- 更新日 : 2025年7月10日
6連勤は違法?きつい?バイトはOK?労働基準法に基づき分かりやすく解説!
6連勤は法的に問題のない勤務形態であっても、肉体的・精神的な疲労を確実に引き起こし、仕事の効率や生活の質に悪影響を与える働き方です。適切な休息が確保されなければ、連勤の負担が次第に大きくなり、心身の健康を損なう原因にもなりかねません。
本記事では 「6連勤は違法なのか?」 という疑問を労働基準法に基づいて分かりやすく解説します。法令遵守はもちろん、従業員の健康や働きやすさを守るためのポイントも合わせてお伝えしますので、労務管理の改善にお役立てください。
目次
6連勤は違法?
正社員・アルバイト問わず、結論として、6連勤は必ずしも違法ではありません。
なぜなら、労働基準法では「毎週1日以上」または「4週間で4日以上」の休日を与えることが義務づけられており、6連勤はその範囲内に収まるためです。
週に1日の法定休日を設けている場合には、最大で12日連続勤務が理論上可能とされておりますので、6連勤はこれを下回っており、違法ではありません。また、4週間で4日の法定休日を与える場合には、最大48日連続勤務も可能とされています。そのため、いずれの方法であっても6連勤は法的な問題を生じません。したがって、6連勤は法律上違反とはいえないのです。
「完全週休二日制」を採用している場合
しかし、会社が「完全週休二日制」を採用している場合、毎週必ず2日間の休みを与えることが労働契約や就業規則で約束されています。もし6連勤が行われると、その週は2日休めないことになりますので、会社が自ら定めた「完全週休二日」の約束を破ることになり、法的義務ではなくても契約違反となる可能性があります。
そのため、完全週休二日制を前提としている企業において6連勤が生じた場合は、労働者との契約条件を満たしていない点で問題があるといえるでしょう。
そもそも労働基準法での休日のルールについて
労働基準法第35条では、会社(使用者)が労働者に対して必ず与えるべき「法定休日」について定められています。会社は以下のいずれかの方法で休日を設定しなければなりません。
- 週に1日
- 4週間を通じて4日
この法定休日に対して、会社が独自に設定する休日は「法定外休日」と呼ばれ、労働基準法ではなく、労働契約や就業規則に基づいて付与されるものです。
たとえば、週2日休みがある会社の場合、そのうち1日が法定休日、残りの1日は法定外休日に該当します。
12連勤が可能な場合について
労働基準法第35条では、使用者(会社)は労働者に対して 「毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」 と定めています。このルールに従えば、厳密には 12連勤が認められるケース があります。
12連勤が発生する仕組み
例えば、1週間の区切りを「日曜から土曜」とした場合の例を見てみましょう。
- 1週目:日曜日が休日、月曜日から土曜日まで6日間働く
- 2週目:日曜日から金曜日まで6日間働き、土曜日が休日
この場合、1週目の月曜日から2週目の金曜日まで 連続12日間 の勤務が発生しますが、法定休日は週に1回確保されているため、労働基準法には違反しないことになります。
48連勤が可能な場合について
労働基準法第35条では、会社(使用者)は労働者に対して 「毎週少なくとも1回の休日」 または 「4週間を通じて4日以上の休日」 を与えることが義務付けられています。この「4週間で4日」のルールを活用すると、 最大48連勤(1カ月あたり24日間)が理論上は認められるケースがあります。
48連勤が発生する仕組み
4週間単位で休日を設定する「変形休日制」を採用している場合、連続勤務が理論上可能になります。具体的な例を見てみましょう。
- 1週目:日曜から水曜まで休み、木曜から土曜まで勤務
- 2週目~7週目:毎日勤務(42日間連続勤務)
- 8週目:日曜から火曜まで勤務、水曜から土曜まで休み
この場合、 1週目の木曜日から8週目の火曜日まで 連続 48日間 の勤務が発生しますが、 4週間ごとに4日間の休日が確保されているため違法ではありません。
6連勤はきつい?その理由とは
6連勤が続くと、心身への負担は確実に大きくなります。
1週間のうち6日間働くということは、1日の休みしか確保できないため、疲れを回復させる時間が極端に限られてしまうからです。特に体力を必要とする仕事や、長時間の労働が続く職場では、最終日が近づくにつれて疲労感がピークに達し、身体が思うように動かなくなることもあります。疲れが取れないまま翌日を迎える状態が繰り返されれば、蓄積された疲労が日常生活にも影響を及ぼし、最終的には体調を崩すリスクが高まります。
精神的にも、6連勤は大きな負担となります。仕事が終わった後も、十分にリフレッシュする時間が確保できず、「次の日も働かなければならない」という意識が心に重くのしかかるため、気持ちの切り替えが難しくなります。また、業務の責任やプレッシャーが重なる仕事の場合は、緊張状態が続くことでストレスが積み重なり、気力や集中力が途切れがちになることもあるでしょう。
プライベートな時間が圧迫されることも、6連勤が「きつい」と感じる要因です。休みが1日しかないため、その貴重な休日は休息で終わってしまい、趣味や家族との時間に充てる余裕がなくなります。リフレッシュする時間が十分に取れなければ、気分転換ができないまま新しい週を迎えることになり、仕事へのモチベーションも低下しやすくなります。
違法な連勤が引き起こすリスク
違法な連勤を避けるためには、 法定休日の確保 と 労働者の健康配慮 が重要です。36協定を遵守し、過度な連勤が発生しないよう適切な労務管理を行うことで、従業員の健康と企業の信頼を守りましょう。
安全配慮義務について
労働契約法第5条では、使用者に 「安全配慮義務」 が課されています。これは労働者の健康や安全を守るための配慮義務です。
- 健康を害するほどの連勤:
過度な連勤が続くことで、労働者が心身に不調をきたした場合、安全配慮義務違反に該当します。
違反した場合のリスクとして、使用者には 損害賠償責任 が発生する可能性があり、企業の信頼を大きく損なうことになります。
労働安全衛生法違反となるケースも
労働安全衛生法では、使用者は職場環境を整え、労働者の健康や安全を確保することが義務付けられています。
- 過度な連勤で健康被害が発生:
長時間の連勤が原因で労働者が過労死やメンタルヘルスの不調に陥った場合、違反と判断される可能性があります。
違反した場合のリスクとして、労働基準監督署からの指導が入り、労働環境の改善を求められることになります。
従業員の健康被害・チベーション低下を引き起こす
過度な連勤は、うつ病や過労死など深刻な健康被害を引き起こす恐れがあります。労災認定されれば、企業は慰謝料や損害賠償責任を負う可能性もあります。
連勤が続けば、労働者の業務意欲は低下し、生産性にも悪影響が出ます。労働環境への不満が高まれば、離職者の増加や定着率の低下にもつながります。
企業の信頼失墜にもつながる
労働基準法違反が発覚すれば、罰金や懲役といった刑罰だけでなく、企業名が公表される可能性もあります。社会的信用の失墜は大きなダメージとなるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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