- 作成日 : 2025年12月11日
ナビダイヤル(0570)は誰が儲かる?通話料の負担や導入企業のメリットなどを解説
「0570」で始まるナビダイヤル。企業の問い合わせ窓口やサポートデスクの設置を検討する際、「導入企業にとってどのようなメリットがあるのか?」「通話料の一部が企業側の収益になるというのは本当か?」と疑問に思う方も多いでしょう。
この記事では、ナビダイヤルの料金仕組みや、その収益がどこへ行くのか、そしてなぜ通話料は高くなるのかを解説します。
目次
そもそもナビダイヤル(0570)とは?
ナビダイヤルとは、NTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)が提供する「0570」から始まる電話番号サービスです。企業や自治体などが、全国に複数ある問い合わせ窓口を、単一の「0570」番号で受け付けるために利用されます。
このサービスを利用することで、発信者が日本のどこから電話をかけても、あらかじめ設定された最も近い拠点や、受付可能な窓口に自動的に接続される仕組みが提供されます。
例えば、ある企業が東京と大阪にコールセンターを持っている場合、顧客は「0570-XXXXXX」という一つの番号にかけるだけで、発信地域や時間帯に応じて、自動的に東京か大阪の適切な窓口につながります。企業側にとっては、番号を一本化できる利便性があります。
フリーダイヤル(0120)との違いは?
ナビダイヤル(0570)とフリーダイヤル(0120)の違いは、通話料の負担者です。
フリーダイヤルは電話を受ける企業側が通話料を100%負担しますが、ナビダイヤルは電話をかける発信者側が通話料を負担します。
| 比較項目 | ナビダイヤル (0570) | フリーダイヤル (0120) |
|---|---|---|
| 通話料の負担 | 発信者 (電話をかける人) | 着信者 (電話を受ける企業) |
| 発信者のメリット | 全国共通の番号にかけられる | 通話料が無料 |
| 着信者のメリット |
|
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| 主な利用シーン |
|
|
ナビダイヤルは誰が儲かる?
ナビダイヤルの仕組みで主に利益を得ているのは、サービス提供元であるNTTドコモビジネスです。さらに、契約プランによっては、着信側である導入企業も発信者が支払った通話料の一部を収益として受け取れる場合があります。
1. NTTドコモビジネス
NTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)は、ナビダイヤルサービスの基盤を提供する事業者として、発信者が支払う通話料の一部と、導入企業から得るサービス利用料で収益を上げています。
NTTドコモビジネスは、全国の電話網を「0570」番号に接続し、自動振り分けなどを行う高度なシステムを提供しています。そのシステム利用料と通信仲介料が彼らの利益となります。
発信者が支払う通話料、例えば携帯電話からの「20秒10円」といった料金は、まず契約している携帯キャリアに支払われます。その後、キャリア間の接続料精算を経て、NTTドコモビジネスが収益を得る仕組みになります。これがナビダイヤルビジネスの根幹となる収益です。
参考:ナビダイヤル | 0570 【公式】|NTTドコモビジネス 法人のお客さま
2. ナビダイヤルの導入企業
ナビダイヤルを導入している企業側も、契約プランによっては儲かる可能性があります。これは、発信者が支払った通話料の一部を、NTTドコモビジネスから情報料や分配金として受け取れるレベニューシェアの仕組みがあるためです。
この仕組みにより、企業はコールセンターの運営コストを相殺したり、場合によってはコールセンター自体を収益部門化したりすることが可能になります。
ただし、全ての導入企業が儲かっているわけではありません。多くの企業にとっての主目的は、フリーダイヤル(0120)利用時に発生する莫大な通話料コストを削減することにあります。
収益化できるかどうかは、NTTドコモビジネスと結ぶ契約プランや、かかってくる電話の量に大きく左右されます。
ナビダイヤルの収益分配(レベニューシェア)の仕組みは?
レベニューシェアとは、発信者が支払った通話料を、NTTドコモビジネスと導入企業とで分け合う仕組みです。
NTTドコモビジネスが提供するナビダイヤルのプランの中には、このレベニューシェアが組み込まれたものがあります。
例えば、発信者が携帯電話から「20秒10円」を支払った場合、そのうち数円がNTTドコモビジネスの取り分となり、残りの数円が導入企業の収益としてキックバックされる、といったモデルです。
この分配比率は、企業がNTTドコモビジネスに支払う月額基本料などとも連動しており、企業側の設定によっても変動します。
ナビダイヤルの導入で企業が得られるメリットは?
収益化の可能性以外にも、企業がナビダイヤルを導入するメリットは存在します。
1. コールセンターの運営コストを最適化できる
最大のメリットは、コールセンターの運営コストの最適化です。
フリーダイヤル(0120)で全ての通話料を企業側が負担する場合と比較して、ナビダイヤルは発信者(顧客)に通話料を負担してもらうため、企業の通信コストを削減できます。
また、IVR(自動音声応答)機能を利用して「〇〇の方は1番を」といった振り分けを行うことで、問い合わせ内容に応じた適切な窓口へ自動で誘導できます。これにより、オペレーターの対応工数を削減し、効率的な窓口運営が可能です。
2. 通話料の一部を収益化できる
契約プランによっては通話料の一部が企業側に還元されるため、コールセンターの運営コストを相殺したり、場合によっては収益源としたりすることが可能です。
これは、特に有料のテクニカルサポートや情報提供サービスなど、電話対応自体をサービスの一環として提供している企業にとって大きなメリットとなります。
3. 全国共通の番号でブランド力を強化できる
企業は、全国の拠点やコールセンターの移転・新設があっても、「0570」の番号を変更せずに使い続けられるという大きなメリットがあります。
市外局番(03や06など)だと拠点ごとに番号が異なりますが、「0570」なら番号が統一されます。これにより、顧客への案内が簡素化され、ブランド認知度の向上にもつながります。
ナビダイヤルの導入による顧客のデメリットは?
ナビダイヤルは企業側のメリットが大きい一方、発信者にとっては「通話料が高い」と感じられやすいサービスです。導入企業は、顧客がなぜそう感じるのかを把握し、クレームや顧客満足度の低下を防ぐ対策を講じる必要があります。
1. 携帯電話のかけ放題プランが適用されない
顧客が高いと感じる最大の理由は、ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルといった携帯キャリア各社が提供する「かけ放題プラン」の対象外となるためです。
かけ放題プランに加入していても、ナビダイヤル(0570)への通話は他社接続サービス(NTTドコモビジネス)への接続と見なされ、プランの対象外となり、別途従量課金が発生します。
例えば「20秒10円(税抜)」の場合、30分待たされたり話したりすれば900円(税抜)もの通話料が発生します。普段は通話料を意識しない顧客が、ナビダイヤルにかけた時だけ高額な通話料が請求されるため、「ナビダイヤル=高い」という印象が強く残るのです。
2. ガイダンスや待機中も通話料が発生する
導入企業が特に注意すべき点として、ナビダイヤルは「ただいま混み合っております」といった自動音声ガイダンスが流れている間も、通話料が発生し続ける仕様である点です。
課金は、オペレーターにつながった瞬間からではなく、NTTドコモビジネスのナビダイヤルシステムに接続された瞬間から開始されます。
例えば、5分待たされた後にオペレーターにつながり、3分話した場合、顧客には合計8分間の通話料が請求されます。この仕様を顧客に明示していない場合、大きなクレームにつながる可能性があります。
3. フリーダイヤルとのギャップで高いと感じられやすい
通話料が無料であるフリーダイヤル(0120)の感覚に慣れている顧客にとって、通話料が有料であるナビダイヤルは相対的に高いと感じやすくなります。
特に「企業の問い合わせ窓口=無料」というイメージを持っている顧客にとっては、有料であること自体が心理的な負担となります。
ナビダイヤルの導入後も顧客満足度を維持するための対策は?
ナビダイヤル導入後の顧客の不満を軽減するために効果的な対策は、企業の公式ウェブサイトなどで、ナビダイヤル(0570)以外の問い合わせ番号を併記することです。
「03-XXXX-XXXX」や「06-XXXX-XXXX」といった市外局番から始まる固定電話番号や、「050」番号が併記されていれば、顧客はそちらを選択できます。これらの番号であれば、携帯電話のかけ放題プランが適用される可能性が非常に高くなります。
ウェブサイトのお問い合わせページだけでなく、「会社概要」「事業所一覧」「特定商取引法に基づく表記」などのページ下部に、固定電話番号が記載されているケースも多いため、顧客が探しやすいよう配慮することが重要です。
ナビダイヤルが企業のコスト削減と収益化に貢献
ナビダイヤルの収益は、主にサービス提供元であるNTTドコモビジネスに入ります。加えて、契約プランによっては通話料の一部が導入企業にも分配され、企業の利益となる仕組みがあります。
ナビダイヤルは、企業側にとってはフリーダイヤルに代わる合理的なコスト削減・運営効率化の手段です。しかし、発信者(顧客)側にとっては、かけ放題プラン対象外であり、待機中も課金されるなど、高額な通話料負担のリスクを伴います。
この仕組みを企業側が正しく理解した上で、固定電話番号を併記するなど顧客への配慮を行うことで、ナビダイヤルはコールセンター運営を最適化する賢いツールとして活用できるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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