- 更新日 : 2025年11月5日
勤務時間がバラバラな場合は雇用契約書にどう記載する?書き方や注意点を解説
勤務時間や勤務日数が定まっていないシフト制のような働き方でも、雇用契約書には始業・終業時刻や休憩時間などを記載するのが望ましいです。
ただ「勤務時間がバラバラな場合はどのように記載するの?」「『シフトによる』と書くだけだと足りない?」などと疑問に思っている人もいるでしょう。
そこで本記事では、シフト制の雇用契約書の書き方や雇用契約書を作成する際に注意すべき項目などを中心に解説しています。
目次
雇用契約書に記載する項目
雇用契約書に記載する項目に決まりはありません。雇用契約書を作成するときに、会社の任意で記載する項目を決められます。
そもそも雇用契約書の発行自体も法律で義務付けられていません。雇用形態に関係なく、正社員を雇う場合でも雇用契約書を作成せずに契約を締結できます。
ただ、企業と従業員の間で契約内容を明確にしておいた方が認識の違いが生まれにくくなります。トラブルを防ぐためにも、雇用契約書を作成しましょう。
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労働条件通知書は必ず交付しなければならない
雇用契約書の発行は義務付けられていませんが、労働条件通知書の発行は労働基準法の第15条で義務付けられています。
また労働条件通知書には、明示しなければならない項目も決まっています。
| 絶対的記載事項 | 相対的記載事項 |
|---|---|
|
|
絶対的記載事項とは、労働条件通知書での明示が義務付けられている事項です。相対的記載事項とは、制度を設ける場合に明示しなければならない事項です。
また、2024年4月以降は、以下の事項も明示が必要となりました。
- 就業場所および業務の変更範囲
- 更新上限の有無と内容
- 無期転換申込機会
- 無期転換後の労働条件
パートやアルバイトには上記の事項に加えて、「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」「相談窓口」の4つの事項も記載が義務付けられています。
なお、雇用契約書と労働条件通知書は兼用可能です。「労働条件通知書 兼 雇用契約書」を作成すれば、1枚の書類で労働条件を明示し雇用契約も締結できます。
参考:労働基準法 | e-Gov 法令検索、労働基準法施行規則 | e-Gov 法令検索、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則 | e-Gov 法令検索
勤務時間がバラバラな場合は雇用契約書に記載しなくても良い?
あらかじめ勤務時間を固定しないシフト制のような働き方でも、雇用契約書には勤務時間について記載するのが望ましいです。
単に「シフトによる」といった記載をするだけでは不十分であるため、始業・終業時間のパターンを何種類か記載したりシフト表を記載したりすると良いでしょう。
シフト制の勤務時間や休日などの書き方については、下の「シフト制の雇用契約書を作成する際に注意すべき3つの項目」にて詳しく解説しています。
シフト制の雇用契約書を作成する際に注意すべき3つの項目
シフト制の雇用契約書を作成する際に注意すべき3つの項目を紹介します。
1. 勤務時間
1つ目に注意すべき項目は勤務時間です。前述の通り「シフトによる」とだけ記載するのではなく、始業時間と終業時間をきちんと記載するのが望ましいです。
具体的には、原則的に決まっている始業時間と終業時間を何パターンか明記しましょう。記載例は以下の通りです。
始業・終業時刻および休憩時間 毎月25日までに翌月分のシフトを定め、社内に掲示して周知する。以下の3パターンの中から出勤日のシフトを定める。 【パターン1】 始業 11時から終業 17時まで(休憩 14時から15時までの1時間) 【パターン2】 始業 9時から終業 17時まで(休憩 13時から14時までの1時間) 【パターン3】 始業 12時から終業 20時まで(休憩 16時から17時までの1時間) ※会社の都合により、他のパターンのシフトを定めることがある。 |
上記のように雇用契約書に記載したうえで、契約締結時に一定期間分のシフト表を従業員に渡してあげると、より親切です。
なお、労働時間が6時間を超える場合は45分以上の休憩を、8時間を超える場合は60分以上の休憩を与えることが義務付けられています。また、必ず労働時間の途中で休憩を取ってもらう必要がある点にも気を付けましょう。
2. 休日
2つ目に注意すべき項目は休日です。シフトによって休日が変動する場合や人によって休日となる曜日が異なる場合でも、休日の設定に関する基本的な考え方を明記しましょう。
休日 4週間を通じて4日以上を休日とする(週の起算日は日曜日とする) |
労働基準法の第35条にて週1日以上の休日を付与する、もしくは4週間を通じて4日以上の休日を付与することが義務付けられています。よって、労働基準法に則っていることが明確に分かるように記載してください。
また飲食店の定休日のように、雇用契約を締結する時点であらかじめ定まっている休日も記載するのが望ましいです。定休日がある場合は、以下のように記載します。
休日 祝日および毎週月曜日および火曜日 |
休日を記載する際は、労働基準法の最低基準を上回っているかどうか必ず確認しましょう。
3. 休暇
3つ目に注意すべき項目は休暇です。休暇については、年次有給休暇や夏季・冬季休暇について記載します。
休暇 年次有給休暇(法定通り) 夏季休暇 4日間、冬季休暇 4日間 |
「夏季休暇」「年末年始」だけだと不明瞭であるため、きちんと休暇の日数も記載するようにしましょう。
なお年次有給休暇は、条件を満たした従業員には必ず付与する必要があります。以下のどちらの条件も満たしている場合は、パートやアルバイトでも有給休暇を付与しなければなりません。
- 雇用した日から6ヶ月以上が経過している
- 6ヶ月の全労働日のうち8割以上は出勤している
上記2つの条件を満たした従業員には、雇用した日から6ヶ月後に10日、1年6ヶ月後に11日というように法律で定められた日数を付与してください。
ただ、所定労働日数が少ない従業員には、比例付与という仕組みをもとに有給休暇を付与します。週の所定労働日数が4日以下かつ週の所定労働時間が30時間未満の従業員には、雇用した6ヶ月後に1〜7日、1年6ヶ月後に2〜8日というように有給を付与します。
詳しくは、厚生労働省の公式サイトをご確認ください。
参考:年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています|厚生労働省
シフト制の雇用契約書の書き方
シフト制の従業員に発行する雇用契約書の書き方を紹介します。

引用:雇用契約書(ワード) テンプレート | 給与計算ソフト「マネーフォワード クラウド給与」
記載すべき項目と記載例を表にまとめました。
| 雇用期間 | 2025年7月1日〜2026年6月30日まで 契約更新の有無:更新する場合があり得る。 契約更新は、勤務態度・業務遂行能力・店舗の経営状況などをもとに判断する。 |
|---|---|
| 勤務場所 | 雇い入れ直後:◯◯レストラン 丸の内店 変更の範囲:変更なし |
| 仕事の内容 | 接客、店舗内外の清掃 変更の範囲:変更なし |
| 勤務時間等 | 毎月25日までに翌月分のシフトを定め、社内に掲示して周知する。以下の3パターンの中から出勤日のシフトを定める。 【パターン1】 始業 11時から終業 17時まで(休憩 14時から15時までの1時間) 【パターン2】 始業 9時から終業 17時まで(休憩 13時から14時までの1時間) 【パターン3】 始業 12時から終業 20時まで(休憩 16時から17時までの1時間) ※会社の都合により、他のパターンのシフトを定めることがある。 |
| 休日 | 4週間を通じて4日以上を休日とする。(週の起算日は日曜日とする) |
| 所定外労働 |
|
| 休暇 | 年次有給休暇(法定通り) 夏季休暇 4日間、冬季休暇 4日間 |
| 賃金 |
|
| 退職に関する事項 |
|
雇用契約書を作成する際は、上記を目安にそれぞれの項目について丁寧に記載しましょう。
雇用契約書の勤務時間や勤務日数を後から変更できる?
雇用契約書に記載した勤務時間や勤務日数は後からでも変更可能です。労働契約法の第8条にて、企業と従業員の合意があれば変更できると記載されています。雇用契約書にも変更の可能性があることを記載しておくと良いでしょう。
ただ、会社側の都合で一方的に勤務時間や勤務日数を短くすると、休業手当を支払わなければならない可能性があります。短くしたい場合は、対象の従業員から必ず同意を得てください。
参考:労働契約法 | e-Gov 法令検索、労働基準法|e-Gov 法令検索
シフト制の労働者を雇う場合に気を付けること
最後にシフト制の労働者を雇う場合に気を付けるべきことを紹介します。
シフトの作成や変更についてルールを定めておく
シフトの作成や変更について、あらかじめルールを定めておきましょう。定めておくべきルールは以下の通りです。
- シフトの作成:シフトの通知期限や通知方法など
- シフトの変更:シフト確定前の変更期限や変更方法、シフト確定後の変更期限や変更方法など
また上記に加えて、1ヶ月もしくは1週間の最低労働日数や1日あたりの最低労働時間なども決めておくと良いでしょう。
なお、確定したシフトを企業側の都合で変更する場合は、対象の従業員の同意が必要です。同意がもらえなければ変更できないため注意してください。
参考:「シフト制」労働者の雇用管理を適切に行うための留意事項|厚生労働省
無期雇用か有期雇用か決める必要がある
パートやアルバイトを雇う場合は、無期雇用か有期雇用か決める必要があります。有期雇用を選択した場合は、以下の点に注意してください。
- 雇用契約の期間は原則として3年を超えてはならない
- 契約更新の有無と更新の判断基準を明示する
- 契約を更新しない場合は30日前までに予告する
なお、更新しないときに予告が必要なのは、契約を3回以上更新している従業員や雇用の期間が1年を超えている従業員に対してです。また、雇止めの理由について証明書を求められたら、必ず交付する必要があります。
参考:有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について|厚生労働省
最低賃金を下回らないように設定する
賃金を設定する場合は、最低賃金を下回らないように注意してください。
最低賃金には「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」があります。両方の最低賃金が適用される場合は、高い方の最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません。
たとえば、北海道の地域別最低賃金は1,010円ですが、北海道で鉄鋼業に従事する場合の特定最低賃金は1,100円です。よって、鉄鋼業に分類される企業は時給が1,100円以上になるように設定する必要があります。
また、最低賃金はたびたび改定されているため、定期的に確認することをおすすめします。
参考:地域別最低賃金の全国一覧 |厚生労働省、あなたの賃金を比較チェック|最低賃金制度
パートやアルバイトを解雇する場合も正当な理由を明示する
パートやアルバイトを解雇する場合は、正当な理由を明示する必要があります。解雇事由は就業規則に記載しておかなければなりません。
正当な理由をもって解雇する場合も、最低30日前には解雇予告をしてください。30日に満たない場合は、不足日数分の平均賃金を解雇予告手当として支払う必要があります。
また、有期雇用の従業員については、やむを得ない事情がない限り契約期間の途中で解雇することもできません。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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