• 更新日 : 2026年3月17日

【例文あり】退職勧奨で言ってはいけないNGワード|切り出し方や拒否対応

Point退職勧奨で言ってはいけないこと

退職勧奨とは、会社が従業員に退職を提案し同意を求める行為であり、強要や脅迫、人格否定となる発言は絶対に行ってはいけません。

  • NGワード: 「辞めなければ解雇する」「給料泥棒」等の脅迫や人格否定は厳禁。
  • 適切な進め方: 1対1または少人数で、1回1時間以内を目安に冷静に事実を伝える。
  • 拒絶時の対応: 従業員が拒否した場合は即座に打ち切り、無理に説得を続けない。

従業員から面談の録音を求められた場合、拒否すべきではありません。むしろ許可した上で会社側も録音する「相互録音」を提案し、透明性を保つのが正解です。

退職勧奨の言い方は、円満な解決を図る上で極めて重要です。退職勧奨は解雇とは異なり、あくまで労働者の自由な意思に基づく同意を求めるお願いのプロセスだからです。言い方を一歩間違えると退職強要とみなされ、法的リスクを招くこともあります。

この記事では、実務に即した適切な退職退職勧奨の切り出し方や例文、拒否された際の対処法までをわかりやすく解説します。

目次

【例文あり】円満な退職勧奨を進める言い方・切り出し方

円満な退職を目指すには、最初の一言から条件提示まで、一貫して丁寧かつ客観的な伝え方を保つことが求められます。

最初の一言:面談の目的を明確に伝える

例文:「今日は〇〇さんの今後のキャリアについて、会社としての考えをお伝えするために時間をとってもらいました。結論から申しますと、社内での現在の状況をふまえ、別の道を選択していただくのがお互いにとって良いのではないかと提案したいと考えています。」

面談を開始する際は、世間話を長く続けず、早い段階で本題に入るのが誠実な対応です。

このように、まずは提案であることをはっきりさせましょう。

期待に沿えない事実を客観的に伝える言い方

例文:「過去半年間の業績評価において、求められる成果と実態に乖離があることが確認されています。〇〇回にわたる指導を行ってきましたが、改善が見られないのが現状です。このまま今の部署で働き続けることは、〇〇さんのキャリアにとっても望ましい状態ではないと判断しています。」

なぜ退職を提案するのか、その理由は主観的な感情ではなく、客観的な事実に基づいて説明しましょう。

人格を否定するのではなく、あくまで「仕事上のミスマッチ」に焦点を当てることがポイントです。

 従業員のメリットを提示する際の伝え方

退職に応じることで従業員が得られる経済的なメリットを提示しましょう。

例文:「もし会社の提案を受け入れていただけるのであれば、通常の退職金に加えて、月収〇ヶ月分の特別退職金を加算する用意があります。また、再就職支援サービスの利用料も会社が負担します。これは、これまでの〇〇さんの貢献に対する感謝と、新しい門出を支援したいという会社の意思です。」

有利な条件があることを伝えることで、従業員が前向きに検討しやすくなります。

関連資料|退職勧奨の実務対応と違法リスク防止のガイド
関連資料|退職届 受理通知(エクセル) テンプレート

広告

この記事をお読みの方におすすめのガイド4選

この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。

※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。

 ‐入社・退職・異動編‐ 社会保険・労働保険の手続きガイド

社会保険・労働保険の手続きガイド ‐入社・退職・異動編‐

企業において社会保険および労働保険の加入・喪失手続きは必ず発生し、手続きを誤れば保険事故が発生した際に従業員が不利益を被る可能性があります。

各保険の基本的な手続き方法を入社・退職・異動のシーン別にギュッとまとめた分かりやすいガイドです。

無料ダウンロードはこちら

人事・労務テンプレート集28種類! ‐採用・入社・退職編‐

人事・労務の業務で日常的に使用する、採用・入社・退職に関わる書類のテンプレートを28種類ご用意しました。

Word/Excelの2つのファイル形式でダウンロードできますので、自社で使いやすい形にカスタマイズしてご活用ください。

無料ダウンロードはこちら

6つの原因から考える離職防止メソッド

6つの原因から考える離職防止メソッド

少子高齢化にともなう労働人口の減少が加速する中、従業員の離職は事業継続に影響がでるほど大きな企業課題となっています。

本資料では、従業員の離職につながる6つの原因と、効果的な離職防止策について解説します。

無料ダウンロードはこちら

退職勧奨の実務対応と違法リスク防止のガイド

退職勧奨は解雇に比べて手続が面倒ではないという利点がありますが、やり方を間違えると大きなトラブルを引き起こすリスクがあります。

この資料では、退職勧奨をトラブルなく行うために必要な点について解説します。

無料ダウンロードはこちら

避けるべき退職勧奨のNGワードと不適切な言い方

不適切な言い方は、従業員に精神的な苦痛を与えるだけでなく、会社が民事上の損害賠償請求や、刑事上の責任を問われる直接的な原因となります。

「辞めないと解雇になる」などの脅迫的な言い方

「次回の面談までに辞めると言わなければ、懲戒解雇にする」といった言い方は、退職強要とみなされる典型的なNGワードです。

解雇は最後の手段であり、退職勧奨の段階で解雇をチラつかせるのは、自由な意思決定を妨げる脅迫行為となりかねません。あくまで、退職という選択肢を提示し、話し合いで解決したいという姿勢を崩さないようにしましょう。

長時間の拘束や多人数での囲い込み

面談の形式そのものが、言い方以上に心理的圧迫を与えることがあります。

1回2時間を超えるような長時間の面談や、1人の従業員に対して4〜5人の上司で取り囲むような状況は避けましょう。こうした状況で得られた合意は「心理的強制があった」と判断されやすいため、面談は1対1、あるいは人事担当者を含めた2対1程度で、1時間以内を目安に進めるべきではないでしょうか。

人格を否定するような不適切な表現

「君はこの会社にいても価値がない」「給料泥棒だ」といった、能力ではなく人格を否定する言い方は絶対にしてはなりません。

こうした発言はパワーハラスメントに該当するほか、名誉毀損や侮辱として慰謝料請求の対象となります。たとえ業務上の問題があったとしても、言葉選びには最新の注意を払い、冷静に事実を指摘するに留めるべきです。

参考:政府広報オンライン|NOパワハラ なくそう、職場のパワーハラスメント

退職勧奨で言ってはいけない言葉に注意し、円満な合意を

退職勧奨においては、従業員が納得した上での合意形成が非常に重要ですが、実務の現場では様々な手続き上のトラブルが発生しています。マネーフォワード クラウドが実施した調査で、退職手続きにおいて特にトラブルや苦労が発生しやすい項目を尋ねたところ、最も多いのは「離職票の発行手続き」で31.7%でした。次いで「健康保険証の回収」が29.1%、「退職届の受理と退職日の合意」が26.8%となっています。

さらに、入退社手続きのトラブルによって生じた業務への影響について尋ねたところ、最も多いのは「担当者の残業時間が大幅に増加した」で37.5%でした。次いで「従業員との信頼関係が悪化した」が28.1%となっています。

退職勧奨の面談において言ってはいけない言葉を使ってしまうと、退職の合意が得られないだけでなく、会社と従業員の信頼関係が決定的に崩れるリスクがあります。その結果、合意書の取り交わしや離職票・保険証のやり取りなど、退職後の手続きにも悪影響を及ぼし、人事労務担当者の業務負担を大きく増やすことになりかねません。円滑に退職手続きを進めるためにも、面談の進め方や伝える言葉には細心の注意を払う必要があります。

出典:マネーフォワード クラウド、退職手続きにおいてトラブルが発生しやすい項目、トラブルによって生じた業務への影響【入退社に関する調査データ】(回答者:597名、集計期間:2026年2月実施)

退職勧奨を拒否された・応じない場合の具体的な対処法

従業員が退職勧奨に応じない場合、強引に押し切るのではなく、一旦立ち止まって戦略を練り直す必要があります。

深追いは禁物!タイミングを再検討する

従業員が「辞めるつもりはありません」とはっきり拒絶した場合、その日の面談は即座に終了しましょう。

拒否しているにもかかわらず、何度も同じことを繰り返して説得し続けると退職強要になります。まずは従業員の主張を真摯に受け止め、「わかりました。一旦今日の話は持ち帰っていただき、会社としても再度検討します」と引き下がることが、後の紛争を防ぐ賢い対応です。

条件の再検討をする

一度拒否された後に再交渉を行う場合は、条件の上乗せを検討しましょう。

特別退職金の増額など金銭的な解決のほか、退職までに消化できない有給休暇の買取、再就職が決まるまでの期間を考慮して退職日を遅らせるなど、従業員が譲歩できるポイントを探ります。金銭以外の時間や支援というカードをうまく組み合わせることが、合意への近道となります。

業務改善命令や配置転換など、他施策との併用

退職を目的とするのではなく、あくまで業務上の必要性に基づいた他の人事施策を検討しましょう。

退職勧奨に応じないからといって嫌がらせの配転を行うのはNGですが、適性に合った部署への配置転換や、業務改善指導を継続することは正当な人事権の行使です。こうしたプロセスの中で、従業員自身が今の環境で働き続けるのは難しいと判断し、改めて退職を申し出るケースも少なくありません。

関連記事|退職勧奨されたらどうする?知らないと損する5つの交渉条件
関連記事|配置転換の拒否で退職勧奨されたら違法?判断基準と適切な対応方法を解説

退職勧奨とは?解雇との違い

退職勧奨とは、会社が従業員に対して「退職を検討してほしい」と働きかけ、合意による契約終了を目指す行為です。

退職勧奨は、会社からの申し込みに過ぎず、従業員にはこれを断る権利が認められています。

解雇は会社側が一方的に労働契約を終了させるものですが、退職勧奨は双方の合意が必要となります。そのため、従業員の意思に反して退職を強要することはできません。目的はあくまで、互いが納得できる条件を見つけ出し、円満に雇用関係を解消することにあるのではないでしょうか。

退職解雇との違いは法的リスク

解雇を行うには客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要であり、ハードルが非常に高く設定されています。

安易な解雇は不当解雇として訴えられるリスクがありますが、退職勧奨は合意に基づくため、正しく進めれば紛争化を避けることができます。企業にとっては、将来的な法的リスクを最小限に抑えつつ、組織の適正化を図るための重要な手段となります。

 自由な意思に基づかない同意は無効

面談の場で従業員が「Yes」と言ったとしても、それが威圧的な雰囲気によるものであれば、後の裁判で無効とされることがあります。

そのため、退職勧奨のプロセスでは、従業員が冷静に判断できる環境を整え、自由な意思で決定できるよう配慮しましょう。丁寧な言い方を心がけることは、単なるマナーではなく、会社を守るための法的な防衛策でもあるといえます。

担当者が押さえておくべき退職条件と離職理由

退職後の生活に直結する離職理由の取り扱いは、従業員がもっとも敏感になるポイントの一つです。

退職勧奨は原則として「会社都合」扱い

退職勧奨を受けて従業員が退職を決意した場合、離職理由は「会社都合(特定受給資格者)」となるのが一般的です。

これを無理に「自己都合」として処理しようとすると、後々大きなトラブルに発展します。離職票の作成時には、事実に即して適切に記載しましょう。

失業保険への影響は?

会社都合退職の場合、自己都合に比べて失業保険の受給開始時期が早まり、給付日数も多くなるというメリットがあります。

面談の際、従業員が将来の不安を口にした場合には、「会社都合扱いになるため、失業保険の受給面で有利になる」という事実を正確に伝えましょう。これが安心感につながり、合意を促す材料になることもあります。

企業側が注意すべき「助成金不支給」のリスク

一方で、企業側には会社都合離職者を出すことで、現在受けている、あるいは申請予定の助成金が受けられなくなるリスクがあります。

雇用調整助成金やキャリアアップ助成金など、多くの助成金には「一定期間内に会社都合退職者を出していないこと」という支給要件があります。法人化して事業を拡大している企業にとっては大きな損失となる可能性があるため、事前に顧問社労士などと相談し、影響を精査しておきましょう。

参考:特定受給資格者の範囲|ハローワークインターネットサービス

トラブルを未然に防ぐ退職合意書の作成方法

口頭での合意だけでは、後から「強要された」「言った言わない」の争いになりかねません。必ず書面で証拠を残しましょう。

なぜ退職合意書が必要なの?

従業員が一方的に提出する退職願だけでは、会社から勧奨を受けたという事実関係が不明確になります。

退職合意書は、会社と従業員の双方が納得して雇用契約を終了させることを確認する書類です。これにより、不当解雇の主張を封じ、将来的な紛争リスクを大幅に下げることができます。

合意書に盛り込むべき重要項目

合意書には、以下の5項目を必ず含めるようにしましょう。

  1. 合意退職の旨と退職日
  2. 特別退職金などの支払い条件
  3. 清算条項(今後、互いに一切の金銭請求や訴訟を行わないこと)
  4. 口外禁止条項(退職の経緯や会社の情報を他人に漏らさないこと)
  5. 誹謗中傷の禁止

これらを網羅することで、退職後のトラブルを未然に防ぐことができます。

証拠として面談記録や録音を

面談中のやり取りは、詳細な議事録を残しておくべきです。

最近では従業員がスマホで録音していることも多いため、会社側も同意を得た上で録音するか、少なくとも発言内容、時間、出席者を正確に記録しておきましょう。これが、万が一「脅迫的な言い方があった」と訴えられた際の、会社を守る唯一の証拠となります。

関連資料|〖弁護士監修〗退職合意書テンプレート(ワード)
関連資料|退職届(ワード) テンプレート

【Q&A】退職勧奨に関するよくある質問

実務で遭遇しやすい疑問について、法的視点から回答します。

Q. 面談は何回まで行ってもいいですか?

A. 明確な回数の上限はありませんが、一般的には3回〜5回程度が限界と考えられます。

短期間に何度も呼び出すことは退職を強要しているとみなされる原因になります。1回の面談ごとに数日の検討期間を置き、従業員の心理的な負担に配慮したスケジュールを組みましょう。

Q. 従業員から「録音してもいいか」と聞かれたら?

A. 否するのではなく、むしろ「どうぞ」と認めた上で、会社側も録音する相互録音を提案しましょう。

録音を拒否すると「何か後ろめたいことがあるのか」と疑念を抱かせ、かえって隠し撮りを誘発します。堂々と録音を許可することで、面談担当者も適切な言い方を保つ意識が高まり、結果としてトラブル防止につながります。

Q. 配置転換を打診した直後に退職勧奨をするのはアリ?

A. 理屈上は可能ですが、慎重に進める必要があります。

配置転換が退職に追い込むための嫌がらせと判断されると、退職勧奨の正当性も揺らぎます。配置転換を行う場合はその業務上の必要性を、退職勧奨を行う場合はその経営上の必要性を、それぞれ別個に説明できる論理構成が必要です。

関連記事|退職勧奨された場合でも退職届を提出すべき?提出のタイミングや退職合意書についても紹介
関連記事|退職勧奨される人の特徴とは?拒否する場合と応じる場合の対処法や注意点

円満な退職勧告のためにも適切なプロセスを

円満な退職勧奨を実現するために最も大切なのは、従業員への敬意を払った言い方と、合意を証明する確実な書類です。

強引な手法で退職を迫ることは、一時的な解決にはなっても、長期的には裁判沙汰や企業イメージの悪化という大きな足かせを会社に残してしまいます。

適切なプロセスを経て合意を得た後は、給与計算や離職票の発行、社会保険の手続きなどを迅速かつ正確に行いましょう。最後まで誠実な対応を貫くことが、会社と従業員の双方にとって最善の再出発を約束します。こうした複雑な事務手続きをミスなく進めるためには、マネーフォワード クラウド給与などのツールを活用して、法制度に即した運用を自動化するのも有効な手段ではないでしょうか。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事