• 作成日 : 2025年7月9日

プロジェクト計画書とは?記載項目や作成方法を解説【サンプル活用できるテンプレート付き】

プロジェクトを成功に導くには、綿密な計画が欠かせません。その計画を形にした「プロジェクト計画書」は、プロジェクトの全体像を示す重要なドキュメントです。本記事では、プロジェクト計画書の基本や記載すべき内容を解説し、実際に活用できるサンプルテンプレートを紹介します。

プロジェクト計画書とは

プロジェクト計画書は、プロジェクトを円滑に進めるために必要な情報をひとまとめにした計画文書です。まずはその定義と役割について見ていきましょう。

プロジェクト計画書の定義と目的

プロジェクト計画書とは、プロジェクトの目的・工程・コストなどあらゆる計画情報を網羅した文書のことです。チーム内でこれを共有することで、メンバー全員が共通の認識を持ち、スムーズに作業を進めることができます。

この文書にはプロジェクトの目標やスケジュール、体制、予算などが含まれ、プロジェクトの「羅針盤」のような役割を果たします。プロジェクトの立ち上げ段階で作成され、承認取得から進捗管理、事後の評価まで幅広く活用されることが特徴です。

また、プロジェクト実行中や完了時には、計画書をもとに進捗や成果を振り返り、「計画通りに進んでいるか」や「想定外の問題が発生していないか」を確認するためにも使われます。

要件定義書など他文書との違い

プロジェクト計画書は社内向けの計画資料であり、対外的な契約文書ではありません。そのため、似た文書である「要件定義書」とは目的が異なります。要件定義書とは顧客との合意形成のためにプロジェクトの内容を詳細に記した文書で、顧客も読む前提で作成されます。一方、プロジェクト計画書は基本的にプロジェクトチーム内で共有する内部資料であり、プロジェクトを実行に移すための指針となるものです。要件定義書はプロジェクト計画書を受けてから作成されるケースが一般的であり、両者は目的と読者が異なることを押さえておきましょう。

プロジェクト計画書の役割と活用シーン

プロジェクト計画書は、プロジェクトの最初から最後まで継続的に活用される点が特徴です。プロジェクト立ち上げ時には、この計画書を用いてプロジェクトの目的や必要なリソースを明確にし、経営層やステークホルダーから承認を得るのに使われます。実行段階では、計画書に基づいてタスクやスケジュールを確認・管理し、進捗状況をチーム内で共有します。そして完了時には、当初の計画と実績を比較して結果を評価するための資料ともなります。

このように、プロジェクト計画書は単なる計画のメモではなく、プロジェクトを通じて繰り返し参照される「生きた」文書です。そのため、プロジェクト期間中は内容を最新の情報に更新しつつ、関係者全員に行き渡らせることが重要です。

プロジェクト計画書に盛り込む主な項目

プロジェクト計画書は、プロジェクトの全体像を関係者に伝える文書です。ここでは、計画書に含めるべき主要な項目を3つの視点から整理して紹介します。

プロジェクトの目的・背景

最初に明示すべきなのが、プロジェクトの実施理由です。企業戦略や市場の動き、解決すべき課題などの背景を記載し、「なぜこのプロジェクトを行うのか」という意義を明確にします。また、プロジェクトで達成したい目標もここで定めます。目標は可能な限り定量的に設定し、「◯月◯日までに新サービスをリリース」「障害件数を50%削減」など、後から成果を評価しやすい形にします。この章は計画書全体の方向性を定める基礎になるため、自社の状況に合わせて柔軟に記述することが求められます。

プロジェクトの範囲(スコープ)と成果物

目的に基づいて、次に記載するのがプロジェクトのスコープです。「何をどこまで実施するか」「何が対象外か」を明確にし、想定外の要求に対応しやすくします。スコープの整理にはWBS(作業分解図)を活用し、その概要や参照を添付資料として記載します。

あわせて成果物の定義も行います。「要件定義書の完成」や「◯◯システム稼働開始」など、各段階でどのようなアウトプットを得るかをマイルストーンと関連づけて整理すると、進捗確認がしやすくなります。

プロジェクトスケジュールとマイルストーン

計画書にはプロジェクトの流れを示すマスタスケジュールを掲載します。キックオフや各フェーズの完了、テスト開始、リリースなどの節目をマイルストーンとして示すことで、全体の進行が一目で把握できます。

スケジュールは詳細なタスク単位ではなく、全体を俯瞰できるレベルにとどめます。詳細な日程管理は別途WBSやガントチャートに任せ、計画書では主要な工程のみ記載するのが一般的です。視覚的に理解しやすいよう、タイムラインや図を取り入れるとより効果的です。

プロジェクト計画書に含めるその他の要素

基本項目に加え、プロジェクト運営に必要な要素も計画書には盛り込むべきです。チーム体制、コスト、リスク管理など、実行段階で重要となる情報を明示しておくことで、スムーズな進行が期待できます。

プロジェクト体制と役割分担

計画書には、関係メンバーの氏名と担当範囲を明記した一覧を掲載します。プロジェクトマネージャーやオーナーといった要職は、特に適任者の配置が成功を左右するため、慎重に人選することが求められます。図としての組織図と、表形式の役割分担表を併用することで、誰が何を担当しているかを直感的に把握できるようになります。指揮系統や報告経路が明確になることで、チーム内の連携も強化されます。

コストとリソース計画

予算項目ごとに概算を記載し、必要に応じて詳細見積もりは別資料で補足します。人件費や外注費などを分類し、どこにどれだけの資金を充てるかが可視化されると、計画の現実性が高まります。また、人的・物的リソースの配置計画も同様に重要です。各メンバーの稼働量や必要な機材・ツールの準備などをスケジュールと連動させて整理しておくことで、リソース不足や予算超過のリスクを回避しやすくなります。

コミュニケーション計画とリスク管理

円滑な情報共有のために、会議の頻度や報告方法、使用ツールなどを明文化します。例えば「週次で進捗会議を開催」「チャットツール◯◯を使用」などのルールを明記し、全メンバーに周知しておくことが大切です。また、事前に想定できるリスクと対応策も整理します。「メンバー離脱への備え」や「スケジュール遅延への対処」といったシナリオを記載しておくことで、予期せぬ事態にも柔軟に対応できる体制を整えることができます。

プロジェクト計画書作成のポイント

最後に、プロジェクト計画書を効率的に作成し運用するためのポイントをまとめます。フォーマットやテンプレートの活用、関係者への共有など、押さえておくことでより実践的に役立つコツを確認しましょう。

標準フォーマットの設定と流用

プロジェクト計画書を作成する際は、あらかじめ社内で標準のフォーマット(ひな形)を用意しておくことをおすすめします。

フォーマットが決まっていれば、ゼロから項目を考える手間が省け、修正が生じた場合も決まった枠組みの中で対応できるため混乱が少なくなります。

一度確立したフォーマットは、別のプロジェクトでも再利用できます。例えば今回のプロジェクト計画書をテンプレートとして保存し、次回以降は日付や固有名詞、プロジェクト固有の背景部分を入れ替えるだけで迅速に計画書を作成できるでしょう。

ただし、どのプロジェクトにも全く同じフォーマットが適用できるわけではありません。プロジェクトの規模や性質に応じて項目を追加したり、省略したりといった調整は必要です。標準ひな形はあくまで土台として活用し、必要に応じてカスタマイズしましょう。

関係者との情報共有と更新

完成したプロジェクト計画書は、関係者全員に行き渡るように共有します。プロジェクトの規模が大きいほど多くの人が関わるため、情報共有の徹底が重要になります。計画書の内容だけでなく、記載ルールや読み方についても共通理解を持ってもらうよう努めます。

また、プロジェクト計画書はプロジェクトの進行に伴って更新が発生する場合があります。メンバーの入れ替わりや計画変更があっても混乱しないよう、最新版を常に共有し、版数や更新日を明記して管理すると良いでしょう。

近年ではクラウドストレージやプロジェクト管理ツールを活用し、計画書をリアルタイムに閲覧・編集できる環境を整える企業も増えています。以前はメール添付でファイルを配布しパスワード保護を行うケースもありましたが、現在はクラウド上で共有することで常に最新情報にアクセスできるようにするのが主流です。その結果、計画書に関する情報共有の効率とセキュリティが向上しています。

テンプレートをサンプルとして活用

初めてプロジェクト計画書を作成する場合や、迅速に作成したい場合は、既存のテンプレートを活用するのも一つの手です。社内にフォーマットがない場合でも、ネット上には様々なプロジェクト計画書のテンプレートが公開されています。

例えば、マネーフォワード クラウドが提供する「プロジェクト計画書」の無料テンプレートがあります。雛形ファイルをダウンロードでき、自社のプロジェクトに合わせて項目を入力するだけで計画書を完成させられます。

テンプレートを利用するメリットは、抜け漏れのない構成があらかじめ用意されている点にあります。自分で一から項目を考える必要がないため、見落としが減り、効率よく作成できます。プロジェクト管理の経験が浅い方にとっては、テンプレートの項目を埋めていくプロセス自体が良いガイドラインになるでしょう。

ただし、テンプレートはあくまで一般的なひな形なので、自社の状況に応じたカスタマイズは必要です。テンプレートに載っている項目が自社のプロジェクトには不要であれば思い切って削除して構いませんし、逆に独自の項目(例えば業界特有のリスク等)があれば追加しましょう。背景・目的の部分などはテンプレートの形式にとらわれすぎず、自社のストーリーをしっかりと書くことが大切です。

プロジェクト計画書の活用シーン

プロジェクト計画書は、作成して終わりの書類ではなく、プロジェクトの各フェーズにおいてさまざまな形で活用されます。ここでは、実際の運用シーンを交えながら、どのようにプロジェクト計画書が使われるかを説明します。

プロジェクトの立ち上げ時における活用

プロジェクトを始動させる段階では、計画書が全体の方向性を示す役割を果たします。例えば、新製品開発プロジェクトを立ち上げる場合、企画段階で上層部に計画書を提示することで、プロジェクトの承認を得るための資料となります。このとき、プロジェクトの目的や背景、目指す成果などが記載された計画書があると、関係者の理解と納得を得やすくなります。また、予算やスケジュールも盛り込まれていれば、必要なリソース配分の判断材料としても有効です。

実行フェーズにおける進捗管理での活用

プロジェクトが始動した後も、計画書は日々の進捗管理に活かされます。例えば、ITシステムのリニューアルプロジェクトにおいては、フェーズごとのマイルストーンやタスクの期限が明記されている計画書をもとに、定例の進捗会議で現状との照合が行われます。タスクが計画通りに進んでいるか、リソースの偏りが生じていないかを確認する際、計画書が基準資料となるのです。進行中の変更点や遅延が発生した場合にも、もともとの計画と比較することで、優先順位の調整や再スケジュールの検討を冷静に進めることができます。

プロジェクト完了後の振り返りでの活用

プロジェクトの終了後にも、計画書は振り返りの場面で重要な役割を果たします。たとえば、業務効率化プロジェクトが完了した際には、当初の計画と実際の結果を照らし合わせ、成功点や改善点を整理するための資料として使用されます。スケジュール通りに進行できたか、予算内で収まったか、想定されたリスクへの対応が適切だったかなど、さまざまな観点から評価を行うための基準が計画書です。この振り返りを通じて得られた学びは、次のプロジェクトへの改善策や標準化のヒントにつながっていきます。

このように、プロジェクト計画書は作成時だけでなく、プロジェクトの全期間を通じて活用される実用的なツールであることがわかります。計画書を上手に運用することで、プロジェクトの成功率を高めることが期待できます。

プロジェクト計画書を活用して確かな成果へつなげよう

プロジェクト計画書は、プロジェクトの成功を左右する大切な土台です。目的の明確化から、体制、スケジュール、リスク対策までを整理し、チーム全体の認識をそろえるために欠かせない資料となります。

初めて作成する場合でも、既存のテンプレートを参考にしながら構成を組み立てることで、効率よく内容を整理することが可能です。この機会に、使いやすく実践的なプロジェクト計画書を作り上げて、プロジェクトの円滑な推進と成果の最大化を目指してみてはいかがでしょうか。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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