• 作成日 : 2025年5月28日

【職種別】業務目標の例10選!定量・定性の使い分けや立て方のコツも紹介

仕事を効率化したいけれど、目標設定がうまくできずに悩んでいませんか?業務目標とは、仕事上の目的を達成するために定める具体的な目標のことです。本記事では、業務目標の種類(定量・定性や行動目標・結果目標・状態目標)や立てるコツ、チャレンジ目標の活用法を解説します。さらに、事務職・営業・ITエンジニアなど職種別や今月・一年といった期間別の具体例、業界や職種に合わせた目標テンプレートの使い方、目標管理シートの活用方法まで、やさしい日本語で紹介します。目標設定の悩みを解決し、業務改善に役立てましょう。

業務目標とは?

業務目標とは、ビジネスにおいて目指すべき到達点を明確にしたものです。言い換えると、「何のために、どこまでやるか」を示すゴールのことです。目標を設定することで、業務に対する取り組み方や成果の評価がはっきりし、チームや組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。

業務目標は大きく分けて定量目標と定性目標に分かれます。どちらも役割が異なるため、目的に応じてうまく使い分けることが大切です。

定量目標と定性目標

定量目標とは、売上高○○円、契約○○件、進捗○○%のように数字で具体的に表せる目標のことです。定量目標を設定することで、目標達成度を客観的に測定でき、評価の公平性も高まります。

定性目標とは、数値化が難しい質的な目標、つまり数字で表しにくい目標のことです。従業員の理想の姿や望ましい状態を示す目標であり、「○○を向上させる」「〜な状態になる」といった形で設定します。定性目標を組み合わせることで、数値には現れにくい能力や意欲、チームワークなども評価・向上させることができます。

業務目標を定量的に立てる具体例

定量目標とは、売上や契約件数、進捗率など、数字で表すことができる目標を指します。例えば「月末までに新規契約を5件獲得する」「来期の売上を前年比120%にする」といった内容が該当します。

このように達成度を客観的に測定できるため、評価基準として明確であり、チーム内での公平性や成果の見える化にもつながります。

定量目標を立てるときのポイント

  • 数値と期限をセットで決める
  • 現実的な範囲内で少し背伸びをした内容にする
  • 誰が見ても「達成・未達」が明確に分かる内容にする

定量目標の具体例

  • 「今月末までに問い合わせ対応の初動を平均2時間以内に短縮する」
  • 「次の四半期で既存顧客からの受注件数を15件に増やす」
  • 「年間の経費精算処理件数において、ミス発生率を0.5%以下に抑える」
  • 「プロジェクトの進捗を毎週金曜までに80%以上でキープする」
  • 「1年間で新規の業務改善提案を5件提出する」

数値で表せる目標は、進捗確認がしやすいだけでなく、チームや上司との共有もしやすくなります。また、改善点の発見にもつながるため、継続的なパフォーマンス向上にも効果的です。

業務目標を定性的に立てる具体例

定性目標とは、数字で表しにくい業務上の目標を指します。例えば、「丁寧な顧客対応を心がける」「部内の信頼関係を築く」「新入社員の育成に貢献する」などがあり、数値化しにくい“状態”や“行動の質”に関するものが中心となります。

定性目標は、意識・態度・行動の質的変化を促すために用いられ、評価の客観性にはやや難しさがありますが、チーム運営や個人の成長には欠かせない目標です。

定性目標を立てるときのポイント

  • 状態や行動の「ありたい姿」を言葉で明確にする
  • 上司やチームとすり合わせをして、評価視点を共通化しておく
  • 必要に応じて観察ポイントやエピソードを記録する運用にする

定性目標の具体例

  • 「ミーティングでは積極的に発言し、議論を前向きに進める姿勢を見せる」
  • 「後輩からの相談に対して、自分の手を止めて対応できる関係性を築く」
  • 「業務マニュアルの改善点を見つけた際、周囲に共有してチーム全体で改善を進める」
  • 「初対面の顧客に安心感を持たれるよう、常に笑顔で丁寧な接客を意識する」
  • 「課題の指摘を受けたとき、まずは受け止めてから改善方法を自分で考えるようにする」

定性目標は、自分の行動指針を言語化することに意味があります。また、数値では見えない「信頼」「主体性」「協調性」といった要素を評価・育成するためにも、定性目標は必要不可欠です。

業務目標を考える際には、定量目標と定性目標を組み合わせることがおすすめです。例えば「問い合わせ対応の初動を2時間以内にする(定量)」という目標に対して、「顧客の不安をくみ取るよう丁寧な対応を心がける(定性)」といった補完的な目標を加えることで、数値と行動の両面からの取り組みが可能になります。

業務目標を立てるポイント

業務目標をうまく立てるためには、「具体的で測定可能、達成可能だが少し背伸びした内容にすること」がポイントです。以下に主なコツを整理します。

目標には数値と期限を入れる

漠然と「頑張る」ではなく、「○月末までに◯◯を△件達成する」のように、何をいつまでにどれだけ達成するかを明確にします。特に数値で表せる定量目標を設定すれば、進捗管理や評価が客観的に行えます。

適度にチャレンジングな目標にする

全く実現不可能な目標では意味がなく、簡単すぎるものも目標になりません。目標は高すぎず低すぎず、少し努力すれば手が届く程度の難易度に設定しましょう。

「SMARTの法則」を活用する

目標を構築する際の有効なフレームワークに「SMARTの法則」があります。以下の5つの要素を満たす目標は効果的といわれます。

  1. Specific(具体的である)
  2. Measurable(測定可能である)
  3. Achievable(実現可能である)
  4. Relevant(業務と関連性がある)
  5. Time-bound(期限が明確である)

例えば「○○プロジェクトで売上を20%増やす(具体的・測定可能)、現状+10%程度から少し高いが達成可能な範囲(達成可能)、自部署の重要課題に沿った目標(関連性)、今年度末まで(期限)」といったものがSMARTな目標といえます。

大きな目標は小さなステップに分ける

年間や半期単位の大きな目標を立てる場合、月次や週次の行動目標に細分化します。そのため、「今月中に資料のたたき台を完成させる」「今週は3件の打ち合わせを実施する」といった短期的な行動目標に分解して設定すると、日々の行動と目標をつなげやすくなります。

目標管理シートで進捗を可視化する

設定した目標は、記録して継続的に振り返ることで実行力が高まります。ここで活用できるのが「目標管理シート」です。

目標管理シートとは、個人やチームが立てた目標を記録し、進捗・達成度・振り返りまで一貫して管理するためのシートです。エクセルやワードで作成されたテンプレートを用いることで、日々の確認や上司との共有がスムーズになります。

管理シートには次のような項目を入れると効果的です。

  • 目標内容(定量・定性の両方)
  • 達成のための具体的な行動
  • 評価基準(達成/未達成の判断基準)
  • 期限(日付・期間)
  • 進捗記録や振り返り欄

例えば、「3ヶ月以内に新規顧客を5件獲得する」という目標であれば、週ごとに進捗を記録し、月末には振り返りを記載することで、目標達成への道筋を常に可視化できます。

定期的に振り返りと見直しを行う

目標を立てっぱなしにせず、週次・月次で進捗を確認しましょう。必要に応じて目標や手段を修正することで、目標を常に現実的かつ意義あるものに保ちます。また上司や同僚からフィードバックをもらうことも有効です。

これらのコツを押さえることで、目標設定が格段に効果的になります。特にSMARTの法則に沿って目標を定義すると、「何をもって達成とするか」が明確になり、取り組みやすくなるでしょう。

業務目標でチャレンジ目標はどの程度の高さ?

チャレンジ目標とは、「達成の難易度が高い挑戦的な目標」のことです。社員の能力向上や視野拡大を狙って、企業があえて高いハードルの目標設定を促す場合によく使われます。例えば通常の目標が「前年比5%売上アップ」であるところを、チャレンジ目標として「前年比10%アップ」を設定する、といったケースです。

チャレンジ目標は達成までに相当の努力が必要なため、達成できれば大きな成長につながり、仕事へのモチベーション向上効果も期待できる一方、チャレンジが難しすぎる目標は未達に終わる可能性が高く、かえって社員のやる気を削いでしまう恐れがあります。

チャレンジ目標の難易度は、一般的には、通常目標に対して5%〜20%程度の上乗せが、現実的かつ挑戦として妥当な範囲とされています。

これは、現実から大きく乖離しない範囲で「少し無理をしてやっと達成できる」と感じられるレベルになります。

チャレンジ目標は人事評価制度上、達成できなくても大きな減点とはしない代わりに、達成できれば高く評価する、といった運用がされることもあります。社員の成長を促し組織全体の意欲向上につなげるために、チャレンジ目標を上手に活用すると良いでしょう。

職種別の業務目標の具体例

業務目標は職種によって内容や指標が異なります。数値で成果を測る「定量目標」と、行動や姿勢を評価する「定性目標」の両方を意識することで、より実効性の高い目標設定が可能になります。以下に代表的な10職種の例をご紹介します。

※いずれも例示であり、自身の役割や会社の方針に合わせてカスタマイズしてください。

①事務職

定量目標

  • 月末までに契約書類の整理を完了し、検索時間を平均30%短縮する。
  • 半年後までに、毎週の発注業務で必ずダブルチェックを行い、月に数件発生していた入力ミスをゼロにする。
  • 第一四半期末までに保管棚の整理を完了し、書類収納スペースを現在の1/3に縮小。

定性目標

  • チーム全体の業務が円滑に進むよう、優先順位を意識してサポート業務を行う。
  • 正確性だけでなく、周囲との連携にも気を配り、安心して任せられる業務運営を意識する。

②営業職

定量目標

  • 次の四半期で新規顧客を10件獲得し、売上を前年比15%増加させる。
  • 3ヶ月以内に営業訪問件数を現在の5件から10件に増加させる。
  • 今期末までに既存顧客への月間提案件数を20件に増やし、契約継続率を80%→90%へ向上。

定性目標

  • 顧客視点を持ったヒアリングと提案を徹底し、信頼関係の構築に努める。
  • 営業マニュアルを見直し、新人への業務引き継ぎや育成にも貢献する。

③ITエンジニア

定量目標

  • リリース遅延ゼロを継続し、月間障害報告件数を20%削減する。
  • 半年以内に不具合発生率を現在の10%→5%に下げるためのテスト強化を実施。
  • 基本情報技術者試験などの資格取得により、開発業務の対応領域を広げる。

定性目標

  • コードの可読性・再利用性を意識した品質重視の設計を推進する。
  • チーム全体でのレビュー文化を定着させ、互いに補完し合う体制を強化する。

④マーケティング職

定量目標

  • Web広告経由の問い合わせを500件以上獲得する。
  • 月間サイト訪問数を3,000→6,000に引き上げるため、SEO対策を見直す。
  • 広告費を前年度比15%削減しつつ、CV率を5ポイント改善する。

定性目標

  • ユーザー目線を重視した企画立案を徹底し、ブランド信頼度向上に寄与する。
  • SNSやLPなどの媒体ごとに異なる訴求方法を研究し、表現の幅を広げる。

⑤マネージャー職

定量目標

  • チームの目標達成率を80%→95%に向上。
  • 残業時間を20%削減し、チームの労働環境を改善。
  • 経費を前年比10%削減するための施策を実行する。

定性目標

  • 定期的な1on1を通じて、部下の成長支援と心理的安全性の高い組織作りを行う。
  • OJTの設計と評価指標の整備により、部下の業務自立を支援する。

⑥人事職

定量目標

  • 中途採用3名の確保と、定着率90%以上の維持。
  • 勤怠管理システムを導入し、手集計ミスをゼロにする。

定性目標

  • 候補者・社員両方に寄り添い、面談時の安心感を高める対応を意識する。
  • 面談や制度説明の場で、わかりやすく柔軟なコミュニケーションを行う。

⑦経理職

定量目標

定性目標

  • 社内からの経理問い合わせに対し、専門用語を避け、誰でも理解できる説明を心がける。
  • 書類の保存・提出ルールを社内に周知し、経理処理の正確性を保つ。

⑧カスタマーサポート

定量目標

  • 1日あたり対応件数10件以上、初回回答までの時間を2時間以内に短縮。
  • 顧客満足度アンケートの平均評価を4.3点以上に維持。

定性目標

  • 問い合わせ内容を正確に把握し、誠実かつ冷静な対応を徹底する。
  • 対応履歴を他の担当者が引き継ぎやすいよう丁寧に記録する。

⑨商品企画・開発職

定量目標

  • 半年以内に新商品アイデアを5件提案し、2件以上を試作フェーズに進める。
  • ユーザー調査を月1回実施し、企画精度の向上につなげる。

定性目標

  • 社内外の情報を広く集め、実現可能性と創造性を両立した企画を立てる。
  • 部署間の調整を積極的に行い、実行可能なスケジュール管理を心がける。

⑩総務・法務職

定量目標

  • 今期中に社内規程の見直しを3件以上実施し、改定期間を平均25%短縮する。
  • 社内問い合わせ対応の初回回答までの時間を平均2営業日以内に収める。

定性目標

  • 法改正や社内要望に即応し、関係部署とスムーズな調整を図る。
  • 社内全体への影響を踏まえた丁寧な説明と周知を徹底する。

業務目標を記録するエクセル・ワードのテンプレート

業務の目標を立てたら、それを管理・運用するツールとして「目標管理シート」を活用しましょう。目標管理シートとは、個人やチームの目標を明確に書き出し、その進捗や達成度を記録・管理するためのシート(書式)のことです。

以下より無料でダウンロードできますので自社に合わせてカスタマイズしながらお役立てください。

関連:目標管理とは?目標管理シートの無料テンプレートを基に例文、書き方を解説

まとめ

業務目標の正しい設定と管理は、仕事のモチベーション向上と成果創出に大きく寄与します。目標は「立てて終わり」ではなく、立てた後の管理・振り返りまで含めて初めて意味を持ちます。今回紹介したコツや例文、シートの活用法を参考に、ぜひ自分に合った目標を設定してみてください。最初は小さな目標でも構いません。着実に目標を達成しながらステップアップしていくことで、きっと仕事に前向きに取り組めるようになるでしょう。目標設定を通じて、前向きに業務改善にチャレンジしていきましょう!


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