• 更新日 : 2023年11月30日

バーの開業に必要な準備・資格は?店舗の設備資金など費用についても解説!

バーの開業に必要な準備・資格は?店舗の設備資金など費用についても解説!

新型コロナウイルスのパンデミック発生から4年目を迎えた今、世界でも夜の街へ人が戻り始めてきました。日本でも、東京や大阪などの都市部を中心に夜のにぎわいが戻りつつあります。そんなアフターコロナを見据えて、バーを開業しようと志す人は少なくないかもしれません。実際にバーを開業するには、どのような準備が必要なのでしょうか。開業に資格は必要なのでしょうか。

本記事は、バーを開業する具体的な方法と、開業を成功させるポイントなどについて解説します。

バーの開業に必要な費用は?

バーの開業に必要な費用はいくらくらいでしょうか。開業する場所や店舗の規模、内外装工事の内容などにより異なりますが、一般的な大きさのバーを開業する場合、500万~1,000万円程度の費用が必要です。東京の銀座や赤坂、大阪の北新地といった一等地で開業する場合、少なくとも1,000万円以上かかる可能性があります。いずれにせよ、バーを開業するに際しては、「店舗・設備などの初期費用」と「運転資金」が必要です。

店舗・設備などの初期費用

初期費用には店舗の物件取得費(保証金、礼金、前払家賃、仲介手数料など)、内外装工事費、設備費などが含まれます。中でも大きいのが物件取得費で、繁華街の物件などでは保証金だけで家賃の半年分以上が必要になるケースもあります。

内外装工事費も、周辺の店構えに劣らないようなレベルのものを求めるとそれなりのコストが必要になります。設備費も、製氷機、冷凍冷蔵庫、シンクなどの購入と設置などでそれなりのコストが必要になります。さらに、家具や食器などの購入費用も必要です。

運転資金

運転資金はバーを開業したあとに必要になる資金の総額で、具体的には家賃、仕入費用、水道光熱費、人件費、広告宣伝費通信費などが含まれます。運転資金は、開業する物件を取得して、家賃などの実際に払う費用が確定してから計算するとよいでしょう。一般論として、バーを開業する場合は、開業当初からお客さんでいっぱいになるという可能性は高くないので、半年分くらいの運転資金が手元にあると安心して経営できるでしょう。

バーの開業に必要な資格は?

ところで、バーの開業に必要な資格はあるのでしょうか。バーの開業に必要な資格は「食品衛生責任者」と「防火管理者」の2つです。

食品衛生責任者の資格は、都道府県の食品衛生協会が開催している講習を受講すると取得できます。開業を予定している都道府県の食品衛生協会のホームページに、開催日時などが記載されているので確認の上、受講してください。東京都の場合、受講費用は12,000円です。調理師や栄養士など一定の国家資格の保有者は、受講することなく食品衛生責任者になれます。

防火管理者の資格は、スタッフを含めて収容人数が30人以上の店舗の場合に取得が必要になります。資格を取得するには日本防火・防災協会や消防署などが実施する防火管理者講習を受講して効果測定試験に合格する必要があります。

防火管理者の資格は、防火対象物の面積により分かれており、延べ面積300平方メートル以上が甲種、300平方メートル未満が乙種になります。受講料は日本防火・防災協会で受講する場合は甲種が8,000円、乙種が7,000円です。

バーの開業に必要な届出・申請は?

バーの開業に必要な資格に加えて、バーの開業に必要な届出や申請はあるのでしょうか。バーは飲食店の一種ですので、開業に際しては一般的な飲食店に求められている届出などを行う必要があります。また、営業時間が午前0時を超える場合は、管轄の警察署へ深夜酒類提供飲食店営業開始届出が必要です。

届出を怠ると風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)の違反となり営業停止になる可能性があるので、開業前に必ず届出をしてください。

飲食店営業許可

バーの開業にまず必要なのが飲食店営業許可です。飲食店営業許可を取得するには食品衛生責任者を指定し、飲食店営業許可申請書と添付書類などを所管の保健所に提出しなければなりません。また食品衛生責任者の指定に加えて、「設備・構造の要件」を満たす必要があります。

設備・構造の要件を満たしているかを確認するには、保健所に事前に相談するとよいでしょう。なお、飲食店営業許可の取得には申請から数週間程度かかるので、スケジュールに余裕を持たせて申請しましょう。

深夜酒類提供飲食店営業開始届出

酒類を提供して営む営業を午前0時以降に営む飲食店を「深夜酒類提供飲食店」といいます。そして、深夜酒類提供飲食店の営業を開始する飲食店は、所管の警察署に深夜酒類提供飲食店営業開始届出を行う必要があります。

届出の方法は、各都道府県警察のホームページから深夜酒類提供飲食店営業開始届出書をダウンロードしてプリントアウトし、必要事項を記入して所管の警察署へ提出します。なお、届出は営業開始日の10日前までに行う必要があるので注意してください。

防火管理者選任届出

スタッフを含めて収容人数30人以上のバーを開業する場合、防火管理者の資格取得と、防火管理者選任届出を行う必要があります。

届出の方法は、各都道府県消防庁のホームページから防火管理者選任届出書をダウンロードしてプリントアウトし、必要事項を記入して所管の消防署へ提出します。届出書は、「消防署保管用」と「事業所保管用」として受付されるので、同じ内容のものを2枚提出します。また、届出時に選任される防火管理者の「防火・防災管理講習修了証(手帳)」の提示が必要です。

特定遊興飲食店営業許可

風営法によると、「ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(客に酒類を提供して営むものに限る。) で、午前六時後翌日の午前零時前の時間においてのみ営むもの以外の」飲食店営業を「特定遊興飲食店営業」といいます。

「客に遊興をさせる」とは、客にショー、ダンスなどを見せたり、バンドの生演奏を聴かせたりすることを指します。そのようなバーを開業する場合、「特定遊興飲食店営業許可」の取得が必要です。特定遊興飲食店営業許可を取得するには、所管の警察署へ許可申請書の提出が必要です。

バーの開業に必要な準備・流れは?

バーの開業に必要な準備や流れについては、どうしたらよいでしょうか。バーの開業を成功させるためには、しっかりとしたコンセプトを練り上げ、そのコンセプトを実現させるのに最も適切な場所で開業する必要があります。しっかりとしたコンセプトなしにバーを開業することは、飛行計画なしに飛行機を飛ばすか、登山計画なしに登山をするようなものです。また、実際の営業に際してはマーケティング、特に集客を徹底して行う必要があります。

店のコンセプトづくり

バーの開業を成功させるために最も重要なことは、店のコンセプトです。コンセプトとは、「どのような店を、誰に対し、どのような方法で、どこで、いくらで提供するか」を表現した具体像といってよいでしょう。
例えば、プレミアムジャパニーズウイスキー専門のカウンターオンリーのバーを、30~50代くらいの中堅ビジネスパーソンやインバウンド観光客を相手に、自分自身とアルバイト店員2人で、都心ビジネス街の飲食店密集エリアで、ワンオーダー800円から提供する、といったイメージです。

物件取得・内外装工事

店のコンセプトが決まったら、次は物件探しです。物件探しを始めるに際し、まずは店のコンセプトがマッチするエリアを選定します。選定したエリアを実際に回って見て地元の不動産会社に声をかけたり、自らインターネットなどで検索したりするなど、あらゆる手段を使って物件を探します。

物件が決まったら契約して取得し、内外装工事を行います。この時点では開業時期も決まっているはずなので、それに合わせて必要な資格や営業許可の取得などを行います。

開店・集客

内外装工事を済ませ、必要な資格や営業許可などが取得できたら、いよいよ開店です。開店に際しては、あらゆる手段を使って集客する必要があります。Webサイトやブログ、「食べログ」などのレビューサイト、FacebookやInstagramなどのソーシャルメディア、YouTubeなどの動画サイトといったオンラインメディアに加えて、チラシ、フライヤー、クーポンなどのオフラインメディアもフルに活用しましょう。

バーの開業を成功させるには?

一般的にバーを含めた飲食店の廃業率は、ほかの業種よりも高いとされています。多くのバーが開業から数年で廃業を余儀なくされている一方で、常連客に愛され、長く経営を続けている老舗のバーも存在します。両者の違いは歴然としていますが、そうした違いを生み出している原因は何でしょうか。あるいは、バーが成功するために行うべきことは何でしょうか。

マーケティングを行う

バーが成功するために行うべきことの一つがマーケティングです。マーケティングのキーポイントを一言で表すと「顧客に価値を提供する」ことです。成功しているバーの多くが「顧客に価値を提供する」ことに成功しています。
ここでいう価値とは、バーが提供する商品であり、店の雰囲気であり、サービスの内容であり、接客の質であり、そうした要素の集合です。そして成功しているバーの多くが、そうした価値を未来の顧客に伝達し、情報共有することに成功しています。

リピーターを確保する

また成功している多くのバーが、リピーターの確保に成功しています。バーに限ったことではありませんが、一般的に新規客の獲得コストは既存客の維持コストよりも高くなります。既存客を維持し続け、常連客から生涯にわたって得られる利益「ライフタイムバリュー」を最大化することが経営の安定化につながります。

リピーターを確保するために、多くのバーが誕生日クーポンやスタンプカードなどを発行しています。中にはLINE公式アカウントやInstagramを活用しているバーもあります。このような努力をしないとリピーターを確保することは難しいでしょう。

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リピーターに愛される店づくりをしよう

これまでバーを開業する具体的な方法と、開業を成功させるポイントなどについて解説してきました。バーの開業を成功させるには、マーケティングを行うこととリピーターを確保することが必要です。バーの開業を目指している人は、そのことを十分に理解しておいてください。

よくある質問

バーの開業に必要な費用は?

バーの開業に必要な費用は開業する場所や店舗の規模、内外装工事の内容などにより違ってきますが、一般的な大きさのバーを開業する場合、500万~1,000万円程度の費用が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。

バーの開業に必要な資格は?

バーの開業に必要な資格は、食品衛生責任者と防火管理者です。食品衛生責任者の資格は、食品衛生協会の講習を受講すると取得できます。防火管理者の資格は、収容人数30人以上の店舗の場合に取得が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。


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