- 更新日 : 2026年1月14日
キャリアビジョンの例文7選!作成するメリットや手順なども解説
キャリアビジョンとは、仕事における将来の目標・理想像です。社員がキャリアビジョンを作成することで、目指したい姿が明確になり、業務へのモチベーションを高められます。しかし、どのような内容で作成させればよいかわからず、指導に悩む人事担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、職種別のキャリアビジョンの例文7選のほか、キャリアビジョンを作成するメリットや手順などを解説します。
目次
キャリアビジョンとは?
キャリアビジョンとは「将来どのような自分になりたいか」を具体的に描いた、仕事や働き方における理想像です。プライベートとのバランスも踏まえたうえで、無理なく実現できる内容を作成します。
キャリアビジョンが明確になると、進むべき方向性が定まり、目標達成に必要なスキルや経験を逆算できるようになります。
社員にキャリアビジョンを作成してもらうメリット
ここからは、社員にキャリアビジョンを作成してもらうメリットを解説します。メリットを理解することで、社員へ作成を促す際の説明にも役立つため、ぜひ押さえておきましょう。
社員のモチベーションが高まる
キャリアビジョンを作成すると、現在の業務が将来の目標達成につながると実感しやすくなります。社員はより意欲的に業務に取り組めるようになり、モチベーションの向上につながります。
意欲が高まれば、自己研鑽や新しいプロジェクトへの挑戦も自発的に行われるでしょう。各社員のスキルアップが促進されることで、組織の生産性も向上しやすくなります。
また、モチベーションを高めることで「仕事へのやりがいを感じられない」という理由で離職される可能性を抑えられます。社員の定着率を高めることで、新たな人材の採用や育成にかかるコストの削減も可能です。
組織の活性化につながる
社員にキャリアビジョンを作成してもらうと、一人ひとりが目標に向かって自律的に行動するようになります。前向きな姿勢はほかの社員にもよい刺激を与えるため、互いに切磋琢磨することで組織が活性化し、生産性も向上するでしょう。
また、活気ある組織になると、社外からの企業イメージも向上します。採用活動においても、成長意欲の高い社員が集まる企業である点をアピールでき、優秀な人材を惹きつけやすくなります。
人員配置をスムーズに決められる
社員にキャリアビジョンを作成してもらうことで、個々の適性や希望に合わせた人員配置を行いやすくなります。たとえば、将来的にマネジメント職を目指す社員を、早期にリーダー経験を積める部署へ配置するといった判断が可能です。
本人の希望と会社が期待する役割をすり合わせることで、互いに納得感のある配置が実現し、社員が意欲的に業務へ取り組めるようになります。
企業にとっては、人員配置にかける時間を短縮でき、人事部の負担を軽減できる点もメリットです。
キャリアビジョンを作成する4ステップ
ここからは、キャリアビジョンを作成する具体的な流れを4つのステップで解説します。手順の詳細を理解することで、社員へスムーズにアドバイスできるようになるため、確認しておきましょう。
1. 自己分析を行う
最初のステップは、自身の過去の経験を振り返り、自己分析を行うことです。
これまでの業務でやりがいを感じた瞬間や、学生時代から好きだったことなどを洗い出し、自分の価値観や強みを明確にします。価値観や強みを言語化できれば、将来目指す姿も描きやすくなり、本人にとって納得のいくキャリアビジョンの作成が可能です。
たとえば、学生時代や過去の業務において、イベントの企画に多く携わってきたとします。この場合「企画力を活かして新しいものを生み出すことが得意」という強みを見出し、これを軸に将来の理想像を考えられます。
自己分析が不十分なままでは、自身の強みとかけ離れた目標を立ててしまい、途中で挫折する原因になりかねません。社員にキャリアビジョンを作成させる際は、まず自己分析にじっくり取り組むよう周知しましょう。
2. 将来的な目標を設定する
自己分析ができたら、将来どのような自分になりたいかをイメージし、最終的な目標を設定します。自己分析で明確になった価値観や強みをもとに、社員にとっての理想の将来像を考えてもらいましょう。
たとえば「新しいものを生み出すことが得意」であれば「10年後に新規事業開発の責任者として、新サービスを立ち上げる」という目標を設定可能です。
また、最終目標を決めるだけでなく、そこへ到達するために必要な短期目標も設定します。たとえば、新規事業開発の責任者を目指す場合、以下のような短期目標が考えられます。
- 1年後:マーケティングの基礎知識を習得し、担当サービスの改善施策を自ら実行して成果を出す
- 3年後:企画職としての実績を作り、小規模なプロジェクトの進行管理を任されるようになる
- 5年後:新規プロジェクトのリーダーに抜擢され、チームをマネジメントしながらサービスの黒字化を達成する
段階的な目標を立ててもらうことで、日々の業務で取り組むべきことが明確になり、社員が着実にステップアップしやすくなります。
3. 目標達成に向けた行動計画を考える
手順2で設定した目標を達成するために、現状とのギャップを埋めるための具体的なアクションを作成します。
まずは社員に現状の自分を客観視させ、目標到達に不足しているスキルや経験を洗い出してもらいましょう。必要なスキルや経験を整理できたら、どのように習得するかを行動計画に落とし込みます。
たとえば、先述した1年後の目標として「担当サービスの改善施策を自ら実行して成果を出す」を達成する場合は、以下のような行動計画が考えられます。
- マーケティングの基礎を固めるため、半年以内に「マーケティング検定2級」を取得する
- 改善すべき箇所を見つけるため、毎月「ユーザーからの問い合わせ」や「行動ログ」を分析し、課題をレポートにまとめる
- 実行力を身につけるため、四半期ごとに1つ、小規模なUIの変更を実施し、数値の変化を測定する
「何を・いつまでに」実行するかを具体的に決めることで、日々の業務で力を入れるべき事項が明確になります。
4. キャリアビジョンを言語化する
最後に、1~3の手順で考えた内容を文章化し、キャリアビジョンを作成します。
文章化する際は、上司や人事担当者などが達成に向けてアドバイスしやすいよう、ほかの人にも内容が伝わりやすい形で作成することが大切です。社員が書き方に悩んでいる場合は、以下の順序で組み立てるように提案してみましょう。
- 目標とする将来像
- 目標達成のために活かせる過去の経験
- 達成に向けた行動計画
- 目標達成後の展望(事業への貢献やさらなる成長計画など)
最初に、結論である「将来像」を提示することで、目指すゴールを読み手が理解しやすくなります。そのうえで、目標に至るための経験や行動計画を順に説明することで、論理的なキャリアビジョンになります。
社員がキャリアビジョンを作成したら、上司や人事担当者が内容を確認し、具体的かつ実現性があるかをチェックしましょう。
【職種別】キャリアビジョンの例文7選
ここからは、キャリアビジョンの例文を、職種別に7つ紹介します。社員にキャリアビジョンを作成させる際に、文章のイメージとしてぜひ参考にしてください。
営業職
営業職のキャリアビジョンの例文は以下の通りです。
私は5年以内に、年間売上1億円規模の案件を常時運用できるソリューション営業のスペシャリストを目指します。 前職でのルート営業では、顧客の課題をしっかりヒアリングする能力を培いました。この経験を基盤に、今後は専門的な業界知識と提案力を身につけ、3年後には成約率を現状の平均15%から30%へ引き上げ、大型案件の受注をリードする存在を目指します。具体的には、市場分析に基づく提案書の作成スキルを高め、顧客の潜在ニーズを掘り起こす活動に注力します。 また、自身の成功事例をチームに共有することも心がけ、部署全体の売上に貢献できる営業社員を目指したいです。 |
営業職は売上や成約数など、定量的な成果が求められます。「売上達成率」や「顧客満足度」などの指標を交えつつ、具体的な成長プロセスを示すことが大切です。
エンジニア職
エンジニア職のキャリアビジョンの例文は以下の通りです。
私は将来、AIを活用した製品を開発し、企業の新たな収益源を創出したいです。 先日、Webサイト内にチャットボットを実装する業務に取り組みました。そのなかで、AIの技術に興味を惹かれ、より知識を深めたいと思いました。今後はPythonやクラウドサービス上における、機械学習基盤の構築スキルを習得します。また、3年以内にAIを活用したアプリケーションの開発を提案し、既存のサービスに実装します。 最終的には、AIを活用した新サービスを自ら企画・開発し、事業の柱として成長させたいです。 |
エンジニア職の場合、専門性を高めたい分野を具体化することで、キャリアビジョンを描きやすくなります。興味のある分野を学ぶことで、組織にどのように貢献するかも含めて記載してもらいましょう。
事務職
事務職のキャリアビジョンの例文は以下の通りです。
私は10年後、バックオフィス業務を統括する立場として、組織の業務効率化に貢献する存在になりたいです。 今までの業務を通じて、現場で働く社員への気配りを大切にするようになりました。その結果、現在は社内の業務をより効率化できないかと考えることが多いです。私は業務効率化を実現するため、今後は「業務の属人化」を解消することに注力します。具体的には、社内の業務フローの可視化やマニュアル作成を主導することで、3年以内に「業務改善のリーダー役」を目指します。その後も、社内にボトルネックがないか常に注視し、効果的な業務効率化の手法・ツールの導入を積極的に提案します。 バックオフィス業務の責任者になった後は、ランチ会や各種イベントの開催を通じて、社員同士のコミュニケーションの活性化にも力を入れたいです。 |
事務職の場合は、組織をどのように改善するかを考えつつ、キャリアビジョンを作成してもらいましょう。組織の改善点を具体化させることで、社員は今後取り組むべき内容を明確にできます。
販売職
販売職のキャリアビジョンの例文は以下の通りです。
私は5年後、エリアマネージャーとして複数店舗の統括を行い、ブランド価値の向上に貢献したいと考えています。 これまでの接客経験を通じて、お客様一人ひとりに寄り添った提案力と、ニーズを察知する観察力を磨いてきました。今後はこの現場感覚を活かしつつ、店舗運営やスタッフ育成のスキルを習得し、3年以内に店長を目指します。そして、店長として売上目標を達成しつつ、エリアマネージャーを目指したいです。 将来的には、現場で培った売り場作りや接客の心得をエリア全体に共有することで、多くのお客様に愛され続ける店舗ブランドを構築したいと考えています。 |
販売職の場合は、現状のスキルを店舗運営やスタッフの育成など、マネジメント領域へどうつなげるかを考えることが大切です。現場で培った経験をもとに、どのように売上を伸ばしたいかを記載してもらいましょう。
企画・マーケティング職
企画・マーケティング職のキャリアビジョンの例文は以下の通りです。
私は将来、CMO(最高マーケティング責任者)として事業の成長を牽引したいです。 私は前職でのWeb広告運用の業務において、数値に基づく改善サイクルを実施し、基礎的な分析力を身につけました。今後はDMや展示会など、オフライン施策の実施方法を学び、さまざまな角度でマーケティング手法を実行できるようになります。また、3年以内に主力製品のブランド責任者を務め、市場シェアの拡大を実現します。 CMO就任後は、長く愛されるブランドを新しく創出し、会社の売上に大きく貢献したいです。 |
企画・マーケティング職の場合は、習得したいマーケティング手法と、それを用いた事業への貢献プロセスをセットで描くことが重要です。単に「学びたい」で終わらせず、培ったスキルを活かし、どのように売上を増加させるかも含めて記載してもらいましょう。
デザイナー職
デザイナー職のキャリアビジョンの例文は以下の通りです。
私は将来、WebデザイナーからWebディレクターへキャリアアップし、プロジェクトの進行管理に携わりたいです。 これまでのデザイナー経験では、指定されたデザインを効率良く制作することに注力してきました。しかし、デザインだけでなく進行管理の領域にも挑戦したいと考え、Webディレクターの仕事に興味を持ちました。今後は新規案件のディレクションに積極的に立候補し、2年以内を目安にひとつのWebサイト制作案件を担当したいと思います。コミュニケーション力を身につけるため、Webデザイナーの立場としてクライアントとの打ち合わせに同席し、要望を叶えるデザインを積極的に提案します。 Webディレクターとして案件を任された際は、コーディングの基礎知識も身につけて、コーダーとも円滑に連携できる人材になりたいです。 |
デザイナー職の場合、デザインスキルを極めるだけでなく、ディレクターとして進行管理を担う道もあります。社員に自身の興味・適性の棚卸しを促し、希望のキャリアを考えてもらいましょう。
研究職
研究職のキャリアビジョンの例文は以下の通りです。
私は10年後、研究開発部門のマネージャーとして、研究員のポテンシャルを最大化し、イノベーションが生まれやすい組織を作りたいです。 現職では学会発表を通じて専門性を高めてきましたが、後輩の研究者に専門知識を教えるうちに、研究者たちをリードする立場に興味を惹かれました。専門性を高めた経験を活かし、メンバーの技術指導や進捗管理を行うスキルを身につけ、3年以内にプロジェクトリーダーの就任を目指します。その後、抜け漏れのない進捗管理を徹底することで信頼を積み重ね、マネージャーへのステップアップを目指します。 マネージャーに就任した際は、部署内での定期的な勉強会を実施することで、新たな製品開発のアイデアを生みやすい環境作りに励みたいです。 |
研究職の場合、専門分野を極めて新商品の開発に貢献するほか、研究員たちをマネジメントするキャリアも考えられます。キャリアビジョンを作成させる際に、チームをまとめる立場に興味がないか、考えてもらいましょう。
キャリアビジョンを作成する際の注意点
最後に、キャリアビジョンを作成する際の注意点を解説します。社員に注意点を周知することで、より明確なキャリアビジョンを作成してもらえるため、ぜひ理解しておきましょう。
可能な限り具体的に作成する
キャリアビジョンは、あとから達成できたかどうかを客観的に判断できるよう、可能な限り具体的に作成することが重要です。
たとえば「スキルアップして成功する」という目標を設定しても「成功」の定義が曖昧であるため、進捗確認も難しくなります。「年間売上〇〇円を達成する」「〇〇人のチームを率いるマネージャーになる」など、数値や役職を含めた具体的な目標を作成しましょう。
キャリアビジョンが具体的であればあるほど、社員が行動計画を立てやすくなり、実現の可能性が高まります。
プライベートも考慮して作成する
キャリアビジョンを作成する際は、仕事の目標だけでなく、プライベートとのバランスも考慮することが重要です。
目標を高く設定するあまり、プライベートでの休息が十分に取れなくなると、心身に負担がかかり、モチベーションの低下や体調不良を招く可能性があります。
また、結婚や出産、介護などのライフイベントの影響を想定することも大切です。これらを考慮せずに仕事中心の計画を立ててしまうと、生活環境が変わった際に無理が生じ、キャリアビジョンの実現が難しくなる可能性があります。
社員にキャリアビジョンを作成させる際はワークライフバランスを考慮してもらい、無理なく実現できる内容にすることを意識しましょう。
定期的にキャリアビジョンを見直す
作成したキャリアビジョンは、定期的に見直すことが大切です。会社の事業方針の転換や、社員の価値観の変化などによって、目指したい方向性が変わる可能性があるからです。
社員と上司で定期的に面談を実施し、キャリアビジョンと取り組んでいることにズレがないか確認しましょう。ズレがある場合は、キャリアビジョンや行動計画の再設定を行います。
こまめに軌道修正を行うことで、社員は常に納得感のある目標を持てるため、業務へのモチベーションを維持しやすくなります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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