- 更新日 : 2024年7月16日
ジョブ型雇用とは?メンバーシップ型との違いやメリットを解説
ジョブ型雇用は、職務内容と責任範囲を明確に定めた上で人材を配置・評価する雇用形態です。
- 職務記述書で業務を明確化
- 専門性・成果で評価される
- メンバーシップ型と対照的
ジョブ型雇用の導入により採用・評価・給与が職務内容と成果に基づく運用へ移行し、柔軟性と専門性の両立が求められます。
近年グローバル化に伴いジョブ型雇用を導入する企業が増えています。メンバーシップ型雇用と異なり職務内容が決まっているジョブ型雇用は、人材の専門性を高められることなどがメリットです。しかし、転職されやすかったり維持にコストがかかったりするというデメリットもあるため、慌てて導入せずに自社に適しているか吟味しましょう。
目次
ジョブ型雇用とは?
近年、多くの企業で導入が進む「ジョブ型雇用」は、従来の日本型雇用(メンバーシップ型)とは異なる雇用形態です。業務の明確化や専門性の重視、働き方改革の一環として注目されており、グローバル企業を中心に採用が広がっています。
ジョブ型雇用は「職務内容と責任範囲に基づく雇用」
ジョブ型雇用とは、あらかじめ定められた職務(ジョブディスクリプション)に対して人を採用し、これまでの職務経歴や保有している知識・スキルなどを基準に評価・報酬を決定する仕組みです。これは、欧米を中心に一般的な雇用形態であり、「この仕事を専門的に担う人材」として雇用契約を結びます。
業務の範囲・役割・責任が明確に定義され、異動や転勤も原則として職務内容に基づいて行われるため、組織運営や人事制度が大きく変わる可能性があります。
専門性や成果主義と相性が良い一方で、社内の柔軟性が失われるリスクもあり、導入にあたっては制度設計と社員理解が不可欠です。ジョブ型雇用は、働き方の多様化やグローバル化に対応する新たな雇用スタイルとして、今後さらに広がると見込まれます。
ジョブ型雇用が注目されている背景は?
グローバル化に伴い、欧米圏との人材獲得競争のために導入されているのがジョブ型雇用です。2020年に経団連がジョブ型雇用を推進したり、新型コロナウイルス感染症の影響でジョブ型雇用と相性が良いテレワークが普及したりしたことで一層注目されるようになりました。
経団連による推進
一般社団法人日本経済団体連合会は2020年に、メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用の組み合わせで自社の経営戦略に最適なものを見出し、自社型の雇用システムを確立して社員に才能を最大限に発揮させ、エンゲージメントを高めることが企業のグローバルな競争力の強化に繋がると提言しました。
そして2021年にジョブ型雇用を総合的に検討するのは有益であると推奨し、それ以降1部の大手企業がジョブ型雇用を導入したことも踏まえ、2022年には自社に合った形でジョブ型雇用を導入し活用することを検討する必要があると提唱したのです。一般社団法人日本経済団体連合会は年々踏み込んだ表現へと改めながら、ジョブ型雇用を推進しています。
参考:ー自社型雇用システムと自律的キャリア形成へー| 一般社団法人日本経済団体連合会
テレワークの普及・働き方の多様性
テレワークはもともと働き方改革の推進のために提唱されていましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い急速に普及しました。これまで直接職場で会って会話しながら仕事を進めていた場合、急にテレワークに切り替えると誰がどのような業務をすれば良いのかはっきりしておらず、作業が停滞してしまうことがあるかもしれません。しかしジョブ型雇用であれば仕事内容が明確になっているため、スムーズに業務に取り組むことが可能です。
さらにジョブ型雇用は、一般的に成果を重視します。成果さえ出すことができれば仕事をするのは職場でも在宅でもよく、勤務態度や労働時間が曖昧で把握が難しいテレワークでも評価を適切に行うことができます。そのためジョブ型雇用はテレワークとの相性が良いのです。
欧米圏からの影響
近年はグローバル化が進み、優秀な人材を獲得するための国境を越えた競争が激化しています。そして同じ仕事をしているのならば同額の給料を得られるようにするべきであり、そこに性別や人種は関係ないという考えが世界中に浸透し、ジョブ型雇用がグローバルスタンダードになりました。そのため海外進出している企業は、優秀な人材を獲得するためにジョブ型雇用に切り替える傾向が高くなっているのです。
ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違いは?
日本の企業においては長年、職務を限定せず、会社という「組織への所属」を重視するメンバーシップ型雇用が主流でした。しかし、近年では働き方改革やグローバル化に対応するため、職務内容を明確に定めるジョブ型雇用の導入が進んでいます。ここでは両者の違いを整理します。
ジョブ型は「仕事に人を合わせる」、メンバーシップ型は「人に仕事を合わせる」
メンバーシップ型雇用は、職務を特定せずに人材を企業に迎え入れ、幅広い業務や異動、長期的育成を前提とした雇用形態です。新卒一括採用、年功序列、人事異動、転勤など、日本企業の特徴的な人事制度はこの型に基づいています。社員は組織の一員として会社に貢献することが期待され、柔軟に役割を変えながらキャリアを積んでいくのが基本です。
ジョブ型雇用は、あらかじめ定義された職務内容(ジョブディスクリプション)に基づき、必要なスキルや経験を持つ人材を採用・配置するという考え方です。評価や報酬も、業務成果や職務の専門性に基づいて行われ、異動や昇進も明確な基準に基づくのが一般的です。
ジョブ型は即戦力重視である一方、汎用性や組織内の柔軟性には限界があり、メンバーシップ型は長期育成に強みがある反面、成果に対する評価の曖昧さが課題とされてきました。
ジョブ型雇用と成果主義の違いは?
ジョブ型雇用と成果主義は、どちらも「業務内容や結果を重視する働き方」として語られることが多いですが、意味や目的は異なる概念です。混同されがちですが、それぞれが持つ特徴や導入目的を理解することで、人事制度の設計や運用の方向性が見えてきます。
ジョブ型雇用は「職務に基づく働き方」、成果主義は「結果に基づく評価制度」
ジョブ型雇用とは、あらかじめ定められた職務(ジョブディスクリプション)に対して適切な人材を配置し、その業務遂行を中心に雇用契約を結ぶ仕組みです。目的は、専門性の高い人材の活用、業務の明確化、組織の効率性向上にあります。雇用形態や働き方に関わる制度であり、「どのように雇うか、どの仕事を誰に任せるか」という点に重きが置かれています。
成果主義は「働き方」ではなく「評価の基準」です。従業員の成果や業績に基づいて、給与や昇進・昇格を決定する仕組みであり、職務内容が明確であるかどうかは必ずしも問われません。職務に関係なく、出した成果そのものを重視するため、柔軟な職務範囲の中でも導入可能です。
両者は連動するが、目的と適用範囲が異なる
ジョブ型雇用では職務が明確であるため、成果主義と相性がよく、セットで導入されることもあります。しかし、ジョブ型=成果主義ではなく、ジョブ型でも職務遂行のプロセスや姿勢を評価する企業も存在します。逆に、成果主義はメンバーシップ型雇用の中にも導入されるケースがあります。
ジョブ型雇用に向いている業種や企業の特徴は?
ジョブ型雇用は、「職務に人をつける」という考え方に基づいた雇用制度です。そのため、導入効果が高いのは、明確な職務内容があり、専門性や成果が重視される業種や企業です。ここでは、ジョブ型雇用に適している企業の特徴や代表的な業種について整理します。
専門性が高く、成果が明確な職種・業種に向いている
ジョブ型雇用は、職務内容や責任範囲が明確であることを前提とするため、業務の成果が定量的に測定しやすい業種や専門職に特に向いています。 以下のような業種が代表例です。
- IT・システム開発:エンジニアやプログラマーなど、担当するプロジェクトやスキルセットが明確な職種。
- コンサルティング業界:担当クライアント・テーマ・成果が定義されているため、評価も職務ベースで行いやすい。
- 金融業界(投資銀行・証券・保険など):リスク管理・アナリスト・トレーダーなど、役割がはっきりしている専門職種が多い。
- 研究・開発(R&D)部門:製品開発や特許取得などの成果が明確で、個人の専門性が成果に直結する。
- 法務・会計などの士業系職種:国家資格や専門知識が必要で、業務が独立しているケースが多い。
大企業やグローバル企業での導入が進みやすい
グローバル展開している大企業や外資系企業では、国際的な人材マネジメント基準としてジョブ型雇用が採用されることが多いです。これは、各国の雇用慣行に対応するためにも、職務ベースでの統一管理が必要とされるためです。
また、デジタル化やDXを推進する企業でも、即戦力人材の採用やプロジェクト単位での雇用設計が求められ、ジョブ型の導入がスムーズです。
組織の構造がフラットで、役割分担が明確な企業に適する
ジョブ型雇用は、組織の各ポジションにおける業務範囲と責任がはっきりしていることが前提となるため、職務記述書(ジョブディスクリプション)を正確に定義できる企業体制が求められます。そのため、職種や役割の重複が少なく、裁量を個人に委ねやすい環境が適しています。
ジョブ型雇用の導入方法は?
ジョブ型雇用はメンバーシップ型雇用と異なる点が多いため、いくつかの手順を踏んで導入を進めていく必要があります。
① ジョブ型雇用にする職種を決める
自社にどのような役職や職務が存在するのかを把握し、雇用したいのはどのような人材なのかを明確にしたうえで、ジョブ型雇用を適用する職種を決めます。1度に全ての職種をジョブ型雇用に切り替えると混乱してしまうため、ジョブ型雇用に適しているクリエイティブ系やエンジニアのような個人のスキルが重要な職種などから少しずつジョブ型雇用を導入していくと良いでしょう。またジョブ型雇用は集中できる環境で業務に注力し、成果を出すために在宅勤務や時短勤務など様々な方法を選べる職種にも向いています。
② 職務記述書(ジョブディスクリプション)を作る
ジョブ型雇用にする職種ごとに職務記述書を作ります。企業は職務記述書の内容を求職者に事前に提示するため、職務記述書を作ることはミスマッチを防ぐのに効果的です。そのため求めている人材を見つけてジョブ型雇用を成功させるには、職務記述書を簡潔かつ明確に作成する必要があります。求職者が自分に合った仕事がどうかを判断しやすいように、様々な情報を記載しておきましょう。
まず職種や職務名、仕事の難易度や内容を基準とした職務価値の大きさの序列である職務等級を記載します。そして事務か営業かなど具体的な職務内容を記載するのに加え、責任や権限の範囲、業務に部下の育成などを含むのか、どこまでが業務の範囲なのかを明記することも重要です。
さらに一括りに事務と言っても一般事務と営業事務では仕事内容が違うなど、業務によっては認識の相違が発生する可能性があるので、どのようなことを目的として業務に取り組んでほしいかをきちんと記載しておきましょう。
課長、部長などのポジションや、直属の上司や部下などのレポートラインに関する部分についても明記しておくのが望ましいです。雇用形態や勤務地、勤務時間、所属人数やリモートワークの有無のような働くイメージを抱きやすくなる情報に加え、給与や賞与、年収、福利厚生などの情報も欠かせません。契約期間がある場合は更新についても含めて記載し、資格や経験、知識などの求職者に求めるスキルがある場合はそれも明記しておきましょう。
このように様々な情報を明記しておけば、求めている人材が見つかりやすくなります。
③ 採用基準・評価基準を明記する
ジョブ型雇用の採用活動は職務記述書をもとに行うため、職務内容や資格、スキルや経験などの採用基準を明記しておくことが大切です。採用基準がわかりやすければ、求職者の応募が増えるかもしれません。
さらに職務評価基準も明記することで、社員がスキルアップやキャリアアップを目指しやすくなるでしょう。厚生労働省は1対1で職務の大きさが同じか異なるかを比較する単純比較法や、社内の職務で基準となるものを選んで職務分析を行い、それをもとに職務レベル定義書を作成して職務のレベルを判断し評価する分類法などの職務評価の手法を複数紹介しています。職務評価の手法を明記することで、上司の好き嫌いで評価が決まり適切な評価が行われないといったことを防ぎ、社員のモチベーションを上げることができるのです。
参考:職務評価の手法|職務分析・職務評価 | 正社員との不合理な待遇差の解消|厚生労働省
④ 職務価値を等級・グレードに設定する
職務価値は学歴や能力、勤続年数では評価せず、職務内容を比較することで職務の相対的な価値を決めます。職務価値を算出して序列をつくり、いくつかの等級に分けますが、等級の設定が大雑把だと評価が正当になりづらく、細かすぎると手間がかかるので注意しましょう。
⑤ 職務と賃金を決める
職務価値を算出して等級に分けたら、それに応じた賃金を決めます。ジョブ型雇用は職務価値に応じた賃金を設定するのが特徴なので、自社の待遇が悪いと同じ仕事でより良い待遇の他社に転職されてしまうかもしれません。そのため市場の相場に合わせて賃金を決めると良いでしょう。
⑥ 採用募集を進める – ジョブ型であることを明記する
メンバーシップ型雇用と異なり、原則としてジョブ型雇用には異動や転勤、昇給や降格、残業が想定されていません。2024年4月の労働基準法施行規則改正により、職務・勤務地の「変更範囲」を明示する義務が生じました。限定範囲を超える転勤は、労働者の自由な同意がない限り無効です。ジョブ型雇用で採用募集を進める際はトラブルを防ぐために、雇用契約書にジョブ型雇用であることを明記しておきましょう。
⑦ 採用後も評価指標や職務記述書の改善を行う
職務内容や職務価値は、事業の拡大など様々な理由で変化していきます。そのため職務記述書を作成したらそれをずっと使いまわすのではなく、半期もしくは1年に1度を目安に職務記述書や職務価値を見直し、改善しましょう。現状に合った職務記述書を用いて適切な人事評価を行うことで、社員の不満を軽減することができます。
ジョブ型雇用のメリットは?
ジョブ型雇用は、業務の明確化や生産性の向上、組織改革を図るうえで多くの利点があり、特に専門性の高い職種やグローバル企業で効果を発揮しています。
専門性を活かした配置・採用がしやすい
ジョブ型雇用では、職務内容や役割がジョブディスクリプション(職務記述書)によってあらかじめ明確に定義されています。そのため、企業は求めるスキルや経験を明確にした上で人材を採用・配置でき、即戦力人材を適切なポジションに効率よく採用できるというメリットがあります。これにより、採用のミスマッチや無駄な人員配置を避けられます。
成果に基づいた公平な評価ができる
職務内容と責任範囲が明確なため、成果主義との親和性が高く、評価の公平性・透明性を高めやすいのも特徴です。従来の年功序列型評価では見えづらかった、職務貢献やアウトプットに応じた処遇が可能となり、優秀な人材の定着やモチベーション向上にもつながります。
組織の効率化・コスト最適化が可能
職務に応じた人材管理を行うため、人件費の最適化や過剰な配置の防止につながり、組織運営の効率化が期待できます。また、プロジェクト単位での業務運営がしやすくなり、変化の激しい環境にも柔軟に対応できる体制を整えることができます。
働き方の多様化やリモートワークにも対応
ジョブ型雇用は「誰が・どこで」働くかよりも「何をするか」を重視するため、テレワークや副業など多様な働き方にも適応しやすい点も現代の働き方と親和性があります。成果ベースで評価することで、勤務時間や場所に縛られない柔軟な労働環境が実現できます。
ジョブ型雇用のデメリットは?
ジョブ型雇用は職務が固定されることによるデメリットがあります。
役職・職務が固定化されやすい(キャリアアップが難しい)
従業員は同じ職務に取り組み続けるため、専門性が高くなるかわりに職務や役職が固定されてしまい、特定の分野でしか活躍できなくなってしまいます。キャリアアップのために転職を視野に入れても、自分に合う特定の職務の募集が少なく転職自体が難しいことがあるかもしれません。
条件の良い他企業に転職してしまう可能性
ジョブ型雇用の場合、企業ではなく職務にマッチして入社しているので、企業に対する帰属意識や忠誠心が薄れてしまいがちです。そのため同じ職務で自社より良い条件で人材を募集している企業があると転職されやすくなってしまうでしょう。
ジョブ型雇用を維持するための運用コスト
ジョブ型雇用は導入している職種ごとに職務内容を確認したり評価基準を設定したりしなければなりません。また職務が固定されるので、職務記述書をしっかりと作成する必要があります。さらに職務記述書は1度作成して終わりではなく、定期的な確認と改善が求められるでしょう。そのためジョブ型雇用の維持には人件費と手間がかかるのです。
ジョブが無くなった場合に解雇になりやすい
ジョブ型雇用と聞くと、仕事がなくなったら解雇されるというイメージを持つ方が多いでしょう。しかし、実際にはジョブ型雇用だから解雇されやすいとは言い切れません。
現在日本には労働基準法に基づく解雇規制があり、解雇するには正当な理由が必要です。そのため整理解雇では配置換えなどの雇用を維持する方法を模索し、解雇しないための努力をしたかなどが争点になります。これはメンバーシップ型雇用・ジョブ型雇用に関わらず、整理解雇自体が妥当なものであるかを判断する基準として定められているため、「ジョブ型雇用が解雇になりやすい」とは一概には言えないのが現状です。
一方ジョブ型雇用が一般的である海外は日本と雇用契約の内容自体が異なる場合が多く、整理解雇をしやすいという特徴があります。日本には「正社員」という雇用形態があり、多くの日本企業は「メンバーシップ型」です。メンバーシップ型では職務を限定しない運用が多く、職務の限定がないケースもあります。この場合は原則として、社内の全ての職務に従事する義務と権利を持つのです。しかし海外では社内の職務を種類ごとに区切り、採用した人を特定の職務にのみ従事させるという内容の雇用契約を締結します。もし特定の職務に必要な人数が減っても、その職務にのみ従事するという契約になっている以上他の労働をさせることができないため、整理解雇が成立しやすいのです。
ジョブ型雇用の評価・給料の決め方は?
ジョブ型雇用では、メンバーシップ型とは異なり、「人に対して仕事を割り振る」のではなく、「特定の職務(ジョブ)に適した人を配置する」ことが基本です。そのため、評価方法や給与の決め方も職務や成果を基準とした合理的な体系が用いられます。
給料は「職務の価値」と「市場水準」によって決まる
ジョブ型では、給与水準はその職務の専門性・責任の重さ・成果への貢献度をもとに設計されます。これは「職務給」と呼ばれる考え方であり、どのような仕事かによって報酬が決まるのが基本です。
職務ごとの等級(グレード)やランクを設定し、それぞれに応じた報酬レンジを定めるのが一般的で、年齢や勤続年数ではなく、職務の価値に応じて賃金が決まる点が特徴です。さらに、業界や地域の市場相場(マーケットレート)を参考に報酬水準を調整する「マーケットプライシング」も用いられ、グローバル企業や高度専門職でよく見られます。
評価は「職務成果」や「成果への貢献」で行う
ジョブ型雇用では、職務記述書(ジョブディスクリプション)に基づき、担当業務に対する実績・成果を客観的に評価します。以下のような観点で評価が行われます。
- 職務目標に対する達成度
- 担当プロジェクトでの成果・効率・質
- 専門性や知識の発揮状況
- 組織やチームへの貢献度(マネジメント含む)
成果主義との相性がよいため、「MBO(目標管理制度)」や「OKR(Objectives and Key Results)」など、定量的な目標設定と達成度を評価する手法が導入されるケースも多く見られます。
一律の昇給は少なく、スキル向上・役割拡大が収入アップにつながる
メンバーシップ型のように毎年自動的に昇給する仕組みではなく、担当職務が変わらなければ給与も横ばいになるケースが多いのもジョブ型の特徴です。そのため、給与を上げるためには以下のような行動が求められます。
- より高度な職務へのチャレンジ
- 専門性の深化・資格取得
- 管理職やプロジェクトリーダーへのステップアップ
社員自身がキャリア設計やスキル開発に主体的に取り組むことが、昇格・昇給に直結する仕組みです。
日本でもジョブ型雇用は成功できる?導入事例
富士通はグローバル化に伴い、幹部社員を中心に2020年4月からジョブ型雇用を導入しました。売上だけでなく専門性や難易度、影響力、多様性、レポートラインなどの様々な観点から職責を格付けして給与が決まる仕組みとなっており、業績を上げた社員の給与を上げることを明確にすることで社員がより高度な業務に挑戦するのを促しています。
資生堂はグローバル展開している競合他社と比べて生産性が低い現状を打破し、日本支社の人材の専門スキルを伸ばすためにジョブ型雇用を導入しました。最初は国内の一部の管理職である約1,700名を対象としていましたが、2021年以降は国内の一般社員にも範囲を広げています。ジョブファミリーを20以上設けてそれぞれの職務定義書を用意し、決められたジョブファミリーで専門性を高めて昇進したり、必要なときにはジョブファミリーの中でスムーズに異動したりすることができるようになりました。
他にも日立製作所やKDDI、カゴメのような大手企業を中心にジョブ型雇用を導入する動きが広まっています。
ジョブ型雇用は職務内容が固定されている
ジョブ型雇用は職務内容が決まっているので、即戦力となる人材を採用したり人材の専門性を高めたりすることができるというメリットがありますが、維持にコストがかかるほか、転職されやすいといったデメリットもあります。ジョブ型雇用を導入する動きが広まっているからと焦ってすぐに導入しようとするのではなく、しっかりと自社の状況を把握し、メンバーシップ型雇用などの他の方法とも比較しながら、自社に適した雇用方法を選びましょう。
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