• 更新日 : 2026年1月30日

子の看護休暇とは? 2025年4月改正の重要ポイントや運用時の注意点など解説

PDFダウンロード

子の看護休暇とは、子供の病気や行事等の際に取得できる休暇制度です。2025年4月法改正により「子の看護等休暇」へ名称変更され、対象が小学校3年生修了まで拡大します。本記事では、有給・無給の扱いや計算式、助成金情報のほか、改正に対応した就業規則の変更ポイントまで人事担当者向けに徹底解説します。

子の看護休暇とは?

子の看護休暇とは、育児・介護休業法に基づき、働く親が子供の看護や世話をするために取得できる権利です。なお、改正により子の看護等休暇と名称が改められましたが、記事内では、原則として子の看護休暇で統一します。

これまでは子供の「病気・怪我」に限られていましたが、2025年4月の法改正により、学級閉鎖や学校行事への参加も対象となるなど、制度が大きく拡充されます。

出典:子の看護等休暇|育児休業制度特設サイト

制度の目的と法的根拠

この制度は、急な子供の発熱や感染症による登園禁止期間など、親が仕事を休まざるを得ない状況をサポートするために設けられました。年次有給休暇とは別に権利として認められており、企業は正当な理由なく取得を拒否することはできません。

対象となる「子」の定義

対象となるのは、従業員と法律上の親子関係がある子供です。

  • 対象: 実子、養子、特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子
  • 対象外: 養子縁組をしていない配偶者の連れ子など
広告

この記事をお読みの方におすすめのガイド5選

続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。

※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。

労働時間管理の基本ルール【社労士解説】

労働時間管理の基本ルール

多様な働き方を選択できる「働き方改革」が世の中に広まりつつありますが、その実現には適切な労働時間管理が欠かせません。

労働時間に関する用語の定義や休憩・休日のルールなど、労働時間管理の基本ルールを社労士が解説します。

無料ダウンロードはこちら

有給休暇管理の基本ルール

年5日の有給休暇の取得が義務化され、企業には正確な休暇管理が求められています。

本資料では、有給休暇に関する基本ルールをはじめ、よくあるトラブルへの対処方法を社労士がわかりやすく解説しています。

無料ダウンロードはこちら

年次有給休暇管理帳(ワード)

従業員の年次有給休暇の管理は、適切に行えていますでしょうか。

本資料は、すぐにご利用いただけるWord形式の年次有給休暇管理帳です。ぜひダウンロードいただき、従業員の適切な休暇管理にご活用ください。

無料ダウンロードはこちら

休日・休暇の基本ルール

休日・休暇の管理は労務管理の中でも重要な業務です。本資料では、法令に準拠した基本のルールをはじめ、よくあるトラブルと対処法について紹介します。

休日・休暇管理に関する就業規則のチェックリスト付き。

無料ダウンロードはこちら

時間外労働の管理 労基法違反から守る10のルール

年5日の有給休暇の取得が義務化され、企業には正確な休暇管理が求められています。

本資料では、有給休暇に関する基本ルールをはじめ、よくあるトラブルへの対処方法を社労士がわかりやすく解説しています。

無料ダウンロードはこちら

子の看護休暇と介護休暇、年次有給休暇の違いは?

子の看護休暇と介護休暇の最大の違いは「対象家族」であり、年次有給休暇との違いは「利用目的」と「給与」です。

それぞれの制度は目的が異なりますが、従業員が状況に応じて使い分けられるよう、違いを明確に理解しておくことが重要です。

介護休業とは対象となる家族の範囲が異なる

看護休暇と介護休暇は、取得できる日数(年5日または10日)や時間単位で取得できる点は共通していますが、ケアをする対象が異なります。

  • 子の看護休暇:
    小学校就学前(※2025年4月からは小3修了まで)の子供が対象です。病気の看病だけでなく、予防接種や健康診断にも利用できます。
  • 介護休暇:
    要介護状態にある家族が対象です。具体的には「配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫」が含まれます。食事や排泄の世話、通院の付き添い等のために取得します。

年次有給休暇とは給与の有無と目的が異なる

年次有給休暇は、理由を問わず自由に取得でき、必ず給与が支払われる点が大きな特徴です。

  • 年次有給休暇:
    利用目的は自由(リフレッシュ、私用、病気など)。賃金が支給されます。
  • 使い分けの傾向:
    従業員にとっては給与が減らない「年次有給休暇」の方がメリットが大きいため、まず年休を消化し、それが無くなった場合に「子の看護休暇」を使うケースが多く見られます。ただし、会社側が年休の取得を強制することはできません。

【制度の比較表】

制度名対象と目的給与・日数
子の看護休暇対象:小学校就学前の子(※2025年から小3修了まで)

目的:看護、予防接種、行事等

給与:原則無給

日数:年5日~10日

介護休暇対象:要介護の家族(父母・祖父母等)

目的:介護、通院付添

給与:原則無給

日数:年5日~10日

年次有給休暇対象:従業員本人

目的:自由(リフレッシュ等)

給与:必ず有給

日数:勤続年数による

2025年(令和7年)4月改正の重要ポイントとは?

今回の改正により、対象年齢・取得理由・名称・対象者のすべてが拡大され、より使いやすい制度へと変わっています。

人事担当者は、現行制度との違いを整理し、2025年4月1日の施行に合わせて就業規則(育児・介護休業規程)を改定する必要があります。主な変更点は以下の4つです。

変更点現行(~2025年3月31日)改正後(2025年4月1日~)
① 名称子の看護休暇子の看護等休暇
② 対象年齢小学校就学前まで小学校3年生修了まで
③ 取得事由病気・怪我・予防接種・健診左記に加え、学級閉鎖・入学式・卒園式等の行事
④ 除外規定※労使協定の締結要入社6ヶ月未満は除外可除外不可(入社直後から取得可)

1. 名称変更と対象年齢の拡大(小3の壁解消)

これまでは「小学校に入ると看護休暇が使えなくなる」という課題がありましたが、対象期間が「小学校3年生修了(9歳に達する年度の末日)」まで延長されています。

これに伴い、制度名称も「子の看護休暇」から「子の看護等休暇」(「等」を追加)へ変更されました。

【実務対応】

就業規則内の「子の看護休暇」という記載をすべて「子の看護等休暇」に書き換え、対象年齢の定義を「小学校第3学年の修了まで」に変更してください。

2. 取得事由の拡大(学級閉鎖・行事もOK)

名称に「等」が追加された通り、病気以外の理由でも取得が可能になります。従来の「負傷・疾病、予防接種・健康診断」に加え、以下の理由も対象となっています。

  • インフルエンザ等による学級閉鎖・休園(子供本人が元気でも可)
  • 保育園・幼稚園・学校の入園式、卒園式、入学式
  • 親子遠足などの学校行事

【実務対応】

就業規則の取得事由に「感染症に伴う学級閉鎖等」や「行事への参加」を追記してください。

3. 入社直後の従業員も対象に(除外規定の撤廃)

労使協定を結ぶことで「入社6ヶ月未満の従業員」を対象外とすることができましたが、改正後はこの除外規定が撤廃されました。入社初日の従業員であっても、要件を満たせば取得を認める必要があります。

※ただし、「週の所定労働日数が2日以下の者」を除外する規定は維持されています。

【実務対応】

労使協定および就業規則の除外対象者リストから「継続雇用期間6ヶ月未満の労働者」の項目を削除してください。

子の看護休暇中の賃金は有給か無給か?

法律上、給与の支払いは義務付けられていないため、原則として「無給」としても問題ありません。無給であっても違法ではありませんが、従業員が利用しやすいよう福利厚生の一環として有給化している企業もあります。

無給とする場合の計算方法

無給とする場合、月給制の従業員に対しては取得した時間または日数分の賃金を差し引く「欠勤控除」を行うのが一般的です。

計算方法は就業規則(賃金規程)に基づきますが、通常の欠勤と同様に以下の式で算出します。

計算例:

  • 月給:300,000円
  • 月平均所定労働時間:160時間
  • 子の看護休暇取得:5時間

計算式:

300,000円 ÷ 160時間 = 1,875円(1時間あたりの単価) 1,875円 × 5時間 = 9,375円(控除額)

賃金や評価に関する注意点

給与計算や人事評価を行う際、企業は「不利益取扱い」を行わないよう注意が必要です。 ノーワーク・ノーペイの原則に基づき、働いていない時間分の給与を支払わないことは認められますが、以下の行為は法律で禁止されています。

  • 看護休暇を取得したことを理由に、皆勤手当を不支給にする
  • 賞与の査定において、取得した日数を「欠勤」扱いとしてマイナス評価を行う
  • 昇進や昇格において不利な扱いをする

子の看護休暇の取得日数と時間単位での取得ルールは?

子供1人につき年間5日、2人以上の場合は年間10日が付与され、時間単位での取得も可能です。

所定労働日数が少ないパートタイム従業員であっても、付与日数は正社員と同じです(比例付与はありません)。

時間単位取得の活用

2021年の改正により、1日単位だけでなく時間単位での取得が義務化されています。「朝の通院で2時間だけ遅刻する」といった柔軟な使い方が可能です。

なお、法律上は「中抜け(就業時間の途中で抜けて戻る)」までは義務付けていませんが、企業が独自に認めることは推奨されています。

出典:⼦の看護休暇・介護休暇が 時間単位で取得できるようになります︕|厚生労働省

残り日数の計算と端数処理

1日の所定労働時間が変更された場合(例:8時間→6時間)、残りの休暇時間数は比例変更されます。

計算式:

変更前残り時間 × 変更後の所定労働時間 ÷ 変更前の所定労働時間 ※1時間未満の端数は切り上げとなります。

子の看護休暇の申請方法と必要書類は?

緊急性が高いため、当日の「口頭申請」を認める必要があります。また、医師の診断書を必須とすることは推奨されません。

子供の体調不良は突発的に発生するため、事前の申請が難しいケースが大半です。企業側は、従業員がスムーズに権利を行使できるよう、柔軟な運用ルールを設けることが求められます。過度に厳格な証明を求めることは、法律上「取得妨害」とみなされるリスクがあります。

子の看護休暇は当日の口頭申請や事後申請が可能

子の看護休暇は、原則として従業員が「看護が必要な事実」と「期間」を申し出ることで取得できます。書面での申請が基本ですが、緊急時には柔軟な対応が必須です。

  • 当日の連絡手段: 始業前や当日の朝に、電話・メール・チャットツールなどで「子供が熱を出したため休みます」と一報を入れれば、申請として有効です。
  • 書類の事後提出: 休暇を取得した当日や翌出社日に、社定の「休暇届」や勤怠システムへの入力を行う「事後申請」のフローを認めるようにしましょう。
  • 実務上のポイント: 「書面での事前申請以外は認めない」といった運用は、制度の趣旨に反するため避けるべきです。

子の看護休暇の証明書類に診断書は原則不要

企業は休暇取得の確認として、子供の病気や世話の事実を証明する書類の提出を求めることができます。しかし、医師が発行する「診断書」を必須とすることは不適切とされています。

  • 診断書が不要な理由: 診断書の発行には数千円の文書料がかかる上、病院へ出向く手間も発生します。これらを必須条件にすると、従業員の負担が過大となり、休暇の取得をためらわせる原因になるからです。
  • 推奨される確認書類(例): 従業員の負担にならない範囲で、以下のような書類の写し(コピーや画像)を確認書類として認めるのが一般的です。
    • 病院の領収書・明細書(子供の氏名が入ったもの)
    • お薬手帳の処方ページ
    • 処方された薬の説明書
    • 学校や保育園からの連絡メール・手紙(学級閉鎖や行事の案内)

※2025年の法改正で「学校行事」も対象となるため、入学式の案内状やプログラムなども証明書類の対象となります。

子の看護休暇の導入で申請できる助成金とは?

子の看護休暇を有給にするなど、法定を上回る制度として整備した場合に申請できる助成金があります。

企業が従業員のために働きやすい環境を整える際、費用負担を軽減するための支援制度が用意されています。これらを活用することで、制度導入のコストを抑えつつ、従業員満足度を高めることが可能です。

厚生労働省の「両立支援等助成金」を活用する

国の代表的な助成金として、厚生労働省が管轄する「両立支援等助成金(育児休業等支援コース)」があります。

これは、仕事と育児の両立支援に取り組む中小企業を対象としたものです。 ※助成金の要件や支給額は年度ごとに頻繁に変更されるため、申請時には必ず最新の公募要領を確認してください。

  • 主な支給要件の例:
    • 中小事業主であること。
    • 法を上回る子の看護休暇制度を導入し、就業規則に規定していること。
    • 子の看護休暇を「時間単位」で取得できるようにすること。
    • 子の看護休暇を「有給」とすること。
    • 一日の所定労働時間を変更することなく利用できるものであること

出典:2025(令和7)年度 両立支援等助成金のご案内|厚生労働省

東京都など自治体独自の助成金も確認する

国(厚生労働省)の制度とは別に、都道府県や市区町村が独自に上乗せ支援を行っている場合があります。

  • 自治体の助成金例:
    • 東京都「働くパパママ育業応援事業」: 都内の中小企業を対象に、独自の要件で奨励金を支給する制度です。
  • 確認のポイント: 多くの自治体制度は予算上限に達し次第終了となるケースが多いため、管轄の労働局や自治体ホームページでこまめに情報をチェックすることが重要です。

出典:働くパパママ育業応援奨励金(概要):東京しごと財団

子の看護休暇を運用する際の注意点

企業側は取得日時の変更を強制できず、所定労働時間が変わった場合は残日数の再計算が必要です。

人事担当者が運用上で特に注意すべき「時季変更権の不在」「残日数の計算」「不利益取扱いの禁止」の3点について解説します。

会社には「時季変更権」がない

年次有給休暇には、繁忙期などに会社が取得日を変更させる「時季変更権」がありますが、子の看護休暇には時季変更権がありません。

  • 原則: 従業員が申し出た日時に取得させる必要があります。「忙しいから別の日にしてほしい」と業務命令で変更させることは法律違反となります。
  • 対応: どうしても業務に支障が出る場合は、命令ではなくあくまで「相談」として、時間をずらせないか話し合うこと自体は禁止されていません(ただし、強要はNGです)。

所定労働時間の変更時は残時間を再計算する

年度の途中で1日の所定労働時間が変更された場合(例:フルタイムから時短勤務へ変更など)、看護休暇の「残り時間数」を比例変更する必要があります。

  • 計算ルール: 変更前の残り時間数を、新しい所定労働時間に合わせて換算します。1時間未満の端数は切り上げます。

【計算式】

変更前残り時間 × 変更後の所定労働時間 ÷ 変更前の所定労働時間 = 変更後の残り時間

【具体例】

  • 状況: 1日8時間勤務の人が、残り「3日と5時間」ある状態で、1日6時間勤務に変更になった場合。
  • 計算: まず、全て時間換算します。(3日×8時間)+5時間 = 29時間(変更前の残り時間) 29時間 × 6時間 ÷ 8時間 = 21.75時間
  • 結果: 端数を切り上げて「22時間」となります。これを新しい勤務時間(6時間)で日数に戻すと、「3日と4時間」になります。

取得を理由とした不利益取扱いの禁止

看護休暇を取得したことを理由に、従業員に対して不利益な扱いをすることは育児・介護休業法により禁止されています。

  • 禁止される行為の例:
    • 解雇や雇い止めを行うこと。
    • 賞与や人事考査(昇進・昇格)において、取得した事実を理由にマイナス評価を行うこと。
    • 正社員からパートへの契約変更を強要すること。

違反した場合は労働局からの是正勧告の対象となり、悪質な場合は企業名が公表される可能性があります。

子の看護休暇の2025年改正を機に、誰もが働き続けやすい職場へ

子の看護休暇は、2025年4月から「子の看護等休暇」へと名称が変わり、対象年齢も小学校3年生修了まで拡大されるなど、子育て世代にとってより強力なセーフティネットへと進化しました。「小1の壁」が解消され、子供の病気だけでなく学級閉鎖や入学式などの行事でも気兼ねなく休めるようになることは、従業員にとって大きな安心材料です。

企業にとっても、こうした制度を適切に整備し周知することは、単なる法令遵守にとどまらず、優秀な人材の離職防止や「選ばれる企業」としての採用力強化につながります。「この会社なら安心して子育てと仕事を両立できる」というメッセージを発信するためにも、まずは自社の就業規則が現行法および改正法に対応できているか、確認することから始めましょう。

PDFダウンロード

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事