• 更新日 : 2025年12月5日

ロールモデルの見つけ方とは？具体的な設定方法や注意点を解説

キャリアを考えるうえで、自分の理想像を明確に持つ取り組みは欠かせません。そこで役立つのが「ロールモデル」という考え方です。

ロールモデルの行動や価値観を手本にすれば、自分のキャリア形成における指針になり、成長スピードが速くなります。

本記事では、ロールモデルの意味や重要性、見つけ方のステップ、活用のポイントを具体的に解説しています。

自分らしいキャリアを築くためのヒントを得たい方は、ぜひ参考にしてください。

ロールモデルとは

働き方や生き方の選択肢が増える今、自分のキャリアをどう築くか迷う人も少なくありません。

そんなときに役立つのが「ロールモデル」という考え方で、理想とする人物の価値観や行動を手がかりにすると、キャリアの判断基準が明確化します。

ここでは、ロールモデルの基本的な定義と、重要性について整理します。

ロールモデルの定義

ロールモデルとは、自分が目指したい姿や理想の働き方を体現している人物を指します。

ロールモデルは単なる憧れの人ではなく、行動や判断の背景にある価値観を学び、自身のキャリア形成に取り入れるための手本となる存在です。

候補となる人物の範囲は広く、身近な上司や先輩、同僚などのほか、社外の専門家、著名人、さらには歴史上の人物も含まれます。

たとえば、「仕事と育児を両立する先輩」や「常に挑戦を続ける経営者」など、理想像に近い人物を意識すると日々の行動基準が明確化します。

多様な働き方が求められる時代だからこそ、ロールモデルはキャリアの方向を定める上で欠かせない存在です。

ロールモデルの重要性

ロールモデルは、迷ったときに進む方向を示してくれる道しるべのような存在です。

転職や副業、リモート勤務など、働き方の選択肢が増えた現代は自由度が高い一方で、「自分はどの方向を目指すべきか」を見失いやすい状況でもあります。

だからこそ、実際に成果を挙げている人物の価値観や行動から学ぶ考え方は、キャリア形成の判断材料として大きな意味を持ちます。

とくに、若手社員や管理職を目指す女性のように将来のキャリア像を描きにくい層にとって、身近な成功例は現実的で頼りになる指針です。

成功している人の判断基準や行動の傾向を理解すると、日々の取り組みに落とし込みやすくなり、自分の成長にも繋がります。

また、個人だけでなく企業においても、メンター制度やロールモデル研修を導入する動きが進んでいます。

ロールモデルは個人の成長を後押ししつつ、組織を強くする役割も果たす存在です。

ロールモデルを設定する3つの主なメリット

ロールモデルの設定によって得られる効果は、大きく3つに整理できます。

ここでは、ロールモデルを設定する3つの主なメリットを、キャリアの視点から具体的に解説します。

1. 理想の働き方が明確になる

ロールモデルを持つ大きなメリットのひとつは、自分が理想とする働き方や生き方を具体的に描けるようになる点です。

ロールモデルの時間の使い方や価値観を把握し、キャリアの方向性を整理する取り組みは、自分らしい働き方を見極めるうえで有効です。

たとえば、仕事と育児を両立しながら実績を上げている先輩をロールモデルにした場合、「自分も時間配分を工夫してみよう」といったヒントが得られます。

結果として、自分にとって大切な働き方がより明確になり、キャリアの迷いや不安を減らせます。

ロールモデルは、理想像を形づくるための具体的な材料を与えてくれる存在です。

2. 成長スピードが加速する

ロールモデルを設定すると、成長に必要な行動や思考のヒントが得られるため、試行錯誤にかかる時間を短縮し、成長スピードの加速につながるメリットがあります。

また、成果を出している人物の行動を観察して取り入れると、自分だけでは気づきにくい成長のコツを掴みやすくなります。

ロールモデルの設定によって「あの人のように挑戦したい」という前向きな気持ちが生まれると、行動を継続しやすくなる点も大きなメリットです。

とくに、20代・30代のようにキャリア基盤をつくる時期は、実際に成果を挙げている人のやり方を学べば実践的な知識を得られます。

もちろん学んだ行動を試し、うまくいった点・改善したい点を振り返るサイクルを繰り返す意識も重要です。

観察や実践を自分なりに繰り返す取り組みによって、スキルや成果の伸びを実感しやすくなります。

3. 組織やチームの活性化につながる

ロールモデルを参考にして成長すると、自分だけでなく周囲の働き方にも良い影響が広がります。

挑戦する姿勢や丁寧な仕事ぶりが周囲の目に触れると、前向きな気持ちが生まれやすくなり、チーム全体の雰囲気が自然と明るくなるのも魅力的なポイントです。

前向きな流れが積み重なれば意見を言いやすい空気が育ち、チームの動きがスムーズになったりコミュニケーションが活性化したりと、生産性が高まる点も大きなメリットです。

ロールモデルは個人の成長を支えるだけでなく、周囲に良い循環を生み出すきっかけにもなります。

ロールモデルの見つけ方5ステップ

ロールモデルは、なんとなく憧れる人を選ぶだけではなく、自分の価値観や目標に合った人物を意識して見つける必要があります。

ここでは、ロールモデルの見つけ方を5ステップに分けて紹介します。

① 自己分析で目標や価値観を明確にする

ロールモデルを探すうえで、最初に取り組みたいのが自己分析です。

自分がどんな働き方や生き方に魅力を感じるのかを言語化し、参考にすべき人物像を明確にしましょう。

たとえば、憧れる人や尊敬している人を思い浮かべ、そのどの部分に惹かれているのかを掘り下げると、自分の価値観や大切にしたい軸が見えやすくなります。

また、「どのような場面でやりがいを感じるか」「譲れない価値観は何か」といった問いに答えてみるのも効果的です。

ロールモデルの選定は、自己理解が深まるほど精度が上がります。

まずは自分の価値観や理想像を言葉にして、自分が求めるキャリアを明確にする取り組みがロールモデル選びの最初のステップです。

② 身近な人物から探す

ロールモデルを探す際は、まずは身近な上司や先輩、同僚など、日常的に関わる人から候補を選定してみましょう。

普段から行動や発言に触れている相手であれば、仕事への向き合い方や判断の基準が具体的に理解しやすく、学べるポイントを見つけやすくなります。

身近な人物をロールモデルにすると、日常の業務の中で観察する機会が多く、実践に移しやすいのが大きなメリットです。

また、成果の出し方だけでなく、人との接し方や仕事に対する姿勢など、目に見える行動以外の面にも注目すると、自分にとって参考にできる要素が見つかります。

たとえば、忙しい状況でも落ち着いて対応している姿勢や、周囲への気配りの仕方に学べる点があるかもしれません。

気づいた点を小さく取り入れていると、自分に合う行動パターンが掴めるようになり、自然と目標に向けた行動が定着します。

③ 社外や他業界の人物も視野に入れる

身近な環境にロールモデルが見つからない場合は、視野を広げて社外の人物にも目を向けてみると、新しい学びが得られます。

たとえば、SNSやインタビュー記事、イベント登壇者、著者などを通じて、価値観や働き方に共感できる人物を探してみましょう。

また、異業界のリーダーや専門家の考え方に触れると、自分の思考や視野が広がる場合もあります。

業界が異なっていても、挑戦の姿勢や判断の基準、仕事への向き合い方など、参考になる要素は多く、キャリアの考え方に良い影響を与えます。

直接関わりのない相手でも、オンラインなどで日々の発信を追って行動の背景や価値観に触れてみましょう。

幅広い選択肢から自分に合うスタイルを探せば、より納得感のある理想像を描きやすくなります。

④ 多様なロールモデルを組み合わせる

いくつかロールモデルの候補が挙がったら、それぞれの良い部分を整理し、自分に合う形で組み合わせてみましょう。

ロールモデルは一人に絞り込む必要はなく、複数の人物から魅力的だと感じる要素を取り入れると、現実的で自分らしい理想像が描きやすくなります。

「この人のリーダーシップに憧れる」「判断力はこの人を参考にしたい」「働き方はあの人が近い」など、分野ごとに分けて考える方法も効果的です。

複数の人物の長所を掛け合わせた「モザイク型ロールモデル」は多様な視点を取り入れられるため、環境の変化が大きい時代でも柔軟に対応できます。

複数の人物を意識すれば極端な影響を受けにくく、自分に合う要素だけを選んで取り入れられる点も魅力です。

理想像はひとつの型に固定する必要はありません。

複数の視点を組み合わせていくと、自分の価値観や強みに沿ったキャリアの方向性が見え、自分らしい成長につながります。

⑤ 行動や思考を分析し、実践につなげる

ロールモデルのイメージが固まったら、次は日々の行動に落とし込む段階に進みます。

参考にしたい人物の行動や発言を意識的に観察し、「なぜその判断に至ったのか」「どの価値観が影響しているのか」などを考えましょう。

気づいたポイントはメモに残し、業務や日常の場面に置き換えて実施すると、小さな変化を積み重ねやすくなります。

実践と振り返りのサイクルを繰り返す取り組みによって、自分なりの判断基準や強みが形になります。

ロールモデルから学んだ価値観をヒントにしつつ、自分に合う形に整えて実施していくプロセスが、継続的な成長につながるポイントです。

ロールモデルを活用する際のポイント

ロールモデルは見つけて終わりではなく、日々の行動にどう落とし込むかが大切です。

ここでは、ロールモデルを効果的に活用するために意識したい3つのポイントを紹介します。

行動や思考を深く分析する

ロールモデルを活用するうえで欠かせないのが、行動の背景にある思考を理解する姿勢です。

表面的な行動だけを真似しても本質的な学びにはつながりにくく、状況が変わった場合に応用できなくなる可能性があります。

ロールモデルの思考や目的、意識をしっかり理解できると、自分の行動にも再現性が生まれます。

観察だけでは気づけない部分は、ロールモデルの著書やインタビュー、発信内容を確認して補い、理解を深めましょう。

機会があれば、ロールモデルに直接話を聞いてみるのも有効です。

ロールモデルの考え方を活かしたい場合は、ロールモデルの行動を立体的に捉え、自分の判断軸や仕事観を磨く意識を持ちましょう。

独自性を保つ

ロールモデルの考え方を参考にする場合は、自分の独自性や価値観も大切に保ちましょう。

ロールモデルの良い部分を取り入れれば成長の助けになる一方で、自分らしさを見失ってしまう場合があります。

たとえば、完全に同じ行動をしようとして無理が生じたり、かえって自分に合わない働き方になったりするケースも考えられます。

まずは「なぜロールモデルのやり方がうまくいっているのか」を理解し、自分の環境や強みに合わせてアレンジする意識を持ちましょう。

模倣は学びの第一歩として、最終的には自分の言葉や行動で表現できるよう調整する意識を持っておくと、無理のない働き方に近づきます。

複数人を参考にする

ロールモデルを一人に限定すると、その人の価値観や働き方に引きずられやすくなるため、場面に応じて複数の人物を参考にする視点を持ちましょう。

状況別に参照する人物を変えると、自分に合う判断がしやすくなります。

また、複数のロールモデルに触れておくと「この場面では誰のやり方が近いか」を柔軟に選べるため、実践しやすい行動に繋がります。

さらに、ロールモデルを比較しながら活用すれば、偏りのない視点が身につき、自分の価値観や強みに沿った判断ができるようになるのもポイントです。

複数のロールモデルを日常の引き出しとして持っておくと、自分らしい成長に結びつきます。

• 監修：涌井 好文（社会保険労務士）

  平成26年より神奈川県で社会保険労務士として開業登録を行い、以後地域における企業の人事労務や給与計算のアドバイザーとして活動を行う。退職時におけるトラブル相談や、転職時のアドバイスなど、労働者側からの相談にも対応し、労使双方が円滑に働ける環境作りに努めている。また、近時は活動の場をWeb上にも広げ、記事執筆や監修などを通し、精力的に情報発信を行っている。