• 更新日 : 2026年3月18日

飲食店の開業に必要な許可の取得方法は?届出・要件・手続きの流れなどを徹底解説

Point飲食店開業に必要な許可のポイント

飲食店の開業には、管轄保健所の「飲食店営業許可」の取得と「食品衛生責任者」の設置が法的に必須です。

  • 費用目安は約2万円、取得期間は2週間程度
  • 手戻りを防ぐため着工前の図面相談が不可欠
  • 深夜営業や建物全体の建物全体の収容人数が30人以上の店舗は追加届出が必要

喫茶店を開業する場合の許可区分は、2021年の法改正で「喫茶店営業許可」は廃止され、現在は「飲食店営業許可」に一本化されています。

飲食店を開業するためには、保健所による「飲食店営業許可」の取得が法的に義務付けられています。無許可で営業した場合、食品衛生法違反となり、2年以下の懲役または200万円以下の罰金や営業停止処分が科される可能性があります。また、営業許可には施設基準などの細かい要件があるため、物件契約前や工事着工前の確認が不可欠です。

本記事では、飲食店の開業に必要な許可の種類、申請手続きの具体的な流れ、費用や期間、さらに深夜営業やテイクアウトなどの業態に応じた追加の届出について解説します。

飲食店の開業に必要な許可・資格は?

飲食店を開業する際、どのような業態であっても「飲食店営業許可」が必要です。また、許可の取得に向けて、「食品衛生責任者」の設置も必要になります。これらは店舗の衛生管理と安全性を担保するための最低条件となります。スクロールできます

飲食店営業許可(保健所)

飲食店営業許可とは、食品を調理し設備を設けて客に飲食させる営業を行うために必要な、保健所長からの許可のことです。この許可を取得するためには、店舗の設備が食品衛生法および各自治体の条例で定められた「施設基準」を満たしている必要があります。

施設基準の例
  • シンクのサイズや数、手洗い場の設置、給湯設備などが基準を満たしていること
  • 保健所の実地検査をクリアしていること

基準は地域(管轄の保健所)によって細部が異なるため、工事着工前の事前相談が不可欠です。

食品衛生責任者の設置

食品衛生責任者とは施設の衛生管理を行う担当者のことで、1店舗につき必ず1名以上の設置が義務付けられています。

調理師免許を持っている場合は手続きのみで取得できますが、資格を持っていない場合でも各都道府県の食品衛生協会が実施する「食品衛生責任者養成講習会(通常1日)」を受講すれば取得可能です。

※「調理師免許」は必須ではありませんが、「食品衛生責任者」は必須です。

参考:食品衛生にかかわる資格|公益社団法人日本食品衛生協会

広告

この記事をお読みの方におすすめのガイド4選

続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気のガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。

※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。

会社設立時に決めることチェックリスト

「会社設立時に決めることチェックリスト」では、会社設立の基本事項や、株式会社・合同会社別の決めることチェックリストなどを、1冊にまとめています。

図解でカンタンにまとめており、完全無料でダウンロードいただけます。

無料ダウンロードはこちら

補助金をまるっと理解!会社設立時の補助金ガイド

補助金の概要や各制度の内容に加え、会社設立直後の企業でも使いやすい補助金や実際の活用事例などについてまとめました。

「使えたのに知らなかった!申請が漏れてた!」といったことを防ぐためにも、会社設立時の資金調達方法の一つとしてお役立てください。

無料ダウンロードはこちら

法人成り手続きまるわかりガイド

初めて法人成りを考える方に向けて、法人成りの手続きや全体の流れ、個人事業の整理方法など、必要な情報をわかりやすくご紹介したガイドです。

多くの個人事業主の方にダウンロードいただいておりますので、ぜひお気軽にご利用ください。

無料ダウンロードはこちら

起業家1,040人への調査でひも解く!先輩起業家が一番困ったことガイド

マネーフォワード クラウド会社設立では、会社設立の経験がある方1,040名に対して、会社設立に関する調査を実施しました。

先輩起業家が悩んだ部分や、どのように会社設立を行ったかを、定量的に分析していますので、ぜひご活用ください。

無料ダウンロードはこちら

飲食店営業許可を取得する流れは?

許可取得の期間は、申請が順調に進んだ場合で約10~14日です。手戻りを防ぐため、必ず以下の5つのステップ順に進めてください。特に重要なのは「工事前の事前相談」です。

1. 保健所への事前相談

店舗の設計図面(レイアウト図やコンセプト等)が完成した段階で、必ず工事を始める前に管轄の保健所へ相談に行きましょう。

ここで施設基準に適合しているか確認を受けないと、工事完了後に「シンクのサイズが違う」「手洗い場が足りない」といった不備を指摘され、再工事による追加コストや開業遅延が発生するリスクがあります。

2. 営業許可申請書の提出

工事完了予定日の約10日〜2週間前を目安に、必要書類を保健所へ提出します。また、この段階で次のステップである施設検査の日程予約も行います。

参考:営業許可申請書・営業届(新規、継続)|港区

3. 施設検査の実施

申請時に予約した日程に、保健所の担当者が店舗へ訪れて立入り検査を行います。この際、経営者等の立ち会いが必要です。図面通りに施工されているか、手洗い器の消毒液や給湯設備などの衛生設備が稼働するかを実地でチェックされます。

4. 営業許可書の交付

施設検査に合格すると、通常数日〜1週間程度で「営業許可書」が交付されます。不適事項があった場合は改善後に再検査となるため、期間が長引く可能性があります。

5. 営業開始

許可書を受け取り、店内に掲示することで正式に営業を開始できます。許可には有効期限(通常5年〜8年)があるため、更新時期を忘れないよう管理が必要です。

飲食店営業許可の申請に必要な書類は?

飲食店営業許可の申請には、東京都の場合は次の書類が必要です。

  • 営業許可申請書
  • 施設の構造及び設備を示す図面
  • 食品衛生責任者の資格※を証明するもの(食品衛生責任者手帳等)
  • 水質検査成績書(水道水、専用水道、簡易専用水道以外の水を使用する場合)
  • 許可申請手数料

すべて揃えたら、施設完成予定日の10~14日前を目途に保健所に提出しましょう。

また、自治体によって必要書類が異なる場合があります。事前に確認しましょう。

飲食店営業許可の取得にかかる費用・期間は?

飲食店営業許可の取得にかかる法定費用は約2万円程度、期間は申請から約10日が一般的です。

申請手数料や審査期間は自治体(保健所)によって異なりますが、標準的な目安を以下の表にまとめました。

項目費用の目安所要期間の目安
飲食店営業許可16,000円〜19,000円申請から10~14日
食品衛生責任者講習10,000円〜12,000円1日(講習受講)
深夜酒類提供届出手数料なし届出後10日〜
菓子製造業許可14,000円〜19,000円申請から10~14日

※上記はご自身で申請する場合の実費です。行政書士などの専門家に代行を依頼する場合は、別途数万円〜十数万円の報酬が発生します。

飲食店の業態によって追加で必要な届出・許可は?

通常の飲食店営業許可に加え、お酒の提供時間、収容人数、販売形態によっては警察署や消防署への追加届出が必要です。

深夜酒類提供飲食店営業開始届出(警察署)

深夜0時以降も客にお酒を提供するバーや居酒屋を営業する場合は、管轄の警察署(生活安全課)への届出が必要です。この届出は「許可」ではなく「届出」ですが、用途地域(住居専用地域など)によっては営業自体が禁止されているエリアがあるため、物件契約前の確認が重要です。食事メインの店(ファミレス等)の場合は不要なケースもあります。

参考:深夜における酒類提供飲食店営業(様式一覧)|警視庁

防火管理者の選任と防火対象物使用開始届(消防署)

建物の収容人数(従業員含む)が30人以上になる場合、「防火管理者」の選任と消防署への届出が必要です。また、人数に関わらず、一定の規模をもつ店舗の内装工事を行う前には「防火対象物工事等計画届出書」、営業開始前には「防火対象物使用開始届出書」を消防署へ提出し、消防検査を受ける必要があります。

参考:防火・防災管理講習|一般財団法人 日本防火・防災協会

菓子製造業許可(保健所)

店内で調理したスイーツやパンを、テイクアウト用として包装・販売する場合や、通信販売を行う場合は「菓子製造業許可」が別途必要になることがあります。通常の飲食店営業許可は「その場で飲食させること」を前提としているため、持ち帰り商品の製造販売にはより厳しい基準(製造室の完全区画など)が求められるケースがあります。

2021年法改正による許可業種・届出の変更点は?

2018年の食品衛生法改正および2021年6月の制度施行により、営業許可が必要な業種が見直され、新たな「営業の許可制度」「営業の届出制度」が開始されました。

許可業種の再編

法改正により、新たに営業許可の対象となる業種が整理され、「飲食店営業」や「調理の機能を有する自動販売機による営業」など飲食にかかわるものは32種となりました。これに伴い、従来「飲食店営業」とは別に設けられていた「喫茶店営業」は、「飲食店営業」に統一されています。

許可・届出がいらないケース

以下の食品を扱う場合は、営業許可や届出が不要、もしくは届出のみで済みます。

許可・届出ともに不要なケース
  • 食品・食品添加物の輸入業
  • 食品・食品添加物の貯蔵・運搬のみを行う営業(食中毒リスクが低い業種)
営業許可は不要だが届出が必要なケース
  • 包装済みの食肉や魚介類の販売
  • 乳を原料とした乳飲料・乳製クリームなどの販売

参考:食品衛生法の改正について|厚生労働省

飲食店の許可申請で失敗しないためのポイントは?

飲食店の開業準備は、物件契約前の「用途地域確認」と、工事着工前の「保健所事前相談」が成功の鍵です。

多くの失敗事例は、内装工事が終わってから「基準を満たしていない」と指摘され、追加工事が発生するケースです。また、深夜にお酒を出したいのに、その場所が「住居専用地域」で法律上営業できないというケースも散見されます。

  • 物件契約前:警察署・消防署・自治体の建築課で場所の要件を確認
  • 設計段階:図面を持って保健所へ行き、設備基準をクリアしているか確認

この2点を徹底することで、スムーズな許可取得と開業が可能になります。

飲食店の開業時は開業届の提出も忘れずに

飲食店の開業にあたって管轄の税務署へ「開業届」を提出することも重要です。

マネーフォワードが実施した調査で、開業届と同時に「青色申告承認申請書」を提出したかどうかを尋ねたところ、最も多かったのは「開業届と同時に提出した」で、66.0%でした。多くの方が飲食店などの開業当初から、青色申告による節税メリットを意識して手続きを行っていることがわかります。また、同調査で開業届の手続き全体を通して最も面倒・ハードルが高いと感じた点を尋ねたところ、最も高かったのは「青色申告などの関連書類の理解(必要性や違いの判断)」で21.4%、次いで「記入内容の判断(職業欄の書き方、開業日の設定、屋号など)」で20.2%でした。

飲食店の開業準備は、店舗物件の取得から各種許可の取得まで多岐にわたり、非常に忙しくなります。そのため、税務関連の手続きにおいては、青色申告の要件を満たす記入や書類作成をサポートしてくれる民間サービスの活用も選択肢に入れ、スムーズに開業準備を進めるとよいでしょう。

出典:マネーフォワード クラウド、青色申告承認申請書の提出状況【開業届に関する調査データ】 、手続きで「面倒・ハードルが高い」と感じた点【開業届に関する調査データ】(回答者:開業届を自分で作成した(または準備中の)574名、集計期間:2026年1月実施)

飲食店の開業に必要な許認・資格を事前にチェックしよう

飲食店を開業する際は、保健所への営業許可申請をはじめ、消防署や警察署(必要ある場合)への届出も必要です。食品衛生責任者などの資格も取得しなければなりません。

許認可に際しては、事前に保健所に相談をして、施設基準に合致しているかを確認しておきましょう。申請に必要な書類は複数あるため、開店予定の日程までには時間に余裕をもって準備を行ってください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事