- 更新日 : 2026年1月14日
管理職が抱えるマネジメント課題12選!具体的な解決策や企業の対策法
現代の管理職は、リモートワークの普及や価値観の多様化により、かつてないほど複雑なマネジメント課題に直面しています。部下の育成やモチベーション維持、ハラスメントリスクへの対応など、課題を放置すれば組織の生産性は大きく低下してしまいます。この記事では、管理職が抱えやすいマネジメント課題12選とその原因を明らかにし、具体的な解決策から企業ができるサポート体制までをわかりやすく解説します。
目次
管理職のマネジメントによくある課題12選とその原因
職場で抱えているリーダーとしての課題は多岐にわたりますが、ここでは中小企業の管理職がとくに直面しやすいマネジメント課題12選を、その原因とあわせて解説します。これらの課題を早期に特定することが、マネジメント 課題解決への第一歩となります。
管理職のマネジメントによくある課題の多くは、コミュニケーション、能力開発、そして組織との連携の3つの軸に分類されます。
部下の育成が停滞する(OJTが機能しない)
部下の育成が思うように進まない課題です。その原因は、管理職が指導時間をとれない、指導する側のスキル不足や教え方が属人化している、部下が「やらされ感」を持っており成長意欲が低い、などが挙げられます。
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チームの目標達成への意識が低い
チーム全体として、設定した目標に対する意欲が高まらない課題です。原因としては、会社の目標とチームや個人の業務のつながりが不明確であることや、目標が抽象的で具体性に欠けること、目標達成しても正当に評価されないと感じられることなどがあります。
モチベーションを維持・向上できない
部下のやる気を維持したり、高めたりすることが難しいという課題です。主な原因は、感謝や承認のフィードバックがない、努力が報われないと感じる、チャレンジを許容する文化がなく萎縮してしまう、といった点が考えられます。
部下とのコミュニケーションが不足する
チーム内での意思疎通がスムーズにいかない課題です。原因は、リモート環境での雑談機会の喪失、管理職からの一方的な指示が多くて部下が本音を言えない、管理職が忙しすぎて話しかけにくい雰囲気がある、などが考えられます。
ハラスメントのリスクが増大している
職場でハラスメントにつながる言動や行動を未然に防げない課題です。原因としては、管理職の多様な価値観への理解不足、コミュニケーション不足による意図しない誤解、管理職自身のマネジメントに対する認識の古さ、などが挙げられます。
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業務の属人化が進んでいる
特定のメンバーにしかできない業務が多く、チーム全体の業務がブラックボックス化してしまう課題です。主な原因は、マニュアル整備の遅れ、知識やノウハウを共有する仕組みがない、特定の人にしか任せられない業務が多く権限委譲が進まない、といった点にあります。
管理職自身の業務負荷が高い
管理職がプレイヤーとしての役割とマネージャーとしての役割の両方に忙殺されてしまう課題です。原因として、プレイヤーとしての役割が大きい、部下を信頼できず業務を抱え込んでしまう、権限委譲ができない、タスクの切り分けや優先順位付けが苦手、などが考えられます。
部署間・チーム間の連携が滞る
他の部署やチームとの協力体制がうまく築けないという課題です。原因は、部門間で目標や評価基準が異なっている、自部門の最適化だけを優先し全体最適ができていない、情報共有の仕組みがない、などが挙げられます。
リーダーシップが発揮できない
チームを導き、引っ張っていく力が不足していると感じる課題です。原因は、管理職としての明確な方針やビジョンを示せていない、部下との信頼関係が築けていない、意思決定に自信が持てず曖昧な指示になってしまう、などがあります。
適切な人事評価ができない
部下を公平かつ納得感のある形で評価できないという課題です。原因は、評価基準が曖昧で、感情や主観による評価になってしまうこと、評価面談で具体的な根拠に基づいた納得感のあるフィードバックができないなどが挙げられます。
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部下のメンタルヘルス不調への対応が遅れる
部下の心身の健康状態の異変に気づき、適切に対応できない課題です。原因としては、部下の小さな異変に気づけない、メンタルヘルスに関する知識不足、相談窓口や体制が整っていない、などが考えられます。
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業務効率化が進まない
チームの業務の生産性を高める改善活動が進まない課題です。原因は、現状のムダを見つけられない、新しいツール導入への抵抗感がある、管理職自身のデジタルリテラシー不足、などが考えられます。
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現代のマネジメント課題が増えた背景とは?管理職を取り巻く3つの変化
マネジメント課題とは、組織が目標を達成するうえで、管理職が日々直面している困難や問題を指します。具体的には、チーム内の人間関係、部下の能力開発、業務の進め方、働き方や価値観の違いへの対応など、企業活動のあらゆる場面で発生します。管理職は、これらの課題を見つけ、適切に解決していくことで、チーム全体の生産性を保ち、さらに向上させるという重要な役割を担っています。
近年、「管理職のマネジメント課題が増えた」と言われる背景には、次の3つの変化があります。
働き方の多様化と把握の困難さ
現代の働き方は、リモートワークや時短勤務などの導入によって、多様化しています。この結果、部下一人ひとりの業務の進捗状況やモチベーション、心身の健康状態を対面時代のように細かく把握するのが難しくなっています。従来の「管理」手法だけでは、部下に適切なサポートがしにくくなっています。
多様な価値観への対応
とくに若い世代を中心に、仕事に求めるものが「給与や待遇」から「自己成長ややりがい、ワークライフバランス」へと変化しています。これにより、管理職は、個別のニーズに合わせた柔軟な対応や、意見を言いやすい心理的安全性の高いチーム作りが求められています。
コンプライアンス意識の高まり
ハラスメントや情報セキュリティに対する社会的な要求が高まっており、管理職は、リスク管理と法令遵守を強く意識したうえでチームを率いる必要が出ています。
これらの背景から、管理職には、単に業務を割り振るだけでなく、「人」と「組織」の可能性を最大限に引き出すための、より高いコミュニケーション能力と判断力が求められるようになっているのです。
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マネジメント課題を解決するために管理職がとるべき3つの対策
部下との関係構築やチームマネジメントの課題を乗り越えるために、管理職がいますぐとるべき3つの具体的な行動は以下のとおりです。
質の高い対話で潜在的な課題を「引き出す」
信頼関係を築きながら、業務やメンタルの課題を早期に特定するために、1on1ミーティングの質を高めましょう。管理職からの一方的な進捗確認ではなく、部下の話す時間が7割から8割になるように傾聴に徹します。業務のことはもちろん、キャリアや心理的な不安など、部下の気持ちに焦点を当てた対話ができる雰囲気をつくりましょう。その結果、部下の自己肯定感やモチベーションの源泉を把握でき、潜在的な課題やハラスメントリスクの兆候に気づきやすくなります。
目標を「自分ごと」にするフィードバック
チームの目標達成への意識が低いというマネジメント課題を解決するには、目標設定とフィードバックのプロセスを見直す必要があります。目標は、企業全体の目標とどうつながるかを部下にもわかりやすく説明し、部下自身が納得して達成できると感じられるレベルに設定します。フィードバックは、誰がではなく行動に対して行いましょう。良かった点も改善すべき点も、具体的な事実と期待する未来にもとづいて伝えます。これにより、部下が目標を自分ごととして捉え、自律的な行動につながるようになります。また、評価に対する不満を減らすことができます。
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業務の標準化と「戦略的な権限委譲」
管理職自身の業務負荷が高く、マネジメントに手が回らないという課題は、権限の委譲によって解決できます。業務を洗い出し、「マニュアル化できる定型業務」と「部下の成長につながるチャレンジングな業務」を積極的に委譲します。
その際、どこまで判断を任せるのかを明確に伝え、結果だけでなくプロセスも承認する姿勢を見せることが大切です。この対策は、管理職がチームの戦略立案といった重要な業務に集中できるようになり、部下は責任感をもって成長し、チーム全体の能力が高まるという効果をもたらします。
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組織マネジメント課題解決のため企業ができる対策は?
組織マネジメントにおける課題解決は、管理職本人の努力だけでなく、企業全体でバックアップすることで、より迅速かつ確実に進みます。とくに中小企業では、限られた人員で成果を求められることが多く、管理職のマネジメント課題を「個人の問題」にせず、組織課題として扱うことが重要です。
ここでは、中小企業が費用対効果を意識しながら、管理職を支えるためにとるべき具体的な対策を解説します。
管理職が孤立しないためのマネジメント支援体制
管理職が孤独に悩むことなく、本来のマネジメント業務に集中できる環境を整えましょう。上司・人事・外部専門家など、相談先が複数ある状態をつくることで、「誰にも相談できずに抱え込む」というリスクを減らせます。
外部専門家を活用したコーチング制度の導入
管理職が社内のしがらみなく悩みを打ち明けられるよう、外部のキャリアコンサルタントや産業カウンセラーを定期的に招き、相談できる機会を設けます。これは、管理職自身のメンタルヘルスケアと、客観的な視点からのアドバイスを得る場を提供できます。高額な管理職研修よりも、個別の課題解決に合ったサポートとして効果的です。
マネジメント能力を評価する人事制度の見直し
管理職の評価指標を、「プレイヤーとしての売上」などから、「部下の育成貢献度」や「チームの定着率」といった、マネジメント能力を測る指標へ変更します。制度を通じて、「企業が何を重要視しているか」というメッセージを管理職に伝えることができ、結果として管理職の行動がマネジメントに合った方向へ変わります。
階層別・テーマ別研修の定期的な実施
新任管理職向けにはマネジメントの基礎を、ベテラン管理職向けにはハラスメント対策や最新の労務知識など、テーマを絞った研修を定期的に実施します。とくに「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」に関する研修は、多様なメンバーをマネジメントする現代において、公平な判断を下すために欠かせません。
関連資料|人材育成関連のテンプレート(ワード・エクセル)一覧
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マネジメント課題の解決をサポートするツールの活用
ITツールを導入することで、管理職の事務的な負荷を減らし、本来のマネジメント時間を創出することができます。
| ツールの種類 | 解決できる課題 | 導入のポイント |
|---|---|---|
| タレントマネジメントシステム | 部下の育成、適切な人事評価、能力開発 | 従業員のスキル、目標、評価を一元管理し、個別の育成計画をデータに基づいて立てやすくします。 |
| クラウド型勤怠管理システム | 業務効率化、長時間労働のリスク | 残業時間や有給取得状況をリアルタイムで自動集計し、管理職の確認・承認の負担を減らします。 |
| 社内Q&A・ナレッジツール | 業務の属人化、情報共有の課題 | 過去の成功事例やノウハウを蓄積し、誰でも簡単に検索できる環境を整えることで、属人化を防ぎます。 |
関連資料|3分でわかる! マネーフォワード クラウドサーベイ サービス資料
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管理職のマネジメント課題は企業全体でのサポートを
管理職が抱えるマネジメント課題は、働き方の変化や価値観の多様化により、より複雑化しています。しかし、課題の原因を特定し、質の高い1on1の実施や戦略的な権限委譲といった具体的な解決策を実行することで、チームの生産性は着実に向上します。
さらに、評価制度の見直しや外部コーチングの活用、ITツールによる業務負荷の軽減など、企業全体で管理職をサポートする体制を築くことが、マネジメント課題の解決を加速させる最も確実な方法です。管理職のマネジメント課題の克服は、一時的な業務改善で終わらず、社員の定着率向上やエンゲージメント向上、組織力の強化という、企業の持続的な成長に深くつながります。
現代の環境に合ったマネジメントを実践し、管理職と企業が一体となってマネジメント課題の解決に取り組むことが、これからの中小企業にとって大きな競争力になります。
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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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