• 更新日 : 2024年12月12日

Webサイト制作の企画書とは？効果的な書き方とNG例（テンプレート付き）

Webサイト制作にあたって、企画書や提案書を作成することがあります。書類には、企画の目的やターゲットユーザー、デザイン・イメージなどを盛り込むことが一般的です。

本記事では、Web制作で企画書を作成する際に気をつけたいポイントや、無料でダウンロードできるテンプレートなどについて紹介します。

web企画書のテンプレート

web企画書のテンプレートを無料で提供しています。ぜひご自由にダウンロードして活用ください。

無料でダウンロードする

Webサイト制作の企画書とは？

Webサイト制作における企画書とは、「どのようなサービスを提供するWebサイトを作成するか」などを示した書類のことです。一般的に、クライアントと契約する前の段階で企画書を作成します。

プロジェクトは、必ずしも企画書どおりには進むものではありません。しかし、読み手が案件の発注やプロジェクトの開始などの判断を下すためにも、企画書は欠かせない書類です。

Web制作において、企画書を作成する具体例として「​​ターゲットを絞ってWebサイトをリニューアルする提案をクライアントにする」シーンなどが挙げられます。企画の効果やスケジュール・費用面などでクライアントが企画書に魅力を感じれば、提案した内容での契約締結につながるでしょう。

提案書との違い

一般的に、企画書と提案書は同じような意味で使われます。また、「企画提案書」と一括りにして表現することもあるでしょう。

一方で、企業によって企画書を社内向け、提案書をクライアント向けと区別することもあります。企画書と提案書を区別する場合は、まず提案書を作って提案内容を考えてから企画書を検討するとスムーズに進めやすいです。

効果的なWebサイト制作の企画書の書き方

Webサイトの制作にあたって、効果的な企画書を書く流れは以下のとおりです。

1. 企業や対象のWebサイトの現状を把握する
2. 現状を踏まえて、抱える課題を明確にする
3. 課題を分析したうえで企画を立案する
4. 読み手に訴えかけるような企画書の構成を練る
5. 必要事項を盛り込んだ企画書を作成する
6. 完成した企画書を見直し校正したり、上司からフィードバックを受けたりする

また、企画書に盛り込む必要事項として、以下が挙げられます。

• 企画の目的
• ターゲットユーザー
• 指標の設定
• 競合分析・差別化のポイント
• 企画のポイント
• 改善指標
• デザイン・イメージ
• リスク管理
• スケジュール
• 概算見積もり
• プロジェクトメンバー

各項目について、確認していきましょう。

企画の目的

企画書の「企画の目的」には、何のためにWebサイトを立ち上げるのか（リニューアルするのか）、目標は何かなどを記載します。

具体例は「商品の問い合わせ件数や売上を伸ばす」「会社や商品の認知度を向上させる」などです。目先のことだけでなく、会社の将来を考えて課題解決につながる目的を設定することを意識しましょう。

ターゲットユーザー

「ターゲットユーザー」には、Webサイトを誰に見てほしいのか・Webサービスを誰に対して提供するのかを盛り込みます。

ターゲットユーザーを記載するにあたって重要なのが、年齢・家族構成・職業・年収・居住地・エリアなど、ペルソナを設定することです。記載例として「20代女性、一人暮らし、流行に敏感な会社員、400万円、東京都」などが挙げられます。

指標の設定

「指標の設定」に記載するのは、KGIやKPIです。KGI（Key Goal Indicator）は、最終目標を数値にした「重要目標達成指標」、KPI（Key Performance Indicator）はKGIを達成するための中間指標として設定する「重要業績評価指数」を指します。

指標の具体例は受注率・問い合わせ率・CV（コンバージョン）率などです。

競合分析・差別化のポイント

「競合分析」には、競合がどのようなサイト・サービスを提供しているかを主に記載します。記載例は「情報量が多くコンテンツが充実しているが、必要な情報にはたどり着きにくい」「若年層には訴求できていない」などです。

また、「差別化」には競合分析の結果を踏まえて、勝てる方法を盛り込みます。記載例は「シンプルで直感的に操作できるコンテンツにする」「若年層向けにスタイリッシュなサイトを目指す」などです。

企画のポイント

「企画のポイント」には、読み手に響くようなメッセージを盛り込みます。自社や顧客が抱える課題の解決につながるような内容にしましょう。

記載例は、「若年層向けにレスポンシブデザインを強化する」「動画系のコンテンツを増やして商品のイメージや魅力をより伝えられるようにする」「誰でも使いやすいWebサイトを制作する」などです。

改善指標

「改善指標」には、現状の数値や企画のポイントを踏まえ、具体的に何を改善するのかを盛り込みます。記載例は「コンバージョン率：2％以上（3か月ごとに変動を確認する）」などです。

改善指標を決められない場合は、あらためてサイトの現状を分析して改善点を特定し、解決のために何が必要なのかを考えるとよいでしょう。

デザイン・イメージ

「デザイン・イメージ」には、デザインする際の基本となるデザインコンセプトなどを描きます。

デザインを描く際は、見やすい配色を心がけることが重要です。やみくもにインパクトのある色を使うのではなく、サイトの特徴や全体のバランスを考慮しましょう。

なお、Webサイトのデザインには企業を象徴するコーポレートカラーを用いる場合もあります。

リスク管理

「リスク管理」に記載するのは、考えられるリスクやその対策です。Webサイト制作・公開を進めるにあたって、提供する情報の記載にミスがあったり、サーバー設定に関するトラブルが生じたりすることがあります。

記載例は「障害発生のリスク：定期的にバックアップをとるようにする、迅速に対応できるように緊急時の連絡体制を整える」などです。

スケジュール

「スケジュール」には、Web制作を進める際の大まかなスケジュールを記載します。横長の図表を盛り込んだり、フェーズごとに分けたりすると読み手が時間系列を意識しやすいです。

なお、Web制作にかかる期間はWebサイトの規模や作業量によっても異なります。対応するWebサイトを考慮したうえでスケジュールを策定しましょう。

概算見積もり

「概算見積もり」には、作業項目ごとに概算見積もりを表示します。顧客にとって、費用が発注の判断を下す際の重要な判断材料になるため、極力現実的な見積もりを提示しましょう。

具体例は、「開発・コーディング費用：30万円」「デザイン制作費用：15万円」などです。スケジュールと同様に、Webサイトの規模やコンテンツの内容によって費用が異なる点に注意しましょう。

プロジェクトメンバー

提出する相手や状況次第で、企画書に「プロジェクトメンバー」を記載するケースもあります。記載例は、「Webディレクター：〇〇」などです。

なお、Web制作にはプロジェクトマネージャー・デザイナー・ライター・フロントエンドエンジニア・バックエンドエンジニアなどさまざまな人が関わります。

Webサイト制作の企画書テンプレート-無料ダウンロード

Webサイト制作の企画書に使用するテンプレート・ひな形は、以下ページより無料でダウンロードできます。

Web企画書の無料ダウンロードはこちら

web企画書のテンプレート

web企画書のテンプレートを無料で提供しています。ぜひご自由にダウンロードして活用ください。

無料でダウンロードする

1から作成するよりも楽に作成できるので、ぜひお気軽にご活用ください。また、Webサイトの提案書を作成する際は、以下のテンプレートが役に立ちます。

Webサイト提案書の無料ダウンロードはこちら

効果的なWebサイト制作の企画書を作る際のポイント

Webサイト制作において、効果的な企画書を作る際のポイントは、主に以下のとおりです。

• わかりやすいメッセージを心がける
• 見やすい資料を作成する
• スケジュールなどに図を活用する

各ポイントを解説します。

わかりやすいメッセージを心がける

効果的な企画書を作るためには、わかりやすいメッセージを心がけることが大切です。伝えたいことがいくつもあったとしても極力文字数は少なくし、その代わり読み手に訴えかけるメッセージを盛り込みましょう。

曖昧な表現ではなく、「CV率が現状◯％のため〜」のように具体的な数字を用いれば、読み手も理解しやすいです。

見やすい資料を作成する

効果的なWebサイト制作の企画書を作るために、見やすい資料を作成することもポイントです。

PowerPointを使って企画書を作成する場合、インパクトを与えようとして装飾に凝りすぎることがあるでしょう。しかし、企画書に過度な装飾を施すとごちゃごちゃして何を伝えたいのかがわかりにくくなります。

そこで、使う色を3色に限定することをルールにするなど、読み手の視認性を意識して作成することが必要です。

スケジュールなどに図を活用する

スケジュールなどに図を活用することも、Web制作の企画書を効果的にするためのポイントです。企画書に図が掲載されていれば、読み手が概要をイメージしやすくなります。

なお、図も過度な装飾をせずにシンプルなものにしなければなりません。読み手が理解しやすいかを考えながら、必要に応じて図表を取り入れていきましょう。

Webサイト制作の企画書のNG例

Webサイト制作における企画書のNG例として、以下が挙げられます。

• 根拠が不明確
• リスクを考慮していない

それぞれ説明します。

根拠が不明確

主張する内容の根拠が不明確な企画書が、NG例のひとつです。

企画書にWeb制作の効果が記載されていても、エビデンスが添えられていなければ「本当に実現可能なのか」などと読み手に疑われかねません。また、主張に一貫性がない場合も説得力に欠けます。

具体的な数字を使って説得力のある内容にしましょう。たとえば、「売上を◯万円伸ばす」ことがWeb制作による効果であれば、「現状売上が◻️万円のため、CV率を△%伸ばすことにより目標を達成する」などと記載します。

リスクを考慮していない

リスクを考慮していない企画書も、NG例として挙げられます。

Web制作により魅力的な効果を期待できる場合でも、必ずしも期待どおりに物事が進むとは限りません。そのため、ポジティブなことだけ述べると読み手に不信感を抱かせる可能性があります。

「障害発生リスクがあるため〜で対応する」など、リスク管理に関する項目を企画書内に設けることが大切です。

Web制作時に読み手が理解しやすい企画書を作成しよう

Web制作における企画書とは、Web制作によりどのような効果を期待できるかを記載した書類のことです。企画の目的やスケジュール、見積もりなどの項目を盛り込みます。

企画書を作っても、主張の根拠が不明確であったりリスクを考慮していなかったりすると読み手にうまくアピールできません。数字や図を使って、読み手が理解しやすい企画書の作成を心がけましょう。

• 監修：青井 真吾（AOIS Consulting株式会社代表取締役）

  大学卒業後はIT企業に入社。システムエンジニアとして大手企業向けのERPシステム開発を経験。その後ITコンサルタントとして独立。人材派遣会社の基幹システムの開発、不動産会社の商業施設での販促システムの導入、自動車メーカーでコネクティッドカー開発のプロジェクト管理、SIerでのSalesforceの導入、ファッション業界の企業でのDX推進プロジェクトを経験。現在はAOIS Consulting株式会社を設立し、コンサルティングの傍らIT記事の監修および執筆を手掛ける。