- 更新日 : 2026年1月29日
職業訓練に合格するためのジョブ・カードの書き方とは?採用担当者の視点を踏まえた作成手順を徹底解説
ジョブカードは、訓練選考と再就職成功を左右します。
- 訓練動機と就職目的を明確化
- 経験は行動と成果で記載
- 面談を意識した記述が重要
Q&A
Q. 書けない場合はどうする?
A. 迷いや相談点も記載し、面談で補完すれば問題ありません。
職業訓練の受講を検討する際、多くの人が最初に直面する壁が「ジョブ・カード」の作成です。自身の経歴や将来の目標を文章化することに苦手意識を持つ方は少なくありません。しかし、この書類は単なる事務手続きの一部ではなく、訓練の種類によっては受講のスタートラインに立つためのパスポートであり、その後の再就職活動の土台となるものです。本記事では、職業訓練の選考を突破し、希望するキャリアを実現するためのジョブカードの書き方について、キャリアコンサルティングの現場視点を交えて解説します。
目次
ジョブ・カードの役割は?
ジョブ・カードとは、個人のキャリアアップや円滑な就職活動を支援するために、厚生労働省が様式を定めた公的なツールです。自身の職務経歴や学習歴、キャリアプランを記録し、生涯にわたって活用することが想定されています。職業訓練においては、受講手続きを進める上での必須書類としての側面を持ちます。
キャリア・プランニングを可視化する公的な枠組み
ジョブ・カード制度は、多くの人々が正社員就職やキャリアアップを目指すための環境整備として始まりました。これまでの職歴や取得した資格、受けた研修などを記録し、自分自身の能力や強みを客観的に整理します。単に過去を記録するだけでなく、将来どのような職業人生を歩みたいかというビジョンを描くための羅針盤としての機能を持ちます。自分の強みや価値観を言葉にすることで、迷いのないキャリア選択が可能になります。
ハロートレーニング(職業訓練)を受講するための必須パスポート
職業訓練を希望する求職者にとって、ジョブ・カードは避けて通れない書類です。ハローワークで訓練受講の相談をする際、あるいは受講申し込みの前段階で行われる「訓練前キャリアコンサルティング」において、このカードが活用されます。特に、専門実践教育訓練給付金や特定一般教育訓練給付金を受ける場合は、ジョブ・カードの作成・提出が必須条件となっています。コンサルタントは記載された内容をもとに、訓練を受ける必要性や希望職種と訓練内容の整合性などを判断します。つまり、ジョブ・カードを作成することは、多くの職業訓練において自己理解を深め、キャリアプランを明確化するための重要なステップといえます。
履歴書や職務経歴書へ転記できる情報のデータベース
就職活動では、企業ごとに履歴書や職務経歴書を作成し、提出するのが一般的です。その都度、入学・卒業年次を調べたり、過去の業務内容を思い出したりするのは大変な労力を要します。ジョブ・カードを一度完成させておけば、それが自分自身の正確なデータベースとなります。応募書類を作成する際は、ジョブ・カードの内容を抜粋・編集して転記するだけで済むため、書類作成の時間を大幅に短縮できます。効率的な就職活動を支えるバックボーンとしての役割も果たします。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
社会保険・労働保険の実務完全ガイド
これ1冊でしっかり網羅!社会保険および労働保険は、従業員の生活上・労働上のリスクに備えるための公的保険制度です。
本資料では社会保険・労働保険で発生する各種手続き方法を、入社・退職時や妊娠・出産時などのシーン別にまとめました。
健康保険・厚生年金保険 実務ハンドブック
健康保険・厚生年金保険の基本ルールをはじめ、手続きの仕方やよくあるミスへの対処方法について解説した実用的なガイドです。
年間業務スケジュール一覧も掲載しているので、ぜひご活用ください。
算定基礎届の手続き完全ガイド
算定基礎届(定時決定)の手続きは、社会保険に加入する全従業員が対象になるため作業量が多く、個別の計算や確認事項の多い業務です。
手続きの概要や間違えやすいポイントに加え、21の具体例を用いて記入方法を解説します。
社会保険の手続きでよくあるミス 対処方法と防止策10選
社会保険の手続きは、ひとたびミスが生じると適切な対処方法がわからず対応に苦慮するケースが多いものです。
本資料では社会保険手続きでよくあるミスをシーン別に取り上げ、対処方法をステップにわけて解説しています。
キャリアコンサルティング面談を見据えたジョブカードの書き方とは?
ジョブ・カードは提出して終わりではなく、その後のキャリアコンサルティング(面談)の資料として活用されます。面談では、記入された内容をもとに質問がなされ、キャリアプランの妥当性が検証されます。面談を有意義なものにするためには、対話を促進するような書き方を意識することが大切です。
深掘りしてほしいポイントや相談事項をあらかじめ記載しておく
すべてを完璧に書ききる必要はありません。むしろ、自分一人では結論が出せなかった迷いや、専門家に相談したい点をあえて記載しておくのも一つの戦略です。「この部分については、自分の適性が判断しきれていないため、専門的なアドバイスをいただきたい」といった書き方をすることで、面談での議論が活発になります。自分の弱みや悩みを率直に開示する姿勢は、誠実さとして受け取られ、コンサルタントとの信頼関係構築に役立ちます。
フィードバックを受け入れ修正できる余白を持たせる
ジョブ・カードは一度書いたら修正できないものではありません。面談を通じて新たな気づきがあれば、その場で書き加えたり、修正したりすることが推奨されます。したがって、書き方としては、あまりにも頑固に自分の考えを主張しすぎるのではなく、他者の意見を取り入れる柔軟性を持たせた表現を心がけます。コンサルタントの助言を受けてキャリアプランをブラッシュアップしていく過程そのものが、就職活動への準備運動となります。
ジョブカードを対話のためのコミュニケーションツールと捉える
最終的に、ジョブ・カードはあなたと面談担当者をつなぐコミュニケーションツールです。読み手が興味を持ち、「もっと話を聞いてみたい」と思わせるような書き方を目指しましょう。エピソードに感情を込めたり、将来への希望を鮮明に描いたりすることで、自分の強みや経験を活かす方法が見えてきます。事務的な処理としてではなく、自分の人生をより良くするためのプレゼンテーション資料として心を込めて作成すれば、その熱意は必ず相手に伝わり、職業訓練の合格、そしてその先の就職へとつながっていきます。
ジョブ・カードの書き方でよくある失敗と回避策は?
熱意を持って書いたつもりでも、表現の選び方や些細なミスによって評価を下げてしまうことがあります。ジョブ・カードは公的な書類であり、ビジネス文書としての体裁も問われます。ここでは、初心者が陥りやすい失敗例と、それを回避するための適切な書き方について解説します。
受け身の志望動機を書いてしまう【主体性と目的を明確に示す】
職業訓練の志望動機で最も避けるべきは、「勉強したい」「教えてもらいたい」という学校気分の抜けない表現です。職業訓練は学校ではなく、職業能力開発の場です。書き方としては、「〇〇のスキルを習得し、実務で即戦力として貢献したい」「不足している知識を補い、早期に再就職を果たしたい」といった、能動的かつ目的志向の表現を用います。学ぶことは手段であり、目的はあくまで就職して活躍することであるという認識を文章全体に浸透させます。
専門用語の多用で相手に伝わらない【誰にでも分かる言葉に置き換える】
前職での経験を記述する際、その業界独自の専門用語や略語をそのまま使用してしまうことがあります。しかし、読む側(キャリアコンサルタントや訓練校の担当者)がその業界に詳しいとは限りません。専門用語を多用すると、コミュニケーション能力に欠けると判断される恐れがあります。書き方としては、中学生でも理解できるような平易な言葉に置き換えるか、どうしても必要な場合は注釈を加えるなどの配慮をします。読み手に対する細やかな気配りは、実務における対人スキルの高さとしても評価されます。
誤字脱字が残ったまま提出する【第三者チェックやツールで精度を高める】
どんなに素晴らしい内容が書かれていても、誤字脱字が多ければ信頼性は大きく損なわれます。特にパソコンスキルの習得を目指すコースなどでは、基本的な文書作成能力さえ疑われかねません。書き上げた後は、必ず時間を置いてから読み直すか、音声読み上げ機能を使って違和感がないか確認します。また、家族や友人、あるいはハローワークの窓口で添削してもらうことも有効です。客観的な視点を入れることで、自分では気づかなかった論理の飛躍や表現の癖を修正し、完成度を高めることができます。
【様式1】キャリア・プランシートでうまく志望動機を伝える書き方は?
「様式1(キャリア・プランシート)」は、職業訓練の申し込みにおいて最も重視される書類の一つです。ここでは、なぜ訓練を受けたいのか、訓練後にどうなりたいのかという「未来」について語ります。熱意や本気度を伝えるためには、論理的かつ情熱的な書き方が不可欠です。
これまでの経験や価値観がなぜその訓練コースにつながるのかを示す
志望動機の欄では、過去の経験と未来の目標をつなぐ架け橋として職業訓練を位置づけます。「以前の仕事でWEBサイトの更新作業に触れ、本格的にプログラミングを学びたいと感じた」といったように、自身の原体験に基づいた動機を記述します。単に「興味がある」という主観的な感情だけでなく、これまでのキャリアの中で培った価値観や問題意識が、今回の訓練受講という決断に結びついていることを示します。一貫性のあるストーリーとして語る書き方は、読み手の共感を呼びやすくなります。
訓練修了後の就職目標を提示し早期就職への意志を表す
職業訓練は公的な制度であり、税金が投入されているため、修了後の就職率が重視されます。したがって、ジョブカードの書き方においても「訓練さえ受ければなんとかなる」という依存的な態度は避け、「訓練修了後は〇ヶ月以内に、〇〇職として正社員就職する」といった明確な目標を宣言します。希望する業種や職種、さらにはどのような企業で働きたいかまで具体的にイメージできていることを伝えます。早期就職への強いコミットメントを示すことは、選考を通過するための大きな武器となります。
5年後や10年後のキャリアビジョンを描き成長意欲を伝える
目先の就職だけでなく、中長期的な視点でのキャリアビジョンを記述することも大切です。「5年後にはチームリーダーとして後輩を指導したい」「10年後には独立して自身の店を持ちたい」など、将来の到達点を描きます。長期的なビジョンを持っている人は、困難に直面しても挫折しにくく、継続的に学習する意欲が高いと評価されます。今はまだ実力が伴っていなくても、高い目標に向かって努力を続ける姿勢を示す書き方が、将来性への期待を高めます。
【様式2】職務経歴シートの書き方で重点的にアピールするポイントは?
「様式2(職務経歴シート)」は、これまでの職業能力を証明するための書類です。ここでは、単に経験した業務を羅列するのではなく、その業務を通じてどのような能力を身につけたかを強調する書き方が求められます。ハローワークの担当者や、その後の就職活動における採用担当者は、応募者が過去の経験を次のキャリアにどう活かそうとしているかを見ています。
業務の羅列ではなく実績や工夫した点を記述する
職務内容を記述する際は、「〇〇業務を担当」と書くだけでは不十分です。その業務において、どのような課題があり、それに対してどのように取り組み、どのような成果が出たのかというプロセスを記述します。たとえば、事務職であれば「事務処理の効率化を図り、作業時間を20%削減した」、営業職であれば「顧客のニーズを先回りして提案し、新規契約を獲得した」といったエピソードを加えます。こうした書き方をすることで、与えられた仕事をこなすだけでなく、自ら考えて行動できる人材であることを印象づけることができます。
未経験分野への挑戦であっても汎用的なビジネススキルを強調する
職業訓練を受講する方の多くは、未経験の職種への転換を目指しています。そのため、前職の専門スキルが直接活かせないケースも多々あります。そのような場合は、業種や職種が変わっても通用する「ポータブルスキル(持ち運び可能なスキル)」をアピールする書き方を心がけます。コミュニケーション能力、問題解決能力、チームワーク、スケジュール管理能力などは、どのような職場でも高く評価されます。異業種での経験がいかに新しい分野での学習や実務に貢献できるかを説明することで、未経験というハンデを補うことが可能です。
空白期間や短期離職がある場合は前向きな理由や学習意欲を補足する
職歴に空白期間(ブランク)や短期での離職がある場合、それを隠そうとするのではなく、事情を説明しつつ前向きな姿勢を示す書き方が賢明です。病気療養や介護などのやむを得ない事情であれば正直に記載し、現在は就労に支障がないことを明記します。また、自分探しの期間や資格取得の勉強期間であったならば、その間に得た学びや気づきを記述します。過去の事実を変えることはできませんが、それをどう捉え、未来の糧にしようとしているかを伝えることで、マイナスの印象をプラスに転換することができます。
参考:様式2 職務経歴シート – マイジョブ・カード |厚生労働省
ジョブ・カードを書くための事前準備は?
いきなり様式に記入を始めるのではなく、十分な情報収集と自己分析を行うことが、質の高いジョブカードを完成させる秘訣です。書き方に悩む多くのケースでは、書くべき素材が整理されていないことが原因となっています。自身の過去、現在、未来をつなぐストーリーを構築するために、まずは手元にある情報を集め、思考を整理する時間を確保しましょう。
過去の職歴や学習歴をすべて洗い出し時系列で整理する
正確なジョブカードを作成するためには、まず過去の事実関係を詳細に洗い出すことから始めます。履歴書や職務経歴書、あるいは過去の手帳などを参照し、いつ、どこで、どのような業務に従事したかを時系列で書き出します。ここでは、単に会社名や部署名を並べるだけでなく、担当したプロジェクトの規模、使用したツールやソフト、上げた成果などもメモしておきます。アルバイトやボランティア活動であっても、そこで得た経験が職業訓練の志望動機につながる可能性があるため、些細なことでも書き留めておくことが有効です。
受講希望コースのカリキュラムと自身のキャリア目標を照合する
希望する職業訓練コースの内容を深く理解することも、適切な書き方を実践する上で欠かせません。パンフレットやウェブサイトでカリキュラムの詳細を確認し、そこで学べるスキルが自身の目指すキャリアにどう役立つのかを照らし合わせます。「なんとなく役に立ちそうだから」という曖昧な理由ではなく、「この科目のこの技術が、希望する職種のこの業務に不可欠だから」というレベルまで具体化します。訓練内容と自身の目標が合致していることを確認できれば、志望動機に説得力が生まれ、コンサルタントの納得感も高まります。
企業が求める人物像と自身のスキルセットを比較する
職業訓練を経て就職を目指す業界や職種が、どのような人材を求めているかをリサーチします。求人票や業界情報を確認し、必須となるスキルや歓迎される経験、望ましい人物像を把握します。その上で、自身の現状のスキルセットと比較し、何が足りていて、何が不足しているのかを分析します。このギャップを埋める手段として職業訓練が存在するという論理構成を作ることが、評価されるジョブカードの書き方の王道です。客観的な市場価値を理解した上での受講希望であることを示すと、就職意欲の高さが伝わります。
ジョブカードは就職成功の土台となる“キャリア戦略書”
ジョブカードは、職業訓練の合否を左右するだけでなく、その後の就職活動まで一貫して役立つ“キャリア戦略書”です。自身の経験を整理し、訓練を受ける必然性を示し、そして将来の方向性を明確化することで、面談や書類選考での説得力が大きく高まります。
また、志望動機のロジック整理や強みの言語化は、面接対策や応募書類の作成にも直結します。丁寧に作り込まれたジョブカードは、あなたの可能性を最大限に伝える強力な武器となり、職業訓練の合格、さらには早期就職への道を切り開いてくれるはずです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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