• 作成日 : 2025年9月16日

10億円の資金調達を成功させるには?事業計画書の作り方や投資家へのアプローチ方法を解説

10億円の資金調達は、スタートアップが拡大フェーズへ移行する際の一つの目安とされています。しかし、投資家から高額な出資を引き出すには、緻密な事業戦略と、成長性を示す説得力のあるストーリーが求められます。

本記事では、10億円という大規模な資金調達を達成するために必要な戦略を、具体的な成功企業の事例を交えながら解説します。

10億円の資金調達がもたらす企業変革

10億円という資金は、企業の成長ステージを押し上げる力を持っています。

資金使途の多様化

10億円の使い道として、これまでリーチできなかった顧客層へ接近するための広告宣伝費や、海外展開の初期投資などが考えられます。また、M&Aによる事業領域の拡大も視野に入るでしょう。これらの戦略的な投資を実行することで、市場におけるシェアを急速に拡大し、市場シェアを拡大し、リーダーシップ確立を目指すことが可能になります。

優秀な人材獲得競争での優位性

10億円規模の資金調達は、採用市場において企業の信頼性と魅力を高める効果があります。高い専門性を持つエンジニアや、事業開発を牽引する経験豊富なビジネスパーソンなど、これまで獲得が難しかった優秀人材との接点が増える可能性があります。これにより、組織全体の能力が底上げされ、より高い目標達成に向けた強力なチームを構築できるのです。

10億円の資金調達を実現するためのポイント

10億円の出資を判断する投資家は、アイデアの面白さだけを見ているわけではありません。その事業が将来どれほどの利益を生み出し、企業価値がどれだけ増大するのかを冷静に評価します。

投資家が納得する事業計画

事業計画には、TAM(獲得可能な最大市場規模)の大きさ、具体的なKPI(重要業績評価指標)、そしてマイルストーンごとの明確な目標設定が求められます。特に、調達する10億円をどのように活用し、事業をどれだけ成長させるのか、その因果関係を数字で示す必要があります。予測の精度と論理の明快さが、投資家からの信頼を獲得する上で重要です。

共感を呼ぶエクイティストーリー

エクイティストーリーとは、自社の事業が持つ社会的意義や、なぜ今この事業に取り組むのかという情熱を伝える物語です。市場の課題をどのように解決し、どのような未来を実現したいのかを、経営者自身の言葉で語ることが重要です。単なる事業説明に終始するのではなく、ビジョンへの共感を呼び起こすことで、投資家もその物語の実現に向けたパートナーとなりたいと感じるようになるでしょう。

10億円規模の資金調達を達成した企業事例

2024年には、日本国内で数十社のスタートアップが10億円超の資金調達を達成しています。ここでは特に注目すべき3社を取り上げ、それぞれの事業内容や強み、そして資金調達が企業成長に与えた影響を分析します。

Craif株式会社

尿からがんを早期発見する検査技術を開発するCraif株式会社は、その革新性と社会貢献性の高さから大型の資金調達に成功しています。同社の強みは、独自のナノテクノロジーにあり、これにより高精度な検査を低コストで提供できる点です。Craif株式会社は非上場のため明確な株価はありませんが、革新的技術により注目を集めており、将来的な企業価値向上への期待が高まっています。

参考:Craif株式会社

株式会社ヘンリー

クラウド型電子カルテシステムを提供する株式会社ヘンリーは、医療現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する企業です。使いやすさにこだわったプロダクトが高く評価されています。これにより導入クリニック数が急増し、事業拡大の傾向が見られます。同社は医療業界の根深い課題を解決することで、投資家から高い評価を得ています。

参考:株式会社ヘンリー

Lazuli株式会社

AIを活用して膨大な商品情報を整備・統合するプラットフォームを提供するLazuli株式会社も、資金調達で10億円を達成した企業の一つです。ECサイトや小売業者が抱える商品データ管理の煩雑さを解消するソリューションは、多くの大手企業に導入されています。同社の技術力と事業の拡張性が、大型調達につながりました。

参考:Lazuli株式会社

投資家が10億円の出資を決める判断基準

投資家、特にベンチャーキャピタルが10億円という規模の出資を決定する際には、多角的な視点から企業を厳しく評価します。プロダクトやサービスが優れていることはもちろんですが、それだけでは十分ではありません。持続的に成長し、大きなリターンを生み出す可能性を秘めているかどうかが、最終的な判断の分かれ目となります。

市場の成長性とTAM

投資家が最初に見るのは、その事業が展開される市場の大きさと、今後の成長性です。たとえ現時点でニッチな市場であっても、将来的に大きな広がりを見せる可能性があれば、高く評価されます。市場成長率やTAMなど、政府統計・業界レポート・第三者調査などの客観的なデータを用いて市場の潜在能力を説明することが求められます。

経営チームの実行能力とビジョン

事業計画の実現性は、経営チームの能力に大きく依存します。過去の実績や専門性、そして困難な状況を乗り越える粘り強さなどが評価の対象です。また、経営者が明確なビジョンを持ち、チーム全体を同じ方向へ導くリーダーシップを発揮できるかも重要な点です。投資家は、事業だけでなく人にも投資するという意識を強く持っています。

10億円の資金調達を目指して

10億円という大規模な資金調達を達成するには、市場の成長性を示す緻密な事業計画、投資家の共感を呼ぶエクイティストーリー、そしてそれを実行できる強力な経営チームが不可欠です。

Craif株式会社や株式会社ヘンリー、Lazuli株式会社といった成功事例は、それぞれが独自の強みを武器に、事業の社会的な意義と将来性を投資家に示すことで大型調達を実現しました。

これらの事例からも分かるように、10億円の調達はゴールではなく、社会に大きな価値を提供していくためのスタートラインです。本記事で解説した戦略や視点が、皆様の挑戦を後押しできれば幸いです。


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