- 更新日 : 2025年8月14日
タイムカードの時間ずれの直し方は?原因や対処法、労働基準法違反の可能性まで解説
タイムカードの時間のずれは、単純な設定ミスから、放置すると法律違反に問われかねない重大な問題まで、さまざまな原因が考えられます。問題を見過ごすと、残業代の未払いなど正確な給与計算ができなくなるだけでなく、従業員との信頼関係にも影響を及ぼしかねません。
この記事では、タイムカードの時間がずれる原因を解明し、具体的な直し方、罰則を含む法的なリスク、そして問題を根本から解決する方策までを分かりやすく解説します。
目次
タイムカードの時間がずれる原因
タイムカードの打刻時間が実際の時刻と合わない問題には、いくつかの典型的な原因が存在します。
アナログ式タイムレコーダーの内部時計のずれ
昔ながらの紙カードを差し込むタイプのアナログ式タイムレコーダーで最も多い原因が、内部時計のずれです。停電発生後のリセットや、内蔵されている時計用バックアップ電池の消耗により、時刻がずれたり遅れたりします。また、長期間の使用による部品の経年劣化で、時計機能そのものが不正確になるケースも見られます。季節の変わり目など、手動で時刻調整を行った際の設定ミスといった人為的な要因も考えられます。
勤怠管理システムの外部接続の問題
PCやICカード、生体認証などを用いるデジタル式やクラウド型の勤怠管理システムの場合、時間のずれは外部との接続に起因することが多いです。これらのシステムは、インターネット上のNTPサーバー(時刻情報を提供するサーバー)と通信して正確な時刻を維持しています。しかし、社内ネットワークの不具合やインターネット接続の一時的な切断によって時刻の同期に失敗し、ずれが生じることがあります。これは機器の故障ではなく、通信環境の問題です。
打刻方法による人的なエラー
機器の不具合だけでなく、人的なミスが原因で時間がずれているように見えることもあります。例えば、タイムカードの表裏や上下を間違えて挿入すると、本来とは違う欄に打刻されてしまいます。特に、深夜勤務などで日付をまたぐ際に、従業員が誤ったタイミングや方法で打刻することで、勤務記録が不正確になるケースは少なくありません。
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タイムカードの時間のずれは違法となるのか
タイムカードの時間のずれを放置すること自体が直ちに違法になるわけではありませんが、実際の労働時間との乖離を放置して未払い賃金が発生したり、客観的な労働時間把握義務に違反したりすれば、違法と見なされる可能性があります。
労働基準監督署による是正勧告
労働時間を正しく把握できていないとして、労働基準監督署から是正勧告を受ける対象となります。
30万円以下の罰金
不正確な勤怠記録は、賃金台帳の不備にもつながります。労働基準法第109条では、タイムカードや賃金台帳といった労働関係の重要書類を原則5年間(労働基準法第143条の経過措置により、当面は3年間)保存する義務があります。この義務に違反した場合、同法第120条に基づき30万円以下の罰金が科される可能性があります。
残業代未払いなどの労務トラブル
時間のずれは、残業代の計算ミスに直結します。例えば、タイムカードの時刻が常に5分遅れていれば、毎日5分間の賃金が未払いになっている、つまりサービス残業が発生していることになります。これが積み重なると、従業員から未払い残業代を請求されるなど、深刻な労務トラブルに発展する可能性があります。
従業員との信頼関係の悪化
不正確な勤怠管理は、従業員に不公平感や会社への不信感を与えます。健全な職場環境と信頼関係を維持するためにも、1分単位での正確な勤怠管理が不可欠です。
タイムカードの時間のずれを直す方法
タイムカードの時間のずれに気づいたら、迅速な対応が求められます。ここでは、タイムレコーダーの種類に応じた具体的な修正手順と、その後の対応について解説します。
アナログ式タイムレコーダーの場合
アナログ式タイムレコーダーの時刻がずれている際は、手動での再設定が必要です。まず、機器の取扱説明書で時刻設定の方法を確認します。多くの場合、本体カバーを開けた内部にある設定ボタンを操作して調整可能です。時刻を合わせる際は、正確な時刻がわかる電波時計やスマートフォンの時計などを参考にしましょう。停電後に頻繁にずれる、または常に遅れが見られる場合は、内蔵バックアップ電池の交換が必要なサインかもしれません。
勤怠管理システムの場合
デジタル式やクラウド型のシステムで時間のずれが起きた際は、まずシステムの再起動を試みてください。これによりネットワーク接続が更新され、NTPサーバーとの時刻同期が正常に行われることがあります。それでも改善しない場合は、システムの管理画面から時刻同期の設定を確認したり、強制的に同期を実行したりできないか探しましょう。操作方法が不明な場合は、自己判断で設定を変更せず、システムの提供元であるベンダーのサポートセンターへ問い合わせるのが確実です。
タイムカードの時間のずれを防止する方法
時間のずれを一度修正するだけでなく、今後同じ問題が起きないように対策を講じることが重要です。場当たり的な対応から、根本的な解決策へと目を向けましょう。
定期的な確認とルールの徹底
アナログ式の場合は、毎月1日の朝に時刻を確認するなど、定期的な点検ルールを設けましょう。デジタル式の場合は、管理者が定期的に同期ログを確認する体制が有効です。また、従業員が原因のミスを防ぐためには、正しい打刻方法や日付をまたぐ際のルールなどを明文化し、研修や朝礼の場で改めて周知徹底することが効果的です。マニュアルを作成し、タイムレコーダーの近くに掲示するのも良い方法です。
勤怠管理システムの導入
度重なる時間のずれや手作業での修正に手間がかかっている場合、勤怠管理システムへの移行が最も確実な解決策です。製品やサービスにより異なりますが、一般的なクラウド型勤怠管理システムでは、自動的な時刻同期や法改正対応、柔軟な勤務形態への対応、業務効率化の機能を備えているものが多くあります。
正確な勤怠管理で健全な職場環境を
タイムカードの時間のずれは、企業の労務管理体制そのものの信頼性を揺るがす重要な問題です。放置すると、残業代の未払いをはじめとする給与計算の誤りを引き起こし、労働基準法に抵触する可能性があります。最悪の場合、30万円以下の罰金といった法的なペナルティを受けるだけでなく、従業員からの信頼を失うという大きな代償を払うことになりかねません。
まずは落ち着いて原因を特定し、本記事で紹介した適切な直し方を実践してください。そして、その場しのぎの対応で終わらせず、再発防止策を徹底すること、さらには勤怠管理システム導入のような根本的な解決策を検討することが、法令を遵守し、従業員が安心して働ける職場環境を構築する上で不可欠です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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