• 更新日 : 2026年3月31日

メンバーシップ型雇用とは?向いている企業やジョブ型との違い、企業事例

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メンバーシップ型雇用とは、労働条件を限定しない雇用方法です。日本では一般的に採用されていますが、近年では海外で採用されているジョブ型雇用に移行する企業も出てきています。

この記事では、メンバーシップ型雇用の概要やジョブ型雇用との違いとともに、メリット・デメリットや向いている企業、企業事例について解説します。

メンバーシップ型雇用とは?

メンバーシップ型雇用とは、業務内容や勤務時間、勤務地などを限定しない雇用方法です。終身雇用を前提としており、採用時点での能力よりも、ポテンシャルを重視して採用します。異動や転勤、ジョブローテーションを繰り返しながら、長期的な視点で社員を育成します。

社員個人に仕事を割り当てる考え方のため、異動や転勤は当たり前です。新卒一括採用を行う企業では、メンバーシップ型雇用が一般的です。昇進は年功序列によって決められることが多く、日本独自の雇用システムといえます。

メンバーシップ型雇用が日本で普及した背景

メンバーシップ型雇用が日本で普及した背景として、高度経済成長期の影響が挙げられます。高度経済成長期は大量生産・大量消費の時代であり、労働力が必要とされていました。

労働力を求める大企業は、新卒者を一括で大量に採用し、長期的に教育することにより、生産量を増やそうとします。その採用方法や教育方法に適した雇用方法が、メンバーシップ型雇用でした。年功序列を重んじる日本の文化と合っていたことも、メンバーシップ型雇用が普及した理由といえるでしょう。

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メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用の違い

メンバーシップ型雇用と対極の雇用形態にジョブ型雇用が挙げられます。ジョブ型雇用とは、業務内容や範囲、勤務地などの労働条件を職務記述書に定義したうえで雇用契約を締結する雇用方法です。メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用の違いは、以下のとおりです。

項目 メンバーシップ型雇用 ジョブ型雇用
業務と人との関係性 ・在籍している従業員に業務を振り分ける
・会社の都合によって業務内容が変化する
・存在している業務を遂行できる人材を採用する
・会社の都合によって採用する人材が変化する
求められる人物像 総合的な能力を持ったゼネラリスト 専門分野に特化したスペシャリスト
業務内容 明確化されていない 職務記述書により明確化されている
異動・転勤 あり 原則なし
労働契約 終身雇用 終身雇用ではない
採用基準 ・企業の求める人物像に合っているか
・長期間勤続できそうか
企業が求める業務を遂行できる能力を持っているか
評価基準 年齢や勤続年数、業務の成果 スキルや業務の成果
報酬制度 年齢や在籍年数によって人事考課時に報酬が変わる 業務の成果によって、契約更新時に報酬が変わる
キャリア 企業に求められる能力を向上させ、社内での昇進を目指す ・専門性を高め、契約条件の見直しを図る
・より良い条件の企業と契約する
教育方法 企業側が主体となって教育する 従業員側が主体となってスキルを高める

労働条件が職務記述書で定められているため、原則として異動や転勤はありません。海外で広く浸透しており、近年では日本でも導入する企業が出てきました。

メンバーシップ型雇用が「人に仕事を割り当てる雇用方法」であるのに対し、ジョブ型雇用は「仕事に人を割り当てる雇用方法」といえるでしょう。

海外はジョブ型雇用が中心

海外では、ジョブ型雇用を採用している企業がほとんどです。その理由として、新卒の一括採用が困難であることが挙げられます。例えばオランダでは、日本と異なり大学の卒業時期が人によって異なるため、同じ時期にまとまった人数の採用ができず、中途採用がメインです。

また海外では曖昧さを避けるため、契約文化が浸透しており、雇用契約も例外ではありません。中途採用がメインとなることや契約内容の曖昧さを回避するため、海外では必然的にジョブ型雇用が多いです。

メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用に求められる人

メンバーシップ型雇用と、ジョブ型雇用では、求められる人物像が異なります。メンバーシップ型雇用では、長期間自社に貢献できる人材が求められるため、スキルとともに人柄や考え方などの将来を見据えた特性も評価されます。

一方、ジョブ型雇用は今存在する業務を遂行できる人材が求められるため、将来を見据えた特性は重視されません。あくまでも、業務を遂行できるスキルや経験を求められます。

メンバーシップ型雇用のメリット

メンバーシップ型雇用には、企業側と従業員側の双方にメリットがあります。主なメリットは以下のとおりです。

  • 【企業側】長期に人材育成ができる
  • 【企業側】柔軟な人員配置ができる
  • 【従業員側】雇用が安定している
  • 【従業員側】マルチなスキルが身につく
  • 【従業員側】人脈が広がる

ここでは、それぞれのデメリットについて解説します。

【企業側】長期に人材育成ができる

メンバーシップ型雇用の企業側のメリットとして、長期に人材育成ができることが挙げられます。メンバーシップ型雇用は、終身雇用を前提としているため、年単位で部署を異動して経験を積ませたり、研修を受けさせたりといった育成計画を立てられます。

さまざまな業務を経験することにより、自社の業務に精通したゼネラリストや幹部候補も育成できるでしょう。自社の将来を担う人材を育成できることは、企業側にとって大きなメリットといえます。

【企業側】柔軟な人員配置ができる

柔軟な人員配置ができることも、企業側のメリットに挙げられます。ジョブ型雇用の場合、従業員ごとに任せられる業務内容や業務範囲が限定されています。そのため、急な欠員や方針変更により強化したい業務があった場合は、新たな人材を採用しなければなりません。

しかし、メンバーシップ型雇用では、従業員ごとに任せられる業務内容や業務範囲は限定されていないため、欠員の補充や強化したい業務への異動が可能です。

【従業員側】雇用が安定している

従業員側のメンバーシップ型雇用のメリットとして、雇用が安定していることが挙げられます。ジョブ型雇用の場合、契約している業務がなくなれば雇用契約も満了となるため、解雇扱いとなります。

一方、終身雇用を前提としたメンバーシップ型雇用は業務内容を限定していません。担当している業務がなくなったとしても、別の業務が割り振られます。

また、メンバーシップ型雇用は、現在のスキルだけでなく将来性も採用基準に含まれています。そのため、実務未経験者を採用するケースは珍しくありません。急な解雇や実務経験不足を気にすることなく働けます。

【従業員側】マルチなスキルが身につく

マルチなスキルが身につくことも、従業員側のメリットに挙げられます。ジョブ型雇用の場合、業務内容が限定されているため、専門性は高まってもスキルの幅が広がることはありません。

しかし、メンバーシップ型雇用であれば、さまざまな業務を経験したり、研修を受けたりできます。身につけられるスキルが多いことは、従業員の成長にとって大きなメリットといえるでしょう。

【従業員側】人脈が広がる

人脈が広がることも、従業員側のメリットに挙げられます。メンバーシップ型雇用の場合、同じ時期に入社した従業員は、一緒に研修を受けます。研修で同じ時間を過ごすことにより、仲間意識も生まれるでしょう。

また、メンバーシップ型雇用を採用している企業では、定期的に部署を異動するジョブローテーションを採用しているところがあります。さまざまな部署を経験することにより、スキルだけでなく、多くの人と出会えます。

原則として異動がないジョブ型雇用と比べると、人脈の広さは大きく異なるでしょう。

メンバーシップ型雇用のデメリット

メンバーシップ型雇用には、デメリットも存在します。主なデメリットとして挙げられるのは、以下のとおりです。

  • 【企業側】人件費が上がる
  • 【企業側】海外の人材採用が難しい
  • 【企業側】人員整理しにくい
  • 【従業員側】転勤がある

ここでは、それぞれのデメリットについて解説します。

【企業側】人件費が上がる

メンバーシップ型雇用の企業側のデメリットとして、人件費が上がることが挙げられます。メンバーシップ型雇用を採用している企業の昇給基準は、年齢や勤続年数です。

年齢や勤続年数が上がるに連れ昇給するため、業務の成果とは関係なく給与が上がります。スキルが高くない従業員や、企業としての利益が上がっていなくても、給与が上がるため、企業にとっては大きな負担となるでしょう。

【企業側】海外の人材採用が難しい

海外の人材採用が難しいことも企業側のデメリットに挙げられます。前述したように、海外ではジョブ型雇用が一般的です。そのため、メンバーシップ型雇用特有の評価基準や人員配置を受け入れてもらえない可能性があります。

海外と日本では卒業時期も異なるため、新卒採用も困難です。優秀なグローバル人材を確保したい企業にとって、メンバーシップ型雇用は採用機会を逃す可能性があります。

【企業側】人員整理しにくい

人員整理がしにくいことも、企業側のデメリットです。柔軟な人員配置ができることは、メンバーシップ型雇用の強みです。しかし、日本では労働契約法第16条により、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は従業員を解雇できません。

これは、能力的にミスマッチの従業員でも、合理的な理由がなければどこかの部署に配置しなければならないことになります。その結果、部署全体の生産性が落ちてしまうといったケースは珍しくありません。

能力や経験を判断基準として採用するジョブ型雇用では、業務自体がなくならない限り、能力的なミスマッチが発生する可能性は低いでしょう。ただし、ジョブ型雇用であれば簡単に解雇できるわけではありません。

メンバーシップ型雇用は、ジョブ型雇用に比べて能力的なミスマッチが発生する確率が高いため、人員整理に問題を抱える確率も高くなります。

参照:労働契約法|e-Gov法令検索

【従業員側】転勤がある

メンバーシップ型雇用の従業員側のデメリットとして、転勤があることが挙げられます。メンバーシップ型雇用は、業務内容や勤務時間が限定されていません。企業側の都合で柔軟に人員を配置できるため、急な転勤を命じられるケースもあります。

家族やプライベートの理由で、居住地を変えたくない人にとっては、転勤はネガティブな要素となるでしょう。

メンバーシップ型雇用に向いている企業

メンバーシップ型雇用には、メリット・デメリットがあるため、企業によって向き不向きが異なります。以下のような企業は、メンバーシップ型雇用に向いているといえるでしょう。

  • 従業員に幅広いスキルを学ばせたい企業
  • 幅広い知識や視点を持つ幹部候補を育成したい企業

従業員に幅広い知識やスキルを身につけてもらいたいのであれば、多様な業務経験を積めるメンバーシップ型雇用が適しています。

メンバーシップ型雇用に向いていない企業

一方、メンバーシップ型雇用が向いていない企業の特徴は、以下のとおりです。

  • 高度な業務を担当できる人材を求めている企業(ITや設計、デザインなど)
  • 子育てや介護との両立を支援する企業

幅広い知識よりも、専門性を求められる業務がある企業や、事情により時短勤務やリモート勤務を望む従業員がいる企業は、メンバーシップ型雇用よりもジョブ型雇用のほうが向いているでしょう。

メンバーシップ型雇用の企業事例

メンバーシップ型雇用で成功している企業の事例として、トヨタ自動車株式会社と味の素株式会社が挙げられます。ここでは、それぞれの企業でメンバーシップ型雇用を採用している理由や考え方について解説します。

トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車株式会社は、典型的なメンバーシップ型雇用を採用している企業です。トヨタ自動車株式会社は、人材マネジメントの考え方として「モノづくりは人づくり」を掲げています。人材を育てるべく、見習社員制度の実施や人事異動などの施策を実施してきました。

従業員への新車斡旋や定年退職者の海外旅行制度の実施などの、定年まで働くことがメリットとなる制度も導入しています。また、企業と労働組合で労使宣言を調印し、従業員と企業との信頼関係も構築してきました。

トヨタ自動車株式会社は一人ひとりの従業員を大切にし、人を育てることにより、ここまでの大企業へと成長しました。

参照:「モノづくりは人づくり」モノづくりを支える人財を鍛える現場の力|トヨタ自動車株式会社

味の素株式会社

味の素株式会社は、人材マネジメントの考え方として「人を求めてやまず、人を活かす。」を掲げ、以下の3段階の育成プログラムを実施しています。

  • 階層別プログラム
  • 選択型プログラム
  • グローバル&グループプログラム

階層別プログラムで総合的な知識やスキルを育成するとともに、選択型プログラムでは「コアとなる能力」「ビジネススキル」の中でより高めたい力を磨いています。

グローバル&グループプログラムは、リーダーや幹部候補に対する教育を実施し、より高度なレベルを求められているのが特徴です。また、管理職以上の職務を明確にするタレントマネジメントを導入している一方、一般社員の職務は明確にしていません。

味の素株式会社は、メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用のハイブリッド型企業といえます。

参照:人財育成とキャリア制度について|味の素株式会社

メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用にすべきか

近年では、リモートワークの普及や仕事に対する考え方の多様化、業務の複雑化など、一人ひとりの業務範囲が限定的なものになってきました。それに伴い、ジョブ型雇用を導入する動きも出てきています。

しかし、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に移行する場合、採用基準や評価制度、報酬制度などの変更が必要です。雇用方法は、簡単に移行できるわけではありません。

また、新たに「タスク型雇用」という雇用方法が出てきました。タスク型雇用とは、タスクやプロジェクト単位で人材を雇用する方法です。コストが高いが技術力がある人材でも、プロジェクトの期間だけ雇用することによりコストを抑制できます。

企業側からすると、ジョブ型以上に柔軟に人材を活用できる反面、日雇い労働のような扱いになるため、従業員側からするとデメリットがあります。

どの組織にもゼネラリストは必要であり、必ずしもすべての従業員の雇用方法を統一する必要はありません。自社の状況を整理し、従業員や業務によって雇用方法を使い分けることが大切です。

必ずしもジョブ型雇用が良いわけではない

メンバーシップ型雇用とは、業務内容や勤務時間、勤務地などを限定しない雇用方法で、終身雇用や長期的な育成を前提としています。昇進は年功序列によって決められることが多く、日本独自の雇用システムといえます。

その対極の雇用形態といえるのがジョブ型雇用です。ジョブ型雇用とは、業務内容や範囲、勤務地などの労働条件を限定して雇用契約を締結する雇用方法です。メンバーシップ型雇用では、スキルとともに人柄や考え方などの将来を見据えた特性も評価される一方、ジョブ型雇用では業務を遂行できるスキルや経験を求められます。

近年ではジョブ型雇用に移行する企業が出てきているものの、必ずしもジョブ型雇用が良いわけではありません。企業や業務、従業員によってはメンバーシップ型雇用のほうが適していることもあるでしょう。

トレンドに惑わされず、自社の状況を整理したうえで雇用方法を見直しましょう。

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