- 作成日 : 2025年5月16日
三重県で受けられる創業支援は?補助金や融資、相談窓口などを解説
三重県で起業する場合、特定創業支援等事業や補助金・助成金など、様々な支援制度を利用することができます。この記事では、三重県の起業に関わる様々な支援制度を分かりやすく解説します。
目次
産業競争力強化法に基づく特定創業支援等事業
産業競争力強化法は、日本経済の持続的な発展のために、新たな事業の創出と成長を促進することを目的とした法律です。三重県では、この法律に基づき、県内の各市町村や支援機関が連携し、「特定創業支援等事業」として、創業者の育成や支援に取り組んでいます。
【四日市市】四日市志創業応援隊
三重県では特定創業支援等事業を活用した様々な取り組みが行われています。この取り組みは、市区町村ごとにその特性にあったものが行われており、その種類は多岐にわたります。ここでは四日市市の取り組みを例にご紹介いたします。
四日市市における取り組みは、この法律に基づく支援の好例と言えるでしょう。四日市市は「四日市志創業応援隊」という創業支援ネットワークを構築し、その事業計画が国の認定を受けています。
このネットワークは、四日市商工会議所を窓口として、創業を志す人々への相談対応から、事業計画の策定支援、資金調達に関する情報提供など、多岐にわたるサポートをワンストップで提供しています。
参考:創業支援事業|四日市市
【四日市市】四日市志創業応援隊のメリット
さらに、四日市市では、この特定創業支援等事業による支援を受けた創業者に対して、様々な優遇措置を提供しています。具体的には、会社設立時の登録免許税の減免、信用保証協会の創業関連保証の特例、日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金の貸付利率の引き下げ、そして四日市市独立開業資金の保証料率の引き下げなどが挙げられます。
特筆すべきは、四日市市が提供する特定創業支援等事業の内容です。「創業塾」や「創業カフェ」といったプログラムを通じて、創業者は経営、財務、人材育成、販路開拓といった事業運営に必要な知識を体系的に学ぶことができます。
三重県内では、四日市市以外にも、津市や桑名市などが、それぞれの地域特性に合わせた創業支援ネットワークを構築し、同様の特定創業支援等事業を展開しています。ご自身の起業を考えている土地で利用できる支援事業をリサーチし、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
三重県で活用できる補助金・助成金
三重県では、県や各市区町村が、様々な目的や対象に応じた補助金・助成金制度を用意しています。
三重県起業支援金
三重県全体を対象とした主要な補助金として、「三重県起業支援金」が挙げられます。令和6年度には、県外からの移住者や、Society 5.0関連業種などの付加価値の高い産業分野での事業承継・第二創業を行う方を対象に、最大200万円の補助金が交付される予定です。
この補助金は、地域課題の解決に資する事業であり、かつデジタル技術を活用していることが要件となっています。
【四日市市】四日市市特定創業者販路拡大事業費補助金
また、四日市市では、「四日市市特定創業者販路拡大事業費補助金」が提供されています。これは、四日市市の創業支援等事業計画に基づく支援を受けた創業間もない事業者を対象としており、販路拡大のための費用の一部(上限15万円)を補助するものです。
具体的には、チラシ作成やウェブサイト広告、ネット販売システムの構築などが対象となります。
【伊勢市】伊勢市創業・移転促進補助金
伊勢市では、「伊勢市創業・移転促進補助金」として、最大100万円の補助金が提供されています。
これは、市内で新たに事業を開始する個人や、市外から伊勢市に本社を移転する法人などを対象としており、創業・移転にかかる費用の一部を補助するものです。申請は随時受け付けられています。
その他の三重県の補助金・助成金
他にも、張市、尾鷲市、鳥羽市、松阪市、亀山市、津市、紀宝町など、多くの自治体で、創業時の保証料補助や、空き店舗を活用した創業への支援などが行われています。これらの情報は、各自治体のウェブサイトや、三重県産業支援センターのウェブサイトなどで確認することができます。
このように、三重県では、県レベルから市町村レベルまで、様々な補助金・助成金制度が用意されており、創業者の事業計画や状況に合わせて活用することができます。
補助金・助成金名 | 実施主体 | 上限金額 | 主な給付条件 |
---|---|---|---|
三重県起業支援金 | 三重県 | 200万円 | 県外からの移住、Society 5.0関連業種、デジタル技術活用 |
四日市市特定創業者販路拡大事業費補助金 | 四日市市 | 15万円 | 四日市市創業支援等事業計画に基づく支援を受けた創業者 |
伊勢市創業・移転促進補助金 | 伊勢市 | 100万円 | 市内での創業、市外からの本社移転 |
名張市小規模事業資金保証料補給補助 | 名張市 | 目安6万8千円 | 特定の融資制度に基づき融資を受けた小規模事業者 |
尾鷲市創業支援融資助成事業費補助金 | 尾鷲市 | 目安10万円 | 三重県の創業・再挑戦アシスト資金を利用した尾鷲市民 |
鳥羽市創業・再挑戦アシスト資金保証料補給補助金 | 鳥羽市 | 保証料相当額 | 三重県の創業・再挑戦アシスト資金を利用した事業者 |
松阪市創業・再挑戦アシスト資金保証料補給制度 | 松阪市 | 目安10万円 | 三重県の創業・再挑戦アシスト資金を利用した市内事業者 |
亀山市創業・再挑戦資金融資保証料補給制度 | 亀山市 | 目安15万円 | 創業資金融資にかかる保証料を補給 |
津市創業資金融資保証料補給金 | 津市 | 目安10万円 | 津市内で創業する者 |
紀宝町空き店舗再生事業 | 紀宝町 | 改修30万円、家賃3万/月 | 紀宝町の空き店舗を活用して起業 |
三重県の起業に活用できる融資制度
創業資金を調達する上で、融資制度は補助金・助成金と並んで重要な選択肢となります。三重県では、公的機関と民間機関の両方から、創業者向けの様々な融資制度が提供されています。
新規開業・スタートアップ支援資金
公的機関による融資としてまず挙げられるのは、日本政策金融公庫(JFC)の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。四日市市の創業支援プログラムの利用者は、この融資の貸付利率の引き下げを受けられる可能性があります。
融資限度額は7,200万円(うち運転資金は4,800万円)とされており、設備資金には最長20年、運転資金には最長10年の返済期間が設定されています。 金利は、資金の用途や返済期間、担保の有無などによって変動します。
かつて提供されていた「新創業融資制度」は廃止されましたが、実質的にこの「新規開業資金」に統合され、自己資金要件が撤廃されたことで、より多くの創業者が利用しやすくなりました。
三重県創業・再挑戦アシスト資金
三重県独自の融資制度としては、「三重県創業・再挑戦アシスト資金」があります。これは、新たに事業を始める方や、再挑戦を目指す方を対象としたもので、融資限度額は3,500万円、利率は1.40%以内(商工会・商工会議所経由の場合は1.35%)となっています。保証料率は0.6%ですが、創業する地域によっては、保証料の一部または融資に係る利子の一部について補助が行われる場合があります。
四日市市独立開業資金
また、四日市市では、「四日市市独立開業資金」という独自の融資制度も用意されています。1 融資限度額は3,500万円、利率は1.3%とされており、保証料率は0.6%(認定特定創業支援等事業による支援を受けた方は0.3%)となっています。この制度は、市が保証料の一部を補助しているため、比較的低い負担で利用できるのが特徴です。
創業者カード / 三重県信用保証協会
また、三重県信用保証協会では、「創業者カード」という制度も用意しています。これは、創業後2年未満の方を対象に、事業に必要な資金をカードローン形式で、必要な時に必要なだけ借り入れることができるというものです。一般保証よりも低い保証料率が適用されるというメリットもあります。
民間金融機関においても、創業者向けの融資商品が提供されています。例えば、三重銀行は「起業家向け フリーローン『創業支援コース』」を用意しています。また、三菱UFJ銀行のビジネスローンでは、金利が2.1%から9.0%の範囲で設定されており、民間融資の金利水準の一例として参考にすることができます。
融資名 | 融資機関 | 公的/民間 | 上限融資額 | 金利の目安 | 返済期間 | 担保の有無 | 主な利用条件 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
新規開業・スタートアップ支援資金 | 日本政策金融公庫 | 公的 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) | 2.41%~2.90% (変動) | 設備:20年以内、運転:10年以内 | 原則不要 | 新規開業または事業開始後おおむね7年以内 |
三重県創業・再挑戦アシスト資金 | 三重県信用保証協会 | 公的 | 3,500万円 | 1.30%~1.40% (固定) | 10年以内 | 必要に応じて徴求 | 創業または再挑戦者 |
四日市市独立開業資金 | 四日市市 | 公的 | 3,500万円 | 1.30% (固定) | 10年以内 | 不要 | 四日市市内で新規開業または開業後5年未満 |
ビジネスローン | 三菱UFJ銀行 | 民間 | 1,000万円 | 2.1%~9.0% | 6か月 | 不要 | 三菱UFJ銀行に一定期間以上の取引履歴がある法人 |
三重県の起業に関する相談窓口
三重県内には、様々な機関が相談サービスを提供しており、起業に関するあらゆる疑問や不安に対応してくれます。
四日市志創業応援隊
四日市市にお住まいの方であれば、まず「四日市志創業応援隊」に相談してみるのが良いでしょう。メールや、ウェブサイトを通じて、気軽に相談することができます。創業に関する様々な情報提供や、具体的なアドバイスを受けることができます。
参考:四日市志創業応援隊
津市ビジネスサポートセンター
津市で創業を検討している方には、津市ビジネスサポートセンターがおすすめです。また、同市には「創業サポーター ソケッ津」というネットワークもあり、創業準備から創業後のサポートまで、一貫した支援を受けることができます。
参考:創業サポーター ソケッ津について|津市ビジネスサポートセンター
三重県信用保証協会
三重県信用保証協会も、創業前の相談に対応しています。 電話で予約することで、創業計画の策定や資金調達に関する相談に乗ってもらうことができます。金融機関の視点からのアドバイスは、資金調達を検討する上で大事なことだと言えます。
公益財団法人三重県産業支援センター
県全体をカバーする相談窓口としては、公益財団法人三重県産業支援センターがあります。こちらでは、創業に関する様々な相談に対応しており、セミナーやイベントの開催、専門家派遣など、多岐にわたる支援を提供しています。
くわな創業支援 ゆめはまねっと
桑名市では、「くわな創業支援 ゆめはまねっと」という創業支援ネットワークが、桑名市、桑名商工会議所、金融機関などが連携して相談窓口を設けています。事前相談が必要ですが、様々な専門家からアドバイスを受けることができます。
このように、三重県内には、地域に根ざした様々な相談窓口が用意されており、創業を志す皆さんの疑問や不安を解消し、具体的な行動へと繋げるためのサポート体制が整っています。
その他の三重県の起業支援制度
三重県では、資金調達や相談窓口の提供だけでなく、創業者の育成や事業の成長を支援するための様々な制度が用意されています。
創業セミナー・創業プログラム / 三重県信用保証協会
三重県信用保証協会では、「創業セミナー」や「創業カレッジ」といった研修プログラムを提供しており、創業に必要な知識やノウハウを体系的に学ぶことができます。
創業セミナーは半日、創業カレッジは6日間と、期間や内容も異なるため、自身の状況やニーズに合わせて選択することができます。また、同協会では、保証付き融資を利用している創業者に対して、無料で専門家を派遣するサービスも提供しており、創業後の経営課題の解決をサポートしています。
創業塾・創業カフェ / 四日市市
四日市市では、「創業塾」や「創業カフェ」といったプログラムを通じて、創業者の育成に力を入れています。創業塾では、ビジネスプランの作成方法から、経営、財務、人材育成、販路開拓まで、幅広い知識を習得することができます。
一方、創業カフェは、よりカジュアルな雰囲気で、創業に関する知識を深めたり、参加者同士の交流を促進したりする場となっています。特に、創業カフェでは、特定の講座を受講し、創業計画書を作成することで、産業競争力強化法に基づく特定創業支援事業の認定を受けることができる場合があります。
津市ビジネスサポートセンター・桑名創業塾
津市ビジネスサポートセンターでも、起業家向けの研修やセミナーを実施しており、経営、労務、財務など、様々な分野の専門家を紹介しています。桑名商工会議所も「桑名創業塾」を開催し、創業希望者の育成に貢献しています。
Mie女性起業支援室
さらに、三重県には「Mie女性起業支援室」という、女性の起業を専門にサポートする機関もあります。女性ならではの視点や悩みに寄り添った支援を受けることができるでしょう。
これらの制度を活用することで、創業者は知識やスキルを習得し、事業を円滑に進めるためのサポートを受けることができます。
三重県の創業支援制度を積極的に活用しよう
三重県では、産業競争力強化法に基づく特定創業支援等事業をはじめ、県や各市町村による様々な補助金・助成金、公的機関と民間機関による融資制度、そして充実した相談窓口や育成プログラムなど、多岐にわたるサポートが提供されています。
ご自身の事業計画や状況に合わせて、最適な支援策を探し、積極的に活用してみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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