• 更新日 : 2024年9月6日

農業を始めるなら資金調達から!必要金額や調達方法を解説

農業を始めるには、適切な資金調達が欠かせません。新規就農から収穫までの無収入期間や天候不順による収穫量の変動など、農業特有のリスクに備えるためにも、十分な資金計画を立てる必要があります。

しかし、実際にどの程度の資金が必要なのか悩んでいる人もいるでしょう。この記事では、農業に必要な資金の種類や金額の目安、おすすめの調達方法について解説します。これから農業を始める予定のある人は、ぜひこの記事を参考に、資金調達に臨んでみてください。

農業において資金調達が重要な理由

農業は、新規就農から収穫までは収入を得られないため、資金調達が欠かせません。また、天候や市場の状況変化など不可抗力も多く、資金面に課題を感じやすい傾向にあります。

しかし、あらかじめ十分な資金を調達しておけば、安心して農業に取り組めるでしょう。さまざまな支援制度や融資制度を活用し、資金計画をしっかりと立てておくことが重要です。

新規就農から収穫までは無収入

新規就農を検討している人は、収穫までの期間は収入が得られません。たとえば、米の場合は田植えから収穫まで約4〜5ヶ月かかります。また、果樹栽培では植樹から収穫まで数年を要することもあるでしょう。

そのため、就農のための初期投資に加えて、収入が得られるまでの生活費や運転資金も用意しておく必要があります。就農の際にかかる主な費用は、以下のとおりです。

  • 農地の賃借料
  • 種苗や肥料
  • 農業機械の購入または賃借費用

就農してから1〜2年程度は、計画以上に経費がかかる可能性もあるため、支援制度や融資制度を活用してしっかりと資金調達をしておきましょう。

農業には天候や市場の状況変化など不可抗力が多い

農家にとって、天候不順による収穫量の減少や品質低下は、大きなリスクとなります。たとえば、台風による農作物の被害や長雨・日照不足による生育不良、病害虫の発生による収量減少などが挙げられます。

また、豊作による供給過多を原因とする価格の下落や、輸入農産物の増加による国内農産物の価格低下などの市場価格の変動も無視できない要素です。そのため、農業経営では、予期せぬ事態に対しての備えが欠かせません。

以下のような対策をすることで資金的な余裕を持てるため、予期せぬ事態にも備えやすくなります。

  • 収入保険に加入する
  • 農業共済に加入する
  • 不作時の運転資金をあらかじめ確保しておく

予期せぬ事態に備えて、計画的に資金調達をしておきましょう。

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農業に必要な資金は2種類

農業を始める際には、運転資金と設備資金の2種類の資金が必要です。そのため、さまざまな支援制度や融資制度を組み合わせて、計画的に資金調達・運用しなければなりません。天候不順や市場価格の変動などのリスクに備えて、余裕を持った資金計画を立てましょう。

運転資金

運転資金は、農業経営において日々の活動を支えるための短期的な資金です。以下のようなさまざまな用途に使用されます。

項目 実例
種苗・肥料・農薬の購入費用 米農家の場合、種籾や除草剤、殺虫剤などの購入費用
人件費 果樹園での収穫期に臨時雇用する作業員の賃金
光熱費・燃料費 ハウス栽培での暖房費

トラクターの燃料費

農地の賃借料 借地で野菜を栽培する場合の年間賃借料
農業機械のリース料や修繕費 コンバインのリース料

トラクターの定期点検費用

出荷・販売にかかる経費 包装資材費

市場への運送費

収穫前に資金不足に陥った場合、短期融資を受ける可能性もあり、返済金は運転資金に含まれます。運転資金を適切に管理することで、安定した農業経営ができるようになるでしょう。

設備資金

設備資金は、農業経営を始める際の基盤となる長期的な投資に使用される資金です。主に以下のような場面で使用されます。

項目 実例
農地の取得費用 経営規模拡大のための隣接農地の購入
大型農業機械の購入費 最新型のGPS搭載トラクターの導入
農業用施設の建設・改修費 低温貯蔵庫の新設

老朽化したハウスの建て替え

灌漑設備の整備費 点滴灌漑システムの導入
 ICT機器やソフトウェアの導入費 ドローンを使用した生育状況モニタリングシステムの導入
加工・販売施設の整備費 直売所の建設

農産物加工場の設置

果樹や茶などの永年性作物の新植・改植費用 リンゴ園の新規造成

古木となった茶畑の改植

設備投資をして農業経営の基盤を形成することで、長期的な生産性向上につながります。

資金はいくら調達すればいい?金額の目安を紹介

新規就農に必要な資金の目安は、営農形態や品目によっても異なります。必要金額の目安は、以下のとおりです。

営農形態 就農1年目の平均費用 内訳 作物の特徴
水稲・麦・雑穀類・豆類栽培 489万円程度 トラクター

田植機

コンバイン等の農機具

稲作のみで収益を上げるなら、10ha以上の面積が必要

収益を上げるには野菜作を含めた複合経営が必要

露地野菜 431万円程度 トラクター

灌水設備

管理機

同一面積ならハウス栽培よりコストが抑えられる

作物本来の時期しか栽培できず、天候や害虫のリスクも大きい

施設野菜 1,136万円程度 ハウス建設費

暖房設備

養液栽培システム

通年で安定した生産が可能

生育状況をコントロールするため初期コストがかかりやすい

果樹栽培 419万円程度 苗木代

支柱

防除機

選果機

苗木を植えてから収穫まで数年かかる

果樹のみで生計を立てるなら2ha以上の農地が必要

参考:令和3年度新規就農者の就農実態に関する調査結果

必要となる金額は、地域や経営規模・設備の新旧などによっても変動します。土地取得費用は含まれていないため、実際にはさらに多額の資金が必要となる可能性があるでしょう。

資金計画を立てて資金調達と経営を成功させる

農業経営を安定させるためには、経営状況や目標に合わせた資金計画を立てることが重要です。JAや農業普及指導センターなどの専門家に資金計画について相談をすることで、十分な資金を調達できます。

また、資金計画は定期的に見直し、経営環境の変化に応じて柔軟に調整することによって、安定して農業経営を継続できるでしょう。

交付金や融資制度を戦略的に利用するため

資金調達を成功させるには、さまざまな交付金や融資制度の戦略的な活用が重要です。

たとえば、市町村が審査・認定している認定農業者になることで、低金利での融資や税制優遇などのサポートを利用できます。

また、初期投資は青年等就農資金を利用し、就農初期の生活の支援には就農準備資金・経営開始資金を活用するなど、複数の制度を組み合わせるのも良いでしょう。そのほかにも、交付金や融資制度の募集時期に合わせて、設備投資をするのもおすすめです。

戦略的に、交付金や融資制度を活用できれば、初期投資や運転資金を効率良く調達できるので、経営を継続させやすくなります。

安定して農業を継続するため

安定して農業を継続するには、以下のポイントを押さえるのが重要です。

  • 安定して収穫ができるまでの数年分の資金計画を立てる
  • 収穫期以外の月の運転資金を備えておく
  • 不作や価格低下時に備えて収入保険に加入する
  • 段階的に設備投資をして固定費を抑える

農業経営を長期的に成功させるには、綿密な資金計画と適切な経営戦略が欠かせません。

また、稲作と野菜栽培のような経営の多角化も検討すれば、収入源を分散できるため、メインの事業の収穫期以外でも安定して収入を得られます。安定して農業経営を続けていくためにも、リスクを抑え、複数の収入源を得られるようにしましょう。

農業をこれから始める人におすすめの資金調達方法

農業をこれから始める人は、交付金や融資制度などの複数の資金調達方法を組み合わせるのがおすすめです。複数の資金調達方法を組み合わせることで、効率良く初期投資や運転資金を確保できます。

利用できる資金調達の方法や条件については、自治体の農政課や農業普及指導センター、JAなどに相談し、経営計画に最適な組み合わせを見つけましょう。

交付金型

交付金は、国や地方公共団体が特定の目的のために交付している返済不要の資金です。返済がいらないため経営の負担が少ない一方で、使い道が限定されており、事業完了後には、実績報告が求められる傾向にあります。

そのため、申請の際は、交付要件を確認し、漏れなく必要書類が準備できるようにしましょう。新規就農の際に利用できる主な交付金は、以下のとおりです。

  • 就農準備資金・経営開始資金
  • 強い農業・担い手づくり総合支援交付金
  • 小規模事業者持続化補助金

交付金は農業経営に欠かせない支援の一つですが、適切な利用と管理が求められるため、経営計画に合わせて、最適な交付金を選択しましょう。

就農準備資金・経営開始資金

新規就農を目指す人におすすめなのが、就農準備資金・経営開始資金です。それぞれ異なるステージの就農者をサポートします。

就農準備資金 49歳以下の研修生が対象

年間最大150万円を最長2年間受け取れる

先進農家での研修期間中の生活費として活用できる

経営開始資金 49歳以下の認定新規就農者が対象

年間最大150万円を、最長3年間受け取れる

就農初期の運転資金や生活費として活用できる

特に、経営開始資金は、運転資金や生活費として活用できるため、経営が軌道に乗るまでの不安定な時期を乗り越えやすくなります。資金面での不安を軽減し、農業に専念できる環境を整えるためにも、交付金をうまく活用しましょう。

融資型

融資は、金融機関や地方自治体から必要資金を借入することで、定められた期間内に返済する必要があります。大規模な設備投資にも活用できる一方で、担保や保証人が求められる場合もあるため、金利や返済条件は十分に確認しましょう。

新規就農の際に利用できる主な融資は、以下のとおりです。

  • 青年等就農資金
  • 農業近代化資金(JA)

経営の拡大や改善にも利用できるのが融資の魅力の一つですが、返済義務があるため経営状況や将来の計画に合わせて、適切な融資制度を選択しましょう。

青年等就農資金

青年等就農資金は、最大3,700万円までの融資を無利子で受けられる制度です。

対象者 認定新規就農者
融資限度額 最大3,700万円
金利 無利子
返済期間 最長17年以内(据置期間5年以内)
活用例 ハウス建設:2,000万円

トラクター購入:500万円

運転資金:1,000万円

以下の条件のいずれかに該当していないと、認定新規就農者の対象にならないため、注意が必要です。

  • 原則18歳以上45歳未満の青年
  • 特定の知識・技能を有する65歳未満の中高年齢者
  • 上記の者が役員の過半数を占める法人
  • 農業経営を開始して5年以内

青年等就農資金を利用することで、初期投資の負担を軽減し、安定した経営基盤を築けるでしょう。

農業近代化資金(JA)

農業近代化資金は、個人で最大1,800万円、法人で2億円までの融資を受けられる制度です。

対象者 認定農業者

認定新規就農者

融資限度額 個人:1,800万円

法人:2億円

金利 0.70〜1.25%(2024年8月現在)
返済期間 資金使途に応じて7〜20年以内
活用例 果樹園の改植:1,000万円

選果機の導入:800万円

資金の使い道によって、返済期間が7〜20年以内と柔軟に設定されており、長期的な計画を立てやすいのが特徴です。ただし、認定農業者や認定新規就農者の認定を受ける必要があるため、計画を立てて、申請の準備を進めていきましょう。

経営計画に合った方法で資金調達を進めましょう

農業経営を安定して継続させるためには、十分な資金計画と適切な方法での資金調達が重要です。運転資金と設備資金の2種類の資金を確保し、営農形態や品目に応じた金額を集められるようにしましょう。

また、初期投資の負担軽減には、新規就農者向けの交付金や融資制度を戦略的に活用するのもおすすめです。特に、就農準備資金・経営開始資金や青年等就農資金は、少ない負担で利用できるため、新規就農者が利用しやすい傾向にあります。

これから新規就農を予定している人は、ぜひこの記事を参考に、綿密に資金計画を立て、安定した農業経営の基盤を築いていきましょう。


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