- 更新日 : 2024年10月30日
メンター報告書とは?書き方、ポイント、無料テンプレート
メンター報告書とは、メンターが行ったサポートの内容やメンティーの受け止めの状況などを記録する書類です。
上司や人事担当者は、メンター報告書を確認することで、メンターとメンティーとの関係性の詳細、メンターのスキルは十分かなどといった情報を的確に把握できます。
目次
メンター報告書とは?
メンター報告書とは、メンタリングが順調に進んでいるのか、課題が生じていないかなどを把握するために作成する記録です。報告書を作成することで、メンターは自分自身のコミュニケーション能力や育成支援能力の向上を図れます。また、メンタリングは、オープンに行われるものではないので、上司や先輩、人事担当者は進捗状況を知ることができません。
メンターの役割とメンター報告書の必要性
メンターは、経験が浅く、かつ知識とスキルが十分に備わっていない新人・若手社員(メンティー)を一人前の職業人・社会人として育成するために対話で指導・助言を行っていきます。
そして、メンタリングの指導・助言が成果を上げるためのポイントとしては、以下の7点が挙げられます。
- メンターとメンティーとのマッチングは良好か
- 両者の関係づくりは順調か
- 面談の時間や頻度は適切か
- 面談のテーマが不必要に拡散していないか
- メンティーの発言や態度に良い変化が見られるか
- メンタリング運用ルールからの逸脱はないか
- メンタリングの途中及び終了時に客観的な振り返りができているか
なお、メンター報告書の作成に当たっては、上司や人事担当者も把握できるように意識するとともに、メンティーとメンターの個人情報の記載について個人情報保護法に基づき十分配慮しなければなりません。
メンタリングはプロセスが重要
メンタリングのプロセスは、基本的に次のステップで進みます。
- メンタリングの目的や目標を確認し、メンターとメンティーが理解し合う段階
- 指導や助言などの支援が展開される段階
- メンタリングを終了し振り返りを行う段階
ただ、時折、面談が進むにつれて、話題が多岐に及んでしまい、目的が曖昧になることがあります。このような場合に、当初の目的や運営ルールを再確認し、効果的なメンタリングを実施するためのツールがメンター報告書なのです。
メンター報告書の書き方は?
メンター報告書と似たものとして面談シートがあります。これは、面談前にメンティーが面談で話題にしたいことなどを記載し、面談終了後にメンター、メンティーそれぞれが同じシートに面談の内容を記載するというものです。ここでは、メンター報告書の書き方について解説します。
メンティーの状況
ここに記載するのは、メンタリングの目標です。メンティーが抱えている仕事上の悩みや、キャリア形成に関する不安などを明確化することで、メンタリングの方向性が決まっていきます。メンターの課題把握力が問われるので、メンティーのコメントに丁寧に耳を傾け、抱えている課題をうまく引き出していきます。
メンターのサポート
メンティーの課題解決に向けてメンターが行った指導や助言の内容を記録します。メンティーの課題が明確になった時点で支援の方向性やプランを作成しておき、これに基づいて指導・助言の内容を記載しておくと論点が見やすくなります。もちろん、メンティーの変化の様子を見ながら支援の方向性やプランの修正を行い、記録しておくことも必要です。
メンター所感
メンティーはメンターの指導・助言を的確に受け止めているか、意欲的に取り組んでいるか、メンターの支援によって効果を見られているかなどの視点から経過を報告するとともに、メンティーに見られる変化の状況も記載します。
次回面談の予定について
次回の面談におけるテーマやこのテーマについてどのような指導・助言を行うかといったことを記載します。
メンター報告書の無料テンプレート
メンター報告書はメンタリングの進捗状況を把握する重要なツールなので、メンタリングのポイントをしっかり押さえた項目で構成されていることが必要です。
下記からダウンロードできるテンプレートは、そうしたニーズにピッタリの構成となっています。是非ご活用ください。
メンター報告書を作成するポイントは?
メンタリングの進捗状況を記録することは、メンター自身がサポートの進め方を振り返るだけでなく、上司や人事担当者がその成果の見通しを客観的に評価するためにも役立つものです。ここでは、メンター報告書作成のポイントをまとめておきます。
メンティーの変化に注目
メンタリングは、メンティーが抱える仕事上の悩みやキャリア形成についての不安などを解決し、職業人としても社会人としても成長していくことを支援する取り組みです。その点から考えてみると、メンティーが、メンタリング開始時点から終了までの間にどのように変化していったかをつぶさに観察し記録することが重要です。
もし、望ましい変化が現れていないとすれば、メンタリングそのものに問題が生じている可能性があります。メンターのサポートに関しても、メンティーの変化の状況との関連性に留意して記載することにより、サポートの効果の有無を把握することが可能になります。
メンティー・メンターの関係
良いメンタリングを実現するためには、課題を解決する姿勢とともに冷静な対話を積み重ねる態度が求められます。
しかし、時折、メンターがメンティーに対して上から目線で対応してしまったり、メンティーがメンターに依存しすぎてしまったりするケースがあります。このような状況になってしまうと、報告書の内容も適切さを欠くことになるでしょう。そのためには、メンターは、両者の良好かつ健全な関係性を構築・維持することで、メンター報告書の充実を図る必要があります。
メンティー、メンター、会社の三方にとって貴重な記録
良いメンタリングをすることは、メンティーやメンター、そして会社にメリットをもたらします。メンティーは、業務と直接的な関係のない先輩社員とコミュニケーションを取りやすくなるでしょう。また、メンターは、後輩社員の切実な悩みや不安に直接向き合い、これを解決に導くという経験が、自分がリーダーや管理職になった際に役立つでしょう。
そして、会社単位でメンタリングに取り組むことは、人材の確保・育成、離職の抑制につながります。
以上の三者のメンタリングの経緯を報告書として記録することは、より良いメンタリングを実施するうえで欠かせないものなのです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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