- 更新日 : 2024年7月16日
CSFとは?目標設定で大切な要素!具体例をもちいて解説
経営戦略においてはKGIやKPIといった指標の達成に向けて事業やマーケティング活動などを行います。これらの指標の設定にあたり、今回紹介するCSF(重要成功要因)を設定することは経営目標達成に直結するため大変重要です。この記事ではCSFについてKGIやKPIとの関係性とともに紹介し、その設定方法について紹介します。
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CSF(重要成功要因)とは?
CSFとは「Critical Success Factor」の略称で、日本語では「重要成功要因」と呼ばれます。経営目標を達成する上で重要な影響を及ぼす要因であり、経営戦略上重要な管理項目といえるでしょう。ここでは、同様に経営目標を達成するために必要な指標であるKPI、KGIとの相違点や、それらとCSFとの関係性、CSFと同様に用いられることのあるKSF、KFSについて見ていきます。
KPIとの違い・関係性
CSFに関連する指標としてKPIが挙げられます。KPIとは「Key Performance Indicator」の略称で、日本語では「重要業績成果指標」と呼ばれます。CSFが経営目標を達成する上で重要な要因ですが、目標達成に向けた具体的な指標などが含まれているとは限りません。一方、KPIは目標達成に必要な具体的な指標で、定量的に測定可能なものであるため、チームがいつまでに何を達成すべきかを明確にするためのものです。
KGIとの違い・関係性
経営戦略を考える上でKPIとともに重要な指標であるKGIは「Key Goal Indicator」の略称で、日本語では「重要目標達成指標」と呼ばれます。企業が最終的に達成すべき経営目標を定量的に評価するための指標で、具体的な数値目標を掲げるのが特徴です。このKGIを達成するために重要となる要素を洗い出し、その中で最上位に位置づけられるのがCSFとなります。
KSF・KFSと意味は違う?
CSFとともに知られる用語としてKSF(Key Success Factor)、KFS(Key Factor for Success)があります。これらはともに「重要成功要因」と訳されますので、CSFとほぼ同じ意味で使われています。
CSFにおける5つのタイプ
CSFは業界の動向に関するCSFなど、以下で紹介する5つのタイプに分類されます。これら5つのタイプを理解したうえでCSFの設定に向けた検討を進めることで、自社にとって真のCSFを見落とすことなく設定することが可能になるでしょう。
業界の動向に関するCSF
自社の競争力を維持し、経営目標を達成するためには、自社の属する業界全体の動向を分析し、将来について予測することが重要です。業界の動向に関するCSFとしては「業界水準を上回る」「業界ナンバーワンの」などといった設定が挙げられます。
環境に関するCSF
環境に関するCSFは自社組織の直接的な影響が及ばないことを要因とするものです。例えば経済の情勢(円安の進展など)、政策変更、法改正などの要因をしっかり分析して将来に備える形でCSFを設定することが挙げられます。
競合に関するCSF
経営目標を達成するためには競合他社の動向の分析も非常に重要なことはいうまでもありません。競合に関するCSFは、顧客が競合他社と比較して自社をどのようにとらえるかという点にフォーカスした設定になります。
偶然に関するCSF・一時的な要因
一時的な要因は自社の経営に恒久的に影響するものではありませんが、要因を特定して克服することが自社の継続的な発展につながることもあります。偶然に関するCSFとは、CSFの設定にあたって一時的な要因に着目するものです。昨今の例を挙げると「コロナ禍」を踏まえてCSFを設定することもこれに該当します。
マネジメントクラスに関するCSF
他の4つのタイプとは異なり、組織全体ではなくマネジメントクラス(管理職)という職位に限定してCSFを設定するものです。組織の運営、管理においてマネジメントクラスは重要な役割を期待されているので、そのスキルアップや業務の進め方などを重視するCSFもまた重要になります。
CSFの設定方法 – 使えるフレームワーク
経営戦略の策定によく用いられる分析手法として、SWOT分析、5フォース分析、PEST分析などのフレームワークが知られています。これらのフレームワークは、経営目標を達成するために重要な要因となるCSFを設定する際の現状分析にも活用できます。ここではCSF設定に利用できるフレームワークの概要とCSFの設定方法について紹介します。
① 現状分析(SWOT分析)
企業にとっての内部環境(自社の経営資源)と外部環境を組み合わせて戦略を立案するフレームワークです。SWOTとは、内部環境における他社と比較しての強み(Strength)、弱み(Weakness)と外部環境における有利な環境である機会(Opportunity)、不利な環境である脅威(Threat)のそれぞれの英単語の頭文字です。これらの4つの要素の分析に基づいてCSFの設定を検討します。
➁ 現状分析(5フォース分析)
業界内での競争環境を重視する分析手法が5フォース分析です。「フォース(force)」とは「脅威」のことであり、自社にとっての競争要因にあたります。競争要因は以下の5つであり、これを分析して自社の競争優位性を見出す形でCSFの設定を検討します。
- 新規参入の脅威
- 業界内の競争(既存競合他社)
- 代替製品・サービスの脅威
- 買い手(顧客)の交渉力
- 売り手(サプライヤー)の交渉力
③ 現状分析(PEST分析)
PEST分析は外部環境を分析する手法です。PESTとは、P(Politics:政治)、E(Economy:経済)、S(Society:社会)、T(Technology:技術)の頭文字で、これらの4つの視点に基づき分析します。社内や業界内に限らず社会的な外的要因が強い場合には、この手法を用いることによりCSFの設定を検討します。
④ バリューチェーンの把握
自社や競合他社のどの工程にどの程度の付加価値が生まれているかを分析することをバリューチェーン分析と呼びます。内部環境分析に使われる手法です。工程とは、工場などの生産工程だけでなく、仕入れから販売、アフターサービスまでの一連の流れのすべてを指します。自社のどの工程に競争優位性があるかを分析し、把握することを通じて、CSFの設定を検討します。
⑤ KJ法を用いた問題解決方法の提示
KJ法とは断片的な情報やアイディアを効率的に整理するために用いられる手法です。文化人類学者である川喜田二郎氏がその著書で紹介した手法で、本人のイニシャルが名称の由来です。カード上の紙(付箋)に情報を記して、それを並べ替えたり、グルーピング等をしたりして、情報を整理していきます。
KJ法を用いる場合には、事前に整理対象となる情報やアイディアの洗い出しを行います。その代表的手法がブレーンストーミングです。この方法を通じて多くの情報の中から問題解決方法を見出してCSFの設定を検討します。
⑥ CSFの選択・設定
自社の内部環境や外部環境、競争環境や社会全体の情勢などを踏まえて、これまで述べてきたフレームワークをもとに分析し、分析結果を整理した上でCSFの候補を選定します。その上で最も効果的と考えられるCSFに絞り込み、設定します。絞り込みの際には前述したKJ法を用いるのもよいでしょう。
自社の成功に不可欠なCSFの設定が重要
CSFは「重要成功要因」という名前の通り、自社の経営目標(KGI)を達成し、ビジネスを成功に導くために不可欠な要素です。それだけにCSFの設定にあたっては、自社の内部環境、自社を取り巻く外部環境について、今回紹介したフレームワークのうち目的に合ったものを用いてしっかりと分析することが重要です。
また、自社に関わる市場環境は目まぐるしく変化します。CSFは一度設定したら終わるのではなく、環境変化をいち早く察知、分析して定期的にブラッシュアップすることを通じて経営目標達成を目指しましょう。
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