- 作成日 : 2026年2月19日
技能実習生の監理団体は儲かる?収益構造・設立の要件や手順を解説
監理団体は収益構造上、一定の規模と適正運営で黒字化可能ですが、非営利の制約と監督強化により利益追求型の運営は困難です。
- 主収入は月額監理費と初期手数料
- 非営利法人のため利益配分不可
- 国の監視強化で制度改正が進行中
適正規模なら黒字化は可能です。ただし収益は組織内還元に限定され、自由な利益追求はできません。制度の公益性を重視した運営が求められます。
外国人技能実習制度において、監理団体は実習生と企業の間をつなぐ重要な存在です。では、その監理団体の運営は儲かるのでしょうか。
本記事では、監理団体の役割や収益構造を明らかにするとともに、設立条件や手順について解説します。
目次
技能実習生の監理団体とは?
外国人技能実習制度において、監理団体は技能実習生と受入企業の間に立ち、制度の適正な運用を確保するための存在です。ここでは、その定義と役割、制度上の位置づけについて見ていきましょう。
国から認可された非営利組織
監理団体とは、外国人技能実習生を受け入れる企業を支援・監督することを目的に、技能実習法に基づき法務大臣・厚生労働大臣の許可を受けて監理事業を行う、営利を目的としない法人です。事業協同組合(中小企業団体)、商工会議所、商工会、公益社団法人・公益財団法人などの形態が認められており、株式会社などの営利法人は対象外とされています。技能実習制度を適正に運用するためには、第三者的立場での監視と支援が欠かせないことから、こうした団体が位置づけられています。
監理団体になるためには、監理事業の許可申請を行い、審査を経て許可を受ける必要があります。申請書類は外国人技能実習機構(OTIT)に提出します。
参考:外国人技能実習制度について|厚生労働省、監理団体の許可申請|外国人技能実習機構、第5章 監理団体の許可等|厚生労働省
技能実習制度を支える中心的存在
技能実習制度において、監理団体は全体の制度運用における中核的存在です。技能実習生の受け入れには「団体監理型」と「企業単独型」の2種類がありますが、日本で受け入れられている実習生の大半は団体監理型であり、2025年6月末時点で98.4%を占めています。
団体監理型では、実習生の選定、送り出し機関との調整、在留資格取得に係る手続き支援、入国後の講習、生活支援、定期的な実地訪問・監査など、きめ細かいサポートが必要とされます。そのため、監理団体の存在がなければ、多くの中小企業では実習生の受け入れが困難になるのが実情です。技能移転という制度本来の目的を実現するためにも、監理団体の担う役割は大きいといえます。
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監理団体の役割・業務内容は?
監理団体は、実習生の来日前後の支援から企業への監査まで、制度全体を通じて幅広い業務を遂行しています。以下に、主要な業務内容を整理します。
技能実習生の募集・書類手続き支援
監理団体は、海外の送り出し機関と連携して技能実習生の募集・選考を行い、技能実習計画や在留資格認定に必要な申請書類の作成支援を行います。煩雑な行政手続について作成・提出に係る支援を行うことで、企業側の負担を軽減する役割を果たします。
来日前後の講習・生活支援
来日前後のオリエンテーション等に加え、入国後の日本語教育、安全衛生指導、生活マナーに関する講習を実施します。さらに、実習生からの労働・生活に関する相談窓口としても機能し、異国での安定した生活環境を整えます。
受入企業への監査・指導
監理団体の中心的業務として、受入企業への定期訪問による監査を実施します。実習生の就労環境や生活状況が関係法令・制度基準に適合しているかを確認し、必要に応じて是正指導を行うことで、制度の適正な運用を確保します。
監理団体の収益構造は?
監理団体は非営利組織でありながら、継続的な運営には安定した財源が欠かせません。主な収入源は受入企業からの監理費であり、それらの収益で職員の人件費や事務所維持費、監査にかかるコストを賄っています。
収入源は監理費
監理団体の中心的な収入は、企業が技能実習生1人あたり毎月支払う監理費です。監理費の水準は団体や業務内容によって異なりますが、月額約3万円と仮定すると、10人を受け入れた場合、月30万円、年間360万円の収入となります。また、実習生受け入れ開始時には、書類作成や入国後講習の実施、渡航手配に係る費用が発生しますが、これらは初期分の監理費として、用途・金額を明示したうえで徴収されます。加えて、事業協同組合を母体とする場合には、組合員企業からの出資金や年会費が、団体運営を支える副次的な財源となるケースもあります。
コストは人件費や変動費
監理団体の運営には、人件費が最も大きなコストとなります。行政手続や多言語対応、監査業務に対応できる人材の確保が不可欠であり、それに見合った給与が必要です。次に、監理業務を適切に行うための事務所(監理事業所)の設置・維持も、許可要件や審査基準上重要とされており、実習生の数に関わらず固定的な出費となります。さらに、企業訪問や監査に伴う交通費、研修委託費、システム管理費、書類郵送費、送出機関との調整費など、業務に応じた変動費も日常的に発生します。
規模と効率性が黒字運営のポイント
監理団体は、受け入れ実習生の人数が一定数を超えると採算が取りやすくなります。逆に少人数では固定費を賄いきれず赤字化する恐れがあるため、効率的な運営体制と適正規模の維持が重要です。収入と支出のバランスをとりながら運営している団体が多く、支出のかけ方や経営の工夫によって経営状況に差が出ています。
監理団体の運営は儲かる?
監理団体は一定の受入規模と効率的な運営体制を整えれば、黒字化する可能性があります。ただし、法律上は非営利組織とされており、得た収益を自由に使ったり、私的に配分したりすることは認められていません。
一定の規模があれば収支は安定しやすい
監理団体は、受け入れる技能実習生の人数が増えるほど、監理費による安定した収入が見込めます。一例として、1人あたり月額約3万円の監理費を20人分確保できれば、月60万円、年間720万円の収入になります。この水準であれば、体制や地域コストによっては、専任スタッフの人件費や事務所維持費などの主要コストをカバーすることが可能です。
さらに同様の条件下で100人規模の受入れを実現すれば、年間収入は数千万円規模となり、複数職員を配置した体制でも安定した運営が見込まれます。ただし、実習生数が少ないうちは固定費を賄いきれず、赤字になるリスクがあるため、事業計画段階での慎重なシミュレーションが求められます。
非営利組織のため利益は自由に扱えない
監理団体は、事業協同組合や公益社団法人・公益財団法人など、営利を目的としない法人形態で運営されます。そのため、一般企業のように出資者の利益最大化を目的として、利益を自由に分配することはできません。たとえ剰余金が出たとしても、法人の種類や定款に応じて、組合員(受入企業)への還元や翌年度の事業費として再投資など、制度の趣旨に沿った形で扱われます。私的な蓄財や、一般企業のような配当を目的とした運営は認められていません。
このため、多くの団体では、講習の充実や人員体制の強化など、制度目的に沿った支出に収入を充てています。その結果、理事や職員には適正な報酬が支払われるものの、過剰な利益が内部に蓄積されるような仕組みにはなっていません。
安定運営は可能だが「儲かるビジネス」とは異なる
監理団体は適正規模で真面目に運営すれば、事業として継続的に運営することは可能です。ただし、自由な利益追求はできず、制度の趣旨に沿った支出が前提となります。収益性はあっても、「儲ける」ことが第一の目的となるビジネスモデルではなく、実習生支援という公益性と収支の健全性を両立させる事業として捉える必要があります。
監理団体の設立要件は?
監理団体を設立するには、技能実習制度の公共性と実習生保護の観点から、法律・制度に基づく厳格な要件を満たす必要があります。ここでは、監理団体設立時に求められる主な要件を整理します。
監理団体設立に必要な要件一覧
- 非営利法人であること
株式会社などの営利法人は不可とされており、事業協同組合、商工会、公益社団法人・公益財団法人など、営利を目的としない法人形態であることが必要です。 - 主務大臣の許可を受けていること
監理団体として活動するためには、法務大臣・厚生労働大臣(主務大臣)の許可を受ける必要があります。許可申請に係る書類は、外国人技能実習機構(OTIT)へ提出します。 - 適切な職員体制を整備していること
技能実習生や受入企業に常時対応できる職員を配置することが求められ、実習生数に応じた人員体制が必要です。 - 事務所(監理事業所)を確保していること
自宅兼用や他事業との併用ではなく、原則として監理業務専用の事務所を確保している必要があります。 - 安定した財務基盤を有していること
継続的な運営が可能と判断される財務状況であることが求められ、決算書や資金計画などをもとに審査されます。 - 内部統制・監査体制が整備されていること
法令遵守や個人情報管理のため、法人形態や規模に応じて、内部規程の整備やチェック体制を構築していることが求められます。 - 適切な送り出し機関と契約していること
相手国政府が認定した送り出し機関と契約し、その内容を外国人技能実習機構(OTIT)へ届け出ている必要があります。 - 設立関係者に制度違反歴がないこと
代表者や役員について、過去の不正な監理行為や実習生への重大な人権侵害がないことが条件となります。
これらの要件をすべて満たしたうえで申請を行い、審査を通過して初めて監理団体として活動できます。
監理団体の設立手順は?
監理団体を設立するには、法人格の取得に加えて、外国人技能実習機構(OTIT)への申請手続きや実習体制の整備など、複数の段階を順に踏む必要があります。以下が、監理団体を設立するための一般的な流れです。
監理団体の設立の流れ
- 非営利法人(例:事業協同組合)の設立
監理団体の前提条件である非営利法人を設立します。主に中小企業などが出資して設立する「事業協同組合」が一般的で、所轄官庁への届出等を行ったうえで、法務局で設立登記を行います。 - 監理団体としての体制整備
職員の採用・配置、事務所(監理事業所)の確保、業務フローや内部規程の整備、財務計画の作成など、OTITの審査基準を満たす体制を構築します。 - 外国の送り出し機関との契約締結
技能実習生の受入れには、相手国政府の認定を受けた送り出し機関と契約を結ぶ必要があります。協定内容には、費用負担、選考、講習などの取り決めが含まれます。 - OTITへの許可申請書類の作成・提出
法人の基本情報、組織図、業務計画書、収支計画、役員名簿、送り出し機関との契約書など、許可申請に必要な多数の書類を整え、OTITへ提出します。 - OTITによる審査・面談対応
書類審査に加え、必要に応じてOTIT職員との面談や事務所調査が実施されます。技能実習制度に対する理解度や、監理体制の実効性が確認されます。 - 監理団体の許可取得(目安として3〜4か月程度)
審査を通過すると、正式に監理団体としての許可が下り、監理業務を開始できます。許可証が発行され、団体名が公的に登録されます。 - 技能実習生受け入れ業務の開始
許可取得後、受け入れ企業の支援、実習生の募集・選考、在留資格申請に係る手続支援などの実務を開始できます。ここからが本格的な監理業務のスタートです。
手続きには専門知識が求められるため、行政書士や制度に詳しい専門家のサポートを受けながら進めるのが一般的です。
監理団体が留意すべき課題は?
監理団体は技能実習生を適正に保護し、制度本来の目的である国際貢献・技能移転を実現する使命を負っています。利益の確保は重要ですが、それを優先しすぎることで実習生の権利が軽視されるような運営は避けなければなりません。ここでは、監理団体が留意すべき倫理的・人道的な課題について整理します。
実習生の人権と福祉を守ることが第一
技能実習制度は、本来は開発途上国への技術移転を通じた国際協力を目的としています。しかし現実には、「安価な労働力」として扱われ、過酷な労働環境に置かれる実習生が後を絶ちません。監理団体には、こうした実習生の人権を守り、生活・労働環境を定期的に確認し、問題があれば是正する責任があります。労働時間や給与が法定基準を満たしているか、ハラスメントや差別がないかなどのチェックは怠ってはなりません。
利益追求よりも制度の趣旨に忠実であることが求められる
一部の監理団体では、利益を優先するあまり、多数の実習生を受け入れて管理が追いつかない、あるいは送り出し機関との関係が不透明になるといった問題が指摘されています。こうした行為は制度全体の信用を損なうだけでなく、善良な団体にも悪影響を及ぼします。監理団体は、公正な監理費設定、適正な人員配置、実習生との透明な関係構築を心がける必要があります。
倫理的な運営が信頼と持続性を生む
監理団体には、法的な義務だけでなく、倫理的・人道的観点からの責任があります。実習生の声に耳を傾け、弱い立場にある外国人労働者を守る姿勢が求められます。こうした責務が十分に果たされなければ、制度そのものが厳しい批判を受けるおそれもあります。信頼される監理団体であるためには、日々の行動に倫理観と使命感を反映させることが不可欠です。
監理団体には収益と責任を両立した運営が求められる
技能実習生の監理団体は非営利組織ですが、一定の規模と適切な運営であれば採算を取ることは可能です。しかし、外国人技能実習生の支援と保護という社会的使命を担う立場上、利益のみを追求する運営は制度の趣旨に沿うものではありません。
監理団体には、安定した収益基盤を背景に実習生と企業を支える役割が期待される一方で、法令遵守や倫理的責任といった課題も存在します。
利益と社会的責任を両立させ、技能移転と国際貢献という制度本来の目的に沿った監理団体運営を心がけることが、結果的に組織の信頼と持続的な発展につながるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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