- 更新日 : 2026年1月14日
従業員エンゲージメント向上施策7選!向上のメリットや導入ステップを解説
企業と従業員の結びつきを強めることは、組織の成長において欠かせない要素です。しかし、「従業員エンゲージメント」という言葉を聞いたことはあっても、向上させる方法や導入時のポイントなどに悩んでいる人もいるでしょう。
この記事では、従業員エンゲージメントの定義から向上のメリット、具体的な7つの施策、そして導入ステップまでを詳しく解説します。
目次
従業員エンゲージメントとは?
従業員エンゲージメントとは、従業員が企業に対して抱く愛着や貢献意欲のことです。
エンゲージメントが高い従業員は、熱意を持って仕事に臨み、主体的かつ意欲的に日々の業務に取り組む傾向があります。いわれたことをこなすだけでなく、自ら考えて行動するため、組織全体のパフォーマンス向上が期待できます。そのため、従業員エンゲージメントは重要な指標として近年注目を集めているのです。
従業員エンゲージメントについてより詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。
従業員満足度との違い
従業員エンゲージメントとよく混同される言葉に「従業員満足度」があります。それぞれの違いは「視点がどこにあるか」です。
従業員満足度は、給与・福利厚生・労働環境などに対して、従業員が「どれだけ満足しているか」という個人的な満足度合いを示す指標です。あくまで従業員側の個人的な満足度を示すものであり、必ずしも業績や仕事への貢献意欲と連動するわけではありません。
一方で、従業員エンゲージメントは、従業員と企業の「双方向の信頼関係」にもとづくものです。そのため、指標の動きは企業への貢献意欲に連動します。従業員満足度が高くても、エンゲージメントが低い状態であれば、より条件のよい他社への離職や、生産性の低下といったリスクが懸念されます。
ワークエンゲージメントとの違い
ワークエンゲージメントは、従業員が「仕事そのもの」に対して意欲的であるかどうかを示す指標です。対象となるのはあくまで職務内容であり、企業そのものへの愛着を含む意味の言葉ではありません。つまり、仕事自体は好きでも、会社に対しては愛着がないケースも存在します。
一方、従業員エンゲージメントは、仕事内容だけでなく「企業」も含めた対象に愛着や貢献意欲を抱いているかどうかを示すものです。企業が愛着や貢献意欲の対象に入るかどうかが、両者の違いといえます。
従業員エンゲージメントを向上させるメリット
従業員エンゲージメントを高めることは、企業にとってさまざまなプラス効果をもたらします。離職率の低下や生産性向上など、従業員エンゲージメントを高めるメリットについて解説します。
離職率を下げられる
エンゲージメントの向上は、離職率の低下に貢献します。
エンゲージメントが高い状態であれば、従業員は「この会社で働き続けたい」「組織にもっと貢献したい」という前向きな意識を持ちます。その結果、優秀な人材の流出を防げ、定着率の向上が期待できるのです。
離職を防ぐには、給与や待遇などの条件面だけでなく、企業理念への共感や働きがいも重要です。これらが満たされると短期での離職防止にも効果を発揮し、結果として採用コストや育成コストの削減にもつながるでしょう。
採用力を強化できる
エンゲージメントが高い企業は、新たな人材の採用も有利に進められます。会社に愛着を持っている従業員は、自社の魅力を社内外へ積極的に発信する機会が増えると考えられるためです。現場の声として自社の魅力が外部に伝われば、企業のブランディング強化にもつながるでしょう。
また、自社の魅力が広く伝われば、業務内容だけでなく、社風にマッチした人材が集まりやすくなる可能性も高まります。新卒や第二新卒、中途採用など、幅広い層で優秀な人材確保が期待できるでしょう。
生産性の向上が期待できる
エンゲージメントが高い組織では、主体的に業務に取り組む従業員が増えるため、業績や生産性の向上が見込めます。
会社への貢献意欲が高い従業員は、自ら課題を見つけて改善プロセスを進めようとします。一人ひとりが組織の目標達成に向けて自身の能力を最大限に発揮してくれるのです。また、コミュニケーションが活性化することで、チーム内はもちろん他部署との関係性も良好になり、組織全体としての業務効率アップも期待できます。
こうした好循環ができれば、業績向上やイノベーションの創出といった効果も生まれやすくなります。
エンゲージメント向上施策7つを紹介
エンゲージメントを向上させるためには、社内方針の共有やコミュニケーションの強化、公平な人事評価制度の制定nなどがあります。働きがい・成長を感じられる環境整備がポイントになります。具体的な7つの施策を紹介します。
企業ミッション・ビジョンの社内共有
企業が目指す方向性を明確に提示し、社員全員が同じベクトルに向かって歩めるようにすることは、意欲向上や仕事の意義を見出すうえで重要です。
「企業ビジョン」という大きな目標があれば、従業員は自身にどのような役割があるのかを考え、行動に移せるようになります。また、会社のビジョンに共感し、自分の仕事が社会や顧客にどう役立っているかを理解できれば、日々の業務に意義を見出しやすくなるでしょう。
経営層が直接従業員に語りかける機会を設けたり、社内広報を通じて定期的にビジョンを発信したりするといった工夫が求められます。
社内コミュニケーションの活性化
エンゲージメント向上において、従業員同士のコミュニケーション活性化は欠かせない要素です。部署を超えた「横のつながり」を作ることで、組織への帰属意識が高まりやすくなります。日頃から活発にコミュニケーションをとっていれば、業務上の連携もスムーズになるでしょう。
具体的な施策としては、以下のようなものが挙げられます。
- 昼食交流会
- 部活動・サークル活動への支援
- サンクスカード(従業員同士が感謝を送り合うもの)
1on1ミーティングの実施
横のつながりだけでなく、上司と部下のコミュニケーション強化も重要です。代表的な手法として、1on1ミーティングがあります。
1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で対話する時間を設ける施策です。業務進捗の確認だけでなく、仕事や職場環境に対する意見を気兼ねなくいえるよう、和やかな雰囲気で行うのが大切です。上司が部下の話を引き出し、傾聴することを目的とします。
部下は、ミーティングを定期的に開いてもらうことで「自分の意見や悩みを聞いてもらえている」と実感しやすくなるでしょう。そのため、時間をかけて従業員と組織との信頼関係を構築できるようになります。
公平な人事評価制度の制定
公平で納得感のある評価制度も、エンゲージメントを左右する重要な要素です。
評価基準が不明瞭だと、従業員からの不信感を招きます。明確な基準やフィードバックの仕組みを作り、従業員からの反発が生まれにくい制度設計にするのが重要です。適切な評価を受けられれば、従業員のモチベーションがアップし、業務への意欲や会社への愛着も深まるでしょう。
また、インセンティブ制度や社内表彰など、成果が形に残るような仕組みを導入すれば、さらなるエンゲージメント向上も期待できます。
職場環境・労働環境の整備
安心して働くための土台となる、職場環境や労働環境の整備も忘れてはいけません。給与や待遇を定期的に見直したり、休暇制度や食事補助、レクリエーションなどの福利厚生を充実させたりすることは、人材流出の防止に役立ちます。
また、物理的な居心地のよさも重要です。オフィスを改装する、体に負担の少ない椅子や机を導入する、クラウドシステムによる業務効率化を進めるといった取り組みが有効です。先進的で快適な職場環境づくりを目指すことで、従業員は本来の業務に集中できるようになります。
従業員のキャリア開発支援
従業員のキャリアアップやスキルアップを支援することも、有効なエンゲージメント向上施策のひとつです。
「今の会社にいても将来のキャリアイメージが湧かない」「成長の機会がない」と従業員が感じる環境は、離職を考えるきっかけとなります。逆に、会社がキャリア形成を支援してくれると感じられれば、貢献意欲や昇進意欲を高められるでしょう。
具体的な施策例としては、キャリアパスの明確化、スキルアップ研修の開催、資格取得費用の補助などが挙げられます。
ワークライフバランスの充実
私生活を含めたワークライフバランスの充実は、従業員のエンゲージメントに深く関係しています。
長時間労働や休日出勤が常態化すると、業務が過度な負担となり、意欲や愛社精神が失われてしまいます。完全週休2日制の徹底、リモートワークやフレックスタイム制の導入、ノー残業デーの設定などにより、メリハリをつけて働ける環境を用意しましょう。
公私ともに充実した生活を送れるようになれば、従業員が安心して長く働き続けられます。
エンゲージメント向上施策の導入・実施ステップ
エンゲージメント向上施策は、導入することはもちろん、事前の準備や実施後の検証も重要です。導入から改善までのステップを解説します。
1. エンゲージメントサーベイを実施する
まずは現状を正しく把握することから始めましょう。従業員が会社に対してどのような感情を抱いているのか、不満を感じている箇所はどこなのかを可視化する必要があります。
この際に活用するのが「エンゲージメントサーベイ」です。エンゲージメントサーベイとは、従業員のエンゲージメントを数値で測定し、組織の課題を可視化する調査です。初回は全社的に調査を行うセンサス方式を採用し、組織全体の傾向や部署ごと、年代ごとの課題を洗い出しましょう。
なお、実施にあたっては、事前に調査目的を全社に周知し、従業員に本音で回答してもらえる環境を整えるのが大切です。
2. サーベイ結果をもとに導入する施策を決める
サーベイの結果が出たら、それぞれの課題を解決するための最適な施策を選定します。
たとえば、職場環境への不満が多いならオフィスの整備やシステムの導入を検討し、人間関係の希薄さが課題なら交流の場をセッティングするといった具合です。
ただし、すべての課題を一気に解決しようとするのは好ましくありません。優先的に解決すべき課題をピックアップし、ひとつずつ着実に解消に向けて取り組んでいくとよいでしょう。
3. 施策導入の効果を測定し改善に努める
施策を実行した後は、必ず効果測定を行い、改善を繰り返すことで長期的な制度運用を目指します。定期的にサーベイを実施したり、離職率や残業時間の推移をチェックしたりして、変化を確認しましょう。
もし効果が出ていない場合は、施策の内容や運用方法を見直すなどの対応が必要です。このサイクルを回し続けることで、従業員のエンゲージメントを継続的に高めていく姿勢が重要になります。
エンゲージメント向上施策を適切に運用するポイント
施策を形骸化させず適切に運用するには、こまめな調査や客観的データの活用、柔軟なアプローチの変更が求められます。以下に紹介するポイントを意識して、離職率低下や意欲向上につなげましょう。
パルスサーベイを定期的に行う
パルスサーベイの定期的な実施は、最新の社内状況の把握に欠かせません。
パルスサーベイとは、週1回から月1回程度の頻度で、職場や仕事に関する簡易的な質問を繰り返す調査手法です。従業員の心理状態の変化をリアルタイムに近い速度で把握できるため、課題の早期発見や対処が可能になります。
施策を実行した直後の反応を見るのにも有効で、小さな変化を見逃さずに拾い上げられます。一方で、頻繁な調査が従業員の負担になる可能性もあるため、質問数を絞るなどの配慮が必要です。
パルスサーベイについてより詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。
勤怠データの変化をモニタリングする
サーベイのデータに加えて、勤怠データもあわせてチェックすると、より現状が把握しやすくなります。
残業時間の急増や有給休暇取得率の低下が見られる場合、エンゲージメントが低下しているサインと判断できます。反対に、残業時間が適正化され、従業員がまんべんなく有給を取れているなら、エンゲージメントが高まる土壌ができているといえるでしょう。
勤怠管理ツールなどを活用し、数値に大きな変化があった際は該当部署へヒアリングを行うなど、早期の対策につなげるのが重要です。
効果の少ない施策はアプローチを変える
サーベイの結果などで効果が薄い、あるいはあまり活用されていない施策がある場合は、アプローチを変えたり、思い切って施策自体を停止したりする判断も必要です。
たとえば、1on1ミーティングや社内交流会が形骸化している、福利厚生があまり利用されていないといったことが起きる場合があるでしょう。この場合、以下のように多角的な視点から改善を図るとよいです。
- 運用ルールを変更する
- 周知の方法を工夫する
- 管理職向けの研修を行う
また、従業員に直接改善案を聞いてみるのも有効です。「会社が現状をよりよくしようとしている」という改善の姿勢自体が、従業員のエンゲージメント向上に寄与する可能性もあります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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