- 更新日 : 2025年10月10日
キャリアカウンセラーとは?仕事内容や資格、キャリアコンサルタントとの違い | 給与計算ソフト「マネーフォワード クラウド給与」
キャリアカウンセラーとは、相談者のスキルや知識、興味などのさまざまな特性から、最適なキャリアを目指すヒントを探し、キャリアデザインを支援する専門家です。この記事では、キャリアカウンセラーの役割や仕事内容、活躍の場、年収、必要な資格やスキルについて詳しく解説します。
目次
キャリアカウンセラーとは?
キャリアカウンセラーは、相談者が初めて職業を選択するときや、職業や働き方を変える場合など、キャリアのさまざまなシーンにおいて適切な職業の選択やキャリア形成を支援する専門家です。資格の名称ではなく職業であり、キャリアカウンセラーとしての能力を担保するさまざまな国家資格、民間資格、検定試験があります。
キャリアアドバイザーとの違い
キャリアアドバイザーは、専門家であり資格を取得済みのキャリアカウンセラーと異なり、職種です。キャリアアドバイザーは、一般的に就職や転職を希望する個人に対して、実現に向けた指導や助言をします。企業で従業員のキャリア相談を受ける担当者をキャリアアドバイザーとして配置することもあります。
キャリアコンサルタントとの違い
キャリアコンサルタントは2016年に新設された厚生労働大臣認定の国家資格です。労働者が適性や職業経験などに応じて自ら職業生活設計を行い、これに即した職業選択や職業訓練などの職業能力開発を効果的に行えるよう相談に応じて助言や指導を行います。それまではなかったキャリアカウンセラーの国家資格という位置づけになるでしょう。
キャリアコンサルティング技能士との違い
キャリアコンサルティング技能士は、キャリアコンサルティング業務を行う上で必要な知識や技能の習得レベルを評価する技能検定であり、2級と1級の2種類が存在します。2級は「熟練レベル」で1対1の相談支援が的確にできる水準であり、1級は「指導者レベル」で複合的で困難な課題のある相談者の対応だけでなく、組織への働きかけや連携などのコーディネートができる水準です。キャリアコンサルティング技能検定が求める能力水準は、キャリアコンサルタントの上位に位置づけられます。
CDAとの違い
CDA(Career Development Adviser)は米国のキャリアカウンセラー養成プログラムを、日本向けに構築して導入した特定非営利活動法人日本キャリア開発協会(JCDA)が認定する民間資格です。一定の要件を満たし、CDA会員としてJCDAに登録・入会する必要があります。キャリアコンサルタントという国家資格ができる以前は、キャリアカウンセラーの能力を担保する権威のある民間資格という位置づけで認識されていました。
キャリアカウンセラーが注目される理由
キャリアカウンセラーが注目されている背景には、雇用環境の変化が大きな要因となっています。かつての日本では終身雇用および年功序列が当たり前でしたが、現在ではそのような考え方は過去のものになりつつあります。また、働き方も多様化し、転職も珍しくありません。1つの会社で働き続けることや、同じような働き方に捉われず、一人ひとりが自分らしく働ける時代であるからこそ、能動的な姿勢で自分のキャリアと向き合う必要があります。
とは言え、「自分に合った働き方がわからない」「どうやって目標を実現したらいいかわからない」といった悩みもあることでしょう。そのようなキャリアの悩みに寄り添うのがキャリアカウンセラーです。国は、キャリアカウンセラーやキャリアコンサルタントを活用して、従業員のキャリア形成を積極的に支援するよう企業に求めています。
キャリアカウンセラーの仕事内容
では、キャリアカウンセラーは具体的にどのような仕事をするのでしょうか。主な仕事内容は以下の通りです。
キャリアカウンセリング
キャリアカウンセラーは求職者のキャリア形成や職業生活設計を支援するキャリアカウンセリングも行います。相談者の価値観や適性を聴き取り、自己理解を深める手助けをします。また、長期的なキャリアビジョンの構築や、それに向けた具体的なステップの設定を一緒に考えていきます。定期的な面談を通じてキャリア展望を明確にし、意欲と自信を高める働きかけを続けることが重要です。
適職や転職先探しのサポート
キャリアカウンセラーは求職者一人ひとりの適性や希望に合った職業選択や転職先の相談に乗り、実際の求人情報を提供して就職や転職活動を支援します。面談を通じて求職者の適性や職歴、興味関心を把握し、強みと弱みを分析した上で、適切な職種や職場を提案します。複数の選択肢から希望に沿った企業を選びやすくするためのアドバイスも行い、納得のいく就職・転職先が見つかるようサポートします。
就職活動に必要な書類作成の支援
キャリアカウンセラーは、求職者の就職活動において必要な各種書類の作成する支援も仕事の一つです。具体的には、履歴書や職務経歴書の書き方、自己PR文書の作成指導、面接での自己紹介の練習などを行います。書類作成時には文章表現のブラッシュアップを行ったり、内容の論理性を確認したりするなど、細かな添削指導をします。また、求人側の採用担当者の視点も踏まえたアドバイスをすることで、採用に有利な効果的な書類作成を導きます。
キャリアアップのサポート
キャリアカウンセラーは、求職者の希望するキャリア形成を支援することも大切な仕事です。具体的には、求職者個々人の適性や経験、興味関心を丁寧にヒアリングし、求職者が目指すべき方向性を一緒に考えていきます。また、次のステップに進むために必要なスキル習得や資格取得などのアドバイスを行い、必要な研修プログラムを紹介したり、キャリア形成のロールモデルとなる先輩社員との面談を設定したりするなど、具体的なキャリアアップのお手伝いをします。
企業が求める人材の把握
キャリアカウンセラーの大切な仕事の一つとして、企業が現在と将来においてどのような人材を必要としているかを把握することが挙げられます。企業の人事部門と定期的に面談を行い、求められる人材像やスキルをヒアリングすることもあります。企業の中長期的なビジョンや戦略を理解し、それに合わせた人材をいかに採用・育成していくかを一緒に考えていきます。企業ニーズを的確に把握することで、求職者への適切な職業相談や紹介が可能となります。
キャリアカウンセラーの活躍の場
キャリアカウンセラーの仕事は多岐にわたり、活躍の場もさまざまです。
企業の人事部
近年、企業の人事部内にキャリアカウンセラーを配置するケースが増えています。社員の配置や登用、教育訓練、メンタルヘルスケアなど、人事業務全般に関して専門的な助言を行います。自社社員の適性に応じたキャリア形成を支援したり、社内公募制度の運用をサポートしたりするなど、人材育成の中核として活躍しています。
人材派遣・人材紹介会社
人材派遣や人材紹介会社においても、キャリアカウンセラーは重要な役割です。求職者に対するキャリアコンサルティングや、求人企業の人材ニーズに応じた紹介・提案を行います。マッチング活動において、求職者と企業双方に理解を深めるコミュニケーションを図ることが求められます。
大学・専門学校などの教育機関
近年、大学や専門学校に就職支援のためのキャリアセンターを設置するケースが増えています。在学生一人ひとりの適性や興味に応じたキャリア選択を支援したり、履歴書の書き方や面接の指導をしたりするなど、就職活動に関する実践的なアドバイスを提供しています。また、インターンシップの斡旋も重要な業務の一つです。
就労支援センター、公的職業支援機関
離職者や非正規雇用者など就職が困難な人々を支援する公的機関においても、キャリアカウンセラーの役割は欠かせません。求職者の適性や状況に応じた適職探しのサポートや、職業訓練と就職支援を組み合わせた再就職プログラムなどを提供しています。
フリーランスとして独立
キャリアカウンセラーの中には、フリーランスとして独立し個人事業主として活動する方も少なくありません。企業や個人からの依頼に応じて、キャリアコンサルティングを提供しています。自由な働き方ができるというメリットがある一方で、継続的に案件を得られるよう、自らマーケティング活動や営業を行い、クライアントを獲得していくことがカギとなります。
キャリアカウンセラーの年収は?
キャリアカウンセラーの年収は、その雇用形態や経験、スキルにより大きく異なります。主に生計を立てている場合、民間資格であるキャリアカウンセラーだけでなく、国家資格であるキャリアコンサルタントの資格を取得しているケースが一般的です。
独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)が作成した『労働政策研究報告書(2023年6月)』によると、税込年収で最も多いのは「300~400万円未満」で16.5%以下、「400~500 万円未満」(14.5%)、「200~300万円未満」(13.8%)と続き、中央値は「400~500万円未満」であることから、調査に回答したキャリアコンサルタントの半数は個人年収が400万円以上と分析しています。
参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「第2回キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」2023年6月
ただし、これらはあくまで一般的な数値であり、具体的な年収は個々の稼働状況によって異なります。
キャリアカウンセラーになるには?資格は必要?
キャリアカウンセラーには民間資格、国家資格、検定試験などがありますが、必要なスキルや取得しておくとよい資格や勉強時間について整理しておきましょう。
必要なスキル(知識、学歴)
キャリアカウンセラーに必要なスキルは、相手の話をよく聞き、課題を見つけ出す力、相手に寄り添いながらわかりやすく思いを伝える力、そして継続的な学習で知識・スキルを磨き続けることです。また、人材開発やキャリア設計の知識に加え、キャリアに関するメンタルな悩みに対応するためのメンタルカウンセラーとしての能力も必要とされます。
資格(あると良い資格)
キャリアカウンセラーとして活動するためには、特定の資格が必要ではありませんが、資格を持つことで専門的な知識やスキルを証明することが可能です。国家試験、検定試験、民間資格としては、前述の「キャリアコンサルタント」「キャリアコンサルティング技能士」「CDA資格」などの資格が存在します。
勉強の期間
キャリアカウンセラーのスキル習得に必要な勉強時間は、個々の資格と学習スタイル、経験によりますが、例えばキャリアコンサルタントの場合、一般的には最低でも3カ月の試験対策のための勉強時間が必要とされています。また、実際のカウンセリング経験を積むためにも実践的な学びが重要であり、通信教育でも実際に通学して実践的に学ぶことが推奨されています。
キャリアカウンセラーに向いている人は?
キャリアカウンセラーに向いているのは、どのような人でしょうか。ここでは8つの特性を挙げておきます。
人のサポートをしたい人
キャリアカウンセラーは、相談者のキャリア形成を支援する仕事です。そのため、他人を助けることに喜びを感じる方に向いています。
コミュニケーションが得意な人
キャリアカウンセラーは、相談者と深くコミュニケーションを取り、その悩みや希望を理解する必要があります。
聞き上手な人
相談者の話をしっかりと聞き、その中から問題点や課題を見つけ出す力が求められます。
物事を客観的に捉えられる人
相談者の問題に対して客観的な視点からアドバイスを提供することが求められます。
キャリアで悩んだ経験がある人
自分自身がキャリアで悩んだ経験があると、相談者の気持ちをより理解しやすくなります。
人の価値観を大切にする人
キャリアカウンセラーは、相談者一人ひとりの価値観や目標を尊重し、それに基づいたキャリア形成を支援します。
問題発見能力のある人
相談者の話から問題点や課題を見つけ出す力が求められます。
人の長所を見つけるのが得意な人
相談者の強みや適性を見つけ出し、それに基づいたキャリア形成を支援することが求められます。
今、注目されているキャリアカウンセラーの「仕事内容」と「将来性」
キャリアカウンセラーは、相談者の特性から最適なキャリアを探す専門家であり、その活躍の場は多岐にわたります。企業の人事部から教育機関、公的職業支援機関まで、さまざまな場所でそのスキルが求められています。また、フリーランスとして独立することも可能です。資格の取得は必須ではありませんが、専門的な知識やスキルを証明するために資格があるとプラスに働くこともあります。あなたも今、注目のキャリアカウンセラーを目指してみませんか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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