- 更新日 : 2024年9月13日
従業員に住所変更があった場合の社会保険の手続きについて解説
社会保険に加入している従業員が転居等した場合、届け出済みの住所も変更する必要があります。住所変更は「健康保険・厚生年金被保険者住所変更届」で行います。住所変更があった後、窓口持参・郵送・電子申請のいずれかにより速やかに手続きしなければなりませんが、マイナンバーと基礎年金番号を紐づけている場合には届け出は不要です。
目次
会社が従業員の住所を把握しなければならない理由
従業員が引っ越しなどで住所変更した場合は、社会保険の手続きをする必要があります。住所変更をしていないと年金に関する重要な通知が本人に届かなくなり、年金事務が滞ったり従業員に不利益が生じたりするためです。
また住所変更がされていないと必要な本人確認ができず、処理が遅れることも考えられます。こうした不都合が起こらないようにするため企業は従業員の住所をきちんと把握し、変更があった場合には速やかに届け出る必要があります。
現住所と住民票の住所が違う場合は?
今までは現住所と住民票の住所が同じでも、転居等により現住所と住民票の住所が異なっている場合には、年金事務所に住所変更の届け出を行う必要があります。
マイナンバーと基礎年金番号を紐づけている場合には届け出は不要ですが、マイナンバーと異なる住所に日本年金機構の郵便物の送付を希望する際は届け出が必要です。日本年金機構に登録されている住所がわからない場合には、年金事務所で確認しましょう。
社会保険の住所変更手続きに必要なもの
社会保険に加入している従業員から住所を変更した旨を知らされた場合には、社内での処理を行うと同時に、健康保険・厚生年金保険の登録住所を変更するため、年金事務所に届け出る必要があります。年金事務所への被保険者の住所変更の届け出は、必要な書類を提出することで行います。
健康保険・厚生年金保険 被保険者住所変更届
健康保険・厚生年金保険被保険者住所変更届は、社会保険被保険者が住所変更を届け出る際に提出する書類です。2枚複写になっていて、以下のように提出します。
【全国健康保険協会のみに加入している被保険者以外】
- 被保険者と被扶養配偶者の住所変更:1枚目と2枚目を提出
- 被保険者のみの住所変更:1枚目のみを提出
- 被扶養配偶者のみの住所変更:2枚目のみを提出
【全国健康保険協会のみに加入している被保険者】
- 被保険者を含む住所変更:1枚目のみを提出
- 被扶養配偶者のみの住所変更:届出不要
- 国民年金第3号被保険者住所変更届
国民年金第3号被保険者住所変更届は以下の書類です。
引用:国民年金第3号被保険者住所変更届|日本年金機構
住所変更を届け出る従業員に被扶養配偶者がいる場合、健康保険・厚生年金保険被保険者住所変更届と一緒に提出します。
被保険者住所変更届の書き方
引用:健康保険・厚生年金保険 被保険者住所変更届|日本年金機構
健康保険・厚生年金保険被保険者住所変更届への記入は、以下のように行います。
- 健康保険・厚生年金保険への加入状況によって、次のように丸で囲みます。
厚生年金保険のみに加入している場合
(健康保険組合管掌の健康保険に加入している場合など)厚生年金保険を○で囲む 全国健康保険協会と厚生年金保険に加入している場合 記入しない 健康保険組合管掌の健康保険のみに加入している場合 健康保険を○で囲む - 事業所整理番号を記入します。
- 被保険者整理番号を記入します。
- マイナンバーか基礎年金番号を確認して記入します。ただし全国健康保険協会の健康保険のみに加入している場合は、記入する必要はありません。
- 住所変更をする被保険者の氏名を記入します。
- 住所変更をする被保険者の生年月日を記入します。
- 新しい住所の郵便番号を記入します。
- 新しい住所を記入します。
- 変更前の住所を記入します。
- 住所変更の日付を記入します。
- 被扶養配偶者が同居している場合は、チェックします。
- 被扶養配偶者のマイナンバーか基礎年金番号を確認の上、記入します。
- 被扶養配偶者の生年月日を記入します。
- 被扶養配偶者の氏名を記入します。
- 住所変更届の提出日を記入します。
- 会社の名称・所在地・代表者氏名・電話番号を記入します。
被保険者住所変更届は、日本年金機構ホームページからダウンロードできます。
被保険者住所変更届の提出方法と提出期限
健康保険・厚生年金保険被保険者住所変更届は、定められた方法で提出する必要があります。
提出方法
健康保険・厚生年金保険被保険者住所変更届は、持参・郵送・電子申請のいずれかで手続きします。持参・郵送の場合の提出先は、以下の通りです。
【健康保険・厚生年金保険被保険者住所変更届の提出先】
- 持参する場合:会社を管轄する年金事務所
- 郵送する場合:事務センター
提出期限
健康保険・厚生年金保険被保険者住所変更届の提出は、速やかに行います。
基礎年金番号とマイナンバーとの紐づけで手続きが不要に
社会保険とマイナンバーの紐づけができている従業員については、住所変更の手続きをする必要はありません。
住所変更時に健康保険・厚生年金保険被保険者住所変更届を提出しなければならないのは、マイナンバーと基礎年金番号との紐づけができていない従業員に限られます。住所変更を行うのが、基礎年金番号とマイナンバーとの紐づけをすでに行っている従業員の場合は、届の提出は不要です。ただし健康保険のみに加入している人、海外居住者などについての変更、住民票以外の住所の登録の場合も手続きが必要です。
住所変更届のテンプレート(無料)
以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。
従業員の引っ越しは年金事務所へも住所変更を届け出よう
従業員が転居等を行った際は、住民票の住所変更ではない場合でも社内のさまざまな帳簿・書類に記載されている住所を変更しなければなりません。同時に年金事務所へも届け出る必要があります。社会保険の被保険者の住所変更手続きを怠ると、重要なお知らせが本人や家族に届かないといった不都合が生じる可能性があります。
健康保険・厚生年金保険被保険者住所変更届が、住所を変更する際に提出しなければならない届です。被扶養配偶者がいる場合には、国民年金第3号被保険者住所変更届も提出する必要があります。手続きを怠ることなく、きちんと届を提出しましょう。
よくある質問
引っ越しした従業員について、社会保険は手続きが必要ですか?
健康保険・厚生年金保険被保険者住所変更届を提出して、住所を変更する手続きが必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
マイナンバーと紐づいている場合、住所変更はどうなりますか?
手続きが不要になり、健康保険・厚生年金保険被保険者住所変更届は提出しなくてかまいません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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