。
よくある質問
角印とは何ですか?
会社の名前が記載された四角い印章(はんこ)のことです。会社の認印として使うことができ、請求書や領収書、見積書などの書類などに押印します。詳しくはこちらをご覧ください。
角印は電子化できますか?
はい。電子化することで、ペーパレス化や業務効率改善につながります。ただし、偽装や流出リスクにも考慮して対策を行うことが大切です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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