- 更新日 : 2024年12月20日
エクセル(Excel)の勤怠管理のメリットとデメリット
エクセルの勤怠管理で何ができる?
従業員の勤怠管理に紙のタイムカードを使用していませんか?勤怠管理はエクセル(EXCEL)を使うと非常に便利です。エクセルを使用することで
・勤務時間や残業時間を記録すること
・労働時間が計算できるため、そのままエクセル上で給与の計算もできる
といった勤怠管理の基本をまかなえます。エクセルに慣れてくると関数を駆使して時給労働者の給与計算も行うことができるため、単純に時間を記録するタイムカードとは一線を画しています。
従業員の労働時間管理は使用者の責務です。労働時間の管理が不十分だと労基署から調査が入る場合があるのでエクセルでデータ管理しておくことをおすすめします。
エクセルにおける勤怠管理のメリット
タイムカードと勤怠管理表を分けて管理されているなら従業員がタイムカードへ打刻し、勤怠管理担当者がエクセルに記録するフローに変更してみましょう。打刻漏れもすぐにチェックできるので便利です。実際にエクセルを利用した時のメリットが以下の様に挙げられます。
・勤怠管理用の無料のテンプレートがそろっているため、エクセルにテンプレートを落とし込めばすぐに使える
・WEB検索をするとエクセルでよく使うテクニック(絶対参照やショートカットキーなど)がピックアップされているため、自分でマニュアルを作る手間が省ける
・タイムカードの記録を勤怠管理担当者がエクセルに転記するだけなので、従業員の負担がほとんどない
・関数だけでなく様々な機能(区切り位置指定やVBA開発機能など)を組み合わせてカスタマイズできる
国が定める”労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置“において「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること」が明記されています。
タイムカードを併用すれば国の定めた管理方法も維持できるため、導入しておくにこしたことはないでしょう。
エクセルにおける勤怠管理のデメリット
既にエクセルで勤怠管理をしている企業も多いと思いますが、デメリットもあります。導入前に下記のようなデメリットがあることをきちんと認識しておくといいでしょう。
・関数に頼るあまりヒューマンエラーが起きやすくなる
・法改正にのたびに、細かくフォーマットを修正する必要がある
・労務に精通した社員の確保が必要になることがある
・社労士や税理士を変更した際、別のフォーマットで提出を求められることがある
・担当者の労務経験が浅いとフォーマットの再修正が頻発する
・エクセルでの複雑な運用を誤って支払額が変わるなど従業員に不利益が生じ、訴訟リスクが増す
・エクセルファイルの保存場所が限定されてしまい、社内ネットワークからアクセスしないとファイルを確認できないことがある
・ファイルの使用方法マニュアルをあらかじめ部署内で共有しておかないと、勤怠管理は属人的タスクになりがち。
・ファイル内に従業員の氏名・住所・電話番号、役職、給与額などをまとめて記載したまま管理していると、意図せず個人情報の流出が起きてしまう可能性がある
・雇用形態によって事業主だけでなく従業員の社会保障費が変動するため、給与計算担当は厳密な知識と豊富な経験が求められるようになる
・結局単純な勤怠の記録だけで給与計算は完結できない
ないがしろにされがちな「データの保存場所」についてもピックアップしましたが、ローカルディスクに労働時間といった個人情報を保存するのはオススメできません。個人情報流出のリスクが増大するため、保護された共有データサーバー上に保存することが望ましいでしょう。
また、勤怠管理は労働者の収入に直結するだけに厳密に行う必要があります。何かミスが起こると社内外から経理に対する不信感を買うだけでなく、管理職の監督責任も問われることにもなりかねません。エクセルは非常に便利なソフトですが不便さも持ち合わせていることを頭に入れておきましょう。
クラウドサービスでの勤怠管理を選択肢に
近年、さまざまなデータをネット上で管理する「クラウドサービス」の利用が進んでいますが、勤怠管理もクラウドサービスを利用することができます。「勤怠管理をクラウド化」といってもピンとこないかもしれませんが、場合によってはエクセルでの管理よりも大きなメリットを得ることができます。
具体的にまとめてみましたので、ひとつずつ確認しておきましょう。
・勤怠データをCSV出力でき、一度に勤怠データをまとめて取得できる
・勤怠管理の煩雑さから開放されるため、大人数の社員を抱える企業ほど恩恵にあずかれる
・労働者本人が打刻したかどうかがわかり、打刻漏れなどの際に責任の所在を明確化できる
・操作マニュアルが完備されているうえ、問い合わせ窓口があるため安心感がある
・クラウド上でデータが管理されているため、労基署からの急な調査要請などにも対応可能となる
勤怠管理担当者を雇用するにも年間数百万のコストがかかります。管理を税理士に丸投げするのも選択肢の一つですが、ランニングコストが割高で敷居が高いことがネックです。その点クラウドサービスは特にコストカットと工数削減の点でメリットがあるので魅力的です。
エクセル管理に困ったら
エクセルで勤怠管理を行うメリットは確かにあります。しかし、手間・時間がかさみ、勤怠管理コストに悩んでいるのであればクラウドサービスの利用を検討することもお勧めします。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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