- 更新日 : 2025年2月21日
就業管理とは?勤怠管理との違いやシステム導入時の注意点を解説
就業管理は、従業員を雇用する企業において欠かせない業務です。法律に則った管理を求められますが、目的や業務内容を詳しく把握できていないまま、業務に携わっているケースもあるようです。近年は働き方改革によって、労働基準法は厳罰化され、就業管理の徹底が求められています。
本記事では、就業管理を行う目的や、勤怠管理との違い、就業管理方法などの詳しい意味を解説しています。企業のコンプライアンスにも関わりますから、正しく意味を理解し、業務を行いましょう。
目次
就業管理とは?
就業管理とは、従業員の働き方を総合的に管理する業務です。労働時間、休日や休暇、出勤時間の管理などが該当します。就業管理の目的は、法令に沿って従業員の労働内容や賃金、労働衛生など、労働にまつわる全般的な事柄を管理することです。
2019年4月に施行された「働き方改革関連法」でも、以下のような記載があります。
労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、 多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための措置を講ずる。
近年は、長時間労働の抑制や有給休暇の取得などのルールが厳罰化されています。雇用主には、従業員の働く環境を整える義務があり、実現に向けて努力を行うことも必要です。
就業管理が重視される理由
就業管理が重視される理由は、近年の労働基準法の厳罰化で、企業に適切な管理体制が求められているからです。2019年の「働き方改革関連法」でも、残業時間の削減や同一労働同一賃金など、労働環境の改善につながる内容が、企業に対し求められるようになりました。
法律知識のないまま管理体制が行われていると、労働時間や有給休暇の取得は管理されていたとしても、内容自体が違反となっている可能性が出てきます。違反となっている場合、その時点では問題視できなかったとしても、後に労務トラブルなどにつながりかねません。ワークライフバランスを重視する時代の中で、就業管理は今後も企業にとって、重要度を増していると言えます。
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※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
労働時間管理の基本ルール【社労士解説】
多様な働き方を選択できる「働き方改革」が世の中に広まりつつありますが、その実現には適切な労働時間管理が欠かせません。
労働時間に関する用語の定義や休憩・休日のルールなど、労働時間管理の基本ルールを社労士が解説します。
時間外労働の管理 労基法違反から守る10のルール
年5日の有給休暇の取得が義務化され、企業には正確な休暇管理が求められています。
本資料では、有給休暇に関する基本ルールをはじめ、よくあるトラブルへの対処方法を社労士がわかりやすく解説しています。
出勤簿(エクセル)
従業員の労働時間を正確に把握することは、企業の労務管理における重要な業務です。
本資料は、日々の勤怠管理にご利用いただける「出勤簿」のテンプレートです。 Microsoft Excel(エクセル)形式ですので、ダウンロード後すぐに編集してご活用いただけます。
勤怠管理表(ワード)
従業員の勤怠状況を正確に把握することは、労務管理の重要な基盤となります。
本資料は、日々の勤怠管理にご利用いただける「勤怠管理表」のテンプレートです。 Microsoft Word(ワード)形式ですので、ダウンロード後すぐに編集してご活用いただけます。
就業管理の業務内容
就業管理では、おもに労働時間と休日や休暇の管理、就業規則の遵守の3つが、業務として求められます。以下よりそれぞれの内容について解説します。
労働時間の管理
労働時間の管理は、労働基準法に基づき守られているかが重視されます。後述する勤怠管理においても労働時間の管理は行います。ただし、勤怠管理はおもに給与計算を目的に労働時間を管理しているのに対し、就業管理の場合重視する視点が異なるのです。
使用者には、労働基準法第32条で労働者を働かせることができる上限時間として法定労働時間が定められています。法定労働時間は原則として1日8時間、1週間に40時間です。また、休憩や休日の定めも、同じく労働基準法第34条及び35条で決められています。変形労働時間制の場合ルールは異なりますが、就業管理では労働時間は法律の範囲を超えていないかを見ていきましょう。
【法定の労働時間、休憩、休日】
- 使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
- 使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
- 使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。
休日や休暇の管理
企業は従業員に対し、「法定休日」や「所定休日」などの休日を、法律に則り取得させなくてはいけません。法定休日とは、労働基準法第35条で決められた、企業が従業員に必ず与えなければならない休日を指します。所定休日とは、法定休日に加えて企業が従業員に与える休日です。所定休日は、就業規則や労働契約に記載をする必要があります。
もし休日労働をさせた場合は、割増賃金を支払う必要があります。また、年次有給休暇が取得されているかを管理することも、就業管理の重要な業務です。現在年次有給休暇は、年10日以上の付与をされている労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち、年5日の取得義務があります。
就業規則の遵守
就業規則は、従業員の賃金や労働時間などの条件だけでなく、守るべき規律やルールを記載した会社の規則です。常時雇用する従業員の割合が10名以上の事業場において、就業規則の作成が義務づけられています。就業規則の内容は、随時従業員に周知しなくてはいけません。しかし企業によっては、作成はしても周知されていない場合もあります。
周知されないまま運用されると、トラブルや就業規則違反につながります。
就業管理と勤怠管理の違い
勤怠管理とは、「勤める」「怠ける」という漢字の通り、出勤と欠勤について管理することです。就業管理との違いや、勤怠管理の目的を理解すれば、さらに質の高い業務遂行が実現できます。ここでは、勤怠管理の詳しい内容や目的とあわせて、就業管理との違いを解説します。
勤怠管理については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
勤怠管理とは
勤怠管理とは、従業員の労働時間を正しく把握し管理することです。勤怠管理は、労働基準法で定められた企業の義務で、勤怠管理の方法に決まりはありません。企業規模や業種ごとに、適した管理方法があるため、企業ごとにさまざまな管理方法を取っています。
勤怠管理と就業管理は似ていますが、勤怠管理は就業管理における一部業務です。就業管理は従業員の働き方を法律に則して総合的に管理するのに対し、勤怠管理は出退勤や休暇の取得などを法令に基づき把握します。
参考:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置 に関するガイドライン
勤怠管理の目的
勤怠管理には、3つの目的があります。
- 労働基準法に沿った勤怠管理を行うため
- 給与計算を正しく行うため
- 働き過ぎの従業員を把握し、企業側から適切な改善を図るため
1つは、労働基準法に沿った勤怠管理を行うことです。勤怠管理データは、一目でわかるようにしておきましょう。
2つめは、給与計算を正しく行うためです。勤怠管理データは給与計算時に使用するので、正しく記録や管理をすれば、スムーズな給与計算業務が実現します。
3つめは、働き過ぎの従業員を把握し、企業側から適切な改善を図るためです。労働基準法で労働時間や休日は定められています。こうした法律が守られているかは、勤怠管理を正しく行われていれば把握可能です。
有給休暇を何日付与するかは、従業員の労働日数と勤続年数、出勤率により異なります。日数を算出するには、勤怠管理によって従業員の労働状況を把握することが必要です。有給休暇の付与や年5日の消化は労働基準法や働き方改革関連法で義務づけられていますので、適切な勤怠管理を行い、法令を遵守できているか確認しましょう。
有給休暇について以下の記事で解説していますので、参考にしてみてください。
就業管理の方法
就業管理の方法は、企業の規模や業種によって適切な方法は異なります。ここでは代表的な管理方法と、近年広がる就業管理システムについて詳しく解説します。
Excel管理
Excelの計算機能を活用すると、勤怠状況の管理や計算は大きな負担もなく行えます。インターネット上には無料のテンプレートもあり、無料で気軽に就業管理が実施でき、こうした手軽さはExcel管理のメリットです。一方でデメリットは、関数の正確さが必要であったり、入力やデータ加工を手作業で行ったりするため、ミスが発生するリスクが高まることです。誤ったデータで作業を行った場合、給与計算などその後の業務にも影響し、大きなトラブルにつながることも考えられます。
紙からエクセルに勤怠管理を移行することについて、以下の記事で解説しています。
タイムカード管理
タイムカードは、出退勤のたびに従業員本人に打刻記録をしてもらう管理方法です。メリットは、本人が出勤時に打刻をするため、就業管理担当者は当該社員に確認や記録を取る必要はありません。デメリットは、打刻時間の漏れや不正の可能性がある点です。また、タイムレコーダーを設置しタイムカードを通して打刻をするため、テレワークや社外勤務の場合には、リアルタイムの打刻はできません。
打刻機能のみのタイムレコーダーの場合、集計時はExcelなど別システムを活用しますが、集計には時間を要します。また転記ミスの発生リスクが高まる点もデメリットとして想定されます。
出勤簿管理
出勤簿管理は、紙の出勤簿に手書きで管理するアナログな手法です。出勤簿には、出退勤時間だけでなく、遅刻や早退、残業や休憩時間、休日取得などの情報を書き込みます。出勤簿のメリットは、ほぼ費用がかからず、出勤簿でまとめて管理できる点です。
デメリットは、手書きの自己申告のため不正がおきやすく、タイムカード管理と同様に、集計に時間を要します。こうした側面から、従業員数の多い企業には出勤簿管理は適しません。
出勤管理システムでの管理
近年広がっているのが、就業管理システムによる労働時間の管理です。出勤管理システムには、以下のようなメリットがあります。
- スマートフォンやパソコンからも打刻が可能
- 労働状況はリアルタイムに確認が可能
- 集計や分析だけでなく、アラート等も設定可能
紙での管理に比べて、勤怠管理にかかる作業を減らせます。またこれらのメリットは、法令遵守の観点でも便利です。
デメリットは、出勤管理システムの導入にはコストがかかることです。企業規模や管理体制次第ではシステムが複雑になり、コストは膨らむ可能性があります。操作性やセキュリティ面も考慮し、自社の求める機能で選定を行いましょう。
就業管理システムの種類
就業管理システムには、クラウド型とオンプレミス型と大きく2つにわかれます。ここでは2種類のタイプの違いについて、解説します。
クラウド型
クラウド型は、システム提供事業者が運営するサービスを、インターネット経由で利用するタイプの物です。自社内でサーバーを用意する必要はなく、導入コストを押さえ、スピーディーに導入できます。
オンプレミス型
オンプレミス型は、社内にシステムとサーバーを構築し、自社で管理運用するタイプの物です。クラウド型よりも導入・運用コストはかかるものの、自社独自の柔軟なカスタマイズが可能です。 社内ネットワークがすでに整備されていたり、専門知識のある情報システム責任者が在籍したりする企業であれば適しています。
就業管理システムを選ぶときの注意点
就業管理システムを選定する際は、いくつか選定項目や注意点があります。自社の勤務特性を満たし、求める機能は搭載されているか、事前に項目を出した上で選定を進めましょう。
機能や操作性に問題がないか
機能や操作性はシステムによって異なります。自社の解決したい課題を明確にし、必ず備わっていて欲しい機能が搭載されているか確認しましょう。就業管理システムは、高機能であるほどよいとは限りません。高機能であるほどコストは高額になり、また操作性も複雑になる傾向があります。その結果、特定の人しか使いこなせなくなるリスクが高まります。導入の目的を把握し、必要十分な機能と問題のない操作性を満たしているか、しっかりと確認しましょう。
自社使用のソフトとの連携や拡張性は大丈夫か
就業管理システムは、業務効率化の観点から、ほかシステムと連携が欠かせません。たとえば、勤怠管理システムを給与計算システムと連携すると、効率的な給与計算業務の実現につながります。しかし、自社の課題や就業規則に則した対応が実現できない場合、導入コストのみかかってしまうので注意が必要です。すでに導入しているシステムとの連携や拡張性は、慎重に見ていく必要があります。
導入後のサポート体制は充実しているか
導入後はわからない点が出たり、エラーが発生したりします。運用時には当初の想定とは違った問題が生じるケースもよくあります。その際に、どのようなサポートがあるのか事前に把握しておきましょう。
また、サポート窓口はあっても、相談に素早く対応できる体制なのかは、各社異なります。導入後のサポート体制は、安心して運用を行う上では重要な選定の指標です。
システムが自社の企業規模に適しているか
一般的に、企業規模が大きくなると、就業規則も多様化していき、それにともない就業管理システムに求める機能も増える傾向にあります。システム選定時には、自社の企業規模に適したシステムなのか、就業規則に則った管理が可能なのかを、十分に吟味しましょう。導入時は、自社と同規模や同業種の導入実績のあるシステムを選定するのも、1つのポイントです。
就業管理は企業における重要業務
就業管理は、従業員の働き方を総合的に管理する、企業にとって重要な業務の1つです。具体的には、労働時間、休日や休暇、出勤時間の管理などが該当します。正しい法律理解の下で管理できれば、法令を遵守でき、従業員とのトラブル防止にもつながります。この記事を参考に、正しく効率的な就業管理を目指しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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