- 更新日 : 2026年9月11日
住民税の特別徴収と普通徴収の違いとは?切替条件や納付方法を解説
住民税の納付方法は、会社が給与天引きする「特別徴収」と、納税者本人が納付書で納める「普通徴収」の2種類です。
- 給与所得者は原則として特別徴収の対象
- 普通徴収は原則年4回・1回の負担額が大きい
- 退職時期によって一括徴収か切替かが変わる
Q. 普通徴収に切り替えられるのはどんな場合?
A. 従業員2名以下の事業所・退職者・給与が少なく税額を引けない人など、自治体が定める一定の要件に該当する場合に認められます。たとえば東京都では、普通徴収への切替理由を「普A〜普F」の6区分に整理していますが、具体的な基準や手続きは自治体によって異なる場合があります。
給与収入や不動産賃貸などで所得を得ている方は、国に納める所得税のほかに、都道府県及び市町村に住民税を納めなければなりません。住民税の納付方法には給与天引きによる特別徴収と、納税者自身が納める普通徴収の2種類があります。本記事では、給与所得者が住民税を納付する2つの方法の仕組みと違い、切替条件について解説します。
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住民税はどのように納付されているのか
住民税の納付方法には、納税者自身が納める普通徴収と、会社が給与から差し引いて納める特別徴収の2種類があります。原則として給与所得者は特別徴収の対象となり、例外的な事情がある場合のみ普通徴収への切替が認められます。
住民税は、前年の所得に応じた道府県民税と市町村民税を合わせた税額のことをいい、これに加えて2024年度からは森林環境税(年額1,000円)が均等割とあわせて徴収されるようになりました。住民税は所得額を元に計算されるため、給与と密接な関係にあります。したがって、給与支払者である会社が納税者に代わって住民税を納付すれば、確実に徴収することが可能となります。
結果として、毎月支払う給与から住民税を差し引く特別徴収という徴収方法が、給与支払者の義務として行われるようになりました。地方税法では、原則として給与支払者は従業員の給与から住民税を差し引く特別徴収義務者と定められており、その会社に勤務する従業員も特別徴収によって住民税を納付することが間接的に義務付けられています(地方税法第321条の3)。
普通徴収の対象になる人
普通徴収の対象となるのは、主に給与所得以外所得を有する個人事業主や、退職・休職などにより給与からの天引きができない人です。
具体的には、次のような人が普通徴収の対象になります。
- 給与所得以外の個人事業主
- 退職して次の就職先が決まっていない人
- 転職先は決まっているが特別徴収継続の申請手続き中の人
- 特別徴収から普通徴収への切替が認められた人(後述の普A〜普Fに該当する人)
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普通徴収と特別徴収の違いを対象者・納税方法・納税時期・メリット・デメリットの観点で一覧表にまとめました。
特別徴収と普通徴収の違いを比較する
住民税の特別徴収と普通徴収は、徴収回数・徴収方法・事務負担のいずれにおいても違いがあります。それぞれのメリットとデメリットをあわせて確認しましょう。
徴収回数の違い
特別徴収は年12回、普通徴収は原則年4回に分けて納付します。回数が少ない分、普通徴収は1回あたりの納付額が大きくなる点に注意が必要です。
特別徴収は、原則として毎月の給与から住民税を差し引くため、年に12回徴収されます。一方、普通徴収は原則として年4回のみであるため、1回あたりに支払う税額が大きくなります。
単純に1年間の住民税が30万円である場合、特別徴収は1回あたり25,000円が給与から差し引かれるのに対して、普通徴収は1回あたり75,000円を納付しなければなりません。1年間の総額は変わりませんが、1回あたりの納付額が異なると税負担を大きく感じやすくなります。
徴収方法の違い
特別徴収は会社が給与天引きで納付し、普通徴収は納税者本人が納付書やキャッシュレス決済で納付します。納付手段は年々多様化しており、現金以外の選択肢も広がっています。
特別徴収では、会社の給与支払担当者が従業員の毎月の給与から住民税を差し引き、翌月10日までに各市町村へ納付します。従業員が常時10名未満の事業所は、市町村長の承認を受けることで年12回の納期を12月と6月の2回にまとめる「納期の特例」も利用可能です。
普通徴収は市町村から交付された納付書を使用し、納税者が自分で納付します。近年は多くの自治体で地方税統一QRコード(eL-QR)に対応した納付書が発行されており、「地方税お支払サイト」からのクレジットカード納付や、対応するスマートフォン決済アプリでの支払いが可能になっています。
ただし、決済手段によって還元条件が異なる点には注意が必要です。利用方法・手数料は最新の公式情報を確認しましょう。
なお、普通徴収は納付期限を過ぎると住民税を滞納することになります。住民税を滞納すると督促が行われ、完納できない場合は滞納者の財産が差し押さえられる場合があります。
参考:税の納付方法【個人納付(普通徴収)】|世田谷区公式ホームページ
会社の経理担当者の事務負担の違い
特別徴収は会社が全従業員の住民税をまとめて納付するため、経理担当者の事務負担が普通徴収より大きくなります。
具体的には、市区町村から会社へ送付される特別徴収税額決定通知書に記載されている徴収税額を給与から差し引き、納付書を使用して直接金融機関に出向くか、インターネットバンキングやATMなどで納付する作業が発生します。
特別徴収と普通徴収のメリット・デメリット
| 徴収方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 特別徴収 | 1回あたりの税負担が少ない/会社が代わりに納付してくれる | 会社の事務負担が増加する |
| 普通徴収 | 決済手段によってはポイント還元を受けられる場合がある | 1回あたりの税負担が大きい/自分で納付する必要がある/滞納リスクがある |
普通徴収へ切り替えられるケースとは
住民税は原則として特別徴収の対象ですが、一定の事情がある場合は例外的に普通徴収への切替が認められます。たとえば東京都では、総務省の通達に基づき、切替理由は「普A」から「普F」までの6区分に整理されています。
会社(事業主)に関する事情としては、以下のようなケースが該当します。
- 総従業員数(他の区分に該当する従業員数を除く)が2人以下である事業所
なお、常時2人以下の家事使用人のみに対して給与を支払う事業主は、そもそも特別徴収義務者の対象から除外されており、これは切替理由とは別の規定です。
従業員個人に関する事情としては、以下の6区分があります。※東京都における例示
| 符号 | 切替理由 | 内容 |
|---|---|---|
| 普A | 総従業員数2人以下の事業所 | B〜Fに該当する従業員を除き2人以下の事業所 |
| 普B | 他の事業所で特別徴収 | 乙欄該当者など、他社で既に特別徴収されている人 |
| 普C | 給与が少なく税額が引けない | 給与が少なく、特別徴収税額を給与から税額を差し引けない人 |
| 普D | 給与が毎月支払われていない | 給与の支払いが不定期な人 |
| 普E | 事業専従者 | 個人事業主のみが対象 |
| 普F | 退職者又は退職予定者 | 5月31日までに退職する(した)人 |
これらの事情がある場合は、「普通徴収切替理由書兼仕切書」を、1月31日までに市町村へ提出する給与支払報告書と共に提出します。該当する従業員がいる場合は、給与支払報告書個人別明細書の摘要欄に該当する符号(普A〜普F)を記入する必要があります(eLTAX等の電子媒体で提出する場合を含む)。この提出がない場合、原則どおり特別徴収の対象者として扱われます。
参考:個人住民税の特別徴収(給与天引き)を徹底しています。|千葉県
自分の住民税がどちらの方式で徴収されているか確認する方法
自分の住民税が普通徴収と特別徴収のどちらで徴収されているかは、毎月の給与明細書の控除欄で確認できます。
給与明細書の控除欄に住民税という項目がある場合は、特別徴収によって住民税を会社経由で都道府県や市区町村へ納めていることになります。一方で、給与明細書の控除欄に住民税という項目がない場合や、給与収入がない自営業者の場合は普通徴収によって住民税を納税していることになります。
住民税は前年の所得をもとに計算したものを徴収しているため、退職した場合に特別徴収から普通徴収に切り替わることがあります。
退職・転職時の住民税はどう扱われるか
退職時の住民税の取り扱いは、退職日が1月1日から4月30日までか、6月1日から12月31日までかで異なります。退職時期によって一括徴収が義務になるか、本人の選択制になるかが変わる点が実務上のポイントです。
退職日が1月1日から4月30日までの場合
この期間に退職する場合、原則として退職月から5月分までの住民税が最終給与または退職金から一括徴収されます。
これは従業員の意思にかかわらず、給与支払者に義務付けられている取り扱いです。ただし、最終支給の給与額が一括徴収すべき住民税額より少ない場合などは、一括徴収を行わず普通徴収に変更できるケースもあります。
退職日が6月1日から12月31日までの場合
この期間に退職する場合は、退職月までは特別徴収で控除され、それ以降は普通徴収として自分で納付するか、最後の給与・退職金からの一括徴収を選択できます。
1年間の総額は変わりませんが、普通徴収を選ぶと納付回数が減り1回あたりの負担額が大きくなるため、退職金の額や今後の収入を考慮して判断することをおすすめします。
転職時に特別徴収を継続する手続き
間を空けずに転職する場合は、新しい勤務先で引き続き特別徴収を選択することが可能です。
この場合、給与所得者異動届出書という書類に新しい勤務先の所在地、名前及び連絡先などを記入し、退職月の翌月10日までに提出することで、翌月分以降を新たな勤務先からの特別徴収に切り替えることができます。
根拠となる法令
住民税の特別徴収・普通徴収に関する主な根拠法令は以下のとおりです。
- 地方税法第321条の3(給与所得に係る個人の市町村民税の特別徴収)
- 地方税法第321条の4第5項(給与所得に係る特別徴収義務者の指定等)
- 地方税法第321条の5(給与所得に係る特別徴収税額の納入の義務等)
- 地方税法第321条の5の2(給与所得に係る特別徴収税額の納期の特例)
- 地方税法第321条の7(給与所得に係る特別徴収税額の普通徴収税額への繰入れ)
普通徴収は個人が主体的に納税する形式をとりますが、特別徴収は給与から差し引いて徴収をするため、徴収側にとってもより確実に徴収することが可能となります。
そのため多くの地方自治体では特別徴収を推進する傾向にあります。
参考:個人住民税の特別徴収(給与天引き)を徹底しています。|千葉県
住民税の徴収方法をきちんと理解しましょう
各地方公共団体は、地方税収を確実に確保するために特別徴収による住民税の徴収を周知徹底する傾向にあります。よほどの理由がない限り、特別徴収によって住民税を納付するのが一般的です。
住民税は前年度の所得をもとに給与から天引きされるため、退職した場合は時期によって一括徴収されたり普通徴収に切り替わったりします。退職後の住民税がどのように取り扱われるのか、会社の事務担当者へ確認するようにしましょう。
よくある質問
住民税とは?
前年度の所得に応じた県民税と市民税の2つを合わせた税額のことをいいます。詳しくはこちらをご覧ください。
徴収回数は?
特別徴収は原則として毎月の給与から住民税を差し引くため、年に12回徴収するものと考えられ、普通徴収は6月、8月、10月、1月の年に4回徴収されます。詳しくはこちらをご覧ください。
普通徴収の徴収方法は?
市町村から交付された納付通知書を使用し、納税者が自分で納付しなければなりませんが、クレジットカード払いによる住民税納付に対応している市区町村もあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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