- 作成日 : 2020年3月26日
中小企業から大企業まで規模別に解説!テレワーク導入のやり方
テレワークは政府が推進する、働き方改革や社員の生産性、企業ブランド向上、採用強化などさまざまなメリットがある働き方です。今回はテレワークの導入の仕方や導入のメリットデメリットを解説し、事業規模別にテレワークを導入するコツを解説しました。企業のビジネスをより発展させるためにも、テレワークについて理解を深めましょう。
テレワークとは
テレワークは「在宅勤務、通勤が不要」という考え方が多いようですが、テレワークを導入したからといって、在宅勤務になるわけではありません。総務省によるテレワークの定義とは、「ICT(情報通信技術)を活用して場所や時間の制約を受けずに仕事をする」ことです。
よって在宅でなくとも、サテライトオフィスなど働き手がオフィス以外の離れた場所で働くことをテレワークと言います。従来の働き方は「みんなが同じ時間に同じ場所で仕事をする」ことでしたが、情報通信技術の発展によりテレワークという働き方が可能となりました。
なお、「テレ=離れたところ」「ワーク=働く」を組み合わせてテレワークと言います。
テレワーク導入のメリット
以下、テレワークを導入することで得られるメリットを4つ解説します。
企業ブランドの向上
テレワークは社員にとってとても魅力的な働き方です。オフィスまでの通勤の大変さや時間や場所の制約を受ける働き方は、働き手がネガティブなことと捉える傾向にあります。
テレワークを導入していることで、企業の情報通信技術の強みや、柔軟な働き方を推進しているという企業ブランドが印象づけられるでしょう。「この企業は先進的だな」、「社員を大切にしているな」といったイメージはポジティブな企業ブランドとして受け入れられるのではないでしょうか。
採用強化、人材確保につながる
採用、人材確保は多くの企業にとって大きな問題です。せっかく採用コストをかけて社員を雇用してもすぐに離職してしまう。優秀な人材が見つからないことは多くの企業様の悩みではないでしょうか。
テレワークは社員にとって魅力的な働き方のため、テレワークを取り入れれば企業ブランドの向上にもつながります。
つまりテレワークを導入することで、採用において他社と差別化できると言えます。またテレワーク自体が人気の働き方のため、採用において重要な「門戸を広く、自社をアピールする」ことにつながります。テレワークは働き手に強くアピールできる働き方なのです。
社員の自立を促す
テレワークは離れた場所で勤務をするため、社員が自立的に仕事をこなさないといけません。テレワークの導入をためらう企業様は「社員ひとりひとりに目が行き届かなくなる」と思われることも多いようです。
ですがテレワークでは離れた場所で仕事をしていることから、社員を結果で客観的に評価して正当な評価を与えられるので、上司や管理者は本来の管理業務に専念できるでしょう。人間関係の悩みが小さくなる社員の個性は十人十色。社員同士のコミュニケーションに摩擦が生じることは珍しくありません。テレワークは離れた場所で仕事をすることから、人間関係の摩擦による悩みやパワハラ、セクハラ問題が起こりにくい働き方と言えます。
人間関係の悩みでのメンタルやパフォーマンスの低下は、企業の業績に直結します。社員を人間関係の悩みから解放することも、テレワークのメリットです。
資料の電子化が促進される
テレワークは情報通信技術を使った働き方のため、いわゆる「紙」よりPDFやWord、Excelなどの電子ファイルを使う機会が増えます。無駄なプリントも避けられるため、ペーパーレス環境の構築にも寄与します。
以上、テレワークのメリットを解説しました。では事業規模別ではどのようなメリットが考えられるでしょうか。企業様の現在、そして未来の事業規模と照らし合わせてみてください。
事業規模別テレワーク導入のメリット
事業規模を4つに分けて、テレワーク導入のメリットを解説します。
従業員数〜5名の企業がテレワークを導入するメリット
数名程度の事業規模であれば、テレワーク導入のメリットはとても多いです。メッセージやテレビ会議などに必要なコミュニケーションツールは、安価な製品で済みますし、なによりオフィス維持のための固定費がかからないことがメリットです。また仕事の進捗、「報連相」などもコミュニケーションツールを使えば十分共有できるレベルと言えます。
従業員数5名〜50名の企業がテレワークを導入するメリット
一部業務ではオフィスが必要になるケースが考えられるものの、完全なテレワークを目指せる事業規模です。コミュニケーションツールは安価なもので済みますし、会議はテレビ会議システムで十分、事足ります。
従業員数50〜300名の企業がテレワークを導入するメリット
事業規模が大きくなると、完全テレワークは難しくなるでしょう。しかし50〜300名規模であれば、一部社員のためにフリーアドレスの小規模オフィスを設ければ十分なため、固定費や交通費などのコスト削減につながります。
従業員数300名以上の企業がテレワークを導入するメリット
300名を超えてくると、オフィス代や交通費、電気水道ガスなどのコスト削減効果が大きくなります。テレワークを導入することで、削れる固定費をどんどん削ることができます。またペーパーレス化など、大きな企業ほど悩みがちな問題も解決に向かいます。
さて、テレワーク導入のメリットを解説しましたが、テレワークにはデメリットもあります。デメリットを超えるメリットがあると考えられますが、テレワーク導入にあたっては、デメリットを理解しておくことも重要です。
テレワーク導入のデメリット
テレワークのデメリットを4つ解説します。
セキュリティの懸念が増える
ビジネスにICTを導入する以上、セキュリティ対策は欠かせません。VPN(仮想ネットワーク)や業務専用PCなどを用意することで、できる限りセキュリティ対策を取ることが重要です。
人事評価が難しくなるケースもある
評価を下す上司や管理者にとって、実際に仕事をしている姿を見られないことは、社員を評価しづらいと感じるケースもあります。テレワーク導入にあたっては、評価制度の見直し、例えば結果にコミットした評価制度にする必要があるかも知れません。
ICT導入費用がかかる
特に事業規模が大きくなると、ICT導入費用がかかりがちです。コミュニケーションツールやテレビ会議システムの整備、サテライトオフィスの設置といった導入費用がかかります。
しかしビジネスにICTを導入するための補助金があります。また中長期的視点で見たコスト削減効果は、テレワークの方が勝ることは少なくありません。
>>テレワーク・在宅勤務の導入費用が最大450万円戻ってくる「IT導入補助金」の詳細
意思決定プロセスの維持が難しい
テレワークはコミュニケーションがおろそかになってしまうと考える上司、管理者の方が少なくありません。その原因のひとつが意思決定プロセスの維持で、社員の「報連相」や問題の共有などが難しいと思われがちです。
しかしテレワークでは問題や業務の進捗、現状を毎日正確に伝えることが社員に求められるため、テレワークをうまく使いこなすことで社員が自律的に働くようになり、結果的に意思決定プロセスがスムーズになることも考えられます。
テレワーク導入のコツ
テレワークをスムーズに導入し、維持するためのコツを解説します。
資料の電子化(ペーパーレス化)
テレワークはICTを活用した働き方のため、紙の資料より電子資料(PDFやWord、Excelファイルなど)が役立ちます。むしろ資料を電子化することからテレワークが始まるといっても過言ではありません。資料の電子化のためには「電子資料に慣れる」「社員がITスキルを身に付けている」ことが大切です。
社員のITリテラシー強化
テレワークはICTを使った働き方のため、社員にはITスキルやリテラシーが求められます。ITスキルやリテラシーといっても、一般社員に高度な技術はあまり求められません。パソコンを使う知識と情報漏えいなどを防ぐためのセキュリティポリシーを遵守させるだけで十分です。また、テレワークを維持するための情報システム部門や担当者がいると理想的でしょう。
ワークフローのシステム化
決済や経理処理などのワークフローをシステム化することで、テレワークの恩恵を多く受けられます。紙の決済資料の撤廃や領収書などの電子化により、テレワーク導入がスムーズになりますし、業務効率の向上、コスト削減が見込めます。
クラウドを活用する
テレワーク導入のために、システムインフラ(専用ファイルサーバーやデータベースなど)を整えることは、多くの企業様にとって負担が大きいと考えられます。
現在主流のクラウドを活用することで、比較的安価かつ安全なテレワーク環境を整えることが可能です。クラウドにはテレワークに必要なネットワーク、ファイルサーバー、データベースなどがそろえられています。導入・運用コストを考えると、自前で環境を整備するよりもクラウドを活用することが勝るケースは少なくありません。
テレワークで効率化を図ろう
ビジネスを効率化し、さらに加速するためのテレワーク。検討に値する働き方だと考えられます。自社の企業規模にあったテレワークの導入を今一度考えてみましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
就業規則を作成!絶対的必要記載事項は?使える雛形・テンプレート
就業規則は何のために作成するの? 就業規則とは、労働者の賃金や労働時間などの労働条件に関すること、職場内の規律などについて定めた職場における規則集です。 職場でのルールを定め、労使双方がそれを守ることで、労働者が安心して働くことができ、労使…
詳しくみる働き方改革とは?概要や関連法案を分かりやすく解説
日本は現在、生産年齢人口の減少、長時間労働、正規・非正規雇用の格差など、多くの問題を抱えています。働き方改革とは、これらの問題を解決するとともに、働く人々が多様で柔軟な働き方を選択し、能力を十分に発揮できる社会をつくることです。 働き方改革…
詳しくみる年間休日の最低ラインは?平均日数の多い業種や含まれる休暇を解説
会社や事業所は、従業員の年間休日を設定しなければなりません。労働基準法では、最低限「毎週1日」または「4週間に4日以上」の休日を与えることが義務付けられています。これをもとにした最低ラインの年間休日は52日です。 本記事では、この最低ライン…
詳しくみる副業・兼業してる人必見!…社労士がその留意点を解説
副業・兼業の現状 実態はいかに? 副業・兼業(以下「副業等」)を希望する人は年々増加傾向にあります。副業等を行う理由は、自分がやりたい仕事であること、スキルアップ、資格の活用、十分な収入の確保等、様々です。副業等の形態も、正社員、パート・ …
詳しくみる勤怠管理表とは?作り方は?使えるテンプレート付き!
勤怠管理表とは、従業員の日々の出勤状況の記録をまとめた書類のことです。給与計算に必要なデータが記載されており、残業時間計算や36協定に違反していないかのチェックも勤怠管理表によって行えます。本記事では、勤怠管理表とは何か、そして作り方、エク…
詳しくみる介護休暇とは?同居していない場合や取得条件、介護休業との違いを解説
介護休暇は、介護を要する必要な家族を持つ従業員が取得できる法定休暇です。従業員が申し出れば、会社は原則として断ることができません。家族の世話や入院の付き添いをしながら働く従業員にとって、介護休暇制度は重要なサポートです。 こちらの記事では、…
詳しくみる