- 更新日 : 2024年12月12日
セキュリティチェックシートとは?テンプレ・SaaSでの必要性
セキュリティチェックシートは、企業が取引先や委託業者のセキュリティ体制を評価するための重要なツールです。特にSaaSの導入が進む中で、データの安全性を確保するためにチェックシートの役割は増しています。適切に運用することで、リスクを最小限に抑え、信頼性の高い取引関係を築けるでしょう。
当記事では、セキュリティチェックシートとは何かという点やSaaSにおける必要性、テンプレートなどを紹介します。
目次
セキュリティチェックシートとは?
セキュリティチェックシートとは、企業が発注先企業や委託業者、クラウドサービス事業者などを対象にセキュリティ体制について尋ねる設問事項です。「情報システムセキュリティチェックシート」などとも呼ばれます。
セキュリティチェックシートの目的は、企業が運用している情報セキュリティポリシーを、委託先企業が順守できるかどうかを確認することです。設問項目の数は、契約形態や発注内容に応じて、数十から数百までさまざまです。
SaaSにおけるセキュリティチェックシートの必要性
SaaSの利用が進む中、セキュリティチェックシートはサービス導入前にセキュリティ対策を確認し、リスクを評価する重要なツールです。データ暗号化やアクセス制御など、特定のセキュリティ要件の適合性を確認できるため、潜在的なリスクの早期発見が可能です。さらに、クラウドサービス事業者との透明性が高まり、信頼性の向上にもつながります。
一方で、チェックシートのフォーマットが各社で異なり、対応の工数が多くなるなどの課題もあり、これに対処するため、標準化や第三者評価の活用が推奨されています。セキュリティチェックシートは、企業が安全にSaaSを利用するための必須ツールであり、セキュリティ体制の強化に重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
セキュリティチェックシートの無料テンプレート
セキュリティチェックシートには、定型がなくさまざまな種類があり、設問項目も多様です。セキュリティチェックシートを導入する際は、セキュリティ対策に精通している企業が作成した無料テンプレートの利用が推奨されます。
マネーフォワード クラウドでは、セキュリティチェックシートの無料テンプレートを用意しているので、ぜひ以下ページからダウンロードしてお使いください。
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セキュリティチェックシートに記載すべき項目とは
セキュリティチェックシートに記載すべき項目について説明します。業種や取引内容などによって起こりうるリスクは異なるため、記載すべき項目は回答者に応じて変更することが重要です。
一般的には、ハードウェア・ソフトウェア・アクセス権限などの管理状況、ウイルス対策や内部監査の有無、災害対策などを確認する項目を設けます。例えば、サーバーの設置環境を尋ね、運用の保守性や災害時の復旧体制などを確認します。
以下は、独立行政法人の情報処理推進機構が、セキュリティ対策の問題点を自己診断で見つけることを目的に提供しているセキュリティチェックシートの項目です。
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出典:独立行政法人 情報処理推進機構「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」
回答に応じて点数を合計すると、自社におけるセキュリティ体制の状況が判断できます。情報処理推進機構は、問題点が見つかった際の対処方法なども紹介しています。
セキュリティチェックシートが抱える課題とは
セキュリティチェックシートは、企業活動をリスクから守る重要な手段です。しかし、いくつかの問題も抱えています。例えば、設問項目やフォーマットを定型化したセキュリティチェックシートがない点も問題の1つです。
セキュリティチェックシートが統一されていないと、各社のセキュリティ責任者は契約ごとに異なる質問事項やフォーマットに対応せざるを得なく、管理に負担がかかります。外資系企業と取引がある場合は、日本語と英語で記入する作業も発生します。
セキュリティチェックシートを依頼した企業の意図と回答とに齟齬が生じるケースも珍しくありません。自社内や企業間のコミュニケーション不足などが原因で、的確な回答を得られない可能性もあるでしょう。
また、セキュリティチェックシートへの記入を依頼する企業は、回答を得た後に各社におけるセキュリティポリシー順守の状況分析が必要です。分析後も問題点を改善するための対策を講じ、効果を計測する環境を整えるなどさまざまな作業が伴います。
セキュリティチェックシートの回答にかかる負担を軽減する方法
セキュリティチェックシートへの対応は、セキュリティ責任者への負担となりがちです。ここでは、セキュリティチェックシートの回答にかかる負担を軽減する方法について解説します。
設問内容を分かりやすくする
設問内容を分かりやすくすることは、負担の軽減につながります。セキュリティチェックシートに意図が明確でない設問が含まれていると、設問を理解したり、設問の意図を相手側の企業や担当者に問い合わせたりする手間がかかるためです。
セキュリティチェックシートの設問を作成する際は、専門用語を使わず、簡素な設問を作成することが大切です。複雑な構文で設問を作成すると、読み手が各々独自に理解し、意図した回答が得られない可能性もあります。
例えば、「守るべき情報を保存した電子データに適切なアクセス制御をかけていますか?」という設問を作ったとします。設問では「守るべき情報」が何を指し、どのようなアクセス制御が「適切」なのか明確ではありません。
「個人情報を保存した電子データを、IDやパスワード、認証・監視機能を用いてアクセス制御していますか?」とすると、設問内容は明確です。誰もがすぐに理解できる言葉を適切に用いてください。
扱いやすいファイル形式で作成する
セキュリティチェックシートは、誰もが扱いやすいファイル形式で作成します。一般に利用されていないファイル形式やファイルの拡張子で作成すると、委託先がファイルを開けずに回答できないといったトラブルが起こりがちです。
使い慣れないファイル形式の場合、ファイルを開けたとしても、編集操作が分からずに迅速に回答できないという事態も想定できます。自社の都合ではなく、回答する委託先の負担を考慮し、一般的で扱いやすいファイル形式で作成することをおすすめします。
委託先の業務内容に応じたチェック項目にする
セキュリティチェックシートのチェック項目は、委託先の業務内容に応じて構成する必要があります。例えば、建設業と小売業では業務内容が大きく異なるため、同じチェック項目で構成すると、委託先にとってはピントはずれの設問に回答することになりかねません。
同じ小売業でも、ECサイトを運営している委託先と、運営していない委託先とでは必要となるセキュリティのレベルが異なります。ECサイトを運用していない委託先に、運営している委託先と同じチェック項目を依頼すれば、不要な負担が増えるのみです。
委託先の業務内容とセキュリティの重要度とを踏まえ、セキュリティチェックシートのチェック項目を用意することで、回答の負担を軽減できるでしょう。
セキュリティチェックシートの効率化にはクラウド活用も検討しよう
セキュリティチェックシートは、企業のセキュリティを守るための強力なツールです。SaaSなどのサービス導入時には、セキュリティ対策を事前に確認し、リスクを評価することが欠かせません。
しかし、フォーマットの非統一や業務内容に合わない設問が負担を増やすケースも見られます。これらの課題を克服するためには、標準化されたテンプレートの活用やクラウド技術の導入が有効です。効率的なセキュリティチェックシートの運用が、企業の安全性を一層高めるでしょう。
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