- 更新日 : 2026年1月14日
「As Is」「To Be」とは?採用・組織課題を整理する活用方法を解説
「As Is」「To Be」という言葉を耳にした経験はあっても、具体的にどう使えばよいのか、いまひとつイメージできない方も多いのではないでしょうか。
とくに、人事・採用や組織づくり、DXやAI導入といったテーマでは、課題が感覚的に語られやすく、「結局どこから手をつければいいのか」が曖昧になりがちです。
本記事では、「As Is」「To Be」の意味やメリット・デメリット、具体的な7ステップの進め方、注意したいポイントまで、人事・組織や業務効率化の視点に沿って解説します。
「As Is」「To Be」のフレームを通して自社の課題を整理し、次の一歩を具体的な行動に落とし込みましょう。
目次
「As Is」「To Be」とは?
「As Is」「To Be」は、現在の状態(As Is)と、目指したい理想の状態(To Be)を整理し、理想とのギャップから改善の方向性を導くフレームワークです。
たとえば、業務の悩みがあるときに、「今どうなっているか」と「どんな状態になればよいか」を分けて書き出すと、課題の解像度が向上します。
活用シーンは業務フローの改善やDX計画、マーケティング戦略、人材育成など、組織の意思決定が求められる場面全般に広がります。
とくに、組織課題は、思い込みや感情、部門間の摩擦など数値化しづらい要素が多く、話し合いが感覚的になりがちです。
そこで「As Is」「To Be」のフレームをとおして事実を整理しておくと、議論がかみ合いやすくなり、複雑なテーマも実行可能なレベルまで分解できます。
「As Is」「To Be」を使うメリット
「As Is」「To Be」の活用は、企業にさまざまなメリットをもたらします。
ここでは、代表的なメリット3つをご紹介します。
課題を把握できる
「As Is」を丁寧に整理すると、つまずいているポイントを客観的に把握しやすくなります。
たとえば「残業が多い」「採用がうまくいかない」といった悩みでは、業務の工程や意思決定の流れを書き出すと、特定のボトルネックが明確になります。
計画や戦略を立てる前に現状を可視化しておけば、担当者の思い込みや、特定の人の経験だけに頼らず議論しやすくなるのも特徴です。
「As Is」「To Be」のフレームに沿って課題を構造として理解し、どの部分から手を入れるべきかを整理しましょう。
目標が明確になる
「To Be」を先に決めておくと、全体の方向性を揃えやすくなります。
人事・採用領域の場合、なんとなく「良い人を採りたい」と動き始めてしまうと、施策が迷走しやすくなるケースが少なくありません。
そのため、「どんな人材に活躍してほしいか」「入社後にどう成長してほしいか」といった理想像をあらかじめ言語化しておけば、採用基準に一貫性が生まれます。
さらに、方針を定めておくと新人育成や評価の際にも反映できるため、部門間の協力や意思決定もスムーズに進みます。
幅広い領域で応用できる
「As Is」「To Be」は、特定の業界やテーマに限らず、業務改善や育成、マーケティング、採用、評価など、さまざまな場面で応用できるフレームです。
たとえば業務改善を目的とした場合、現在の業務フローを書き出し、理想的な流れとのギャップを埋める手順を整理するのに役立ちます。
人材育成においては、現状の育成体制や目指したいスキル、理想の状態を明確化しておけば、研修計画を組み立てやすくなります。
「As Is」「To Be」は、一度身につけておくと長く使えるのは大きなメリットです。
「As Is」「To Be」を使うデメリット
「As Is」「To Be」は業務課題の改善に有効なフレームワークである一方で、活用にあたっては難しさもあります。
ここでは代表的なデメリット3つを詳しく解説します。
現状分析に時間がかかる
現状把握のための情報収集は思った以上に時間がかかるうえ、数値化しづらいテーマでは、メンバーの感情や解釈が混ざりやすく、分析が主観に偏るリスクがあります。
たとえば、属人化しがちな日々のルーティン業務は、実態の把握が難しい傾向にあります。
情報が揃わないまま「As Is」を作ってしまうと、その後のギャップ分析や解決策の質が大きく低下する可能性も少なくありません。
設計やデータ整理といった初期段階の負荷を正しく認識しておき、無理のない範囲で導入しましょう。
非現実的な「To Be」になりやすい
「To Be」は理想が先行しすぎると、現実とかけ離れた内容になりやすい点に注意が必要です。
最終的な方針をどう決めるかは組織にとって重要な課題であり、理想だけが膨らむと実務とのギャップが大きくなってしまいます。
たとえば、経営陣の期待が高まりすぎたり、組織の規模や文化に合わない未来像を掲げたりすると、現場とのズレが生まれやすくなります。
さらに、現場の心理的安全性や既存の文化を無視した「To Be」は反発を招き、取り組みが定着しにくくなる点も問題です。
そのため、理想を描く際は短期と中長期の両方で段階的に実現できる姿を設計しましょう。
合意形成が難しいケースがある
「As Is」「To Be」の内容は、立場や経験によって見え方が変わるため、関係者全員の認識を揃えるまでに時間がかかる場合があります。
たとえば、組織開発の領域では言語化の得意・不得意や上下関係が議論へ影響しやすく、特定の意見に引っ張られてしまうケースも少なくありません。
さらに使用する言葉の定義が曖昧だと、人によって理解がズレていき、進めるほど齟齬が生まれるリスクがあります。
そのため、初期段階で言葉の定義や判断基準を揃える作業が重要であり、社員同士のすり合わせにも一定の工数が必要です。
合意形成コストが高い企業の場合、意思決定プロセスを丁寧に設計しておかないと形骸化しやすいため、慎重な進め方が求められます。
「As Is」「To Be」の活用方法7ステップ
「As Is」「To Be」は、理想像の明確化や現状把握から実行・検証までを段階的に進めると、具体的な改善につながりやすくなります。
ここでは実務における「As Is」「To Be」の使い方を7ステップに分けて解説します。
① テーマ・分析範囲を決める
まず最初に、「何について改善したいのか」というテーマを明確にし、分析する範囲と目的を定義しましょう。
テーマや分析範囲が曖昧なまま進めてしまうと、集める情報がばらついたり、後の要件定義が破綻しやすくなります。
テーマと範囲を明確にすると、情報収集や分析の方向性が安定し、議論の迷走を防げる点が大きなメリットです。
整理した内容は後工程の使い方にも影響するため、最初のステップとして丁寧に設定しましょう。
②「To Be」を定義する
「To Be」を定義する際は、単なる願望ではなく、実現可能な未来像を意識しましょう。
たとえば、人事・採用の文脈では、求める人物像や期待値、育成後の状態などを具体的に言語化します。
また、AIの導入に課題がある場合は、「どの業務をどの程度自動化するか」「成果として何が改善されるか」といった定義が必要です。
「To Be」を明確にしておけば、全員が同じ方向に向かうための共通の判断基準ができ、施策の整合性が高まります。
組織内で意見が割れやすい場面でも、基準として立ち返れる軸ができる点が使い方として非常に効果的です。
③「As Is」を洗い出す
「As Is」を定義する段階では現状を事実に基づいて洗い出します。
組織領域ではメンバーの感情や価値観が混ざりやすく、事実と解釈が入り交じりやすいため、必要に応じて、社員インタビューや1on1記録などの情報を活用しましょう。
また、業務プロセスを細かく分解し、粒度を揃えて整理すれば、改善対象が明確になります。
「As Is」を丁寧に洗い出すと、課題が見えるようになり、ギャップ分析の精度も高まります。
現状把握は実行・検証時に大きく影響するステップのため、事実と解釈を分けながら慎重にまとめる姿勢が欠かせません。
④「As Is」「To Be」間のギャップを把握する
次に、「As Is」と「To Be」の差分を整理し、解決すべき課題を具体化します。
具体的には、理想と現実の差が「仕組みの問題」なのか、「必要なスキルが不足しているのか」、あるいは「人間関係や話しやすさなどの環境要因」なのかを整理していきます。
組織開発の課題は数字だけでは見えにくく、普段のコミュニケーションや雰囲気も大きく影響するため、多角的な視点での分析が欠かせません。
課題に対するギャップが可視化されると、後の優先順位づけがしやすくなり、改善策の質も高まります。
ギャップ分析の質は成果に直結するため、丁寧に取り組みましょう。
⑤ 課題の優先順位づけをする
洗い出した課題をすべて同時に解決できないため、「どれから取り組むべきか」を検討し、優先順位をつける作業が重要です。
たとえば、「影響が大きい課題」や「少ない労力で成果が得られそうな課題」「早急に取り組むべき課題」など、特徴ごとに分類すると、優先度を整理しやすくなります。
優先順位を明確にしてリソースを正しく再分配し、形だけの改善案が並ぶ状態を避けましょう。
また、課題の優先順位づけは関係者の認識を揃える重要な対話プロセスにもなる点も大きな特徴です。
⑥ 解決策を検討する
理想と現実のギャップに対して、実行可能で効果的な改善策を検討しましょう。
たとえば業務量について検討する場合、「業務プロセスの何が自動化に向いているか」「どの作業を人が担い、どこをツールに委ねるか」といった視点で検討します。
一方、組織領域ではスキル研修、評価制度の見直し、コミュニケーション改善など複数の施策を組み合わせる必要がある場合もあります。
解決策を細かいステップに分けておけば、担当者間での認識を揃えやすく、実際の運用に反映しやすくなる点も重要なポイントです。
⑦ 実行・検証・改善を繰り返す
施策を実行したら結果を検証し、必要に応じて改善を加えていくサイクルが重要です。
たとえば、「うまくいった点」「想定どおりに進まなかった点」を定期的に振り返ると、改善のたびに効果やデータが蓄積されていきます。
初期効果だけで満足せず、新しい情報や運用状況の変化に合わせて内容を更新していく意識も大切です。
振り返り作業をミーティングの定例化やチェックリスト化などで仕組みとして固定すると、担当者の力量に左右されずに改善を続けやすくなります。
「As Is」「To Be」を活用する際の注意点
「As Is」「To Be」を効果的に活用するには、いくつかの注意点があります。
ここでは、「As Is」「To Be」を適切に使いこなすための注意点を3つご紹介します。
「As Is」は事実ベースで把握する
As Isを整理する際は、主観ではなく事実ベースで現状を把握する意識が重要です。
たとえばメンバーの発言を扱う場合も、「本人が実際に言った内容」と「発言から推測できる気持ちや考え」を分けて整理しておけば、誤解に基づいた判断を避けられます。
事実を確認する姿勢を徹底すると、課題の誤認が減り、後工程でおこなうギャップ分析や改善策の精度を大きく高められます。
「To Be」は実現性をふまえて設定する
「To Be」は、理想だけでなく実現性をふまえて検討しましょう。
組織の文化やリソース、社員の成熟度など、段階的に実現できる姿を設定する意識が重要です。
現実的で納得感のある「To Be」が明確になると、改善策の方向性が揃い、メンバーの動きやすさにつながります。
関係者の視点を統一して分析する
「As Is」「To Be」を扱う際は、関係者の視点を統一して進める意識も重要なポイントです。
役職や職種、年次によっては企業課題の見え方が大きく異なるため、認識のズレを必ず確認しておきましょう。
視点が統一されると分析や施策検討がスムーズに進み、施策の質も高まります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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