- 更新日 : 2025年12月5日
【企業向け】適性検査の問題内容と活用方法!代表的なサービス7選や選び方を解説
新卒採用や中途採用の場面で実施されることの多い「適性検査」ですが、次のような疑問を感じる人事担当者や採用担当者も少なくありません。
「どの検査がどのような能力を測っているのかわからない」
「SPIや性格検査の違いは? 何を基準に導入すべき?」
「面接だけではなぜ不十分なのか?」
適性検査は、応募者の知的能力・価値観・行動傾向を客観的に把握するための重要な選考手段です。面接や書類だけでは見抜きにくい「仕事への向き合い方」や「組織との相性」を数値として確認でき、配属や育成にも活用できます。
本記事では、適性検査の基本的な仕組み、種類ごとの特徴、出題内容の例、導入メリット、そして検査選定時のポイントを分かりやすく解説します。
採用の精度を高め、入社後のミスマッチを減らしたい企業の方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
適性検査とは?
適性検査とは、就活や採用試験で応募者の能力や性格、職務への適性を測定するためのテストです。面接や書類選考だけでは見えにくい特性を、客観的なデータとして把握する目的があります。主に「能力検査」と「性格検査」の2種類で構成され、それぞれが応募者の異なる側面を確認します。
SPI・玉手箱・TG-WEBなど形式によって出題内容が異なるため、志望業界に合わせた対策が求められます。
企業が適性検査を実施する理由
企業が適性検査を実施する理由は、応募者の性格や価値観、思考傾向など、面接だけでは把握しきれない情報を可視化できるためです。採用担当者の主観を排除し、公平な基準で評価できるため、選考の透明性向上にもつながります。
さらに、企業との価値観の相性を確認して入社後のミスマッチを防ぐだけでなく、配属や育成方針を決める際の客観的データとしても活用可能です。特に人気企業では、応募者が多いことから足切りや選考効率化の目的で適性検査を実施するケースもあります。
適性検査の種類
適性検査は大きく「能力検査」と「性格検査」の2つに分けられます。前者は言語・数的処理・論理的思考力など、職務遂行に直結する“認知能力”を測るもの、後者は価値観・対人スタイル・ストレス耐性など、その人の“らしさ”や行動傾向を測るものです。
この2つを組み合わせることで、「どれくらいできる人か」と同時に「どのような環境・仕事との相性が良いか」まで立体的に描き出せます。
能力検査
能力検査は、知的能力や数的処理、言語理解といった職務に直結する力を測るテストです。内容は大きく言語分野と非言語分野に分かれます。
- 言語分野:語彙・読解・文章整序
- 非言語分野:割合・確率・推論・速度算、表の読み取り
SPI・玉手箱・GAB・CAB・TG-WEBなど形式が多様で、職種によっては英語・図形・構造把握問題が追加される場合もあります。
性格検査
性格検査は、価値観や対人傾向、ストレス耐性、仕事への姿勢などを測定する検査です。
一般的に300問前後の設問に自己評価形式で回答し、「どちらに近いか」を選ぶ4段階式が中心となります。検査結果は採用判断だけでなく、入社後の配属や教育にも活用できます。
適性検査の受験形式
適性検査は、同じサービスでも「どこで・どのように受けるか」によって受験形式が分かれます。
代表的なのが、自宅や学校から受けられるWebテスト、専用会場で実施するテストセンター方式、企業内PCで受験するインハウス方式、そして紙とマークシートによるペーパーテストです。
形式によって、候補者の負担・不正防止のしやすさ・人事側の運用コストが変わってくるため、自社の採用フローや候補者体験(CX)を踏まえて選ぶことが重要です。
適性検査で出題される問題の種類・例文
適性検査で出題される問題は、大きく言語分野・非言語分野・性格検査の3つに整理できます。それぞれ出題形式や分析できる力が違います。
ここを押さえておくと、「自社はどの力を重視したいのか」「どの検査形式が目的に合っているのか」を判断しやすくなります。
ここからは、それぞれの問題の種類と例文について解説していきます。
言語分野(語彙・読解・整序など)
言語分野では、語彙・読解・整序といった多様な力が問われます。
主な出題形式は次のとおりです。
- 語彙:語句の意味が一致するものを選ぶ
- 二語関係:語句同士の対応を推論
- 空欄補充:文脈に最適な語句を選ぶ
- 整序問題:語句を並べ替えて正しい文を作る
- 長文読解:要旨把握と内容の正誤判断
これらを通じて、語彙力・文章理解力・論理的読解力が総合的に試されます。
非言語分野(割合・推論・速度算など)
非言語分野は、数量処理や論理的思考を中心に出題されます。
主な出題形式は次のとおりです。
- 推論:条件整理から順序や関係を導く(例:「Rの4人後ろにSが並ぶ」)
- 割合・確率:比率や確率を短時間で計算
- 分担計算:複数人の作業量・時間配分を求める
- 速度算・金額計算:速さ・距離・料金を計算
- 表の読み取り:数表から必要情報を抽出
短時間で数量を処理し、条件を整理して結論を導く力が求められます。
性格検査
性格検査では行動や価値観に関する設問に対して4段階で回答します。例えば「Aに近い/Bに近い」のように、どちらの傾向が強いかを判断する形式です。なかには「はい・いいえ」の2択や、「Aに近い・分からない・Bに近い」といった3択のものもあります。
「一人で旅行するのが好きだ」のような日常的な内容から特性が分析され、協調性や行動力、責任感、創造性などが数値化されます。志望企業に合わせた虚偽回答は一貫性が崩れて逆効果になるため、素直で一貫性のある回答が信頼度を高めます。
【企業向け】導入におすすめの代表的な適性検査7選
一口に適性検査といっても、SPIのような汎用型から、ITエンジニア向けのCAB、社風適性や対人スタイルの可視化に強みを持つものまで、特徴はさまざまです。
ここでは「どの検査がどの領域に強いか」「どの規模・用途の企業に向いているか」という視点で、導入実績が多く、採用現場で使いやすい代表的な7サービスをピックアップします。
各サービスの測定項目・難易度・受験形式・活用シーンを比較しながら、自社に合う候補を絞り込むイメージでご覧ください。
SPI3
SPI3は、国内で最も多い年間13,000社以上の企業が採用場面に導入している適性検査です。言語・非言語・性格の3領域を測定でき、面接で活用できる質問の参考情報も出力されます。
受検形式はテストセンター、Web、ペーパー方式など柔軟に選択でき、人材データの蓄積によって自社で活躍する人材の傾向分析にも役立ちます。さらに、採用だけでなく配属や育成方針の検討にも用いられる汎用性の高さが特徴です。
玉手箱Ⅲ
玉手箱Ⅲは、新卒採用でSPIに次ぐ導入率を持つ適性検査です。言語、計数、英語、性格(OPQ)を49分で測定するスピード重視型で、限られた時間内に論理的思考を問う難易度の高い出題構成が特徴です。
チームワークやヴァイタリティなどの9特性をもとに、受検者の行動特性を可視化できます。Web実施を前提としており、大量採用を行う企業にも運用しやすい点が支持されています。
GAB
GABは総合職向けに設計された高難度の適性検査で、約80〜90分の構成で実施されます。言語、計数、英語、パーソナリティの4領域を測定し、商社や金融など高度な知的水準を求める業界での採用実績が多い検査です。
職務適性を予測する機能を備えているため、採用だけでなく配属の判断にも利用できます。受検形式はWeb、テストセンター、マークシートに対応しています。
CAB
CABはITエンジニアやプログラマーなど技術職向けに特化した適性検査です。暗算、法則性、命令表、暗号の4項目で構成され、論理思考力を総合的に評価します。性格診断(OPQ)も併用でき、ストレス耐性や集中力といった内面的な特性も把握できます。
検査時間は約95分で、システムエンジニアや開発職の採用に最適な内容です。専門性の高い人材を求める企業に向いています。
TG-WEB
TG-WEBは難易度が高く、精密な分析が行える適性検査として知られています。従来型の「少問・難問型」と、新型の「多問・短時間型」の2形式から選択でき、求める人物像に合わせた設計が可能です。
AI監視型Webテスト方式により不正対策が強化されている点も特徴です。行動特性やストレス耐性の分析も行え、カスタマイズ性の高い設問設計により企業の要件に合わせた運用がしやすくなっています。
Compass
Compassはストレス耐性、職業適性、対人スタイルを総合的に測定できる検査で、言語や数的、英語、図形認知などの基礎力に加えて論理力も評価します。詳細なレポートには面接質問例や社員比較分析が含まれており、面接・育成・組織開発まで一貫して活用できます。
新卒だけでなく中途採用にも対応しているため、幅広い人材の評価に利用可能です。
ミキワメ検査
ミキワメ検査は10〜30分という短時間で受検でき、1名あたり500円(税別)で導入できる手軽さが魅力の検査です。自社社員データと候補者データを照合して社風や部署との適性を診断でき、面接で確認すべきポイントや質問設計も自動で出力されます。
配属判断や早期離職の防止など入社後の活用にも強く、人事担当者と現場の双方が扱いやすいアウトプット設計が特徴です。
適性検査を導入する際の選び方
どの適性検査を導入するかを検討する際は、自社の採用課題や活用したいシーンから逆算して選ぶことが重要です。
ここでは、導入前に必ずチェックしておきたい5つの観点を整理し、それぞれのポイントを具体的に解説します。
自社の目的にあっているか
自社がどの採用フェーズを重視するのかを明確にし、導入目的を定義することが重要です。選考・配属・教育など、目的が異なれば選ぶべき検査も変わります。「基礎能力を知りたい」「性格やストレス耐性を把握したい」など、優先順位を整理することで最適な検査を選びましょう。
有名検査をそのまま導入するとミスマッチが起こる可能性があるため、目的ベースで選択することが必要です。また、採用目的に応じて検査時間や設問数を調整し、候補者の負担を最小化することも大切です。
測定項目の精度・データ活用はしやすいか
測定項目の信頼性や妥当性を確認し、再現性や目的適合性、母集団比較が適切かどうかを見極めることも必要です。AI分析や行動特性分析を取り入れた最新の検査は精度が高いため、データ活用の幅が広がります。
さらに、検査結果が面接や育成、マネジメントにも活用できる設計であるかをチェックすることが重要です。結果が可視化され、誰でも解釈しやすいレポート形式であることも導入検討のポイントになります。
業界・職種との相性はいいか
導入する検査が、自社の業界や職種と相性が良いかどうかを確認することも必要です。
例えば、IT職にはCAB、総合職にはGAB、一般職や事務職にはSPIや玉手箱などが適しています。グローバル人材採用を行う場合は、英語対応のWebGABやCompassが有効です。営業職や対人スキルを重視する職種では、行動特性や協調性を測定できる性格診断型の検査が推奨されます。
自社の職務要件と検査の測定軸が一致しているかを必ず確認しましょう。
コスト・運用負担に問題ないか
適性検査の料金は1名あたり数百円から数千円まで幅広いため、事前にコストを確認する必要があります。年間ライセンス料が発生する場合もあるため、予算と照らし合わせて検討しましょう。
Web型の検査は人事担当者の集計負担が少なく、コストパフォーマンスが高い点が特徴です。一方、テストセンター型は不正防止効果が高いものの運用コストがかかります。継続利用しやすさと予算確保のバランスを重視して選定することが大切です。
候補者体験(CX)が考慮されているか
候補者体験を考慮した検査を選ぶことで、採用プロセス全体の満足度を高められます。検査時間が長すぎると離脱につながるため、30〜60分以内の検査が理想的です。スマホ受検に対応しているかや、UIが簡潔で操作しやすいかも重要なポイントです。
また、検査結果を候補者へフィードバックできる形式は企業イメージの向上につながります。「公平性」や「受検環境の快適さ」を担保できるシステム設計であるかも確認しておきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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