- 更新日 : 2025年7月9日
労働条件とは?明示義務や必須項目・変更の手続きについて解説
労働条件とは労働者が使用者の下で働く際に、どのような条件で働くかを取り決めたものです。使用者は、雇い入れの際の労働者への明示が義務付けられています。また労働者にとって不利益な内容に変更する場合、合理的な理由と労働者への周知が必要です。本記事では労働条件の概要や雇用契約書との違い、変更する際の手続きなどを解説します。
目次
労働条件とは?
労働条件とは、労働者が使用者の下で働く際に、どのような条件で働くかを取り決めたものです。労働基準法15条1項で、使用者は労働者を雇い入れる際に、労働条件を明示することが義務付けられています。具体的には労働契約の期間や就業場所、始業と終業の時間、残業の有無などの内容が該当します。
労働条件は雇用形態に関係なく重要
社員だけでなくパートやアルバイトにとっても、どのような労働条件で採用されるかは重要です。
パートやアルバイトは、採用や退職、勤務時間の変更などが頻繁にあり、採用手続きや労務管理をするのが現場の事業所であるといった傾向があります。そのため、パートやアルバイトに関する労働条件を明確に決めずに勤務させているケースも少なくありません。
従業員とのトラブルを避けるためにも、きちんと雇用契約書の取り交わしを行うか、労働条件通知書を渡すようにしましょう。労働条件通知書とは、使用者である企業と労働者が雇用契約を結ぶ際に交付する、労働条件が書かれた書類を指します。
参考:しっかりマスター労働基準法ーパート・アルバイト編ー|東京労働局
e-Gov法令検索(労働基準法)|デジタル庁
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労働条件で明示する必須項目は?
使用者である企業は、労働者を雇い入れる際に労働条件を明示しなければなりません。明示する内容は、大きく「絶対的明示事項」と「相対的明示事項」に分けられます。それぞれの概要を解説します。
絶対的記載事項
労働基準法では就業規則に必ず記載しなければならない項目を定めており、これを絶対的記載事項といいます。就業規則や労働契約書などに絶対的記載事項に関する記載がされていない場合は、30万円以下の罰金に処せられます。
明示する項目は、以下のとおりです。
- 労働契約の期間
- 有期の労働契約を更新する場合の基準
- 就業場所および従事する業務
- 始業・終業時刻、残業の有無、休憩時間、休日
- 賃金の決定・計算・支払い方法
- 昇給に関する事項
- 退職に関する事項
相対的記載事項
相対的記載事項は、企業として制度として定める場合に、必ず記載しなければいけない項目のことです。あくまでも制度として定めがある場合に記載する点が、絶対的記載事項と異なります。
相対的記載事項には、以下のような項目が挙げられます。
- 退職手当が適用される労働者の範囲、退職手当の決定・計算・支払方法、支払時期
- 臨時の賃金・最低賃金額
- 労働者に負担を求める食費や作業用品など
- 安全・衛生に関する事項
- 職業訓練に関する事項
- 災害補償・業務外の傷病扶助に関する事項
- 表彰・制裁の種類に関する事項
- 休職に関する事項
参考:「就業規則を作成しましょう」|厚生労働省
e-Gov法令検索(労働基準法)|デジタル庁
労働条件通知書と雇用契約書の違い
労働条件通知書と雇用契約書は、いずれも労働条件を明示する書面であり、基本的には内定時や入社時などの雇い入れのタイミングで作成します。この2つの主な違いは、以下のとおりです。
- 労働者の合意の有無
- 作成義務の有無
それぞれ解説していきます。
労働者の合意の有無
労働条件通知書は、使用者が労働者に対して一方的に労働条件を通知することが可能です。それに対して雇用契約書は、使用者である企業と労働者の双方が明示された労働条件などに合意し、署名と捺印を取り交わす書面です。
労使間でなんらかのトラブルに発展した場合、「そもそも労働条件を示す書面をもらっていない」「労働条件通知書の内容が間違っている」という争いになることも珍しくありません。
このようなトラブルを回避するには、2部作成し、企業と従業員が1部ずつ保管する雇用契約書のほうが適しています。雇用契約書の従業員の住所や氏名については、いざというときに筆跡鑑定が可能な、本人の直筆で記入してもらうとよいでしょう。
なお、雇用契約書には労働条件が明示されているため、実務上は「労働条件通知書兼雇用契約書」として書面を作成することも多いです。
作成義務の有無
作成の義務があるかどうかも、労働条件通知書と雇用契約書の違いです。労働条件通知書は労働基準法によって作成が義務付けられています。一方で雇用契約書の作成は、法的には不要です。しかし雇用契約書は、署名押印によって労使間で合意を取るという目的を持ちます。労使間のトラブルを防ぐという視点から、作成しておくことがおすすめです。
労働条件の変更はできる?
使用者から一方的に、労働条件を変更することは認められないことに注意しましょう。ここからは、労働条件が変更できる場合や不利益変更の手続きなどを解説していきます。
一方的な労働条件の変更は認められない
労働基準法では、労働条件の変更には使用者と労働者の双方の同意を必要としています。ただし、労使の合意があったとしても、就業規則に定めた内容を下回る変更は行えません。
労働条件が変更できる場合
たとえ従業員から合意を得ていたとしても、就業規則に定められた労働条件を下回る内容への変更は認められないことは、すでにお伝えしました。労働者の不利益につながる労働条件の変更には、具体的には賃金の減額や手当の廃止などが挙げられます。
就業規則を変えることで労働条件の変更をする場合、合理的な理由と労働者への周知が必要です。
不利益な変更の手続き方法(賃金・減額の場合など)
従業員にとって不利益となる労働条件の変更を行う場合、原則としては労働者から個別に同意を得なければなりません。ただし例外として、個別の同意を得ずに従業員全体の労働条件を変更することが可能です。その際の手続きの流れは以下のとおりです。
- 労働組合との同意を行う
- 就業規則の変更方針を定める
- 同意書を作成する、もしくは労働協約締結を行う
- 就業規則を変更し、労働基準監督署に届け出る
- 就業規則を変更した旨を従業員に周知する
労働基準監督署に届け出る書類は、「就業規則変更届」「変更した就業規則」「労働者代表の意見書」であり、それぞれ2部ずつ作成し1部を社内で保管しましょう。
従業員への周知の際は「労働条件変更通知書」を作成し、交付することをおすすめします。就業規則の変更によって労働条件を変える際も、従業員への説明は不可欠です。労働条件変更通知書があれば、変更した事実を確認できます。
労働条件変更通知書は交付を義務付けられているわけではないものの、従業員に渡しておくことで労使間のトラブルに備えられるのです。
労働条件通知書を作成しない場合の罰則やリスク
労働条件通知書を作成せず口頭でしか労働条件を伝えていなかったり、作成したものの渡していなかったりした場合、30万円以下の罰金が課せられることもあります。その場合、企業の社会的な信用の低下を招く恐れがあるでしょう。
その他のリスクとしては、労働条件がはっきりとわからない企業に対して、労働者が不信感や不満を抱く可能性があることが挙げられます。
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労働条件を必ず明示しトラブルを防止しよう
労働条件とは労働者が使用者の下で働く際に、どのような条件で働くかを取り決めたものであり、使用者が労働者を雇い入れる際に明示することが義務付けられています。また労働条件を労働者にとって不利益な内容に変更する場合、合理的な理由と労働者への周知が必要です。
パートやアルバイトに関しては、労働条件を明確に決めていないという企業もあるのが現状です。しかし、労使間のトラブルを避けるためにも、すべての従業員に対して労働条件を明示するようにしましょう。
よくある質問
労働条件とはなんですか?
労働者が使用者の下で働く際に、どのような条件で働くかを取り決めたものです。詳しくはこちらをご覧ください。
労働条件は変更できますか?
使用者から一方的に、労働条件を変更することは認められません。労働者にとって不利益な内容に変更する場合は、合理的な理由と労働者への周知が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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