• 作成日 : 2025年9月16日

屋台を開業するには?許可申請から出店場所、成功のコツまで徹底解説

自分のお店を持ちたいという夢を、比較的少ない資金で実現できる方法として屋台での開業が注目されています。しかし、手軽に見える一方で、食品を扱うための衛生管理や営業許可の取得など、事前に知っておくべき大切なルールが数多く存在します。

この記事では、屋台の開業を目指すあなたのために、必要な資格や許可の取得方法、具体的な出店スタイル、開業までのステップ、そしてビジネスを成功させるためのコツまで、分かりやすく解説します。

そもそも屋台とは

屋台開業の計画を進める前に、まずはその定義や関連するルールについて正しく理解しておくことが大切です。

屋台と露店の違い

一般的に屋台と露店は同じように使われがちですが、営業許可の観点では区別されることがあります。屋台は、リヤカーや小型トラックのように移動できる形態を指すことが多いです。一方、露店はお祭りやイベント会場で、テントなどを使って一時的に場所を構える店舗を指します。

提供できるメニューや必要な設備に関する基準は自治体によって異なります。そのため、自分がどちらの形態で営業したいのかを明確にし、この屋台と露店の違いを理解することが、適切な許可申請への第一歩となります。

屋台で提供できるメニューの種類

屋台の営業では、提供できるメニューに制限があることを知っておきましょう。衛生管理上の理由から、営業許可を出す保健所が定める基準により、現地での複雑な調理は認められない場合がほとんどです。

具体的には、許可を得た別の施設で食材のカットや下味をつけるなどの一次加工を済ませ、屋台では焼く、揚げる、温めるといった簡単な最終調理のみが許可される傾向にあります。唐揚げやフライドポテト、焼きそばなどが代表例です。取り扱う屋台出店の種類によって必要な設備も変わるため、計画段階で必ず管轄の保健所に相談することが重要です。

屋台の主な出店スタイル

許可や資格の準備と並行して、どこで営業するのか、出店場所を決めることも大切です。出店場所によって集客のしやすさや売上が大きく変わるため、自分のコンセプトに合った場所を見つけましょう。

イベントや祭りへの出店

地域のお祭りや音楽フェスティバルなどのイベントへの出店は、集客面で大きな強みを持ちます。主催者が集客を行ってくれるため、短期間で大きな売上を期待できるでしょう。

祭りで屋台を出すには、まずイベントの主催者や運営事務局のウェブサイトなどで出店者募集の情報を探すことから始めます。出店料が必要になるほか、主催者が定める販売品目や営業時間などのルールに従う必要があります。イベントでの屋台出店は、多くの人々に自分のお店と商品を知ってもらう絶好の機会です。

自宅や店舗の敷地内での開業

自宅の庭や契約している駐車場など、私有地で営業する方法です。このスタイルの大きなメリットは、道路使用許可が不要な点と、自分のペースで営業日や時間をコントロールしやすい点にあります。

ただし、屋台の許可を敷地内で得る場合でも、保健所の露店営業許可は別途必要です。また、集客はすべて自分で行う必要があるため、SNSでの積極的な告知や、通行人の目を引く看板やのぼりを設置するなどの工夫が求められます。匂いや煙、騒音などで近隣住民へ迷惑がかからないよう、十分な配慮も欠かせません。

リヤカーでの開業

屋台開業でリヤカーというスタイルは、初期投資をできるだけ抑えたい方に適した選択肢です。キッチンカーのような車両を改造するよりも安価に屋台を準備でき、小回りが利くため様々な場所へ移動しやすいのが魅力です。

リヤカーを引いてオフィス街のランチタイムを狙ったり、人通りの多い公園の近くで営業したりと、戦略的な移動販売が可能です。ただし、積載できる機材や食材の量に限りがあることや、雨風など天候の影響を受けやすい点を考慮して計画を立てる必要があります。

屋台を開業するための具体的なステップ

ここからは、実際に屋台を開業するまでの流れを7つのステップに分けて解説します。

  1. コンセプトと事業計画を立てる
    何を、誰に、どこで売りたいのか、お店のコンセプトを具体的に決めます。コンセプトが決まったら、初期費用や運転資金、売上目標などを盛り込んだ事業計画を作成しましょう。
  2. 食品衛生責任者の資格を取得する
    最寄りの食品衛生協会で講習会を受講し、資格を取得します。
  3. 屋台と仕込み場所を準備する
    リヤカーやキッチンカーなど、自分のスタイルに合った屋台を用意します。同時に、保健所の許可を得られる衛生的な仕込み場所を確保します。自宅キッチンは認められないケースが多いため注意が必要です。
  4. 保健所に事前相談する
    屋台の設計図やメニュー案を持参し、出店予定地を管轄する保健所に事前相談に行きます。ここで設備や衛生管理についてのアドバイスを受け、基準を満たしているか確認します。
  5. 営業許可を申請・取得する
    保健所の指示に従い、必要な書類を揃えて露店営業許可を申請します。後日、保健所の担当者による屋台の施設調査が行われ、問題がなければ許可が下ります。
  6. 出店場所を確保する
    イベントの出店募集に応募したり、私有地のオーナーと交渉したりして、実際に営業する場所を確保します。
  7. 備品・食材を調達して開業する
    調理器具や容器、食材などをすべて揃え、いよいよ開業です。SNSなどで事前にオープン日を告知し、スタートダッシュを狙いましょう。

屋台の開業に必要な資格と営業許可

屋台の営業は食品を提供する事業であるため、お客様の安全を守るための公的な許可や資格が絶対に必要です。これらの手続きを怠ると、営業停止などの重い罰則を受ける可能性もあるため、確実に行いましょう。

食品衛生責任者

飲食店を営業するには、施設の規模にかかわらず、1施設に1名以上の食品衛生責任者を置くことが法律で義務付けられています。これは屋台も例外ではありません。

資格は、各都道府県の食品衛生協会が実施する養成講習会を1日受講することで取得できます。調理師や栄養士などの資格を持っている場合は、講習を受けずに食品衛生責任者になることが可能です。開業を決めたら、まずはお住まいの地域の講習会スケジュールを確認しましょう。

露店営業許可

屋台で飲食物を調理・販売するためには、営業する地域を管轄する保健所から露店営業許可を取得する必要があります。この営業許可を得るには、保健所が定める施設基準を満たした屋台を用意しなくてはなりません。

露店営業許可に必要なものの代表例として、以下のような設備基準があります。

  • 給排水設備:定められた容量以上の給水タンクと排水タンクの設置
  • 手洗い設備:従業員専用のせっけんと消毒液を備えた手洗いシンク
  • 冷蔵・冷凍設備:食材を適切な温度で保管するためのクーラーボックスや冷蔵庫
  • 収納:食器や器具を衛生的に保管できる蓋付きの収納ケース

これらの基準は自治体によって細かく異なるため、屋台を準備する前に必ず管轄の保健所に事前相談に行きましょう。

道路使用許可

屋台を公道、つまり道路や歩道上に設置して営業する場合には、その場所を管轄する警察署から道路使用許可を得る必要があります。

ただし、交通の妨げになる、衛生面の問題があるなどの理由から、公道での飲食店の営業許可が下りることは非常に難しいのが現状です。多くの屋台は、前述したイベント会場や許可された私有地などで営業しています。もし公道での営業を検討する場合は、まず警察署の交通規制課に実現の可能性があるかを確認することから始めましょう。

屋台の開業を成功させるためのコツ

最後に、あなたの屋台ビジネスを成功に導くための大切なコツを3つ紹介します。

他にはない強みを持つ

周辺のライバル店にはない、あなただけの看板メニューやサービスを考えましょう。味はもちろん、見た目のインパクトやユニークなコンセプトがお客様を引きつけます。

SNSを最大限に活用する

開業準備の段階からInstagramやX(旧Twitter)などで情報を発信し、ファンを作りましょう。日々の出店場所や新メニューの告知は、集客に不可欠なツールです。

衛生管理と接客を徹底する

美味しいことはもちろん、清潔で安心できるお店であることが信頼に繋がります。そして、お客様一人ひとりへの明るく丁寧な接客が、リピーターを生む最大の秘訣です。

着実な準備で、あなただけの屋台開業を実現しよう

屋台の開業は、多くの人々に美味しい食事と喜びを直接届けられる、非常にやりがいのある挑戦です。その実現には、食品衛生責任者の資格取得や保健所の営業許可といった、避けては通れない手続きが伴います。

また、お祭りやイベント、私有地といった出店場所の特性を理解し、自分のコンセプトに合ったスタイルを選ぶことが成功への道筋を描きます。この記事で解説した、屋台と露店の違いの理解から、リヤカーのような具体的な開業形態の選択、そして各種許可の取得まで、一つひとつのステップを着実に進めることが大切です。

計画的な準備を通じて、地域に愛されるあなただけの屋台を開業し、多くの人を笑顔にしてください。


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