• 更新日 : 2026年1月14日

人材育成の手法12選!OJTや1on1の効果と成功事例も紹介

人材育成は、企業が持続的に成長していくために欠かせません。しかし、「どのような手法があるのか」「自社にはどれが合うのか」と悩む担当者も多いでしょう。

この記事では、OJTやeラーニングといった一般的なものから、コーチングやリフレクションといった自律的な成長を促すものまで、企業が取り組むべき主要な人材育成の手法12種類について、その特徴とメリット・デメリットをわかりやすく一覧で解説します。さらに、階層別の活用ポイントや具体的な成功事例も紹介しますので、自社の人材育成の取り組みを見直すきっかけにしてください。

人材育成の手法とは?OJT・OFF-JTなど育成方法の全体像

人材育成の手法は、大きく分けて「日常業務を通じた育成(OJT中心)」と「業務を離れた場での育成(OFF-JT中心)」の2つに分類できます。

ここでは、それらの手法をさらに細分化しわかりやすく解説し、メリットデメリットや向いている会社の特徴をご紹介します。

OJT・OFF-JT・eラーニングなど基本の人材育成手法4選【一覧】

OJTやOFF-JTは、人材育成の「基本の型」となる手法です。ここに、近年広く普及しているeラーニングやジョブローテーションを組み合わせることで、現場での実務経験と体系的な知識習得のバランスを取りやすくなります。

それぞれの違いや特徴を理解し、「自社にとっての標準的な人材育成のやり方」として設計することが、効率的な社員の戦力化につながります。この章では、OJT・OFF-JT・eラーニング・ジョブローテーションという基本4手法について、人材育成の視点からメリット・デメリットや向いている会社の特徴を整理して紹介します。

OJT(On the Job Training)

OJT(On the Job Training)は、実際の業務を通じて、必要な知識やスキルを先輩社員や上司から学ぶ育成手法です。実務を通じて行われるため、知識やスキルをすぐに業務で活用でき、即戦力化につながりやすいのが特徴です。

メリットデメリット向いている会社の特徴
実践的なスキルが身につく、即戦力化しやすい、職場の信頼関係を築きやすい教育担当者の能力に左右される、体系的な学習が難しい、現場の業務負荷が大きくなりがち少人数で指導できる先輩社員が近くにいる会社、実務スキルが重視される会社

関連資料|OJT計画書(ワード)
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OFF-JT(Off the Job Training)

OFF-JT(Off the Job Training)は、集合研修や外部セミナーなど、業務の現場を離れて行う育成手法です。業務外の場所で、特定のテーマに絞って体系的に学習するため、専門知識や論理的な思考力を短期間で身につけるのに適しています。

メリットデメリット向いている会社の特徴
専門知識や論理的な思考力を体系的に学べる、大人数に一律の教育が可能習得した知識が実務に直結しにくい場合がある、外部委託などでコストがかかる傾向がある新入社員が多い会社、全社員に共通の基礎知識を徹底したい会社

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eラーニング

eラーニングは、パソコンやスマートフォンを使い、インターネット経由で学習コンテンツを提供する手法です。従業員が時間や場所を選ばずに、自分のペースで学習を進められる非同期型の学習形態が特徴です。

メリットデメリット向いている会社の特徴
自分のペースで繰り返し学べる、コストを抑え効率的に導入できるモチベーション維持が難しい、実践的なスキル習得には不向きな場合がある拠点が多く全従業員に同じ研修を提供したい会社、個人の都合に合わせて学習を進めたい会社

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ジョブローテーション

ジョブローテーションは、社員が一定期間で複数の部署や職務を経験する異動制度です。計画的な部署異動を通じて、異なる業務経験を積ませることで、広い視野と多様な知識・スキルを身につけさせることが目的です。

メリットデメリット向いている会社の特徴
広い視野と多様な知識・スキルが身につく、適性を多角的に判断しやすい異動先の現場に負担がかかる、専門性の深化が遅れる可能性がある将来的にゼネラリストや管理職候補を育てたい会社、部署間の連携を強めたい会社

従業員の自律性を高める人材育成の手法4選

社員の自律的な成長を促す手法は、変化の激しい現代においてとくに重要な取り組みです。会社から「やらされる研修」だけではなく、本人が主体的に学び、キャリアをデザインしていく状態をつくることで、エンゲージメント向上や離職防止にもつながります。

この章では、自己啓発支援(SD)、目標管理制度(MBO)、1on1ミーティング、コーチングといった、自律型人材の育成に役立つ人材育成の手法を取り上げます。

自己啓発支援(SD)

自己啓発支援(Self-Development)は、資格取得費用や外部セミナー参加費用の補助など、社員が自発的な学習を金銭的・時間的にサポートする制度です。企業が社員個人の能力向上への取り組みを支援することで、自律的なキャリア形成につながります。

メリットデメリット向いている会社の特徴
社員の学習意欲が高まる、企業側の費用対効果が高い、自律的なキャリア形成につながる成果が個人の努力に頼る、業務との関連性が低い学習に偏る可能性もある自律的な社員が多く個々の専門性を高めることを重視したい会社、社員のスキルアップを福利厚生として充実させたい会社

目標管理制度(MBO)

目標管理制度(Management by Objectives)は、社員自身に目標を設定させ、その達成度で評価を行う仕組みです。目標設定から実行、評価までの一連のサイクルを通じて、社員の主体的な成長を促します。

メリットデメリット向いている会社の特徴
社員の主体性が向上する、評価基準が明確になる、モチベーションを高く保てる目標設定や進捗管理に工数がかかる、難易度の低い目標に偏る可能性がある成果主義を取り入れている会社、社員の自主性と目標達成に向けたコミットメントを重視したい会社

関連資料|目標管理シート(ワード)
関連記事|MBO(目標管理制度)とは?意味ややり方、メリットをわかりやすく解説〖シートつき〗

1on1ミーティング

1on1ミーティングは、上司と部下が1対1で定期的に行う対話の時間で、業務報告ではなく、主に部下の成長支援や課題解決に焦点を当てます。定期的な対話を通じて、部下の悩みや課題を早期に把握できます。

メリットデメリット向いている会社の特徴
部下の悩みや課題を早期に把握できる、信頼関係を築きやすい、定着率向上につながる上司の面談スキルが必要、定型的な面談になりがち、頻繁に時間を確保する必要がある社員の定着率を高めたい会社、上司と部下のコミュニケーションを活性化し心理的安全性を高めたい会社

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コーチング

コーチングは、質問や傾聴を通じて、部下自身の中に存在する答えや能力を引き出す対話型の育成手法です。指示や命令ではなく、自発的な行動を促すためのサポートを重視することで、部下の自発的な問題解決能力が向上します。

メリットデメリット向いている会社の特徴
部下の自発的な問題解決能力が向上する、主体性が高まる、本質的な気づきが得られるコーチ側の高度なスキルが必要、即効性がない、長期的な視点での関わりが求められる中堅社員以上の自律的なリーダーを育成したい会社、マネジメント層の対話スキル向上に投資できる会社

難易度の高いタスクで伸ばす人材育成の手法2選【次世代リーダー・ハイパフォーマー育成】

従業員をあえて「ストレッチゾーン」に置くことで、能力を最大限に引き出す手法です。一定レベルの実務経験を積んだ社員に対し、背伸びをしないと達成できないチャレンジングな業務を任せることで、次世代リーダーやハイパフォーマー候補を計画的に育成できます。

この章では、ストレッチアサインメントとメンター制度という2つの人材育成手法を取り上げます。

ストレッチアサインメント

ストレッチアサインメントは、現在の能力よりも少し難易度の高い、背伸びをしないと達成できないような業務を意図的に任せる手法です。挑戦的な業務を通じて、短期間で社員を大きく成長させ、課題解決能力を鍛えます。

メリットデメリット向いている会社の特徴
短期間で大きく成長できる、達成感がモチベーションにつながる、主体性を鍛えられる失敗した際のフォローが必須、過度なプレッシャーを与える可能性がある成長スピードが速く常に新しいことに挑戦する企業、次世代のリーダー候補を早期に選抜・育成したい会社

メンター制度

メンター制度は、年齢や部署が離れた先輩社員(メンター)が、後輩社員(メンティ)の精神的なサポートやキャリア形成に関する助言を行う制度です。業務上の指導役とは異なり、心理的サポートを重視した関わりが特徴です。

メリットデメリット向いている会社の特徴
組織への定着率が向上する、キャリア観を広げられる、社内のコミュニケーション活性化につながるメンターとメンティの相性が重要、メンター側の負担が増える新卒・中途採用者が多く早期定着が課題の会社、異なる部署間の交流を促したい会社

関連資料|メンター面談シート(エクセル)
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モデリング

モデリングは、優秀な先輩社員や経営者などの行動やスキルを観察・模倣することで学習を促す手法です。見本となる人物の行動や判断の仕方を意識的に観察させることで、理想の姿を具体的にイメージできます。

メリットデメリット向いている会社の特徴
理想の姿を具体的にイメージできる、効果的な行動を早く習得できる、暗黙知の習得に有効モデルとなる人物の選定が難しい、表面的な模倣に終わる可能性がある成功パターンが確立されており若手社員に早くノウハウを身につけさせたい会社

リフレクション

リフレクション(内省)は、業務経験を振り返り、そこから得られた教訓や改善点を言語化し、次の行動につなげる思考プロセスを促す手法です。経験と知識を結びつけ、学習する力そのものを高めることが可能です。

メリットデメリット向いている会社の特徴
経験からの学習効率が高まる、本質的な課題を発見できる、自己成長のスピードを加速できる内省を促す仕組みや時間が別途必要、形式的な作業になりがちPDCAサイクルを重視する会社、失敗から学びを得る文化を醸成したい会社

関連資料|人材育成関連のテンプレート(ワード・エクセル)一覧
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【階層別】若手・中堅・管理職それぞれに合った人材育成の手法とポイント

人材育成は、すべての社員に同じ手法を用いれば良いわけではありません。若手、中堅、管理職・経営幹部といった階層ごとに、成長段階や必要なスキルに合った手法を選び、効果を最大限に高める工夫が必要です。

とくに、「若手社員の早期戦力化」「中堅社員のリーダーシップ強化」「管理職の経営視点の醸成」は、多くの企業で共通するテーマです。

【若手社員向けの育成ポイント】

育成のポイント

早期の戦力化と定着率の向上を図り育成します。安心感と心理的安全性の確保も大切です。

適切な手法
  • OJT
    実務を通じた基礎スキル習得の核となります。
  • OFF-JT/eラーニング
    会社のルールやビジネスマナー、専門知識を体系的にインプットします。
  • メンター制度
    業務外の相談役を設け、精神的なサポートを充実させ、早期離職を防ぎます。
  • 1on1ミーティング
    定期的に不安や目標を聞き取り、早期の軌道修正を可能にします。

【中堅社員向けの育成ポイント】

育成のポイント

応用力の強化と、次期リーダー候補としての自覚を持てるように育成します。

適切な手法
  • ジョブローテーション
    広い視野と多様な知識を身につけ、全社的な視点を持たせます。
  • ストレッチアサインメント
    困難なプロジェクトやタスクを任せ、課題解決能力や主体性を鍛えます。
  • コーチング
    上司や外部コーチとの対話を通じて、自律的な成長と問題解決能力を高めます。
  • リフレクション
    経験を内省させ、そこから学びを抽出する「学習する力」を身につけさせます。

関連記事|ジョブローテーションとは?失敗例や成功事例、向いている企業を解説

【管理職・経営幹部向けの育成ポイント】

育成のポイント

経営者視点の醸成と、組織全体の成果を最大化を測れるように育成します。

適切な手法
  • 目標管理制度(MBO)
    部署全体の目標設定・管理を通じ、戦略的な思考を実践させます。
  • OFF-JT(外部研修)
    経営戦略、財務、リーダーシップなどの高度な知識を体系的に学びます。
  • モデリング
    優れた経営者や他社の成功事例を学び、自らの行動規範やビジョンを築きます。
  • 自己啓発支援(SD)
    経営大学院への通学支援など、高度な自己投資を促します。

関連記事|階層別研修の内容とは?目的や体系図の作り方、メリット・デメリット、廃止の動向まで解説

人材育成の成功事例と具体的な取り組み

他社の成功事例から、自社の課題解決のヒントを得ることができます。ここでは、具体的な企業名とともに、どのような人材育成制度や取り組みが行われ、どのような成果につながったのかを見てみましょう。

事例1:アサヒビールによる「越境学習」の取り組み

【実施された手法】
  • ジョブローテーション(社外版)
  • ストレッチアサインメント

アサヒビール株式会社は、社内公募で選ばれた社員を社外のベンチャー企業などに一定期間派遣する「越境学習」を実施しています。これは、社員が自社の慣習や枠組みの外で、新しい価値観やスピード感を体感し、自己変革を促すことが目的です。

事例2:株式会社サイバーエージェントの「タレントプール」と「360度評価」

【実施された手法】
  • 目標管理制度(MBO)
  • リフレクション
  • コーチング

株式会社サイバーエージェントでは、将来の経営幹部候補をリストアップし、早期から計画的に育成する「タレントプール」の仕組みを活用しています。また、上司だけでなく、同僚や部下など多方面からの評価を取り入れることで、多角的なフィードバックを可能にし、社員の成長を促しています。

人材育成を成功に導くフレームワーク「70:20:10の法則」とは?

人材育成を成功させるためには、場当たり的に研修や制度を導入するのではなく、体系的なフレームワークにもとづいて設計することが重要です。その代表例が、アメリカのロミンガー社が提唱した「70:20:10の法則」です。

この法則は、人の成長において重要な要素が以下の割合で成り立っているという考え方を示しています。

割合成長要素育成手法との関連
70%経験OJT、ジョブローテーション、ストレッチアサインメント、モデリング、リフレクション
20%他者からのフィードバックや助言1on1ミーティング、メンター制度、コーチング
10%座学(研修)OFF-JT、eラーニング、自己啓発支援(SD)

この法則から、座学(10%)だけでなく、日々の業務経験(70%)や上司・同僚との対話(20%)を重視した育成手法を組み合わせることが、より効果的であることがわかります。

本記事で紹介してきた人材育成の手法を、自社の育成目的や階層別の課題と照らし合わせながら、「70:20:10のどこを強化するための打ち手なのか」を意識して設計すると、研修や制度が単発で終わらず、戦略的な育成ポートフォリオとして機能しやすくなります。

関連資料|育成計画書(エクセル)
関連記事|262の法則とは?人材育成での活用ポイントや343の法則との違い

人材育成によくある4つの課題と具体的な解決策

多くの企業が直面する人材育成の課題を把握し、それに対する具体的な対策を講じることで、自社の育成を客観的に改善することができます。

OJTが形骸化している

指導方法にバラつきがあると、新入社員の成長が担当者に依存してしまいます。

対策として、OJTトレーナー研修で指導スキルを標準化し、指導内容を定めたOJTマニュアルを作成しましょう。OJT担当者と別にメンターを配置し、精神面をサポートすることで、担当者の負担を軽減しつつ質を担保します。

育成の目標が不明確である

育成する側もされる側も、身につけるべきスキルや目標が曖昧だと、モチベーションが上がらず、研修が目的化してしまいます。

対策として、まずは職務・階層ごとの理想像を定義したコンピテンシーモデルを導入します。目標管理制度(MBO)を通じて定量的・定性的な目標を共有し、キャリアパスを明確に示すことで、育成のゴールを明確にするとよいでしょう。

評価制度と育成制度が連動していない

成長しても評価や給与に反映されないと、社員のモチベーション維持が困難になります。

OJTや研修でのスキル習得や目標達成のプロセスを人事評価に組み込みます。定期的な1on1ミーティングで評価フィードバックを密に行い、社員の納得度を高めます。自己啓発支援(SD)を昇進・昇格の要件と連動させ、自律的な学習を評価するとよいでしょう。

現場の業務負荷が大きい

日常業務に加えてOJTの負担が集中すると、現場社員の業務がひっ迫し、指導役の社員自身の成長機会を奪ってしまいます。

対策として、会社共通の知識習得はeラーニングなどのOFF-JTで行い、OJTの負担を軽減します。業務をマニュアル化・標準化して非効率な作業を削減します。OJT担当者の育成時間を「貢献」として評価に反映させ、優遇措置を講じるとよいでしょう。

人材育成の手法を正しく選び、企業と社員の成長につなげる

この記事では、OJTやOFF-JTといった基本から、ストレッチアサインメントやリフレクションといった応用まで、企業が取り組むべき人材育成の手法一覧を詳しく解説しました。

人材育成は、単に知識やスキルを教えるだけでなく、社員の自律的な成長を促し、組織の持続的な成長を実現するための具体的な取り組みです。ぜひ、この記事で紹介した12種類の手法や成功事例を参考に、自社にとって最適な人材育成の制度と面白い取り組みを設計し、企業と社員双方の成長につなげていただければ幸いです。


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