• 作成日 : 2025年8月19日

情報共有だけの会議は必要?無駄にしない進め方と見直し方を解説

情報共有だけの会議に疑問を感じたら、その目的や進め方を見直すタイミングかもしれません。ただ話を聞くだけの時間や、自分に関係のない議題に業務時間を費やすことに、ストレスを感じる人も少なくないでしょう。

共有する内容や意思決定の場を明確にしないまま会議を続けると、参加者の負担が増え、生産性の低下を招くおそれもあります。

この記事では、情報共有を目的とした会議の必要性、ムダにしない進め方や見直し方についてわかりやすく解説します。

情報共有だけの会議とは?

情報共有だけの会議とは、「報告」や「連絡」といった一方向の情報伝達を目的とする会議を指します。参加者同士で意見を出し合ったり、意思決定を行ったりすることはなく、限られた人が発言し、他のメンバーは聞くだけという構成になりがちです。

こうした会議は、多くの企業で日常的に行われています。以下のような種類が該当します。

  • 朝礼:その日の業務予定や全社的な注意事項、連絡事項を共有
  • 週次・月次の定例会議:売上報告、各部署の業務進捗やKPI、今後のスケジュール確認
  • プロジェクトの進捗報告会:各担当者が現在のタスク状況や課題を報告
  • 営業会議:個人やチームの数字報告が中心の会議
  • 部門横断の連絡会議:異なる部署間でお互いの進捗や施策を共有

これらの会議は、本来であれば組織全体の状況を把握し、業務の連携をスムーズにするために設けられるものです。しかし、内容や構成を工夫しないまま続けてしまうと、報告が冗長になりやすく、全員にとって意味のある内容が薄まってしまうことがあります。

たとえば、既に配布された資料を読み上げるだけの進行や、特定の部署にしか関係しない報告が長時間続くようなケースでは、他の参加者にとっては“聞いているだけ”の時間になってしまいます。これにより集中力が続かなくなり、「出席しても得るものがない」と感じさせてしまうのです。

さらに、発言の機会が限られるため、参加者が受け身になりやすく、意欲の低下や会議そのものへの不満にもつながります。アクションが生まれず、ただ時間だけが過ぎていくような会議は、結果として一部の業務効率を下げてしまう可能性があります。

このように、情報共有だけを目的とした会議は、設計と運営に明確な意図がなければ、効果が薄れ、形骸化するおそれがあります。次の章では、このような会議が引き起こす具体的な課題について整理していきます。

情報共有だけの会議にありがちな課題

情報共有を目的とした会議は、業務の透明性を保つうえで有効に見えますが、内容や構成に問題があると、かえって非効率になり、参加者の不満を高める原因となります。ここでは、情報共有だけの会議にありがちな課題を整理します。

意思決定が行われないまま終わる

会議は本来、何かを決めたり、方向性を共有したりする場です。しかし、情報共有だけで終わる会議では、「何も決まらない」「結論が出ない」といった状況が生まれやすくなります。結果として、参加者は「わざわざ集まった意味がない」と感じ、次第に会議そのものへの期待が薄れてしまいます。

意思決定のない会議が続けば、関係者同士の行動に統一性が生まれず、業務のスピードや質にも影響が出る可能性があります。

参加者が受け身になりやすい

情報共有型の会議では、発言するのが一部の報告者に限られることが多く、その他の参加者は聞いているだけの時間が長くなります。このような構造は、参加者の集中力や主体性を奪い、形式的な出席にとどまってしまいます。

特に、報告の内容が自分の業務に直接関係しない場合は、「この時間を他の作業に使いたい」と感じる人も出てくるでしょう。会議が負担に感じられるようになると、心理的な抵抗感も高まります。

報告が冗長化し、会議時間が長くなる

情報を伝えることが目的の会議では、各部署や担当者が「念のため伝えておきたい情報」を次々と追加してしまうことがあります。その結果、報告が細かくなりすぎて時間が予定より大幅に延びることも少なくありません。

特定の報告が長引くと、他の参加者にとっては退屈な時間となり、生産性が著しく低下します。特にオンライン会議では、画面越しの受け身姿勢がさらに集中力を奪いやすくなります。

課題や改善提案につながりにくい

情報を共有するだけで会議が終わってしまうと、「それを受けて何をするのか」「今後どう変えるのか」といった視点が欠けてしまいます。課題の共有があっても、それに対して誰が対応するのかが曖昧なままだと、アクションにつながらず、同じ問題が繰り返されることになります。

「共有しただけで終わり」の会議は、参加者の納得感や達成感を得にくく、会議自体の価値も見失われがちです。

そもそも情報共有に会議は本当に必要?

すべての情報共有に会議が必要なわけではありません。情報の内容や目的に応じて、会議以外の手段を選ぶ方が効果的な場合もあります。会議で情報共有を行うかどうかは、その情報が対話や意思のすり合わせを必要とするかどうかで見極めましょう。

会議での情報共有が向いている場面

次のようなケースでは、会議の場でリアルタイムに共有することが適しています。

部門をまたいだ意思決定が必要なとき

例:新しいプロジェクトの開始、リソースの再配分、納期変更など。

複数部署の合意や優先順位の調整が必要な場面では、直接のやりとりで認識をそろえる必要があります。

内容が抽象的で、言葉の補足や質疑が必要なとき

例:組織方針の説明、長期戦略、経営方針の共有など。

メールや資料だけでは誤解されるリスクがあるため、口頭での補足説明や質疑応答が有効です。

緊急性の高い対応が求められるとき

例:障害対応、クレーム処理、外部環境の急変など。

タイムラグを避けて即時判断したい場合は、会議の形式が適しています。

こうした場面では、会議によって意思統一が促進され、行動のズレを防ぐ効果が期待できます。

会議にしなくてもよい場面

一方、以下のような情報は、わざわざ会議を開かなくても共有できます。

数値報告や業務進捗など、確認だけで済む情報

例:月間売上、進捗率、出荷数など。

ドキュメントやダッシュボードを共有すれば十分な内容です。

特定メンバーだけが関係する内容

例:一部部署へのスケジュール調整、限定的な担当業務の変更。

全員が参加する場で共有する必要はありません。

すでに文書化された内容の口頭読み上げ

例:全員に配布済みの資料をそのまま読み上げるだけの場面。

個別に読めば済む内容であれば、文書共有の方が効率的です。

これらの情報は、チャットツール(Slack、Teamsなど)や共有フォルダ(Googleドライブ、Notionなど)を活用することで、参加者が自分の都合に合わせて確認でき、業務の流れを妨げにくくなります。

情報の性質に応じて、「会議」と「他の手段」を使い分けることで、時間とコストの削減につながります。

会議以外で情報共有をする手段

会議に頼らずデジタルツールなどで情報を共有する手段も検討しましょう。内容や緊急度に応じて、以下のような手段を活用することで、情報の伝達効率を高めることができます。

① ビジネスチャットでリアルタイムに共有(Slack、Microsoft Teamsなど)

日々の業務連絡やスピーディな情報伝達、簡単な確認作業には、ビジネスチャット(Slack, Microsoft Teamsなど)が最適です。

リアルタイムでのやり取りが可能で、簡単な質疑応答であればその場で完結します。

部署やプロジェクト単位で「チャンネル」を作成すれば、関連情報が一か所にまとまり、後から参加したメンバーも文脈を追いやすくなるでしょう。

メンション機能で相手を指定すれば、確認依頼も確実に行えます。電話やメールよりも手軽で、チームのコミュニケーションを活性化させる基盤となるツールではないでしょうか。

② 全社への共通連絡には、社内ポータル(社内Wikiなど)

社内全体や部署ごとの定期的な連絡には、社内ポータルや掲示板の活用が適しています。

社内WikiやNotionのようなツールを使えば、情報を一覧で管理できるため、あとから目的の内容を検索しやすくなります。

また、アップデート履歴が自動で記録されるため、誰がいつ何を変更したのかを追跡できる点も大きなメリットです。

閲覧者数やリアクションを確認できる機能を備えているツールもあり、情報がどの程度浸透しているかの把握にも役立ちます。就業規則の変更、社内制度の案内、よくある質問(FAQ)の共有、社内イベントの告知など、「記録として残すべき情報」を伝える手段として有効です。

③ 定期的な数値の報告には、Googleドキュメント+チャット共有が便利

定型的な報告や数値の共有、資料をもとにしたレビューには、GoogleドキュメントやExcel、PowerPointなどのドキュメント共有が適しています。編集履歴が自動で残るため、更新内容が一目で分かり、コメント機能を使えば非同期でのやり取りも可能です。

また、閲覧や編集の権限を関係者ごとに調整できるため、報告書、進捗一覧、会議議事録などの共有にも適しています。共有リンクをSlackやTeamsなどのチャットに貼れば、関係者全員に手軽に周知できるため、会議を開かずに情報をスムーズに伝えることができます。

④ 進捗の可視化には、プロジェクト管理ツール

チームで進めるプロジェクトの進捗管理には、専用の管理ツール(Asana, Trello, Backlogなど)を導入しましょう。

各タスクの担当者や期限、進捗状況(未着手・作業中・完了など)が一覧で可視化されるため、マネージャーは全体の流れを直感的に把握でき、メンバーは自分の業務に集中できます。

進捗報告のためだけに会議を開く必要がなくなり、課題が発生したタスクだけに絞ってピンポイントで議論することが可能になります。結果として、会議の回数や時間を大幅に減らすことにつながります。

⑤ 定量データの共有には、BIツールのダッシュボードが便利

売上実績やWebサイトのアクセス数、顧客データといった定量的な情報を常に最新の状態で共有するには、BIツール(Looker Studio, Tableauなど)が役立ちます。

各種データソースと連携し、KPIなどの重要指標をグラフや表でわかりやすく表示できます。

ツールや設定によっては、スケジュールに基づいて自動更新することも可能なため、手作業でのレポート作成の手間を大幅に削減できます。 これにより、常に最新に近い情報を関係者が同じ画面で確認でき、データに基づいたスピーディな意思決定につながります。

情報共有だけの会議の見直し方

形骸化した情報共有会議をなくし、生産性を高めるためには、会議の目的と進め方を根本から見直すことが重要です。目的を明確にし、ルールを整えることで、会議の質は大きく変わります。

会議の目的を明確にする

その会議が「情報共有」「議論」「意思決定」のどれを目的としているのかをはっきりさせましょう。たとえば、「共有事項を確認し、そのうえで課題を議論する」といったように、複数の目的があってもかまいませんが、曖昧にしないことが大切です。目的がはっきりすれば、扱う議題や必要な参加者も自然と絞られていきます。

アジェンダを事前に共有する

会議の内容を明確にするためには、事前にアジェンダ(議題リスト)を共有しましょう。目的、議題、ゴール、時間配分などを記載したアジェンダがあれば、参加者は何を準備すればよいかがわかり、議論も深まります。会議中に考える時間が減り、進行もスムーズになります。

参加者は必要最小限に絞る

会議には、議題に直接関係のあるメンバーだけを招集しましょう。意思決定における役割を明確にする「RACIモデル」などを参考に、その会議での「意思決定者」「主要な発言者」「情報共有のみでよい人」を区別して、参加を限定しましょう。直接関係のない人を無理に参加させると、時間を浪費するだけでなく、当事者意識も薄れてしまいます。議事録を共有する体制を整えておけば、非参加者にも必要な情報は行き渡ります。

ファシリテーターの役割を明確にする

会議を円滑に進めるためには、司会進行役であるファシリテーターの存在が重要な役割を果たす場面が多くあります。議論の脱線を防ぎ、時間管理を徹底し、全員に発言の機会を与える役割を担います。一部の人だけが話す場にならないよう、中立的な立場から全体のバランスを取ることが求められます。

会議時間を短く設定する

会議は必ずしも1時間必要とは限りません。内容によっては15〜30分でも十分です。議題に対して必要な時間をあらかじめ見積もり、終了時間を厳守するルールを徹底しましょう。

「人は与えられた時間を使い切る傾向がある」という組織全体の非効率を示す経験則として知られる「パーキンソンの法則」があると言われます。あえて短めに設定することで、集中力の高い密度ある会議に変わります。

ネクストアクションを必ず決定する

会議を行動につなげるには、最後に「誰が」「何を」「いつまでに」行うのかというネクストアクションを必ず決定しましょう。これを明確にせずに会議を終えると、結局何も進まずに終わってしまう恐れがあります。行動が決まれば、会議が意思決定や実行の起点として機能し、組織全体のスピードも高まります。

会議の廃止も選択肢に入れる

毎週の定例会議など、慣例で続けている会議が本当に必要かを見直してみましょう。「この会議をやめたら、どんな支障が出るか?」を具体的に書き出し、それらがツールや別の手段で代替できるかを検討します。たとえば、進捗報告がチャットやダッシュボードで十分に共有できるのであれば、会議は不要かもしれません。代替手段が見つかれば、思い切って廃止することで、業務時間を大幅に削減できるでしょう。

情報共有だけの会議を見直し、生産性の高い組織へ

情報共有だけの会議は、より効率的な手段で代替できます。とくに目的があいまいな定例会議や報告会は、内容を見直し、場合によっては思い切って廃止することも選択肢に入れるべきでしょう。

会議を行う際は、「議論」や「意思決定」といった明確な目的を設定し、アジェンダの事前共有、参加者の選定、時間の使い方を徹底することで、限られた時間の価値を最大化できます。

また、SlackやNotion、BIツールなどを活用し、会議に頼らない情報共有の体制を整えることは、これからの組織にとって生産性を高める有力な手段です。会議をコストとして捉え、自社に合った方法を一つひとつ見直すことが、従業員の納得感と組織の生産性向上につながります。


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