- 更新日 : 2024年6月7日
労働基準法が定める休憩時間とは?取得ルールを正しく理解しよう!
労働基準法の休憩時間に関する決まりとは?
休憩時間に関する規定を定めた労働基準法第34条には「労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分」「8時間を超える場合においては少くとも1時間」の休憩時間を与えなければならないと定められています。そして、この休憩時間は「一斉に」そして「労働の途中で」取得させる必要があります。基本的には、12時~13時のような形で時間を設定し、「全従業員が一斉に」休憩を取る必要があるということです。しかしながら、業務の都合により、全従業員が一斉に休憩を取ってしまうと、困る会社や業種もあると思います。
そこで、一定の業種(運輸交通業・商業・金融業など)や「一斉休憩の適用除外に関する労使協定」を書面で締結している会社では、例外的に従業員ごとに個別に休憩時間を与えることが認められています。
そもそも休憩時間の定義とは?
労働基準法第34条3項に「使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない。」という規定があります。
例えば、「電話対応の必要があり休憩中も自分の机から離れられない」、「来客対応のため、休憩中も受付にいなければならない」といった場合には、労働者が自由に利用できる時間とは言えないため、休憩時間とは言えません。
なお、会社によっては職務上の必要性から、休憩中であっても職場外に出ることを禁止している会社もあるかと思います。そういった場合でも、職場内で自由に過ごすことができるのであれば、休憩時間とみなされます。
休憩時間に関するルールはパートやアルバイトでも同様
よく寄せられる疑問として、「残業などで1日の労働時間が通常よりも長くなってしまった場合、労働時間に比例して休憩時間も多く取らせなければいけないのか?」というものがあります。
労働基準法上、休憩の付与時間に関する規定は、「労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分」「8時間を超える場合においては少くとも1時間」以外ありませんので、残業が発生し、労働時間が通常以上に延びたとしても、1時間以上の休憩を従業員に付与する義務はありません。
そのため、例えば朝9時に出社し、23時まで働く場合で、お昼の休憩を1時間取っていたとすると、実働時間は13時間となりますが、残業中に別途休憩が付与されなくても違法にはなりません。
また、休憩時間は分割して与えられることも何ら問題ありません。お昼の休憩が45分間、15時の休憩タイムが15分間設けられているような会社の場合、45分間+15分間=1時間になりますので、その日の休憩時間は1時間取れている、ということになります。
また、これらの規定は正社員、パート・アルバイトといった、雇用形態の違いに関わらず、同様に適用されることも注意が必要です。
適度な休憩が業務効率を上げることも
トレンダーズ株式会社が2010年に行った休憩時間に関する調査によると、休憩時間を取らないと、仕事の効率が約4割ダウンするという結果が出ています。
休憩時間に関するルールを正しく把握し、適切な休憩を与えることにより、従業員の業務効率を上げ、より働きやすい環境を整えていくことが重要です。
<関連記事>
給料格差を聞かれたらどうする?「働き方改革法」で労務が押さえるべき4つのポイント
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
28連勤は違法?労働基準法に基づき分かりやすく解説!
28日も連勤が続くと、身体的な疲労と精神的な負担が深刻化し、その影響は生活全般に及びます。 本記事では 「28連勤は違法なのか?」 という疑問を労働基準法に基づいて分かりやすく解説します。法令遵守はもちろん、従業員の健康や働きやすさを守るた…
詳しくみる妊婦の労働時間について労働基準法に基づき解説
女性の社会進出が進んでいる現代では、労働に従事している妊婦も珍しくありません。妊婦は労働時間や労働形態に配慮が必要なため、労働基準法に妊産婦等を保護する条項が定められています。労働基準法は、労働者の保護を目的に労働条件等の最低基準を定めた法…
詳しくみる会社で早退や遅刻をしたら欠勤扱いになる?正しいルールや計算方法を解説
早退や遅刻、欠勤によって働かなかった時間がある場合は、給与計算では該当時間分の賃金を差し引く処理が必要です。しかし、労働時間や給与は従業員にとって重要な問題であり、人事労務担当者が正しく処理できないとトラブルに発展することもあるでしょう。 …
詳しくみる労働時間の上限は1日8時間!上限を超えた場合のルールや時間外労働の上限規制も解説
労働時間の上限は、労働基準法で厳しく規制されています。法定労働時間は「1日8時間・週40時間」と定められており、法定労働時間以上の労働をさせるには、労使間で36協定を締結しなければなりません。 また、「月45時間・年360時間以内」の時間外…
詳しくみる36協定における残業時間の上限とは?わかりやすく解説!
労務管理では勤怠を確認しますが、その際のチェック項目に残業時間や休日労働があります。この時間外労働や休日労働については、労働基準法上では36協定という労使協定を締結して届け出ておかないと認められません。 今回は、この36協定について、基礎的…
詳しくみるエクセル(Excel)の勤怠管理のメリットとデメリット
エクセルの勤怠管理で何ができる? 従業員の勤怠管理に紙のタイムカードを使用していませんか?勤怠管理はエクセル(EXCEL)を使うと非常に便利です。エクセルを使用することで ・出社・休憩・退社の勤怠を記録すること ・勤務時間や残業時間を記録す…
詳しくみる