- 更新日 : 2025年2月28日
20代で2回目の短期離職は厳しい?転職活動での注意点も解説
20代で短期離職を2回経験してしまい、今後のキャリアに不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。この記事では、短期離職を繰り返してしまう理由やキャリアへの影響、転職活動で気を付けるべきポイントなどを解説します。この記事を読めば、短期離職を乗り越えて前向きに転職活動を進めるための具体的な対策と心構えがわかります。
目次
短期離職とは
明確な定義はありませんが、一般的には「就職後3年未満で退職すること」を短期離職と呼ぶ傾向があります。企業によっては在職半年以内の退職でも短期離職とみなすケースがあります。かつては「最低3年は働くべき」という風潮もあり、現在でも就業期間が極端に短い退職は多くの企業でネガティブに捉えられがちです。
厚生労働省の調査によれば、新卒で入社した社員が3年以内に離職する割合は大卒で約31.5%、高卒で約35.9%にのぼります。つまり、新卒の3人に1人程度は入社3年以内に会社を辞めている計算です。また、入社1年以内に離職する人の割合は大卒で約10%、高卒で約15%程度とされ、1年未満で辞めるケースは少数派です。このように短期離職自体は珍しいことではないものの、20代のうちに複数回繰り返すことは平均より多い転職回数となります。
短期離職を繰り返す人に対して企業は慎重な目を向けます。採用担当者は「またすぐ辞めてしまうのではないか」と不安を感じやすく、短期離職そのものが転職市場ではほとんどの場合ネガティブな評価につながります。一人の採用には数十万~数百万円のコストがかかるため、企業はできるだけ長く勤務してくれる人材を求める傾向が強いのです。このため、「短期間で辞めがちな人」と見られると選考で不利になりやすいのが現状です。
20代で2回目の短期離職をする理由
20代で短期離職を繰り返してしまう人には、いくつか共通する理由があります。代表的な理由を整理してみましょう。
仕事内容や職場環境のミスマッチ
面接時に聞いていた仕事内容と実際の業務内容にギャップがあったり、労働時間や休暇など労働条件が合わなかったりするケースです。例えば「残業が想定以上に多かった」「有給休暇が取りづらい」などの環境要因で早期退職に直結することがあります。また、「仕事が単調すぎてやりがいを感じられなかった」「逆に責任やノルマが重すぎて精神的に耐えられなかった」といった仕事内容への不満もミスマッチの一種です。
キャリアプランや目標が不明確
自分のキャリアの方向性が定まらないまま何となく就職し、「やりたいことと違った」「このままでいいのか」と悩んで退職してしまうケースです。自己分析やキャリア設計が不十分だと、自分に向いていない仕事に就職してしまい、後から「こんなはずではなかった」と感じて短期離職につながりやすくなります。明確な軸がないまま転職を重ねると、結果的にまたミスマッチを起こしやすくなってしまいます。
人間関係のトラブル
上司や同僚とうまくいかない、人間関係のストレスで心身に不調をきたした、といった理由も20代の離職理由としてよく挙がります。特にパワハラやいじめなど深刻なケースでは、短期間であっても退職を決断する人が少なくありません。人間関係はどの年代でも離職理由の上位になりますが、若手の場合は社内で相談先が少なく、我慢せず早めに辞めてしまう傾向もあります。
給与・待遇への不満
20代の離職理由として見逃せないのが収入面です。ある調査では「給与が低い」が短期離職理由の第1位となっています。同世代の友人や同業他社と比べて収入が見劣りしたり、将来的な昇給が見込めないと判断したりして転職に踏み切るケースです。また福利厚生など待遇面への不満も、早期退職のきっかけとなります。
以上のように、仕事内容・職場環境のミスマッチ、将来のビジョンの不明確さ、人間関係、待遇面などが絡み合って20代での2回目の短期離職につながることが多いです。一度目の離職理由を十分に解消できないまま次の職場を選んでしまうと、同じ理由で二度目も早期退職…という悪循環に陥りがちです。
20代で2回目の短期離職をしてしまう人の特徴
では、短期離職を繰り返してしまう人にはどんな共通点があるのでしょうか。20代で2回目の短期離職を経験してしまう人に見られがちな特徴を整理します。
なんとなくで就職先を選んでしまった
自分の強み・弱みや適性を十分に考えず、「なんとなく」で就職先を選んでしまった人は、入社後に「思っていた仕事と違う」と感じて早期退職につながりやすい傾向があります。これはキャリアの軸が定まっていないことにも通じ、就職活動時にしっかり自己分析をしていないまま企業を選ぶとミスマッチが起こりやすくなります。
企業や求人選びの軸が曖昧
たとえば「有名企業だから」「給与が高いから」といった一つの要素だけで飛びついてしまい、自分の価値観に合う社風か、働き方は許容できるか等を深く検討していないケースです。譲れない条件を明確にせず理想ばかり求めてしまうと、いざ働いたときに「ここは自分に合わない」と感じてしまう可能性が高まります。完璧な職場を求めすぎるあまり、どこに行っても不満を感じてしまうタイプともいえるでしょう。
短期離職の影響を深く考えていない
今の不満や辛さから「とにかく辞めたい」という気持ちが先行し、短期離職がキャリアに与える影響を深く考えていない人もいます。その結果、衝動的に退職を繰り返してしまいがちです。長期的に見れば短期離職の繰り返しは不利になる場面が増えることを理解できていないと、20代のうちに何度も離職を重ねてしまう恐れがあります。
問題と向き合わず逃げてしまう
仕事で壁にぶつかったとき、社内の人に相談したり自分なりに解決策を模索したりする前に「もう辞めよう」と考えてしまう傾向です。特に人間関係のトラブルなどで自分から働きかけて改善しようとせず早々に離職を選択する人も、短期離職を繰り返す特徴と言えます。もちろん深刻なハラスメントの場合は無理に耐える必要はありませんが、小さな不満でも我慢できずリセットを図るクセがつくと転職歴が増えてしまいます。
以上のような特徴に心当たりがある場合、まずは自分の傾向を客観的に捉えることが大切です。「理想通りの完璧な職場でなければ嫌だ」という極端な思考や、「嫌になったらすぐ辞めればいい」という短絡的な行動パターンは、結果的に自分のキャリアを停滞させかねません。逆に言えば、こうした点を改善することで短期離職の悪循環から抜け出すことが可能になります。
20代の2回目の短期離職が転職活動に与える影響
20代で短期離職を2回経験していると、履歴書や職務経歴書の段階で採用担当者の目に留まります。一般的に転職回数が増えるほど選考で不利と言われますが、とりわけ在職期間の短い転職が続いている場合は「またすぐに辞めてしまうのでは」と警戒されがちです。ここでは、20代の2回目の短期離職が転職活動に与える影響を解説つます。
3回目の短期離職を懸念される
短期間で離職した事実から、「採用しても同じように短期間で退職するのではないか」と考えられます。企業の人事担当者としては、採用コストや教育コストを回収できないまま辞められるのが一番避けたい事態のため、このリスクを最も気にします。
重要な仕事を任せてもらえない
また、一般的な企業文化では、数年は勤め上げることが責任感の表れと見なされる傾向があります。それより明らかに短い期間で辞めていると、「困難からすぐ逃げてしまうのでは」「一つの職場で粘り強く成果を出す姿勢に欠けるのではないか」と疑われます。結果として、重要な仕事を任せにくいと判断されたり、面接で落とされてしまうケースもあります。
対人スキルが低いと思われる
短期離職を繰り返していると、「どこの組織に行っても人間関係がうまく築けない人ではないか」という印象を持たれることもあります。コミュニケーション能力や協調性に課題があり、職場に馴染めず退職しているのではと推測されるためです。企業は組織にプラスの影響を与えてくれる人材を求めるため、組織適応力の低さを懸念されると不利になります。
20代で2回目の短期離職をした人が転職活動するときの注意点
2回の短期離職を経験したからこそ、次の転職では同じ失敗を繰り返さないことが最優先です。ここでは、20代で短期離職を繰り返した人が転職活動する際に注意すべきポイントを解説します。
自己分析を徹底する
まず取り組みたいのが自己分析の徹底です。短期離職を防ぐには、自分に合った仕事や職場を選ぶ必要があり、そのためには自分自身の理解を深めることが欠かせません。過去の経験を振り返り、「どんなときにやりがいを感じたか」「どんな環境だと力を発揮できたか」「逆にどんな状況でストレスを強く感じたか」を整理しましょう。自分の強み・弱み、価値観や興味のある分野を洗い出すことで、次に選ぶべき仕事の条件が見えてきます。
自己分析ができていると、応募段階で「自分に向いていない仕事」をある程度見極められるようになります。結果としてミスマッチによる早期退職を防ぐことにつながります。もし一人で自己分析が難しければ、キャリアカウンセリングや就職エージェントのサービス、適職診断ツールなどを活用するのも一つの方法です。自分自身を知ることが、再び短期間で辞めないための土台になります。
企業選びの基準を明確にする
次に、企業選びの軸を明確に定めることが重要です。前回までの転職活動で「軸がぶれていた」と感じる人は、ここを改善しましょう。具体的には、「これだけは譲れない」という条件を1つか2つ挙げ、それ以外の要素には優先順位を付けておくことです。たとえば「営業職として◯◯のスキルを積めることが最優先」「勤務地は問わないが土日休みは確保したい」等、自分なりの基準を設定します。
こうすることで、求人を見る際に何を重視すべきかがはっきりし、誘惑に流されにくくなります。企業の知名度や年収といった表面的な条件だけで判断せず、自分の基準に合致するかどうかで絞り込むことが大切です。また応募前に企業研究も十分行いましょう。公式サイトや求人票の情報だけでなく、社員のクチコミ、業界内の評判、面接で質問すべき点などを調べておくと入社後のギャップを減らせます。時間をかけて調べるのは大変ですが、その分「聞いていた話と違う…」というミスマッチを避け、長く働ける職場に巡り合える可能性が高まります。
転職理由を整理しポジティブに伝える
短期離職を経験した人の転職理由の伝え方は、転職活動の成否を左右すると言っても過言ではありません。面接官は必ずと言っていいほど「前職を短期間で辞めたのはなぜか」を確認してきます。その際、伝える理由はできるだけ前向きな内容になるよう工夫しましょう。
ポイントは、ネガティブな本音をそのまま話すのではなく、ポジティブな表現に言い換えることです。嘘をつく必要はありませんが、「前の会社が◯◯で嫌だった」とそのまま言うと言い訳に聞こえがちです。代わりに「◯◯な職場環境で自分の強みを活かしたいと思い転職を決意した」のように、自分の成長意欲や前向きな動機に結び付けます。また、2回の離職から学んだことや、次はどう根気強く頑張るつもりかも伝えられるとベターです。「短期離職を繰り返してしまった反省から、次は△△という点を重視して企業選びをしました」のように話せれば、面接官に再発防止の努力が伝わり好印象を与えられるでしょう。
20代で2回目の短期離職をした人を採用するポイント
企業の人事担当者は、短期離職を繰り返した応募者を採用するか判断する際に、以下のようなポイントを考慮します。これは裏を返せば、求職者側がどのように評価されるかを知るヒントにもなります。
短期離職の理由を理解する
良心的な採用担当者であれば、応募者が短期離職に至った経緯を詳しく確認しようとします。「なぜ辞めたのか」「環境要因か本人要因か」「繰り返さないために何を学んだか」などを面接で掘り下げ、単なる印象だけで判断しないよう努めます。応募者側としては、ここで納得感のある説明をすることが重要です。企業側は短期離職の理由次第で評価を変えることも多いため、背景を理解してもらえるよう事実を整理して伝えましょう。
本人の適性やポテンシャルを重視する
特に20代の採用では、「これまでの経歴よりもこれから伸びる可能性」を見てくれる企業もあります。人事担当者は短期離職という事象だけでなく、応募者の持つスキルや人柄、仕事への意欲を総合的に評価しようとします。「短期間で転職している=ダメ」というステレオタイプにとらわれず、「うちの会社で活躍できる人材か?」という視点でポテンシャルを測ります。求職者にとっては、自身の強みや意気込みをしっかりアピールすれば、短期離職歴を補って余りある評価を得られる可能性があるということです。
企業文化や職種とマッチするかを確認する
人事担当者は、再び短期で辞められては困るため、応募者が自社のカルチャーに合うかを慎重に見極めます。面接での受け答えや価値観の質問などを通じて、「うちの風土でこの人は長く働けるか?」を判断しようとします。求職者に対しては「前職ではどんな職場が合わなかったのか」「次はどういう環境で働きたいか」といった質問が投げかけられ、その答えと自社の特徴を照らし合わせています。ここでミスマッチの予感があると人事は採用を見送るでしょう。逆に言えば、応募先の社風に合った人材だと感じてもらえれば内定につながりやすいので、自分の価値観と応募企業の理念や風土がマッチしていることをアピールするのも有効です。
3回目の短期離職の心配がないか確認する
二度あることは三度あるとならないよう、人事担当者は応募者が短期離職を繰り返さないか確認します。具体的には、「過去の離職から学んだことは何か?」「困難があっても踏ん張れる覚悟があるか?」といった点です。面接で「今度は長く働けますか?」と直接聞かれることは少ないかもしれませんが、志望動機やこれまでの反省点などを通じて応募者の本気度を探っています。「次こそは一人前になるまで踏みとどまる」という強い意志が伝われば、人事側も安心材料とするでしょう。
短期離職の経験を学びに変えて転職活動を成功させましょう
短期離職はマイナスに感じられるかもしれませんが、その経験から学んだことを活かせば必ず次のキャリアに役立てることができます。大切なのは同じ過ちを繰り返さないことと、常に成長する姿勢を示すことです。この記事のポイントを踏まえつつ、ぜひ前向きな気持ちで転職活動に臨んでみてください。きっと自分にマッチする職場で、腰を据えて働きキャリアを築いていく道が開けるはずです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
KGI・KPIの違いとは? 意味や目標達成への設定方法をわかりやすく解説
KGIとKPIはどちらも定量的な指標で、KGIは最終目標を、KPIは中間目標を計測するものです。1つのKGIに対し複数・多階層のKPIが存在するため、KPIツリーを作成すると両者の関係がわかりやすくなるでしょう。本記事では、KGIとKPIの…
詳しくみる男女雇用機会均等法とは?禁止事項や差別・違反の具体例、企業が行うべき対策
1985年に成立(翌1986年に施行)した男女雇用機会均等法は、職場における男女の均等な取扱いや待遇等を規定した法律です。この法律では、性別を理由とする差別の禁止や、不利益取扱いの禁止等が定義されています。 本記事では、男女雇用機会均等法の…
詳しくみる新卒採用にAIを活用する方法とは?メリット・デメリット、企業事例、注意点などを解説
AI技術の進化に伴い、新卒採用の現場でもAIを活用する企業が増えています。AIを活用することで、書類選考や面接対応を効率化し、公平な採用プロセスを実現できます。本記事では、AIを活用した新卒採用の基本的な仕組みや、具体的な導入方法について解…
詳しくみる【テンプレート付き】口座振込労使協定とは?作成方法を解説!
かつて、給与は現金の手渡しで支給されていました。給料日には1カ月間の働きに対する報酬を封筒で受取り、その有り難みを感じていました。 今は、給与は銀行口座への振込が当たり前になっています。では、事業主側は一方的に給与の支払を口座振込にすること…
詳しくみる人事制度とは?見直しのタイミング、設計に必要な3本の柱を解説
人事制度の重要な柱は「等級制度」と「評価制度」「報酬制度」です。企業を取り巻く環境が変化したとき、人事制度の見直しが必要になるケースもあります。 本記事では、人事制度を構成する3本の柱について解説します。人事制度の目的や見直しの方法・タイミ…
詳しくみる1on1とは?ミーティングの目的と方法を解説!
1on1とは、上司と部下が1対1で話し合うミーティングをいいます。対話を通じて部下が自分で悩みや問題点の解決方法を考える機会を与え、成長を促すのが主な目的です。 部下が主体的に話ができるのが理想です。1対1で話す場合、話題に困ってしまうこと…
詳しくみる