- 作成日 : 2023年2月24日
3Dプリンターで起業するには?必要な資金やサービス事例を解説!
アメリカの市場調査会社グランドビュー・リサーチは、2021年時点で138億4,000万ドル(約1兆7,992億円)規模と推定される全世界の3Dプリンター市場は、今後年率20.8%の成長率で成長を続け、2030年に761億7,000万ドル(約9兆9,021億円)規模に拡大すると予想しています。
成長著しい3Dプリンター市場ですが、どのようなビジネスで起業できるのでしょうか。
3Dプリンターの導入方法や、ビジネスモデル事例などを紹介します。
目次
3Dプリンターで起業できる?
3Dプリンターで起業できるのでしょうか。答えは「Yes」です。実際に、世界中で3Dプリンターに関連するさまざまなニュービジネスが誕生しています。特に3Dプリンター先進国のアメリカでは、3Dプリンター関連のスタートアップ企業が続々と誕生しており、株式市場でIPOを果たすケースが続出しています。
主な3Dプリンター関連ビジネスとしては、「3Dプリンターの製造」「3Dプリンター用ソフトウェアの開発」「3Dプリンター用素材の製造」が挙げられます。
3Dプリンターの製造
まずは、3Dプリンターの製造です。3Dプリンターの製造は、アメリカやヨーロッパ各国、日本などの先進国に加え、中国や台湾、香港などでも広く行われています。
特にFDM方式の3Dプリンターの多くはオープンソースで設計図が公開されており、比較的簡単に作ることができます。先進国の3Dプリンターメーカーの多くは、中国の会社に製造を委託しています。最近は、比較的大型の3Dプリンターに対する需要が拡大しているようです。
3Dプリンター用ソフトウェアの開発
3Dプリンターという「ハードウェア」を操作するには、当然ながらソフトウェアが必要です。3Dプリンターを動かすために必要なソフトウェアとしては、作りたいものをデザインする「3DCADソフトウェア」、CADデータを3Dプリンターが理解できるコマンドに変換する「スライサー」、3Dプリンターの動作を管理する「管理ソフトウェア」などが挙げられます。
パソコンのソフトウェアと同様に、スタートアップ企業から大企業まで、各種のソフトウェアを開発しています。
3Dプリンター用素材の製造
3Dプリンターはプリンターの一種なので、プリントする素材が必要です。3Dプリンターで使える素材は年々増えており、今後も次々に新しい素材が開発されるでしょう。
FDM方式の3Dプリンターでは、ABSやPLAなどのポリマー系素材が多く使われますが、最近はウッドフィラメント、セラミクス、ナイロン、メタル配合ポリマーなどの素材も利用できます。また、リサイクルフィラメントや、食品安全基準を満たしたフィラメントを開発するスタートアップ企業なども出てきています。
3Dプリンティングサービスビューロー
3Dプリンターを持たない人や企業の代わりに3Dプリンティングを行う人や企業を「3Dプリンティングサービスビューロー」と呼びます。3Dプリンティングサービスビューローは、世界中で増え続けています。
最近は、業界や造形物に特化した3Dプリンティングサービスビューローが増えています。
例えば、医療用臓器モデルの製造に特化した3Dプリンティングサービスビューローや、航空機エンジンのパーツ製造に特化した3Dプリンティングサービスビューローなどです。業界において特異なポジションにある会社であれば、3Dプリンティングサービスビューローのビジネスチャンスを見出せるかもしれません。
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そもそも3Dプリンターとは?
そもそも「3Dプリンター」とは何でしょうか。3Dプリンターとは、積層的に素材を造形してモノを作るプリンターのことです。
3Dプリンターの原理は日本人技術者の小玉秀男氏が発案したとされていますが、手続きの不備で特許が取れなかったといわれています。その後アメリカで同じ原理を使った3Dプリンターが開発され、3Dプリンター時代の幕が開きました。現在では、主に以下のタイプの3Dプリンターが使われています。
FDM3Dプリンター
FDMはFused Deposition Modelingの略で、日本語では「熱溶解積層方式」と訳されます。
ポリマー系素材などをヒーターで溶解してノズルから吐出し、下から上に積層を繰り返して造形するタイプの3Dプリンターです。現在、世界で最も普及している3Dプリンターといえるでしょう。
その設計図の多くがオープンソースで公開されており、自作も可能です。価格も比較的安価なので、導入のハードルが低いというメリットがあります。ABSやPLAなどのポリマー系素材の他、ウッドフィラメントやセラミクス、ナイロン、メタル配合ポリマーなどの素材も利用できます。
SLA3Dプリンター
SLAはStereolithography Apparatusの略で、日本語では「ステレオリソグラフィー」または「光造形方式」と訳されます。光硬化樹脂に紫外線や光を照射し、積層的に造形するタイプの3Dプリンターです。
小玉秀男氏が発案したのが、このタイプです。SLA3Dプリンターは、FDM3Dプリンターよりも精密な造形が可能とされています。
製造現場での試作品作りや、医療・歯科医療の領域などで広く使われています。FDM3Dプリンターよりも導入コストが高く、素材の管理やメンテナンスが難しいといったデメリットがあります。
SLS3Dプリンター
SLSはSelective Laser Sinteringの略で、日本語では「粉末焼結積層造形方式」と訳されます。
金属や樹脂などの粉末状の素材をレーザー光線で焼結させて積層的に造形するタイプの3Dプリンターです。FDM3DプリンターやSLA3Dプリンターよりも精密な造形が可能ですが、導入コストが相応に高いというデメリットがあります。
SLS3Dプリンターは現在、特に航空宇宙や自動車などのモノづくりの現場で広く使われています。完成パーツの製造において、本格的に使われている3Dプリンターといえるでしょう。
建設3Dプリンター
現在、世界中で急速に普及しているのが建設3Dプリンターです。住宅などの建設に使われる大型3Dプリンターですが、造形方式はFDM3Dプリンターとほぼ同じです。
違いは、FDM3Dプリンターがポリマー系素材などを使って造形するのに対して、建設3Dプリンターはグラスファイバーなどを配合したコンクリートミックスを使って造形する点です。
また、造形するもののサイズが桁違いに大きく、建設3Dプリンターの中には371平方メートルの住宅を建設できるものあります。
3Dプリンターを導入するメリットは?
ところで、3Dプリンターを導入することのメリットは何でしょうか。人や企業は、なぜ3Dプリンターを導入するのでしょうか。3Dプリンターを使ったモノづくりは、従来の一般的なモノづくりと何が違うのでしょうか。また、3Dプリンターはどのようなニーズに対応するために使われているのでしょうか。
多品種少量生産が可能
3Dプリンターを導入する第一のメリットは、多品種少量生産が可能であることです。
これまでのモノづくりでは、射出成型方式などの大量生産が一般的でした。一方、3Dプリンターであれば小ロットの製造でも対応できます。また、3Dプリンターは一人ひとりに合わせた「カスタマイズ生産」も可能です。
歯科医療の現場では、矯正用マウスピースの製造に3Dプリンターが使われていますが、3Dプリンターにしかできない仕事といえるでしょう。
自己完結的なモノづくりができる
自己完結的なモノづくりができることも、3Dプリンターを導入するメリットです。例えば、現在国際宇宙ステーションでは複数の3Dプリンターが設置されていますが、ボルトやネジといったパーツ作りにも使われています。ボルトやネジが必要になった場合、ロケットにボルトやネジを積み込んで地球から送り届けてもらうよりも、3Dプリンターを使って自分で作ってしまったほうが早く、安く済みます。
3Dプリンターはアメリカ海軍の空母エセックスにも搭載されていますが、理由は同じです。
原材料の廃棄ロスが少なく、生産効率が高い
3Dプリンターを導入する第三のメリットは、3Dプリンターは原材料の廃棄ロスが少なく、生産効率が高いことです。モノを切ったり削ったりして作るモノづくりでは、削りカスなどの廃棄ロスが大量に発生します。住宅の現場でも、材料の木材などを切ったり削ったりする際に大量のロスが生じます。
一方で3Dプリンターであれば、素材を必要な分しか使わないため、廃棄ロスが非常に少ないです。また3Dプリンターは、生産効率が総じて高いというメリットもあります。
3Ⅾプリンターを活用したビジネスモデル・サービス事例
ここでは、3Dプリンターを活用したビジネスモデル・サービス事例を紹介します。いずれも直接的、間接的に3Dプリンターを活用し、新たなビジネスモデルを構築している事例です。3Dプリンターは、さまざまな業界においてゲームチェンジャーとしての役割を果たしています。
リラティビティ・スペース(アメリカ)
ロサンゼルスに拠点を置く新興ロケットメーカーのリラティビティ・スペース(Relativity Space)は、大型3Dプリンターを使ってロケット本体とロケットエンジンを製造しています。
これまでの一般的なロケットエンジンは、2,600点もの部品で構成されていました。一方でリラティビティ・スペースのロケットエンジンは、わずか3点の部品しか使われていません。大型メタル3Dプリンターで大型パーツを作ることでロケットエンジンの耐久性を確保し、製造コストと時間を削減しています。
セレンディクス(日本)
セレンディクスは、大型建設3Dプリンターで住宅を建設しています。3Dプリンターを使うことで作業員の人件費を削減し、最少の人件費で住宅の建設を可能にしています。
2022年3月に日本初の「3Dプリント住宅」の建設に成功した同社は、3Dプリンターによって住宅の価格を下げ、「ローンが30年以上で、完済するのは70代」といった日本の住宅を変革することを目指しています。同社の「3Dプリント住宅」は10平方メートルの球状住宅で、2023年から300万円で販売を開始する予定です。
ニンジャボット(日本)
ニンジャボットはクッキー作り愛好家向けに、クッキー型作り専用3Dプリンター「ニンジャボット・クッキー」を販売しています。3Dプリンターを動かすには3DCADソフトなどで3Dデータを作る必要がありましたが、多くの3DCADソフトは操作が難しく、一般の人には使いにくいという難点がありました。
「ニンジャボット・クッキー」は手書きのデータから自動的に3Dデータが作成されるので、クッキー作り愛好家でも簡単に使えると評判です。
3Dプリンターを導入するためにかかる資金は?
3Dプリンターを導入するためにかかる資金は、どの程度でしょうか。この問いに答えるためは、「何のために3Dプリンターを導入するのか」を明らかにする必要があります。
「ネジやボルトなどの部品を作りたい」「造形精度はそれほど高くなくてもよい」という人は、海外製のFDM3Dプリンターなどが適しています。その場合の予算は、数万円~数十万円程度です。
「ハンドメイドジュエリーの型を作りたい」「造形精度もある程度は求める」という人は、アメリカのメーカーのSLA3Dプリンターなどが適しています。ジュエリーの型専用の樹脂を用意しているメーカーもあります。その場合の予算は、100万~200万円程度です。
「自動車エンジンの部品を完成パーツとして製造したい」という人は、アメリカやヨーロッパのメーカーのハイエンドSLS3Dプリンターが適しています。その場合の予算は、数千万円です。
一口に3Dプリンターといっても、機種や素材、サポートの有無などによって必要な資金は大きく変わります。3Dプリンター導入の目的を明確にした上で、最もマッチする3Dプリンターを選んでください。
3Ⅾプリンターの導入は助成金・補助金の対象
3Dプリンターの導入は助成金や補助金の対象で、その代表が「ものづくり補助金」です。
ものづくり補助金は、中小企業等による経営革新のための設備投資などに対して国から補助金が出る公的支援制度です。
具体的には、中小企業・小規模事業者が今後複数年にわたり直面する制度変更に対応するために取り組む「革新的サービスの開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援する公的支援制度」です。
中小企業・小規模事業者が3Dプリンターの導入によって革新的サービスの開発・試作品開発・生産プロセスの改善などが見込める場合は、該当する可能性が高いです。「ものづくり補助金」は採択率も比較的高いので、積極的に活用しましょう。
3Dプリンターを活用した事業で起業を目指そう
3Dプリンターの基本やビジネスモデルについて、導入するメリットやビジネスモデル、サービス事例などを交えて解説しました。
現在3Dプリンターは、産業界を中心に世界的な普及フェーズに突入しています。特にアメリカの航空宇宙や自動車、医療の領域では、爆発的なき拡大フェーズに入っており、それに伴ってさまざまなスタートアップ企業が続々と誕生しています。日本でも、3Dプリンターを活用した事業で起業を目指しましょう。
よくある質問
3Dプリンターとは何ですか?
3Dプリンターとは、積層的に素材を造形してモノを作るプリンターのことです。3Dプリンターの原理は、日本人技術者の小玉秀男氏が発案したとされています。詳しくはこちらをご覧ください。
3Dプリンター導入のメリットは?
3Dプリンター導入のメリットとしては、多品種少量生産が可能、自己完結的なモノづくりができる、原材料の廃棄ロスが少なく生産効率が高い、などが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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