- 作成日 : 2025年5月28日
会議で発言できないのはなぜ?環境づくりや改善策、ITツールの活用を解説
会議中に発言ができないと感じる人は少なくありません。話す内容に自信が持てなかったり、上司や同僚の反応を気にしすぎてしまったりと、発言を妨げる要因はさまざまです。また、会議の設計や進行方法によっても、発言しづらい雰囲気が生まれることがあります。
この記事では、会議で発言ができない背景や組織への影響、仕組みで克服するコツについてわかりやすく解説します。
目次
会議で発言できないのはなぜ?
会議で発言できない主な理由は、心理的なハードルや会議設計の問題、そして個々のスキルや経験の不足が複合的に関係しています。それぞれの原因を明確にすることで、適切な対策へとつなげていきましょう。
心理的なハードル
会議で発言できないと感じる理由の1つは、心理的なプレッシャーです。「発言が的外れだったらどうしよう」「誰かに否定されたら恥ずかしい」といった不安が頭をよぎると、自然と発言を控えてしまいます。上司や役職者がいる会議では、立場の違いが緊張感を生み、口を開くのが難しくなることもあります。
また、以前に意見を否定された経験があると、「また同じ思いをしたくない」と無意識に発言を避ける傾向も強まります。自分の意見に自信が持てない、完璧でないと話してはいけないという思い込みも、発言を妨げる大きな要因です。
会議の運営方法
心理面だけでなく、会議の運営方法そのものが発言しにくい空気をつくっている場合もあります。議題が曖昧だったり、資料説明に時間をとりすぎて発言の余地がなかったりするケースでは、そもそも発言の機会が生まれにくいのです。
また、特定の人が一方的に話すような会議になると、他の参加者は「自分は話さなくていい」と感じやすくなります。会議の目的や役割分担が明確でない場合も、発言の機会を逃しやすくなる原因の1つです。
スキルや経験の不足
発言したい気持ちはあっても、どう話せばよいかわからないという声もよく聞かれます。意見を短くまとめる力、話の順序を考える力、人前で話す度胸など、会議ではさまざまなスキルが求められます。これらに自信がないと、発言のタイミングを逃してしまうこともあります。
特にオンライン会議では、相手の表情や空気が読みにくいため、「今話していいのか」の判断が難しくなり、結果的に沈黙してしまうというケースもあります。
会議で発言できないとリスクはある?
会議で発言を控え続けると、思わぬ形で自分自身や組織にマイナスの影響が及ぶことがあります。この章では、発言しないことで起きうるリスクを、個人・チーム・組織の3つの視点から整理します。
個人へのリスク:評価と成長の機会を失う
発言しない状態が続くと、周囲から「積極性がない」と判断される可能性があります。上司や同僚に印象を残せず、昇進や重要な業務への抜擢の機会を逃してしまうこともあります。また、自分の意見を外に出さないことで、フィードバックを得る機会も減り、成長のスピードが遅れる恐れがあります。
チームへのリスク:意思決定の偏りと連携不足
参加者の多くが発言しないまま会議が進行すると、議論は限られた意見に偏りやすくなります。多様な視点が得られないことで、見落としや誤判断が起きるリスクも高まります。さらに、意見を交わす機会が少ないと、チーム内の連携や信頼関係の醸成にも悪影響を及ぼします。
組織へのリスク:課題の放置とイノベーションの停滞
会議で声が上がらない状態が常態化すると、現場の課題や改善提案が経営層に届かず、対応が後手に回る事態を招きます。さらに、自由な発言が許容されない風土ができてしまうと、新しいアイデアや挑戦が生まれにくくなり、組織全体の成長力を損なう結果につながることもあります。
会議で発言しやすい環境を整えるには?
発言しやすい会議にするには、参加者の心理的な安心感を高めるだけでなく、会議前の準備や進行方法にも配慮が必要です。ここでは、発言を引き出すために整えるべき環境づくりの具体例を紹介します。
会議前に目的や議題を共有する
会議で発言を促すには、事前のアジェンダ共有や資料準備が欠かせません。参加者が事前に議題を把握し、自身の意見を整理する時間を持てるようにすることで、発言のハードルを下げることができます。
さらに、誰が何のために会議に参加しているのかを明確にしておくことも効果的です。例えば、決定権を持つ人、提案をする人、補足説明を行う人など、それぞれの役割を事前に伝えることで、参加者は自分に求められている発言の内容やタイミングをイメージしやすくなります。
進行役を決めて場の流れを整える
進行役は、会議の雰囲気づくりと発言の活性化において中心的な役割を担います。冒頭で「今日は皆さんのご意見を伺いながら進めたいと思います」と宣言するだけでも、発言しやすい空気を生む助けになります。進行中は、話の流れを調整しながら参加者の様子を見て、話しやすいタイミングをつくるよう意識しましょう。
例えば「少し考える時間をとりましょう」「今の話に補足のある方はいませんか」などの声かけは、沈黙が不安な場面でも自然な発言の機会をつくります。特定の人だけが話しすぎないように配慮し、発言が偏らないよう進行を整えることで、会議全体が対話型に変化していきます。
進行役が一方的に進めるのではなく、発言の間を意識的に設けたり、沈黙を恐れずに「少し考える時間をとりましょう」と声をかけたりする姿勢も有効です。こうした対応は、参加者にとって「今なら話せる」という安心材料になります。
参加者全員に話すタイミングを設ける
同じ人ばかりが話す会議では、他の参加者が発言しにくくなります。全員の意見を引き出すには、司会者が順番に意見を求めたり、「まだ話していない方がいればぜひお願いします」と呼びかけたりする工夫が必要です。また、一方的な説明に偏らず、参加者全員に考える時間や話すタイミングを設けることも大切です。例えば、会議の冒頭に「本日は皆さんの意見を積極的に伺いたい」と明言するだけでも、発言することへの心理的なハードルが下がります。また、無理に発言を求めるのではなく、「何か補足はありますか?」と柔らかく問いかける姿勢が、安心感につながります。
発言を否定せず、受け止める姿勢を示す
誰かの意見が出た際に、即座に否定的な反応が返ってくると、他の人も発言をためらうようになります。意見に対してはまず「ありがとうございます」「なるほど、そういう視点もありますね」と肯定的に受け止める姿勢が重要です。その上で建設的に意見を重ねることで、参加者全体に「話しても大丈夫」という安心感が生まれます。
「会議で発言できない」を克服するコツ
会議でうまく発言できないと感じる人でも、ちょっとした工夫や意識の変化で参加しやすくなることがあります。この章では、発言を習慣化するための具体的なコツを紹介します。些細なリアクションも「参加の証」として有効であり、小さな行動から意識を変えることが大切です。
会議中の考え方を変える
「間違っていてもいい」「完璧な答えでなくてもよい」と意識することで、心理的な負担を軽減できます。他者の意見にうなずいたり、「それは面白いですね」とコメントしたりするだけでも立派な発言です。まずは発言に慣れることを優先し、小さな一歩から始めましょう。
論理的に話す方法を身につける
特に苦手意識がある人ほど、「発言の型」を持っておくと安心です。PREP法(結論→理由→具体例→結論)など、伝える技術を活用することで、簡潔でわかりやすい発言が可能になります。また、「〜だと思います」「〜のように感じます」といった柔らかい表現を使うことで、相手に配慮しながら意見を伝えられます。
小さなリアクションから始めてみる
声に出して意見を言うことが難しくても、うなずきや相づち、「なるほど」といったひとことのリアクションも、立派な参加の形です。自分の意見を述べるのが難しいときは、他の人の意見に「共感する」「補足する」「疑問を持つ」といった形で関わることで、徐々に発言の敷居が下がっていきます。
発言の準備をあらかじめしておく
会議に入る前に、自分なりの論点や質問、確認したい点をメモしておくことで、発言のチャンスを逃しにくくなります。あらかじめ発言内容を考えておくことで、突然意見を求められたときにも落ち着いて対応でき、発言の自信にもつながります。
オンライン会議での発言を促進するには?
オンライン会議では、対面と異なるコミュニケーションの特性を理解した上で、発言を促す工夫が求められます。この章では、誰もが参加しやすくなるようなツールや仕組みの活用方法について解説します。
チャットやリアクションで意見を伝える
音声での発言に抵抗がある参加者も、チャット機能を使えば自分の考えを文章で表現することができます。「同意します」「補足として○○があります」といった簡潔なコメントを送るだけでも、会議への積極的な参加につながります。
また、スタンプやリアクションボタン(例:いいね、拍手、挙手)を使えば、発言せずともリアルタイムで意思表示が可能です。司会者や他の参加者も反応を受け取りやすくなり、相互理解が深まります。こうしたツールを「音声以外の発言手段」として活用することで、会議の参加率を高めることができます。
チャットの内容は議事録作成の補助にもなり、話し手が聞き逃してもフォローできるという利点もあります。特にハイブリッド会議(対面+オンライン)の場では、チャットが参加者間の情報共有において重要な役割を果たします。
ブレイクアウトルームで発言しやすくする
ブレイクアウトルームは、オンライン会議ツールに備わっている小グループ分割機能です。大人数の全体会議では発言しにくいと感じる人も、3〜5人ほどの少人数グループであれば自然に話すことができる傾向があります。
例えば、議題に対して個人で考える時間を設けたあと、ブレイクアウトルームで意見交換を行うようにすれば、より多くの意見が引き出されやすくなります。進行役がいる場合は、「1人1回は発言する時間をとる」といったルールを事前に共有しておくことで、全員の参加を促すことができます。
ブレイクアウトルームでの意見を各グループから代表者がまとめて全体共有する形式をとれば、話すのが苦手な人でも全体に自分の考えが反映される安心感を得られます。
会議の質を高めるITツールの活用法
特にオンライン会議では、発言しやすい会議を実現するためにITツールを効果的に取り入れましょう。なかでも「Zoom」は、音声だけでなく視覚やリアクションを通じた双方向のやり取りが可能なツールとして、多くの企業や団体で活用されています。この章では、Zoomの便利な機能を中心に、発言を促進する工夫やその他のツール活用法を具体的に紹介します。
Zoomで発言を後押しする便利な機能
Zoomは多くの企業や団体で活用されているオンライン会議ツールです。発言を促進するための代表的な機能には「ブレイクアウトルーム」「挙手ボタン」「チャット機能」があります。
大人数の会議であれば、ブレイクアウトルームで少人数に分けて意見交換を行うことで、発言の心理的ハードルを下げられます。
また、進行役は挙手ボタンの活用によって、誰が発言したいかを視覚的に把握でき、スムーズに順番を調整できます。Zoomチャットを併用すれば、発言のタイミングを逃した人や、声を出しにくい参加者も意見を伝えやすくなります。反応ボタン(いいね・拍手など)も意思表示として活用できます。
Zoomでは録画機能も活用できます。会議内容を録画して後日共有することで、参加者は「言い間違いを気にしすぎずに話せる」「会議に参加できなかった人とも内容を共有できる」といった安心感を得られます。
ファシリテーション支援ツール
会議中に出た意見をリアルタイムで見える化することで、参加者は自分の考えが反映されているという安心感を持ちやすくなります。例えば、「miro」や「FigJam」は、オンライン上で付箋を貼るように意見を自由に書き込めるホワイトボードツールです。視覚的に情報を整理しながら議論を進めることができるため、話すのが苦手な人も積極的に参加しやすくなります。
また、「Mentimeter」では、匿名での投票や意見投稿が可能です。特定の人ばかりが発言する場面を避けたい場合に有効で、参加者全体の声をバランスよく拾うことができます。簡単なアンケート形式で「今の意見に賛成ですか?」といった問いかけを行えば、無言の参加者の意見も可視化できます。
「Notion」や「Evernote」などを併用すれば、過去の議論や会議の目的、参考資料を整理して一元管理できるため、会議の進行がスムーズになり、発言の背景や根拠も共有しやすくなります。
資料共有と録画機能で発言の心理的負担を軽減
会議中に情報を把握しやすくするには、事前の資料共有が欠かせません。Google Drive、Dropbox、OneDriveなどを活用すれば、参加者全員が同じ資料を事前に確認でき、理解度を揃えた上で議論に臨むことができます。これにより、「わからないから発言できない」といった事態を防ぐことができます。
また、会議の録画を行うことで、メモをとることに集中せず、発言に意識を向けやすくなります。録画データは後日復習や確認にも使えるため、議事録の補足資料としても有効です。特に発言に対して不安を感じている人にとって、「録画されているから、うまく言えなくても記録が残る」という安心感が生まれやすくなります。 発言の内容を理解しやすくし、議論に集中できるようにするには、事前の資料共有と録画機能の活用が効果的です。Google DriveやDropboxを使えば、会議資料を事前に参加者と共有し、予習の機会を設けることができます。会議中の発言が録画されていることを伝えると、一部の参加者は緊張する場合もありますが、逆に「議事録代わりになる」「聞き漏らした部分を確認できる」といった安心材料になることもあります。
録画データを後日共有すれば、参加できなかった人も内容を把握でき、継続的な議論のベースとして活用できます。これにより、「言い間違いを恐れて発言できない」といった不安の軽減にもつながります。
このように、ITツールをうまく取り入れることで、物理的な距離や心理的な壁を越えて、多くの人が安心して参加・発言できる会議づくりが可能になります。
発言を恐れず会議に参加しよう
会議で発言できない背景には、心理・構造・スキルの3つの要素が関係していますが、適切な対策と準備により誰でも克服することができます。
ツールの活用や会議設計の工夫、思考法の切り替えなど、できることから一歩ずつ実践していきましょう。あなたの意見が、チームと組織に新しい価値をもたらす第一歩となります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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