- 更新日 : 2026年1月14日
アジャイル思考とは?メリット・デメリットやビジネスで活用するポイントを解説
ビジネス環境の変化が激しい現代で、柔軟かつスピーディーに対応する思考法として、アジャイル思考が注目されています。もともとソフトウェア開発で生まれたアジャイルの考え方は、今や業種を問わずさまざまな分野に広がりつつあります。
しかし、アジャイル思考の具体的な考え方や、どのように業務へ取り入れればよいのかがわからず、導入できていない方もいるのではないでしょうか。
本記事では、アジャイル思考の概要や特徴、メリット・デメリットを紹介します。代表的なフレームワークやビジネスでの活用ポイントについても、わかりやすく解説します。
目次
アジャイル思考とは?
アジャイル思考とは、変化の激しい時代に対応するための、柔軟でスピーディーな判断力を重視する思考法です。アジャイル(Agile)は「俊敏な」「素早い」という意味を持ち、ビジネスの現場では臨機応変に対応する姿勢を指します。
アジャイル思考では、短いサイクルで行動と検証を繰り返し、初期段階からたたき台となる成果を共有しながら改善していきます。予測困難な現代においては、長期的な計画に固執するよりも、小さな成功を積み重ねるアジャイルな進め方が効果的です。
柔軟性やスピード、継続的改善を軸に、個人・チームの判断や行動の質を高めることが、アジャイル思考の本質です。
アジャイル思考の由来である「アジャイル開発」とは
アジャイル思考は、ソフトウェアの開発手法であるアジャイル開発から生まれた概念です。アジャイル開発は、計画と実行を小さなステップでくり返しながら、状況の変化に応じて柔軟に軌道修正していく進め方を指します。市場や顧客ニーズの変化に柔軟に対応できることから、不確実性の高いプロジェクトに適した手法です。
アジャイル開発では、メンバーが自律的に考え行動し成果を積み上げていく文化が重視されています。自主性を重んじる考え方が発展し、ビジネス全般に応用可能なアジャイル思考として現代では定着しています。
デザイン思考との違い
デザイン思考は、ユーザーの観察を通じて課題を発見し、新たな価値を創出するアイデアを生み出す思考法です。アジャイル思考は、デザイン思考で得たアイデアを素早く実行し、フィードバックをもとに改善を繰り返す考え方です。
デザイン思考とアジャイル思考は対立するものではなく、アイデア創出から実行・改善までを一貫して進める、相互補完の関係にあります。デジタルトランスフォーメーション(DX)や新規事業開発の現場では、両者を組み合わせると、顧客ニーズに合致した価値提供が実現しやすくなるでしょう。
デザイン思考とアジャイル思考の違いを理解しておくと、課題発見と価値創出を効率的に進める組織づくりにつながります。
アジャイル思考が注目されている理由
アジャイル思考が注目されている背景には、ビジネス環境の激しい変化があります。先が読みにくい市場において、従来の長期計画型では対応が困難です。そのような背景から、変化を前提に素早く判断し、改善を重ねられるアジャイル思考は、多様なニーズに応えるための方法として多くの企業で採用されています。
VUCAの時代に対応できるから
アジャイル思考は、予測困難なVUCAの時代に柔軟かつ迅速に対応できる思考法として注目されています。VUCAとは、現代のビジネス環境を象徴する以下の4つの要素を表します。
- 変動性(Volatility)
- 不確実性(Uncertainty)
- 複雑性(Complexity)
- 曖昧性(Ambiguity)
想定外の変化が頻発する中、従来の長期計画ではスピードに欠けるため、競争力を失いやすくなる場合があります。一方で、アジャイル思考を取り入れると、変化を前提とした行動ができ、継続的な価値提供を達成しやすくなるでしょう。
市場ニーズの変化に迅速に対応できる組織づくりにおいて、アジャイル思考は欠かせない要素です。
顧客との共創が求められているから
近年は顧客の価値観が多様化し、企業側の一方的な提供では顧客のニーズを満たせなくなっています。そのため、顧客とともに価値を生み出す共創型のビジネスモデルが主流になりつつあります。
アジャイル思考は、顧客の声を素早く取り入れ、改善を重ねながらともにプロダクトを育てる事業に最適です。とくにDXや新規事業の分野では、仮説と検証を繰り返しながら顧客とともに進化する姿勢が求められます。
アジャイル思考は、共創時代にふさわしい柔軟性とスピード感を備えたアプローチといえます。
アジャイル思考の特徴は?
アジャイル思考には、変化の激しい環境でも素早く価値を生み出せる特徴があります。短いスパンでPDCAサイクルを回し、仮説検証をくり返しながら柔軟に改善することで、プロダクトやサービスを段階的に進化させられます。
スピード重視でフットワークが軽い
アジャイル思考の最大の特徴は、素早く行動に移すフットワークの軽さです。PDCAを短期間で回すことにより、初期段階からアウトプットを生み出し、素早く改善できる体制が整います。プロトタイプを早期に共有すれば、ユーザーの反応をもとに方向修正がしやすくなります。
新規事業や製品開発といった不確実性が高い場面では、スピードを優先する姿勢が成功のために不可欠です。時代やニーズの変化が激しい現代では、慎重すぎる準備よりも、まず動くことが競争優位につながります。
トライ&エラーをくり返して柔軟に改善する
アジャイル思考では、行動しながら試行錯誤を重ねるトライ&エラーが基本です。計画通りに進めるよりも、小さな仮説を立てて素早く検証し、柔軟に方向修正する姿勢が重視されます。
失敗を前提とした実践は学習機会を増やし、プロダクトやサービスの質を短期間で高めます。とくに正解のないVUCA時代においては、柔軟な改善プロセスこそが競争力を高めるうえで重要です。トライ&エラーの結果を積み上げると、プロトタイプの精度が向上し、顧客満足度の高い成果につながります。
アジャイル思考を取り入れるメリットは?
アジャイル思考を取り入れると、企業やチームはより柔軟で価値の高い働き方を実現できます。顧客の声を早期に反映しやすく、変化の激しい環境でも迅速に対応できる点は、現代のビジネスに欠かせない強みです。
顧客満足度を高めやすい
アジャイル思考では、開発途中から顧客の要望を取り入れることで、高い顧客満足度を達成しやすくなります。小さな単位で成果物を提示しながら進める特徴から、初期段階でもフィードバックを得られるからです。
アジャイル思考を取り入れて顧客のニーズを段階的に確認しながら開発を進めると、期待とのギャップや手戻りを最小限に抑えられます。また、仕様変更や追加要望にも柔軟に対応できるため、顧客にとって使いやすい製品に近づけられます。
完成前に細かく調整を繰り返すプロセスにより、納品時点での満足度が高くなりやすい点がアジャイル思考の強みです。また、顧客との密なコミュニケーションを取るため、信頼関係の構築にもつながります。
変化の激しい現代でも柔軟に対応できる
アジャイル思考は、変化の激しい現代においても柔軟に対応できる思考法として高く評価されています。市場環境や顧客ニーズの変化を前提とし、小さな単位での実装と見直しを繰り返すスタイルに特徴があるからです。
アジャイル思考は、プロジェクトの途中で要件や優先順位が変わっても、柔軟な軌道修正ができるため、実務に即した進め方が可能です。完成の全体像が不透明なプロジェクトであっても、段階的に価値を積み上げて進められる点に強みがあります。
チームや組織の成長を促進できる
アジャイル思考では、少人数のチームでの活動が基本となるため、メンバー一人ひとりの当事者意識が高まります。役割を固定せず、メンバー全員が思考と行動を一体化させて進めることで、自律性と判断力が磨かれます。さまざまな業務を経験する中でスキルの幅が広がり、技術力やマルチタスク能力を向上させることが可能です。
また、アジャイル思考ではコミュニケーションを活性化しやすいため、風通しのよいチーム文化の構築が可能です。主体的な働き方が定着すると、メンバーのモチベーションが維持されやすく、個人と組織の成長を両立できます。
アジャイル思考を取り入れるデメリットは?
アジャイル思考には多くのメリットがある一方で、適用する場面によってはデメリットもあります。仕様変更を前提とした進め方は柔軟性に優れる反面、スケジュール管理の複雑化や方向性のブレにつながります。
スケジュール管理が難しくなる
アジャイル思考では仕様変更を前提として進めるため、計画通りに進めにくく、スケジュール管理が複雑になります。顧客ニーズに柔軟に対応できる一方で、頻繁な方向転換が、全体の遅延や工数増加を招く恐れがあります。
アジャイル思考の小さな枠組みでは進捗を可視化できても、プロジェクト全体の完了時期を見通しにくい点が課題です。結果としてリリースの遅延や予算超過が発生しやすく、クライアントとの調整が難航するケースもあります。
スケジュール管理のリスクを抑えるには、柔軟性とともにマイルストーンや中間目標を設計することが不可欠です。
途中で方向性がブレやすくなる
アジャイル思考は仕様や要件の変更を柔軟に受け入れるため、全体の方向性がブレやすくなります。開発途中のフィードバックを優先しすぎると、当初の目的や戦略から逸脱してしまうリスクが生じてしまうでしょう。
また、短期的な改善を繰り返す中で、長期的なビジョンが不明確になるケースもあります。顧客の要望を受け入れすぎると、プロジェクトが膨らみすぎてコストや納期に悪影響を及ぼす可能性もあります。
アジャイル思考による方向性のブレを防ぐには、初期段階でゴールを明確にし、定期的に全体の軸を見直す仕組みが重要です。
緻密な計画が求められるプロジェクトには適さない場合がある
アジャイル思考は柔軟な対応力に強みを持ちますが、詳細な計画を前提とするプロジェクトには不向きな面があります。仕様変更を前提とした進め方であるため、厳密なスケジュールや要件を重視するプロジェクトでは、管理が難しくなるからです。
完成度や納期が最優先される案件では、計画と実行のブレがリスクになる可能性があります。最初からゴールや成果物の形が明確な場合には、工程が一連の流れとなっているウォーターフォール型の手法が適しています。
アジャイル思考を採用する際は、柔軟性を活かす一方で、計画性が求められる案件との相性を見極めることが重要です。
アジャイル思考の代表的なフレームワーク
アジャイル思考を実践するには、代表的なフレームワークの理解が重要です。スクラムとエクストリームプログラミングは、どちらも短いサイクルで改善を重ねるアプローチに特徴があります。
スクラム
スクラムはアジャイル開発を実践するための代表的なフレームワークで、チームの自律性と協調性を重視します。仕事をスプリントと呼ばれる短い期間に分けて進め、定期的な見直しと改善をくり返すことで、成果の質を高めていく進め方です。スクラムでは短期間で成果を出すことや、チーム全員が自律的に動くことを重視しており、ビジネス現場のプロジェクト管理にも応用可能です。
スクラムのプロジェクトメンバーには、方針を決めるプロダクトオーナー、開発を担う開発者、進行を管理するスクラムマスターといった役割が与えられます。スクラムはとくに変化の激しいプロジェクトや複数チームでの製品開発に適しており、スピードと柔軟性を両立できる点が評価されています。
エクストリームプログラミング
エクストリームプログラミング(XP)は、変化の激しい開発現場において、柔軟かつ迅速に対応できる開発手法です。エクストリームプログラミングでは、以下の5つの価値を重視します。
- シンプルな設計
- 密なコミュニケーション
- フィードバック重視
- 勇気ある決断
- メンバー相互の尊重
少人数のチームによる短期間での開発に向いており、仕様変更が多いプロジェクトにも柔軟に対応しやすい特徴があります。とくに要件が流動的で高度な技術力が求められる場面において、エクストリームプログラミングは効果を発揮しやすくなります。
アジャイル思考をビジネスに取り入れるためのポイント
アジャイル思考を効果的にビジネスへ取り入れるには、単に手法を導入するだけでなく、組織全体で取り組むための環境づくりが欠かせません。経営層の理解や小規模プロジェクトでの試験導入など、段階的に浸透させる工夫が重要です。
経営層の理解を得る
アジャイル思考を導入するには、経営層の理解と支援を得ることが重要です。経営層には、アジャイル導入によるビジネス上の成果や競争優位性の向上といった具体的なメリットを提示しましょう。
アジャイル思考の導入初期段階では、チーム全体でアジャイルの基本概念や価値観を共有し、組織的な認識を統一することが必要です。また、新規事業やDX推進などの戦略とアジャイルを関連付けると、経営層の納得と投資判断を引き出しやすくなります。トップが理解を示すと現場の変革が進みやすくなり、アジャイル文化の全社的な浸透が加速します。
小規模なプロジェクトから試験導入する
アジャイル思考の導入は、小規模チームでの試験運用から始めると、リスクを抑えて成果を検証しやすくなります。導入する際は、新規プロジェクトや業務改善といった、具体的な課題を抱えているチームが最適です。
アジャイル思考導入時のチーム規模が小さいほど、コミュニケーションが円滑になり、アジャイル思考への適応も早まります。目標は「今月中にプロトタイプを作る」のように、短期間で達成可能かつ具体的な内容に設定すると効果的です。
アジャイル思考の試験導入では失敗を前提とし、トライ&エラーを通じて改善を重ねる姿勢が求められます。チームが成果を実感しやすくすると、アジャイル手法への信頼と社内浸透が進みやすくなります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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