• 更新日 : 2026年1月14日

カタルシス効果とは?具体例や活用する際のポイント、注意点を解説

従業員の感情が整理されずに蓄積すると、離職リスクの増加や生産性の低下につながる可能性があります。

そこで注目されているのがカタルシス効果です。

本記事では、カタルシス効果の意味や具体例、活用する際のポイント、注意点を解説します。
従業員のメンタルケアや離職防止、生産性向上に取り組む企業はぜひ参考にしてください。

カタルシス効果とは?

カタルシス効果とは、不安や怒りなど、抑圧された感情を言葉や行動で外部へ表現することで、心の安定と回復が得られる浄化作用です。

カタルシス効果は、精神分析のフロイトが提唱したメカニズムにもとづいています。

曖昧な感情を言語化して客観視すると、感情に支配されていた思考力や集中力が解放され、心がスッキリします。

部下のメンタル不調の予防や離職リスクの軽減に効果があり、心理的安全性を築くツールとして活用できるでしょう。

カタルシス効果の具体例

カタルシス効果は、組織の課題解決と信頼関係構築に効果をもたらします。

カタルシス効果の例は以下のとおりです。

活用シーン上司の行動得られる効果
1on1ミーティング業務や人間関係の不満を傾聴する信頼関係が構築され、メンタル不調を予防できる
人事面談異動といった節目で率直な意見を吐き出させる潜在的な組織課題や離職リスクを正確に把握できる
クレーム対応や紛争解決解決策提示の前にネガティブ感情を言語化・発散させる当事者が冷静になり、建設的な対話ができるようになる

カタルシス効果の活用を通じて、部下の帰属意識や組織全体の心理的安全性の確保に努めましょう。

関連記事:1on1とは?ミーティングの目的と方法を解説!

カタルシス効果の逆効果・デメリット

カタルシス効果は活用方法を誤ると、組織の健全性を損ないます。

以下では、カタルシス効果の逆効果・デメリットを2つ解説します。

ネガティブ感情が増幅する場合がある

カタルシス効果は、社員のネガティブ感情を増幅させる場合があるため、注意が必要です。

たとえば1on1で上司が無批判に共感や肯定を続けると、部下のネガティブな言動を追認してしまい、組織の健全性を損なうリスクが生じます。

部下本人は解消したつもりでも、怒りが慢性化したり、チーム内の対立を助長したりなど健全性の悪化につながりかねません。

上司は傾聴の際、感情が悪化していないか冷静に見極め、解決策を考える対話へと促しましょう。

問題の根本的な原因が解決しない可能性がある

カタルシス効果は感情の浄化であり、カタルシス効果自体が問題解決をするわけではありません。

部下は感情を吐き出した後「解決した」と錯覚し、根本的な原因究明や具体的な対策への意欲をもたない可能性があります。

上司がガス抜きとして扱って課題解決を怠ると、問題が再発し、部下のストレスが慢性化しかねません。

上司の重要な役割は、部下が感情を吐き出した後に、具体的な行動計画につなげることです。生産性の維持・向上には、感情の整理から行動への転換が欠かせません。

カタルシス効果のメリット

カタルシス効果はデメリットがある一方で、企業・従業員双方のメリットが多いです。

以下では、カタルシス効果のメリットを3つ解説します。

従業員のメンタル不調を予防する

カタルシス効果は、従業員のメンタル不調を予防します。

人は不満や不安などネガティブな感情が蓄積すると、うつや体調不良などメンタルが不調となりかねません。これは組織の生産性低下や損失に直結する大きなリスクです。

部下のストレスが深刻化する前に、上司は定期的に傾聴の場を設け、感情を発散させましょう。

カタルシス効果は部下を気遣うだけでなく、組織の損失を防ぐメンタルケアとして活用できます。

心理的安全性・信頼関係が高まる

カタルシス効果は、心理的安全性と信頼関係を高めます。

部下は自分の弱みやネガティブな感情を受け止めてもらえたとき「この上司なら信頼できる」という安心感を抱きやすいです。上司への信頼が構築されると、心理的安全性が組織全体に広がります。

結果的に、従業員が意見やアイデアをおそれずに発言できる企業風土が生まれるでしょう。

また、失敗や問題発生を隠さずに報告するようになり、問題の早期発見・対応が可能となります。

関連記事:心理的安全性とは?理論や高いことのメリットを解説

業務への集中力と生産性が向上する

カタルシス効果は、業務への集中力と組織全体の生産性を向上させます。

部下がストレスや不満を抱えているときは、感情の処理に思考力や集中力が奪われている状態です。

カタルシス効果で心の負担が軽減されると、思考力の回復とともに目の前の業務に集中できるようになり、業務の質とスピードが向上します。

また、心の負担軽減は仕事へのモチベーション回復につながり、組織全体の生産性向上が期待できます。業務効率化の観点からも大きなメリットといえるでしょう。

カタルシス効果を高めるために必要なスキル

カタルシス効果を部下の成長と組織の生産性向上につなげるには、上司のスキルが必要です。

以下では、カタルシス効果を高めるために必要なスキルを4つ解説します。

傾聴力

傾聴力は、カタルシス効果を引き出すための土台となるスキルです。

上司が部下の話に口を挟んだり、結論を急かしたりすると、部下は本音を話せません。上司は以下のような非言語的な対応で、部下の話を聞きましょう。

  • 沈黙をおそれずに待つ
  • 熱心なアイコンタクトをとる
  • うなずく

非言語的な対応は、心理的安全性を生み出し、部下の心を開きます。

また、傾聴力は対人スキルとして顧客対応を含む、あらゆる場面で不可欠なものです。接客業でクレームが発生し、お客様の不満を真摯に受け止める際にも、傾聴力は求められます。

共感力

共感力は評価や判断をくわえず、部下の感情に寄り添い、ありのままを受け止めるスキルです。

「それは大変だったね」「そう感じるのはわかる」など、感情に寄り添いながら返答します。

部下は感情に寄り添われると「理解された」という安心感を抱き、上司への信頼が高まります。

共感力をもって接すると、部下の心が浄化され、より深いカタルシス効果が得られるでしょう。

質問力

質問力は感情を浄化するだけでなく、部下が抱える問題を明確にするためのスキルです。

部下が抱えるストレスは、もやもやとした曖昧なかたちの場合が少なくありません。

カタルシス効果を深めるには、上司は「はい」「いいえ」で答えられないオープンな質問をし、部下の曖昧な感情を言語化できるように促します。

部下は曖昧な感情を客観的に見つめ直せ、感情の整理ができるため、問題を明確化できるでしょう。

問題解決力

問題解決力は、感情を吐き出させた後、具体的な行動に転換させるために必要なスキルです。

上司は部下の感情が吐き出され、落ち着いたタイミングで「次に活かすために、あなたは何ができる?」といった未来に向けた質問を投げかけます。

上司が未来に向けた質問で行動を促すと、ストレスや不満がガス抜きで終わることを防げます。

同時に、部下の自律的な成長が促され、組織全体の生産性が向上するでしょう。

カタルシス効果を活用する際のポイント

カタルシス効果を感情の発散で終わらせず、組織の成果につなげるには、活用のポイントを知っておくのが重要です。

以下では、カタルシス効果を活用する際のポイントを4つ解説します。

安心して話せる場を用意する

カタルシス効果を活用する際は、部下が安心して話せる場を用意します。

上司は話の内容が外部に漏れないように、プライバシーを遵守しましょう。安心して話せる環境だと、部下は心を開いて本音での対話がしやすくなります。

また、本音を聞くために話す時間を十分にとり、途中で話を遮らないことが大切です。

物理的かつ心理的な安全性の確保こそが、部下の心の重荷を取り除く最優先事項となります。

曖昧な感情を具体的な課題として言語化させる

部下が抱えるストレスや不満など、曖昧な感情を具体的な課題として言語化させましょう。

曖昧な感情のままでは、解決策を講じられません。

傾聴は大事であるものの「一番負担になっている点は?」「そのとき、あなたは具体的にどう感じた?」などの質問をし、言語化をサポートするのが大切です。

曖昧な感情を言語化できると、部下は感情を客観視できるようになります。

感情の浄化はもちろん、具体的な課題として次につなげられるでしょう。

感情を発散させるだけでなく次の行動に促す

カタルシス効果は感情を発散させるだけでなく、次の行動に促すのが大事です。

感情を吐き出させただけで終わると、ガス抜きとなり、課題は解決しません。

感情が浄化されたタイミングを見計らい、上司は「この経験を活かして次はどうする?」と声をかけ、次につなげる行動を一緒に考えます。

部下に具体的な行動を考えさせると、ネガティブな感情で終わらせず、課題解決に向けた主体性を引き出せます。

定期的な振り返りで効果を循環させる

カタルシス効果を組織的な成果につなげるには、定期的な振り返りで効果を循環させましょう。

一度話しただけで終わりでは、効果は継続せず、意味がありません。上司は前回の面談内容を振り返り、部下の変化やストレス状態を定期的に確認するのが重要です。

継続的な対話と振り返りのサイクルを回すと、課題が解決しやすくなり、部下との信頼関係も維持できます。

継続的にストレスを解放できる環境が整い、部下はもちろん、組織全体の生産性向上が期待できるでしょう。

カタルシス効果を活用する際の注意点

カタルシス効果を活用する際は、効果を最大化するとともに、上司自身と組織を守るためのリスク管理も必要です。

以下では、カタルシス効果を活用する際の注意点を解説します。

共感のしすぎで自身が疲弊しないようにする

部下への共感は大切であるものの、過度に感情移入し、上司自身が疲弊しないよう注意が必要です。

上司の疲弊は、傾聴の質の低下や判断力の低下につながり、組織全体に悪影響を与えかねません。

上司は部下との間に明確な心理的境界線を引き、面談以外は感情を引きずらないようにしましょう。

質の高い支援を継続するには、マネジメントにおける自己防衛策として、上司自身がメンタルヘルスの管理を徹底することが求められます。

専門外の問題には踏み込まない

部下の問題がハラスメントや深刻なトラウマ、精神疾患の可能性に及ぶ場合は、専門外の問題に踏み込まないようにしましょう。

ムリに踏み込もうとすると、部下のトラウマを悪化させたり、症状を進行させたりするリスクがあります。

上司は個人的なアドバイスを避けるのが大切です。部下と上司双方の心身の安全を守るために、産業医やカウンセラー、人事の相談窓口へ速やかに紹介しましょう。

カタルシス効果に関するよくある質問

ここでは、カタルシス効果に関するよくある質問にお答えします。

カタルシス効果はストレス発散に効くの?

カタルシス効果は、ストレス発散に効きます。

しかし、カタルシス効果は感情の浄化であり、問題の根本解決をするわけではありません。

上司はストレス発散を目的とするだけでなく、部下に感情を吐き出させた後、次の行動へと

促すのが重要です。一時的なガス抜きで終わらせず、マネジメントにおける課題解決を実現しましょう。

上司として部下の愚痴や不満はどこまで聞くべき?

基本的には部下が感情を吐き切り、冷静な状態に戻るまで聞くべきです。

しかし上司は無批判な肯定だけをして、部下の怒りや不満を増幅させるのは避けましょう。

また、上司自身が共感し続け、疲弊するまで聞く必要はありません。ハラスメントやトラウマなど専門外の問題については、産業医やカウンセラーに依頼し、明確な境界線を設けます。

依存関係を防ぎ、部下の自立を促す対話を心がけましょう。

カタルシス効果を活用しても、問題の根本原因は解決しないのでは?

カタルシス効果は感情の浄化であり、問題の根本原因は解決しません。

しかし感情を吐き出すと、部下は状況を客観視しやすくなり、問題解決に取り組める精神状態に近づきます。

上司は感情の浄化を終えた後、具体的な行動へ部下の意識を導き、ガス抜きで終わらせないようにしましょう。


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