- 更新日 : 2025年9月22日
入社手続きを効率化するには?書類のペーパーレス化で担当者の負担を軽減する方法を解説
入社手続きは、人事担当者にとって時間と手間がかかる業務です。書類のペーパーレス化やWeb手続きへの移行は、もはや特別なことではありません。スマホで手続きが完了する仕組みやクラウドシステムの活用により、担当者の作業時間を大幅に削減します。
この記事では、入社手続きを効率化するための具体的な方法を解説します。無料で始められる方法も紹介しますので、自社に合った効率化の方法を見つけていきましょう。
目次
入社手続きの効率化が求められる理由
現代の企業経営において、入社手続きの効率化は単なる業務改善ではなく、企業競争力にも関わる重要なテーマです。
多様な働き方への対応
リモートワークや地方在住者の採用が当たり前になり、入社手続きのためだけに出社を強いるのは、新入社員にとって大きな負担です。Webやスマホで手続きが完結する仕組みは、時間や場所の制約をなくし、入社初日からの円滑な業務開始を後押しします。このような配慮は従業員満足度を高め、早期離職の防止にも繋がります。
頻繁な法改正への対応
労働関連法規や個人情報保護法、電子帳簿保存法など、企業が守るべき法律は年々複雑になっています。紙の書類管理では、記入漏れや回収の遅れ、紛失といったリスクが伴います。入社手続きを電子化・システム化すれば、入力内容の自動チェックや提出状況の一元管理ができ、人為的なミスを防ぎます。これにより、法令を確実に守る体制を構築できます。
人事担当者の負担軽減
書類の印刷、配布、回収、チェック、ファイリングといった一連の作業は、人事担当者の多くの時間を費やします。これらの定型業務をシステムで自動化できれば、担当者は採用戦略の策定や人材育成、組織開発といった、より創造的で付加価値の高い仕事に集中できます。限られた人材を有効に活かすことは、企業全体の生産性向上に直結する重要な経営判断です。
入社手続きを効率化する具体的な方法
ここでは、入社手続きの効率化を実現するための具体的な3つのステップを紹介します。
1. 書類の電子化によるペーパーレス化の推進
まず着手すべきは、雇用契約書や身元保証書、各種誓約書といった入社書類の電子化です。PDFでの送付や電子署名の活用により、紙を完全になくすことが可能です。ペーパーレス化は、印刷代や郵送費、保管スペースといった物理的なコストをなくすだけでなく、書類を探す時間や管理の手間も大幅に減らします。データを一元管理することで、必要な情報へすぐにアクセスできる環境が整います。
2. スマホで完結するWeb手続きの導入
新入社員が日常的に使うスマホを活用し、入社手続きをWeb上で終わらせる仕組みを構築します。専用の入力フォームを用意すれば、新入社員はいつでもどこでも個人情報の入力や必要書類のアップロードができます。これにより、書類の回収率が上がり、担当者が催促する手間がなくなります。シンプルな操作画面のシステムを選べば、ITに不慣れな人でも迷わず手続きを進められます。
3. クラウドシステムの活用
入社手続きに特化したクラウドシステムを導入することは、効率化への近道です。多くのシステムは、書類作成から配布、回収、管理までを一つのプラットフォーム上で実行できます。特に、無料または安価なプランを提供しているサービスから試してみるのが良いでしょう。クラウド型であるため、法改正への対応も自動で更新され、常に最新の状態で使える安心感があります。自社の規模や必要な機能を見極め、最適なシステムを選びましょう。
入社手続きを効率化するシステムの選び方
効率化を目指してシステムを導入したものの、使いこなせなければ意味がありません。自社にとって本当に価値のあるシステムを選ぶためには、いくつかの重要な視点があります。
無料トライアルで操作性を確認する
システムの導入を決める前に、必ず無料トライアルやデモを利用し、人事担当者と新入社員、双方の視点から使いやすさを確認しましょう。管理画面は直感的で分かりやすいか、新入社員が迷わず入力できる設計になっているか、といった点は特に重要です。実際に触れてみることで、資料だけでは分からない使用感を確かめ、導入後のミスマッチを防ぎます。
セキュリティ対策が万全か確認する
入社手続きでは、マイナンバーをはじめとする重要な個人情報を大量に扱います。そのため、システムのセキュリティ対策が万全であることは絶対条件です。通信の暗号化(SSL/TLS)、IPアドレス制限、二要素認証、そしてプライバシーマークやISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証の取得状況などを必ず確認してください。信頼できるセキュリティ体制が、企業の信用を守ります。
既存システムと連携できるか確認する
すでに利用している勤怠管理システムや給与計算システム、人事データベースなどがある場合、それらと円滑に連携できるかも重要な選定基準です。入社手続きシステムで集めた従業員情報を、手作業で他のシステムに再入力するのはとても非効率です。API連携などによってデータが自動で同期される仕組みがあれば、二重入力の手間をなくし、データの一貫性を保てます。
入社手続きの効率化で、企業成長を加速させましょう
入社手続きの効率化は、単なる業務改善を超え、企業の成長を支える戦略的な一手です。ペーパーレス化を進め、スマホやWebを活用したクラウドシステムを導入することで、人事担当者の負担を大きく減らします。そこで生まれた時間は、採用力の強化や人材育成といった、企業の将来を創る活動に振り向けられます。
また、円滑で現代的な手続きは、新入社員に良い第一印象を与え、組織への帰属意識を高めることにも繋がります。まずは無料プランのあるシステムを試すなど、小さな一歩から始めてみてはいかがでしょうか。その一歩が、組織全体の生産性を高め、競争力を確立する大きな力となるはずです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
就業規則の確定拠出年金の記載例・ひな型|退職金規程の変更や届出時の注意点も解説
近年、従業員の老後資産形成を支援する福利厚生として、確定拠出年金(DC)制度を導入する企業が増えています。制度を導入する際には、退職金や賃金に関わる労働条件としての就業規則への適切な規定が、確定拠出年金法および労働基準法上も求められます。 …
詳しくみる退職届の効力はいつ発生する?2週間前までの提出ルールや無視された時の対処法も解説
退職届を提出しようと考える時、「本当にこれで辞められるのだろうか」「いつから法的な効力が発生するのか」といった不安がよぎるものです。特に、会社から強く引き止められたり、就業規則を盾に退職を認めないと言われたりすると、その不安は一層大きくなる…
詳しくみるフリーランスは産休がない?給付金や支援、保育園の利用について解説
フリーランスには、会社員のように法律で定められた産休・育休制度はありません。しかし、だからといって何の支援も受けられないわけではありません。フリーランスや個人事業主であっても、出産や育児の際に利用できる公的な給付金や支援制度があります。 こ…
詳しくみるブルーカラーとは?ホワイトカラーとの違いや仕事内容
ブルーカラーは、工場や建設現場などで働く労働者を指します。かつて、業場で働く従業員が青い襟のついた作業着を着用していたことから、肉体労働者をブルーカラーと呼ぶようになりました。決して差別用語ではなく、派生語にはゴールドカラーやメタルカラー、…
詳しくみるサードプレイスとは?場所はどこがよい?意味や定義も解説
サードプレイスとは、家庭や職場とは異なる「第三の場所」という意味です。日々のストレスから解消され、自分らしく過ごせる場として、家庭や職場以外でリラックスができる居場所が必要だという考え方もあって注目されています。 ここでは、サードプレイスの…
詳しくみる労働条件通知書を電子化する際の要件や注意点を解説
使用者には、労働者と労働契約を締結する際に給与等の労働条件を明示する義務があります(労働基準法15条1項)。労働条件通知書とは、労働条件を明示するために用いられる書面です。平成31年4月1日から、一定の要件のもと労働条件通知書を電子化して交…
詳しくみる