• 更新日 : 2025年12月5日

アンケートの作り方と例文を徹底解説!人事・採用担当者が押さえるべきコツとは

採用活動や社内施策の改善で欠かせない「アンケート」ですが、次のような悩みを抱える人事・採用担当者も多いのではないでしょうか。

「質問項目が多くなりすぎて回答率が下がる」

「どんな設問形式にすれば有効なデータが取れるのかわからない」

「結果をどう活用すれば業務改善につながるのか知りたい」

アンケートは、応募者や社員の本音を引き出し、採用体験や組織改善につなげるための重要な調査手段です。ただし、目的設計や質問構成を誤ると、せっかくの回答が「使えないデータ」になってしまうこともあります。

本記事では、人事・採用担当者の方向けに アンケートの作り方の流れ(5STEP)・文面の工夫・質問例(例文付き)・注意点 をわかりやすく解説します。

回答率を高め、改善につながるアンケートを設計したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

アンケートの作り方の流れ【5STEP】

効果的なアンケートを作成するには、目的を明確にし、質問内容や形式を整理しながら、回答しやすい構成へと段階的に整えていくことが重要です。

準備不足のまま作成すると質問の重複や冗長性が生まれ、回答率の低下やデータ品質の低下につながってしまいます。

逆に、目的設定から質問設計、順序の最適化、公開前チェックまでを丁寧に行うことで、必要な情報を正確に収集し、改善につなげられるアンケートに仕上がります。

ここでは、アンケート作成を成功させる5つのステップを紹介します。

1. 目的・ターゲットを決める

最初に「誰に」「何を」「なぜ聞くのか」を明確に整理しましょう。調査結果をどの業務改善に活用するのかを設定し、候補者体験の向上や社員満足度の把握など、具体的な用途を意識することが大切です。

また、目的はチーム内で文書にまとめ、共通認識として共有します。

さらに、対象者の職種や属性によって質問内容の深度や表現の調整が必要です。ターゲットが異なる場合は、調査手法や質問形式も変わるため、事前に把握しておくことで適切なアンケート設計につながります。

2. 質問項目を整理する

質問を構成する際は、次の3つに分けて整理しましょう。

  • 大分類(テーマ)
  • 中分類(項目)
  • 小分類(具体質問)

目的と関係のない設問を除外し、回答者の負荷を軽減することが重要です。

属性に関する質問(年齢・職種など)は他の質問と分けて配置すると、回答の流れがスムーズになります。また、類似する質問はまとめて構成し、全体の流れを自然に整えましょう。

3. 質問タイプを決める

設問には単一回答(1つを選ぶ)や複数回答(いくつでも選べる)などの形式があります。目的に応じて適切に使い分けることで、より正確なデータを集めましょう。

たとえば、スケール質問(5段階評価など)では項目間隔を等間隔に設定し、公平な評価ができるようにします。自由記述は少数に絞り、回答の方向性が伝わる例文を添えると答えやすくなります。選択肢は10〜15個以内にし、「その他」を設けて柔軟に回答できる形式がおすすめです。

4. 質問順序を最適化する

回答しやすい順に設問を並べ、「導入→本題→自由記述」の流れを意識して構成しましょう。類似トピックを続けて配置することで、回答者の思考負荷を軽減できます。

また、難易度の高い質問は後半に配置し、離脱を防止しましょう。Webアンケートでは進捗表示(残り○問など)を設定すると、回答者が安心して進められます。

5. 告知・テストチェックを行う

アンケートの公開前には、自分で実際に回答し、流れやわかりやすさを確認しましょう。誤字脱字や専門用語、誘導質問などがないか丁寧にチェックし、回答時間が想定どおりの3〜5分以内に収まるかをテストしておくと安心です。

さらに、スマホを含む複数のデバイスで操作性を確認し、必要に応じて社内でパイロットテストを実施しましょう。事前チェックを徹底することで、より正確で信頼性の高いデータを収集できます。

回答率を上げるアンケート文面の作り方

アンケートの文面は、回答率やデータの質を大きく左右します。回答者が「面倒だ」「よくわからない」と感じれば途中離脱が増え、十分なサンプルが集まらなかったり、回答精度が下がってしまいます。

回答のメリットを明確に示し、心理的負担を減らす工夫を取り入れれば、安心して最後まで回答してもらえるアンケートを作成できます。

ここでは、回答率を高めるために押さえるべき文面づくりのポイントを解説します。

冒頭に目的と回答のメリットを明記する

アンケートの冒頭では、まず目的を短く記載し、回答内容がどのように使われるかを明示することが重要です。「サービス改善」や「社員満足度向上」など具体的な活用意図を書くことで、回答者は自分の意見がどのように貢献するのかを理解できます。

また、回答によって得られるメリットがある場合は、特典や改善への反映などを示して動機づけを高めましょう。さらに、感謝の気持ちを伝える導入文を添えることで、回答への心理的な温かさを感じてもらえます。

回答時間の目安を提示する(例:3〜5分)

回答時間の目安を冒頭に記載することは、回答者の心理的ハードルを下げる効果があります。「所要時間:3分程度」などの一言があるだけで、取り組みやすさが格段に上がります。特に長すぎるアンケートは途中離脱を招きやすいため、全体は5分以内に収めましょう。

そのためにも、質問数は目的に照らして最小限にすべきです。また、進捗バーや「残り○問です」といった表示を用いることで、完走率を高められます。

専門用語を避け、誰でも理解できる表現にする

アンケート文面には、業界や企業固有の略語や専門語をなるべく使用しないことで、誤解や回答ミスを防止しましょう。必要な場合は、簡単な説明文を添えて丁寧に補足することが有効です。

また、設問文は1〜2行以内にまとめ、シンプルな文構造にすると読みやすくなります。「よく」「たまに」などの曖昧な表現は避け、選択肢で具体化することで、回答のばらつきを抑えましょう。

「はい/いいえ」で答えられるシンプル設問を意識する

回答者と集計者双方の負担を減らすためには、「はい/いいえ」で答えられる二択形式の質問がおすすめです。選択肢を明確に限定することで、曖昧な回答幅を避けられ、集計効率や結果の客観性が向上します。

また、自由記述を多くしすぎると負担が増えるため、必要最小限にとどめることがポイントです。二択質問で全体の流れを作り、その結果に応じて必要な箇所だけ詳細質問を追加する構成にすると、回答率を保ちながら必要な情報を得られます。

質問設計のコツと具体例【例文付き】

質の高いアンケートを実施するためには、質問設計の精度が重要です。どれほど回答数が多くても、聞き方が曖昧だったりバイアスがかかったりすると、得られるデータが活用できないものになってしまいます。

属性質問、満足度調査、認知調査、自由記述など、質問タイプごとに特性を理解し、適切な形式を選ぶことで、改善に役立つ情報を無理なく引き出すことができます。

ここでは、代表的な質問タイプとその具体例を紹介します。

属性・基本情報に関する質問例

回答者の属性を把握するための質問は、「性別・年齢・職種・勤続年数・所属部署」など必要最小限に絞ることが大切です。アンケートの前半に配置し、抵抗感を与えないよう一般的な内容から始めます。

また、個人情報を取得する際は利用目的と保護方針を明記し、安心して回答できるよう配慮しましょう。

属性質問では名義尺度を活用し、「あなたの所属部署を教えてください」のような形式が適しています。「回答しない」という選択肢を用意することで、回答率の低下を防止しましょう。

満足度・意識調査の質問例

サービスや職場環境に対する満足度を調査する際は、5段階評価の間隔尺度を用いると分析しやすくなります。

「非常に満足〜非常に不満」など均等な間隔で意見を選択できるように設計しましょう。総合的な満足度と、職場環境・評価制度・人間関係など項目別の満足度を分けて質問することで、改善点を明確に把握できます。

質問は抽象的な表現を避け、「どの点に満足・不満を感じますか?」のように具体化してください。

ブランド・サービス認知に関する質問例

自社や採用ブランドの認知度を測る際は、「知っている/聞いたことがある/知らない」など段階的に確認しましょう。いきなり自社名を提示するのではなく、「知っている企業をすべて選んでください」と自然に認知を確認する流れが効果的です。

また、回答順序を無作為表示にすることで、バイアスを避けられます。ブランドの認知経路は「求人サイト」「SNS」「口コミ」など複数選択形式で尋ね、ブランドイメージは「信頼できる」「挑戦的」など印象語を選択式にしましょう。

自由回答の書き方例

自由回答では、「改善点」や「印象」など、回答者の考えを引き出す具体的な質問を設定しましょう。

記述欄の前に「例:対応スピード、説明のわかりやすさ」など回答の方向性を示すと記入しやすくなります。自由回答は1〜2問に絞り、回答負担を軽減することが重要です。

最後に「ご協力ありがとうございました」と感謝文を添えることで、回答者の印象が良くなります。

【活用シーン別】企業が行うアンケートの種類

アンケートは対象者によって得たい情報が異なるため、調査内容や設問設計も大きく変わります。

採用候補者、社員、顧客といった対象が変わるだけで、求められる設問の深さや形式、配慮すべきポイントも異なります。シーンごとに適切なアンケートを設計することで、データの精度を高めながら、改善に直結するインサイトを得られます。

ここでは、企業がよく実施する主要なアンケートの種類と特徴を紹介します。

採用候補者・応募者向けアンケート|適性検査・選考体験

採用プロセスにおける改善点を把握するため、面接後アンケートなどで「対応満足度」「説明の明確さ」「企業理解度」などを調査しましょう。

定量設問として「担当者の説明はわかりやすかったですか(5段階)」を設定し、定性設問では「選考を通して感じた改善点をお聞かせください」のように具体的な意見を収集します。

回答時間は3分以内、設問数は5問以内に抑えることがおすすめです。また、回答者への感謝と目的(採用改善・候補者体験向上)を冒頭に明示することで、協力してもらいやすくなります。

社員向けアンケート|満足度・エンゲージメント

社員向けアンケートは、離職防止や定着率改善、組織風土の把握が目的です。「職場の働きやすさ」「上司とのコミュニケーション」「業務量の適正」など項目を明確にし、5段階評価と自由回答を組み合わせることで実態を把握しやすくなります。

回答は匿名性を担保し、心理的安全性を確保することが必須です。アンケート結果は社内施策(教育や配置転換など)に活用する旨を冒頭で説明すると、社員の協力を得やすくなります。

顧客・取引先向けアンケート|サービス満足度

顧客や取引先向けのアンケートでは、「サービス向上のためのご意見をお聞かせください」など調査目的を冒頭で明記します。質問項目は「対応スピード」「担当者の専門性」「契約手続きのわかりやすさ」などが代表的です。

定量評価と自由記述を組み合わせることで、改善点をより深く把握できます。回答率を高めるために、謝礼やインセンティブを設定すると効果的です。集計後は傾向を分析し、次年度の施策に反映させましょう。

アンケートを作成するときの4つの注意点

アンケートは、正確なデータと高い回答率を両立するために、設問数や文面、回答負担など細かな工夫が欠かせません。

設計が不十分だと、回答者に負担がかかり、途中離脱や回答の偏りが増加してしまいます。一方で、質問量の最適化や中立的な表現の徹底、プライバシー配慮などを適切に行うことで、信頼性の高いデータを効率よく収集できます。

ここでは、アンケート作成時に押さえておきたい4つの注意点を紹介します。

設問数を増やしすぎない(理想は10〜15問以内)

アンケートは設問数が多くなるほど回答者の集中力が低下し、回答精度が落ちやすくなります。特に15問を超えると負荷が大きくなるため、できるだけ10〜15問以内に収めることが理想的です。

また、1回のアンケートが5分程度で回答できるボリュームに抑えることで、離脱率を防ぎやすくなります。マルチアンサー形式の場合は、選択肢を10項目以内に収めると回答負担が軽減されます。

誘導的・感情を揺さぶる質問を避ける

回答を特定の方向に誘導する質問は、データの信頼性を損なう原因です。「〜すべきと思いませんか?」のような誘導的な表現や、「重要性が高まる中で〜」といった前提条件を含む文章は回答の偏りにつながるため避けましょう。

また、感情を刺激する表現や価値判断を含む質問も避ける必要があります。質問文は中立的かつ具体的に整え、曖昧な言い回しや主観的な語句を排除することで、より正確な回答が得られます。

プライバシー配慮と個人情報保護を明記する

アンケートでは個人情報を扱うため、回答前に「個人情報の取扱い」や「利用目的」を明示することが信頼性の向上につながります。必要以上の個人情報(住所や電話番号など)は取得しないことが基本です。

また、回答データの利用範囲を明確にし、「特典発送以外に利用しない」などの記載を添えると安心感を高められます。総務省のガイドラインに準拠した安全管理体制を示し、責任者の設置や漏洩防止策を記載することで、回答者が安心して協力しやすくなります。

回答テストを実施して精度を確認する

アンケートを公開する前には、必ず自分や社内メンバーで回答テストを行い、設問のわかりにくさや重複、誤字脱字を確認します。専門用語の混在や誘導的な表現がないかをチェック項目として設けることで、精度の高いアンケートに仕上げましょう。

さらに、回答時間や操作性、選択肢の網羅性についても実際に検証することが必要です。事前テストによって問題点を改善すると、回答率の向上と離脱率の低減が期待できます。


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