- 更新日 : 2025年8月26日
離職票をもらうには、賃金台帳を何ヶ月分提出する?必要な書類をわかりやすく解説
離職票を申請する際は、離職日から遡って 11日以上出勤した月の6ヶ月分の賃金台帳の提出が求められます。賃金台帳を提出するのは、離職証明書の作成に必要な情報を正確に記載するためです。とくに賃金額や勤務状況が記録されている重要な書類です。
本記事では、離職票をもらうためには賃金台帳を何ヶ月分提出するかを徹底解説します。記事内では、必要な書類についても解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
離職票とは
離職票とは、離職したことを証明する書類であり、「雇用保険被保険者離職票」といいます。失業手当を受給申請する際に必要で、退職者がハローワークに提出します。
離職票は、退職後、会社を通じて交付されることが一般的です。離職票には、退職理由や賃金情報が記載されており、受給資格の審査に用いられます。
下記では、離職票についてさらに具体的に解説します。
退職者が失業手当を受給したい場合に必要な書類
離職票は、失業手当を受給したいときに必要な書類です。離職日の翌日から申請でき、居住地に管轄するハローワークに提出し、同時に求職の申し込みをすることで失業手当の申請が可能になります。
離職票は、退職者が希望すれば会社が発行手続きを進める義務があります。退職後、離職票が発行されるまでには通常2〜3週間程度かかるため、注意が必要です。
退職者が失業手当を受給するには、離職票を提出する必要があるため、手元に届いていない場合は会社またはハローワークに問い合わせることが重要です。
会社がハローワークからもらい退職者に交付する
離職票は、会社が発行するものではなく、ハローワークが発行するものです。そのため、会社は退職者の情報や賃金状況などを正確に記載した離職証明書をハローワークに提出します。
ハローワークは、離職証明書の内容を基に内容を確認し、問題がなければ離職票を発行します。その後、会社が退職者に離職票を交付し、退職者はそれを利用して失業給付の申請を行う流れです。
ただし、すでに再就職や起業することが決まっている場合は、失業していると認められないため、失業給付の支給対象外となります。支給対象外の場合は、離職票は不要であることも覚えておきましょう。
離職票を請求された場合、ハローワークに提出する書類
退職する従業員から離職票を請求された場合、事業主はハローワークに書類を提出しなければいけません。必要な提出書類は下記のとおりです。
- 離職までの賃金支払いの状況を確認できる書類
- 離職理由が確認できる書類
離職までの賃金の支払いを確認できる書類は、出勤簿や賃金台帳、労働者名簿などです。賃金支払いを確認できる書類により、従業員が退職までどれだけ働いたか、支払われた賃金の額を確認できます。
また、離職理由を確認できる書類は、下記のとおりです。
- 退職届
- 労働契約書
- 契約更新の通知書
- 雇入通知書
- 就業規則
- 解雇予告通知書
- 退職証明書
上記の書類は、離職理由によりハローワークに提出すべき書類が異なります。たとえば、自己都合退職や会社都合退職など、退職理由に基づいて適切な書類を提出する必要があります。
ハローワークに提出すべき書類は、個人の状況により異なるため、正確に準備することが重要です。
ハロ-ワークへ提出するために、賃金台帳は何ヶ月分必要?
離職票を交付するためにハローワークへ提出が必要な賃金台帳は、離職日から遡って11日以上出勤した月の6ヶ月分です。
賃金台帳は、退職者が直近の給与状況を正確に把握するための重要な書類で、失業保険の給付額を算出するためにも使用されます。
ただし、万が一に備えて、少し多めの期間分を用意しておくことが推奨されています。たとえば、少し多めの8ヶ月分程度を用意しておくと、提出時に不足している書類を補うことが可能です。
賃金台帳をしっかり用意しておくことで、退職者の手続きがスムーズに進みます。そのため、離職票を発行してもらうためにも、ハローワークに6ヶ月分の賃金台帳を提出できるように事前準備しておくことが重要です。
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賃金台帳は他の書類で代用できる?
賃金台帳は、労働者に支払われた賃金の詳細や支払い状況を記録するものです。賃金台帳が求められるのは、労働基準法第108条に賃金台帳の作成義務が定められているほか、労働基準監督署の監査時や労働者との賃金トラブル防止を目的としています。
事業主が離職票をハローワークから発行してもらう手続きの際にも必要ですが、賃金台帳の代わりに利用できるものもあります。
たとえば、出勤簿(タイムカード)や労働者名簿は、賃金台帳と同様に労働者の勤務日数や賃金の支払い状況を確認できる資料として利用可能です。出勤簿には、勤務日や勤務時間、残業時間などが記載されており、賃金台帳の代わりに賃金が支払われていることを証明できます。
また、労働者名簿も、従業員の氏名や雇用状態などを記録しており、賃金台帳の補完資料として使える場合があります。
ただし、代用できるかどうかは、監査機関や具体的な状況により異なるため注意が必要です。もっとも確実な方法は、法的に求められる賃金台帳を適切に作成・保存することです。
そのため、普段から従業員の賃金台帳を作成・保管しておきましょう。
離職票を発行してもらうために賃金台帳を事前に準備しておこう
離職票を発行してもらうためには、ハローワークへ賃金台帳を提出する必要があります。ハローワークに提出すべき賃金台帳は、離職日から遡って11日以上出勤した月の6ヶ月分です。
事前に賃金台帳を準備しておくことで、スムーズに離職票を取得でき、失業手当を早期に受け取ることが可能になります。とくに、賃金の支払い状況が明確でないと、離職票の発行が遅れることもあるため、退職前の管理が重要です。適切な準備をして、退職後の手続きをスムーズに進めましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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