• 更新日 : 2026年1月14日

カリギュラ効果とは?企業内での例やメリット、活用方法、注意点を解説

「絶対に開けてはいけない箱といわれると、中身が気になって仕方がない」という心理状態を経験したことがある方は多いのではないでしょうか。
これは「カリギュラ効果」と呼ばれる心理現象で、ビジネスの現場でも活用されます。

本記事では、カリギュラ効果の例や活用方法、注意点などを解説します。
人事担当者は、ぜひ参考にしてください。

カリギュラ効果とは?

カリギュラ効果とは「禁止されるほど、その行為をしたくなる」という心理現象のことです。

カリギュラ効果は、自由を回復しようとする「心理的リアクタンス」が要因となります。

人材育成では「基本を習得するまで、現場に出るのは禁止」とあえて制限し、社員の「早く実践したい」という能動性を引き出す場面で活用されます。

しかし、過剰な禁止は不信感を招くため、明確な理由づけが必要です。すべてを与えるのではなく、一時的な「おあずけ」が意欲を刺激するでしょう。

カリギュラ効果の例

カリギュラ効果は、ゲームを禁止されると遊びたくなったり、限定品と言われると欲しくなったりするように、日常的に存在します。

以下では、カリギュラ効果の例を4つ紹介します。

過度に禁止・制限すると、試したくなる

過度な禁止や制限は、その行動を試したくなる逆効果を招きかねません。

子育てでゲーム禁止やスマホ没収など厳しく抑圧すると、子どもは「皆やっているのに」と強い反発心を抱きます。

ダメといわれるほど対象への執着心は高まり、親の目を盗んで遊ぼうとしたり、ルールの抜け道を探したりします。

禁止が興味を異常にふくらませ、隠れてでもやりたい衝動を生じさせるでしょう。

「やめたほうがいい」といわれるほど憶測が生まれる

周囲から「やめたほうがいい」と反対されるほど、憶測を生み、相手への興味が高まります。

否定的な評価は「実は優しい一面があるのかも」といった根拠のない想像をふくらますでしょう。恋愛で「あの人は遊び人だ」と制止されると「本当はどうなのか」と思ってしまうのが一例です。

自分だけが真実を知りたいという欲求が高まり、憶測を確かめるために、制限された相手への興味が止まらなくなるでしょう。

情報を制限することで関心を高める

情報を制限して隠すことは、人々の関心を高めます。

人間には隠されたものほど価値があると感じ、空白を想像で埋めようとする性質があるため、すべてを公開するよりも魅力的に映るのです。

たとえば、YouTubeやTV番組などでモザイク処理やNGワードを隠す電子音が使われると、「何があるのか知りたい」という探求心が刺激されます。

すべてを見せない演出が「どうにかして中身を知りたい」という欲求を掻き立て、動画への注目度を高めるでしょう。

限定性や条件付きで購買意欲を刺激する

数量や期間に限定性や条件を設けると、顧客の購買意欲を刺激します。

「限定30食のケーキ」「今だけ半額」と提示されると「今買わないと損をする」という焦りが生じ、商品に希少価値を感じるでしょう。

入手機会が制限されると「他人に奪われたくない」という競争心理も働きます。

結果、冷静な判断よりも「手に入れないと後悔する」という感情が高まり、本来購入予定になかった商品であっても手が伸びてしまうのです。

組織内でのカリギュラ効果の活用方法

カリギュラ効果は組織運営において、社員の能動性を引き出すための手法として活用できます。

以下では、組織内でのカリギュラ効果の活用方法を解説します。

禁止ではなく任せて行動を促す

禁止ではなく信頼して任せ、カリギュラ効果による部下の能動的な行動を引き出しましょう。

「閲覧禁止」と命じるだけでは強制となり、反発を招きかねません。

効果的なのは「君に新プロジェクトを任せたい。しかし、このデータは基礎分析が終わってから見てほしい」という伝え方です。

信頼を前提とした条件付きの制限であれば、部下は「早くデータを見たい」という欲求をもとに、目の前のタスクへ集中して取り組むでしょう。

選択肢を提示し自主性を尊重する

強制ではなく、厳しい選択肢を混ぜて選ばせるのが、カリギュラ効果で能動性を引き出す有効な手法です。

人は「自分で選んだ」と実感するときに、力を発揮します。

たとえば「通常のキャリアアップの道でも構わないが、本気で成果を出したい人限定の道もある」と提示しましょう。

「生半可な覚悟なら選ぶな」と匂わせると、意欲ある社員ほど禁止された道に価値を感じやすくなります。自ら選択し、覚悟をもって取り組むでしょう。

目的や理由を明確に伝えて、反発ではなく納得感を生む

禁止事項には明確な目的や理由を添え、カリギュラ効果による反発ではなく納得感を生むのが重要です。

「ダメだ」と隠すだけの禁止は不信感を招くものの「混乱を防ぐために今は見せない」「秘匿性が高いため制限している」などの明確な理由があれば、受け入れやすいです。

禁止の目的や理由が伝わると、社員の感情は組織への不満ではなく、納得感に変わるでしょう。

カリギュラ効果のデメリット

カリギュラ効果は、禁止や制限によって意欲を引き出すものの、使い方を誤ると、組織に悪影響を及ぼしかねません。

以下では、カリギュラ効果のデメリットを2つ解説します。

意欲や創造性を損なう可能性がある

社員一律にカリギュラ効果を適用すると、社員の意欲や創造性を損なう可能性があります。

すべての社員がひとつの制限や禁止に対して「知りたい」とポジティブに反応するわけではありません。繊細な性格の社員であれば、意欲よりも「阻害された」「信頼されていない」と感じ、萎縮するケースもあります。

一人ひとりの特性を理解し、性格にあわせたアプローチをしましょう。個別のニーズを考慮し、柔軟に対応すると、効果的な人材育成ができます。

組織や上司への反発が起きる可能性がある

説明不足な制限・禁止は、組織や上司への反発を招く可能性があります。

「一部の人間以外はアクセス禁止」といった制限は、伝え方を間違えると「社員が信用されていない」というメッセージになりかねません。

明確な理由がないまま情報を隠す行為は、カリギュラ効果による好奇心を超え「なぜ隠すのか」という不信感に変わります。

「なぜ制限するのか」を明確に伝えましょう。納得感のある説明があれば誤解は解け、情報の価値と組織への信頼を高められます。

カリギュラ効果のメリット

禁止や制限はネガティブな要素に見えるものの、正しく活用すれば、部下の能動的な行動を引き出す強力な武器になるでしょう。

以下では、カリギュラ効果のメリットを3つ解説します。

制限・禁止があることで関心・注意を引きやすい

制限や禁止を設けると、埋もれがちな情報への関心や注意を引きやすいです。

情報過多な時代に、誰でも閲覧可能な情報は価値が低いとみなされるため、見過ごされがちです。しかし、閲覧注意というカリギュラ効果のフックを設けると、隠されたものを暴きたいという探求心が刺激されます。

普段は見過ごされる社内通達や研修案内も、案内文に制限を加えると、開封率や注目度が高められるでしょう。

行動を促す場面でうまく使える

カリギュラ効果は、迷っている相手の背中を押し、行動へ促すのに有効です。

人は「やるな」といわれるとやりたくなり、手に入らないと思うとほしくなります。

あえて「生半可な気持ちなら参加しないでほしい」と突き放せば、本気度を証明したい心理が刺激され、質の高い参加者が集まります。

「限定3名」といった制限も、決断の先延ばしを防ぎ、即座の行動変容につなげられるでしょう。

目標達成へのプロセスが強化される

カリギュラ効果をプロセスに応用すると、目標達成への粘り強さが強化されます。

たとえば「基礎を修了し、選ばれるまで次の研修は参加禁止」という制限をかけます。制限をかけると、基礎修了後の情報は単なる教材ではなく、努力して選ばれるものへと価値が転換するでしょう。

「選ばれたい」「禁止を解除したい」という意欲が、学習や業務習得のプロセスに対する集中力と持続力を生み出します。

カリギュラ効果を活用する際の注意点

カリギュラ効果は禁止や制限という強い心理的刺激を利用するため、運用には注意が必要です。

以下では、カリギュラ効果を活用する際の注意点を解説します。

制限の強さを加減する

カリギュラ効果を活用する際は、制限の強さを適切に加減し、乱用を避けましょう。

すべての業務に禁止や制限を設けると、興味を通り越して「またか」と慣れが生じ、社員は行動への意欲自体を失いかねません。

禁止や制限は、稀に現れるからこそ際立ちます。メリハリをつけると、情報の特別感が維持され、効果が最大化します。

日常業務には制限をかけず、一番行動を促したい場面だけ限定的に使いましょう。

信頼関係を構築したうえで実行する

カリギュラ効果は、上司と部下双方の信頼関係を構築してから実行しましょう。

日頃からコミュニケーション不足な状態で情報を隠すと、「意地悪」「理不尽」などネガティブな解釈になりかねません。

「禁止するのは教育的な意図があるはずだ」と部下が解釈してくれるのは、信頼の土台があってこそです。信頼がない状態での安易な使用は、組織に亀裂を生むため、信頼関係の構築を優先して行いましょう。

カリギュラ効果と類似用語との違い

カリギュラ効果は、似たような状況で使われる心理効果がいくつか存在します。

以下では、カリギュラ効果と類似用語との違いを解説します。

カリギュラ効果とシロクマ効果の違い

カリギュラ効果とシロクマ効果の違いは、以下のとおりです。

カリギュラ効果シロクマ効果
  • 禁止された対象への興味
  • 「見るな」といわれて「見たい」という行動意欲
  • 忘れようとする努力が逆効果になる脳のバグ
  • 「考えるな」といわれると、かえって「頭から離れない」という思考現象

カリギュラ効果とツァイガルニク効果の違い

カリギュラ効果とツァイガルニク効果の違いは、以下のとおりです。

カリギュラ効果ツァイガルニク効果
  • 禁止された対象への興味
  • 「絶対に開けるな」といわれた箱を開けたくなる現象
  • 未完了や不完全な物事が気になってしまう現象
  • ドラマが盛り上がったところで「続きは来週」となり、未完了のタスクに対する緊張感が記憶に残る現象

カリギュラ効果に関するよくある質問

以下では、カリギュラ効果に関するよくある質問に回答します。

カリギュラ効果はなぜ起きるのか?

人は制限や禁止をされると、反射的にその行為をしたくなる性質があるからです。

禁止や制限により自身の自由が脅かされると、無意識のうちに自由を回復しようとする反発作用が働きます。

また「見てはダメ」と隠されると、対象物が特別で価値のあるものに見えてしまい、禁止や制限された行動をとってしまうでしょう。

カリギュラ効果の対処法は?

意図せずカリギュラ効果が働いてしまった場合は、可能な限り禁止を解除するか、理由を明確に説明しましょう。

「なぜダメなのか」という疑問を解消すると、過度な執着は落ち着きます。代替案を提示するのも有効です。

抜け道を設けると、禁止によるストレスを緩和し、コントロール可能な状態にできるでしょう。

カリギュラ効果の命名者は誰ですか?

カリギュラ効果に命名者・提唱者はいないものの、ローマ皇帝を題材にした映画「カリギュラ」が名称の由来です。

映画「カリギュラ」は過激な内容ゆえに一部地域で上映禁止となった際、かえって世間の注目を集めました。

人々が公開している映画館に殺到する事態が起き「禁止されるほど興味を掻き立てられる現象」が定着し、カリギュラ効果と呼ばれるようになったのです。


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